2008.1.4(金)新日本 東京ドーム
レッスルキングダムU in 東京ドーム


(※P:ピンフォール、ギブアップ)


 東京ドームでのプロレス観戦は18回目。
 うち新日本は13回、1月4日は9回目である。
 毎年行っているわけではないけれど、プロレス界の恒例行事で、なんだかんだ言われつつも今年も開催されたことは喜ばしい。
 今回は正月休みが長く、明後日(6日)まで休みなのだけれど、ドームに行くため今日帰省先からから上京した。
 外野席、スタンドの2階席と1階内野席の奥(外野寄り)は開放せず。
それでもスタンドの残りとアリーナ(グラウンド)席はほぼ埋まり、主催者発表27,000人はいいところだと思う。

 今大会はTNAとの対抗戦が売り。
 2003.10.13東京ドーム大会、久々にホーガンが来て、蝶野と闘った。
 試合後ロッカー・ルームで、ジェフ・ジャレットがホーガンを襲撃。
 その様子はテレビ朝日でも放送されたが、TNA側でもテーピングを行った。
 ジャレットは、実にそのためだけに来たのである。
 新日本が呼んだわけではない。
 入国審査で
「いや、ちょっと知り合いをギターで殴りに来ただけです」
とでも言ったのであろうか?
 結局、ホーガンはTNAに出なかったので、苦労して撮ったテープは日の目を見なかったのかもしれない。
 ジャレット−ホーガン−蝶野、と三つ巴の闘いが、太平洋を股にかけて展開されるのでは、と思い大いに期待していたので、残念なことであった。
 しかし、ホーガン抜きでもTNAとは協力――あるいは抗争――すべきであったろう、と思う。
 WWEに対抗するなら、この両者が手を結ぶべきであった。
 それから4年がたち、新日本のパワーは少し落ちてしまったかもしれないが、まだ東京ドームで興行を打てるし、猪木の口出しもなくなっている。
 遅い、と言わずに期が熟した、と考えることにしよう。

 17:00試合開始。
 対抗戦では、新日本、TNAのリングアナがそれぞれ自軍の選手をコール。


1.
●ミラノコレクションA.T.    クリスチャン・ケイジ
 稔          P AJスタイルズ○
 プリンス・デヴィット     ピーティー・ウィリアムス

 新日本軍はミラノの曲で入場。
 いつの間にか稔より格上の扱い。驚いた。
 スピーディーな目まぐるしい攻防。
 名前も知らない技の連発。
 TNA軍はクリスチャンが大将であろうが、フィニッシュをパートナーに任せ、太っ腹な所を見せた。


2.{IWGP Jr.}
○井上亘 P クリストファー・ダニエルズ●
 
 タイトルマッチにして、ビッグ・マッチの第2試合。
 対抗戦の中の1試合、でもある。
 優れた技量を持ち、互いを知り合った2人。
 そのタイトルマッチなら、もう少し長く、こってりとした闘いが見たかった。
 という気もするが、第2試合としてはこれでよかった、かもしれない。
 井上亘が勝って王座防衛。
 IWGP実行委員会を代表して、認定書を読み上げたのは垣原。

3.
○中西学 P アビス●
 
 アビスはでかい。
 初登場のでかい外人。
 と闘うのは、中西でなければ。
 と言って、いいのだろうか。
 ボブ・サップ戦は、面白かった。
 が、ジャイアント・バーナードとの初戦は、イマイチ。
 今日はその中間ぐらいか?
 花道に画鋲を撒くアビス。
 でもそこにバンプしたのもアビス。
 手の平に画鋲が刺さった。
 血で真っ赤になったその手で、チョーク・スラムをしたのは、立派。
 手首をテーピングせずにこういうハードコアなファイトをするのは、命知らずではある。
 フィニッシュは「大☆中西ジャーマン」とのことだが、よくわからず。
 1発目のジャーマンはロープの反動を利用。
 これがそれならわかるが、実際のフィニッシュとなった2発目は、普通の感じだった。


