1990.5.28 UWF 宮城県スポーツセンター

 スポーツセンターでは4年ぶりのプロレス観戦。席は1階だが、前の人々の頭でグラウンドになるとさっぱり見えない。前も1階で見たが、これ程ひどくなかったように思う。リングが低いのだろうか。前の人々の座高が高いのか。白石でも見にくかったがこれ程ではなかった。これからは2階席を買おう。その方が安くもあるし。
 
 はじめのレーザーショウはよかった。はじめから盛り上がりがすごい。客はいわゆるヤングが多い。白石では老人が多かった。昔行った新日や全日では、おじさんや子供も多かった。しかし今日は、かなり年齢層が狭いように思う。高校生から20代の男がほとんど。だからはじめから盛り上がる。

1.○船木 (腕十字固め) 安生●
 この試合が一番長くやったように思う。船木はグリーンのタイツ、シューズでかっこいい。体もgood shape。安生は小さい。グラウンドは船木がうまい。船木はスタンドでは手足をあまり出さない。時折、掌打のようなチョップを打つ。
 安生は膝蹴りでダウンを奪う。しかし結局負けた。すくい投げから逆十字。

2.○前田 (裸締め) 鈴木みのる●
 前田は常に余裕を持ち、キックを軽く出す。鈴木がグラウンドで足を取る技(アキレス腱固めや膝十字など)を出してもあまり効かない。逆にすぐ返されてしまう。が、鈴木は張り手で前田に鼻血を出させる。膝十字で足を引きずらせる。こう書くと鈴木が優勢のようだがそうではない。ずっと前田が勝っている。的確に間接技を決める。首をとって膝蹴りに行く。キャプチュードでダウンを奪う。しかし鈴木のドロップキックを顔に受け、ふらつく。コーナーにもたれたところに鈴木のニーパッド。チャンスに鈴木は一本背負い。が、前田は投げられずにスリーパーに行く。ゴング。前田圧勝。ちくしょう、と叫ぶ鈴木に鈴木コール。

3.○高田 (レフリーストップ) 中野●
 一番盛り上がった。中野は小さいが肥えている。顔を真っ赤にしていのししのよう。足は短くキックは空を切る。それでもがむしゃらにヘッドロックに行く。膝蹴りに行く。高田もキックで応戦。激しい殴り合い。この日最も激しいファイトだった。頭突き、ジャーマン、後頭部へラリアット、中野は何度も高田を追い詰めた。高田はフロントヘッドロックで中野のスタミナを奪う。最後は一瞬の隙を突いてスリーパーホールド。レフリーストップに中野は不満そうだったが、すぐ引き上げた。


4.○藤原 (膝十字固め) ジョニー・バレット●
 バレットは太っている。が、動きはいい。藤原とグラウンドでも引けはとらない。脇固めも回転して返す。初めのロープブレイクは藤原だった。のしかかられると藤原も容易には動けぬ。が、足を決められるとすぐびっこを引く。スタミナがなくなってきたのか、だんだん動きが鈍る。藤原は途中でにやにやしたり余裕たっぷりな様子。頭突きやボディーブローでペースを握り、的確に間接技を繰り出す。のしかかられたまま、両足でバレットの片足を挟んでその膝関節を決め、上になって攻めていたはずのバレットがロープに逃げた。最後は膝十字を完全に決めた。

5.○山崎 (膝十字固め) 宮戸●
 宮戸も小さい。が、健闘した。山崎のキック、特に起き上がるところを狙う頭へのキックに苦しみながらも、よくキックを返した。特に最後のソバットは、お腹にまともに入った。その後、関節技に行ったため返されてしまい、結局負けた。が、山崎は一番よかったのではないだろうか。


 終わってみれば皆、順当勝ちばかり。どちらが勝つかわからぬカード、特に前高山藤の4強のからみが1つでもあればよかったろうに。皆、同じような技を使うので各試合が特色に欠けた。グラウンドはさっぱり見えない。だから何とも言えんが、藤原の下になっていながら足だけで上の者の足を決める、という技はよかったが、他には見るべきものはなかった。その技も実はよく見えなかったのである。スタンドでは前田のキャプチュードと、鈴木のドロップキックがよかった。
 今日はカードのせいもあるが、皆同じような技をし、同じようなファイトで試合の特色に欠けるU.W.F.の試合は、全日や新日に劣るように感じた。
 ダウンすると皆カウント9のぎりぎりのところで立つ。それまで休んでいるととれる場合もあったが、精一杯やってそうなっていると見える場合もあり、いずれにせよ盛り上がった。
KO勝ちは1つもなく、関節技はフィニッシュへ結び付ける最良の手段だということはよくわかるのだが、スタンドからグラウンドに行くと盛り上がっていたのが静かになる。また殴ったり蹴ったりでダメージを与えた後に、関節技に行って逃げられたりすると、もったいない感じが見ていてする。もっとキックやパンチを出すべきだと感ずるのだ。またそう思ったのは、1階の人はグラウンドが見えないため、スタンドになれなれと思って見ていたからもあるだろう。
 キック、膝蹴り、パンチ、チョップ、アキレス腱固め、膝十字、スリーパーホールド…皆こればかりだ。16文、スピニング・トウ・ホールド、キングコング・ニードロップ、足4の字、原爆頭突き、アックス・ボンバー、ブレーン・バスター、ヒップ・ドロップ、延髄斬り、ラリアット、さそり固め、コブラ・クロー、ダイビング・ヘッドバッド、バックドロップ……レスラーに個性がなければ、プロレスは賭け抜きの競馬になる(その心は、見てもつまらない――どの馬が勝とうが同じではないか!)。Uよ、今度は1万円も払わんぞ!

ヲワリ