世田谷花みず木女流オープン戦 あれこれ
於 世田谷区 玉川高島屋S・C 08.4.29(火・祝)


写真・トップは、対局者の紹介の様子。
左から、山口女流2級・加藤奨励会員・中村(桃)女流2級・飯野育成会員。
写真・左は、準決勝解説者の鈴木八段と、聞き手の熊倉女流1級。

 4月29日は「昭和の日」。
 昭和天皇ご生誕の記念日である。
 先帝陛下の相撲ご愛好は有名であったが、実は将棋もお好きであった。
 加藤治郎名誉九段は、陛下と秩父宮殿下に対局していただき、「将棋世界」への掲載を企画した(旺文社文庫「昭和のコマおと」より)。
 もっとも、残念ながら実現しなかった。
 今上陛下もお強いそうであるが、現在はそうした企画など望むべくもないであろう。

 今年、世田谷区の「二子玉川花みず木フェスティバル」のイベントとして、玉川高島屋にて「世田谷花みず木女流オープン戦」が行われた。
 最もキャリアの浅い新進の女流棋士2名に、世田谷区在住の奨励会員、女流育成会員各1名による1dayトーナメント。
 うち2人は平成生まれのフレッシュさ。
 昭和は遠くなりにけりである。

 予選開始は11時であったが、デパートの開店する10時を目指した。
 JR渋谷駅から、東急田園都市線に乗り換えは少し歩く。
 地下鉄半蔵門線とつながっており、そちらの表示を目印に歩いた方がわかりやすい。
 ずっと地下を走る電車が、やっと地上に出た所が、二子玉川駅であった。
 下車し、西口へ出る。
 右へ少し進み、横断歩道を渡ると、すぐ玉川高島屋の南館である。
 計ったように10時少し前に着いた。
 ロビーで開店を待つ客は、お上品な奥様方と、むくつけき野郎どもに二分されていた。
 シャッターが上がると、10数人程の後者の集団は、わき目も振らずに6階まで上がって行く。
 「ホワイトモール」という、ちょっとした広場が会場である。
 畳敷きの壇上が対局席。
 客席から見てその右に、解説用の大盤。
 客席、対局席に向かって左側には、パイプ椅子が横に3つ並んだ列が7列。
 右側は、横にパイプ椅子が9つ並んだ列と、それと同じ横幅の、1本の木材でできた大きなベンチが、各3列、交互に並ぶ。
 もっとも最前列のベンチは、余りに大盤に近すぎて、誰も座らなかった。
 残りのベンチも、パイプ椅子9つと同じ横幅を取りながら、しきりがないため見ると1つに5人ぐらいしか座っていなかった。
 よって5人×2列とすると10人、椅子は9人×3列=27人。
 左側の椅子席は3人×7列=21人。
 その後ろに大きなソファが何故かあり、そこに3人程座ったようで、全部でざっと61人。
 立ち見もいたので、客の総数は70〜80人ぐらいか?


写真は、決勝解説者の島九段。

       対局席    大 盤
                               待機スペース
司会席        ベ     ン     チ
     イスイスイス イスイスイスイスイスイスイスイスイス  通
     イスイスイス
     イスイスイス  ベ     ン     チ
     イスイスイス イスイスイスイスイスイスイスイスイス
     イスイスイス
     イスイスイス  ベ     ン     チ   路
     イスイスイス イスイスイスイスイスイスイスイスイス
      ソファ

 

写真は、表彰式で花束を受け取る加藤奨励会員。

 開始まで1時間余り、トイレに行ったり座って本を読んでいる内に、段々席が埋まっていった。
 11時少し前、司会の山田久美女流三段が現れる。
 注意事項やスケジュール等の説明を始める。
 会場の周り四方は通路になっているが、右側の通路を渡った向こうに、ちょっと引っ込んで奥まったスペースがあってソファが置かれており、そこが一時的な待機場所のようになっていて、出演者が座って仲良く話をしているようだった。
 時間が来て、対局者4名、そして解説・聞き手の先生方が呼び込まれた。
 各人の紹介があって、全員一旦引っ込み、対局の準備が行われる。
 記録は奨励会の西村尚通1級、棋譜読み上げは荒木宣貴三段。

 準決勝第1局、山口恵梨子女流2級、加藤桃子奨励会員が再び登場。
 山口女流2級は女子高校生とのことで、制服に白いカーディガンを着て、三井のリハウスガール(という名称でよかったであろうか)のようなかわいらしさ。
 加藤奨励会員は小学生の時、女流プロに勝って名をはせたが、今は中学生の由。
 こちらも学校のブレザー姿だったが、童顔なのでまだ小学生と言われてもわからないかもしれない。
 山田女流三段による簡単なインタビューの後、対局席に登壇。
 山口女流2級が駒袋から駒を空け、並べ始める。
 先後は振り駒をこの場で行う。
 と金が多く、加藤先手に。
 すぐ横の大盤で、解説は鈴木大介八段、聞き手は熊倉紫野女流1級。
 持ち時間が短いため、1時間もかからず終局、大盤の所で簡単な感想戦。
 (将棋の内容は別頁で。以下の対局も同じ。)

 15分の休憩が入り、12:10再開。
 準決勝第2局。
 中村桃子女流2級は、一見マタニティのようなゆったりした、ふわっとした柔らかそうな生地のグレーのワンピース。
 対して飯野愛女流育成会員は、ぴっちりした白のスーツ。
 第1局と比べると、ぐっと大人の女性っぽい装い。
 といっても、2人とも二十歳そこそこの若さなのであるが。
 解説、聞き手は第1局と同じ。
 13時ぐらいに終ったのだが、2時間ほど休憩になる。
 食事の他は5階の本屋をのぞいて過ごす。

 14:50、近くの小学校で行われていた、花みず木小学生・中学生竜王戦の表彰式が行われた。
 こちらの審判をしていた島朗九段が、決勝の解説を務める。
 決勝の両対局者が、あでやかな振袖姿で通路脇の待機スペースに現れると、時ならぬ撮影会のようになる。
 特に飯野育成会員は、素人のカメラにも顔を向けてスマイルしてくれ、とても感じがよかった。
 15:10、決勝の対局が始まる。
 飯野育成会員が上手の扱いであった。
 16時前には終局、優勝者の表彰式があり、最後に日本将棋連盟常務理事の桜井昇八段が登壇して挨拶。
 散会となったが、飯野一家(愛さんとお父さんの飯野健二七段、お母さん)の3ショットの撮影をお願いするファンがいて、飯野七段も驚いていたが、応じてくれた。

 女流らしい華やかなイベントで、限られた人達だけが楽しんだことが、もったいない気がした。
 特に早く行ったお陰で、一番前で見ることができたので、ぜいたくな時間を過ごすことができ、大変満足した。



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