4.
飯塚高史 金本浩二 タイガーマスク ●田口隆祐 P 田中将斗 高岩竜一 吉江豊○ 竹村豪氏

 まず「無我」改め「ドラディション」の吉江、竹村が入場。
 次いで「ZERO1-MAX」の田中、高岩。
 新日本は4人いっしょに。
 ドラディションとZERO1が組む理由は、(多分)ドラディション側とZERO1側にはなく、(恐らく)新日側のマッチメイクの都合だと思うのだが、それを棚に上げて
「オマエら徒党を組まねーと新日本とやれねーのか」
などと、飯塚あたりに(金本ではなく)言ってほしい(俺が知らないだけで言ってるかもしれないが)。
 それでこそメジャー団体であろう。
 試合は悪くなかったけれど、大会のコンセプトを考えると、日本の他団体の選手を呼ぶぐらいなら、TNAからもっと呼べなかったのか、と思う。


5.{ハードコアマッチ}
●真壁刀義 矢野通 P “Team3D”ブラザー・レイ ブラザー・ディーボン○

 去年、真壁はがんばった。
 それは認めざるを得ない。
 がっちりした体、ふてぶてしい顔としゃべり、パワフルなファイト。
 棚橋、中邑に後藤で「真闘魂三銃士」とのことだが、真壁を加えて「四天王」でもいい、と思った。
 しかし、時として、例えばレジェンド軍との試合などで、いかにも中堅らしい、かませ犬的なファイトをする。
 2人で1人にやられるような。
 今日もそんな感じだった。
 最後はピンフォールも取られてしまった。
 新日も昔と違い、そんなに人材が豊富なわけではないだろう。
 もっと大事に、トップとして扱ってもいいのではないか。
 あと、そのヒール像が古めかしいのも気になる。
 蝶野の作り出したヒール像は、新しくてスマートだった。
 しゃべりも虚実が入り混じった感じで新鮮だったが、真壁はやはり古臭い。
 チーム3D(旧名ダッドリー・ボーイズ)はいつもながらのファイトで、いい試合ではあった。


6.
 藤波辰爾        邪道
○長州力         外道
 蝶野正洋      P TARU
 獣神サンダー・ライガー   近藤修司
 AKIRA         “brother”YASSHI●

 レジェンド達の顔見世試合。
 遂に、藤波まで参加!
って、皆、喜んでいるのだろうか?
 第4試合にはまだ勝敗への興味があったけれど、こちらにはそれもない。
 なくていい、とは言わないが、これらを第1、2試合にして、対抗戦は固めたほうがよかったのでは。
 入場・コールの順番では藤波に最後を譲った長州が、フィニッシュは取って大団円。

 19時を挟んで20分の休憩。


7.
○グレート・ムタ P 後藤洋央紀●

 昨年、体を大きくして、変貌を遂げて海外修行から帰国した後藤。
 中邑と違って、試合もしていた(メキシコで)。
 そのせいもあってか快進撃。
 大流血戦の末、天山を撃破。
 IWGP挑戦、敗れたものの棚橋と名勝負。
 期待の星が、久々に新日登場のムタと対戦。
 シャイニング・ウィザード2連発でもフォールを返す。
 ムタも切り札、ムーンサルト・プレスを出さざるを得なかった。
 それだけ善戦、健闘。
 とは言えようが、正直、予想を超えるほどのものではなかった。
 サプライズ、はなかった。
 とは厳しい言い方かもしれないが、期待しているからこそである。


8.{IWGPタッグ}
○ジャイアント・バーナード トラヴィス・トムコ P リック・スタイナー● スコット・スタイナー

 バーナード組と対峙すると、スタイナー兄弟はかなり小さい。
 昔は、馳健あたりとやっていたから感じなかったのか。
 対抗戦の形式だから、バーナード組に声援が集まるけれど、本来ならばスタイナー兄弟がベビー・フェイスで、バーナード組をヒールとする方が、盛り上がる組み合わせではあろう。
 途中、立会人のTNA代表ジェフ・ジャレットのギター攻撃(日本製なのかいつもより堅そうであった)もあったし、スコットのフランケンシュタイナー(カウンター式でなくコーナーからの雪崩式であったが)も久々に見られてよかった。
 バーナード組が勝って王座防衛。


9.{IWGP 3rdベルト争奪試合}
○カート・アングル P 永田裕志●

 対抗戦のファイナル・マッチ。
 防衛戦をドタキャンし、王座を剥奪されたブロック・レスナーが「持ち逃げ」したIWGPベルトは、猪木の新団体IGFのリングでカート・アングルへと移動し、そして新日本に帰って来た。
 「タイトルマッチ」ではなく、「ベルト争奪試合」として行われた一戦(しかしその違いを説明するのはなかなか難しそうではないか?)。
 昨年タッグを組み、互いに認め合う2人は、一進一退の攻防を見せる。
 しかし最後はファンの声援も空しく、アンクル・ロックでタップ・アウト。
 アングルとさわやかに握手し健闘を称え合う永田。
 悔しがらなくていいのだろうか。
 エルボーの打ち合いの際、アングルがアッパーのエルボー・スマッシュを放つのは、ドリー・ファンクJr.仕込みであろう。
 後ろの席の人が、アングル・スラム(オリンピック・スラム)のことを、ずーっと「オリンピック予選スラム」と言っているのが面白かった。

※やぼながら説明。
 NOAHの杉浦は同じ技を使うのだが、アングルが金メダリストなのに対し、自分はオリンピックに出ていないので、遠慮して「オリンピック予選スラム」と言っているのである。


10.{IWGPヘビー}
●棚橋弘至 P 中邑真輔○

 ここまで各試合とも長からず短からず、テンポよく進行し、盛り上がって迎えた東京ドームのメインイベント。
 カードは新日を背負う若手2人の純血対決。
 珍しく棚橋が攻める展開。
 まだ完治しない左肩を攻められ悶絶する中邑。
 しかし、中邑が攻められる展開は珍しくない。
 いつものペースで闘ったせいか?中邑が最後はランドスライドの連発でピン。
 ハードルの上がった状況で客を沸かし、内容も伴った試合で棚橋からIWGP王座を奪取した。
 余韻に浸る間もなく、IWGP 3rdベルトを抱えたアングル登場。
 統一戦を叫ぶ中邑。
 英語で反論するアングル。
 若い日本女性の通訳が、その言葉を語感まで忠実に訳す。
 つまり、女性通訳が中邑に罵声を浴びせる。
 …この人何者?
 恐るべしTNA、こんな人材を発掘・登用していたとは!
 今後の展開にますます目が離せなくなって来た…
 リング上がこんなになっている間に、前チャンピオン・棚橋はひっそりと、セコンドの肩を借りて控え室へと向かっていた…
 思えば中邑がアメリカへ行って、試合もせずに練習だけしていたときも、怪我をして休んでいたときも、棚橋は新日本のリングで闘い続け、先頭に立ってリングを守っていたのである。
 それを思うと、その姿はあまりにかわいそうであった。
 しかし、めげない男であるから、またトップを目指して闘うことであろう。
 IWGP実行委員会を代表して、認定書を読み上げたのは山本小鉄であった。


 正直言うと、無理して東京ドームでやらなくてもいいのでは、と思っていたが、客もまあまあ入ったし、試合内容も全体的によかったので、やってよかったと思う。
 メインが終った時間は見なかったが、ドームを出て水道橋駅に着いたのは21時半ぐらいであった。
 17時開始だから興行として短くはないが、テンポよく進行したので、長くは感じなかった。

 写真は、水道橋駅から東京ドーム方面へ渡る陸橋。