1990.5.18 FMW 白石市民会館

1.○里美和 P 前泊美香●
2.○マスカリータ・サクラダ P エスペクトリート●
  −入場式−
3.○李王杓(リーワンピョウ) P ザ・シューターT●
4.○天田麗文 豊田記代 P 松田久美子 森松由紀●
5.○マグニフィセント・ミミ P 工藤めぐみ●
6.○李玉秀(リーガクスー) KO ザ・シューターU●
7.○ターザン後藤 P 上野幸秀●
8.○大仁田厚 P サンボ浅子●
9.○リッキー・フジ 栗栖正伸 P ワイルド・ブルマン ザ・ウィザード●

 会場は狭く、その上7分ぐらいの入りで数百人の観客だった。が、それはいいのだが暗くて目が疲れた。やっている方も大変だったと思う。あれほど近くから見ながら顔もよく見えなかった。

 リングは固いのか、ものすごい音がする。女子も上がるリングで固いのならば、すごいことだ。最初が女子プロレスでいかにも痛そうだった。小さい所でやってばかりいるだけあって、客の扱い(やじに対する反応など)がうまい。ただファイトはへただった。

 次は小人だった。小人でも大きさがかなり違っていた。が、小さいサクラダが勝った。
 
 3試合目は韓国のリーワンピョウが出た。実にでかいと思ったが、それまでが小さすぎたのだ。テコンドーの技はほとんど出さず、タイツもファイトもレスラーだ。シューターはTもUも小さいので強くない。Tはいいキックを見せたが負けた。

 女子プロタッグは力の差がありありで、盛り上がらなかった。場外乱闘があったが、以下の試合でも向こうの方に行ってやるのでよく見えない。こちらには老人が多かったせいか。だからその度に、中に入ってやれと思った。

 次の試合も女子プロだったが、初めに書いた通りで顔がよく見えず残念だった。ミミのパイルドライバーは珍しい形ですごかった。パワーボムのように頭を脚で挟まずに持ち上げ、落とすときやっと脚の間に急に挟むのである。場外乱闘もあったが見えなかった。フライング・ボディ・アタックから原爆固めで決まった。

 燃えよドラゴンのテーマとともに、リーガクスーが入場。声援がすごい。リーははっきり言って大変小さい。が、強かった。奇声とともに振り下ろすかかと蹴り、シューターUは何度もダウンし、声援を浴びてようやく立ち上がる、その繰り返し。何とか2ラウンドまでもったが最後は低くかがんだ頭にキックを浴びて10カウントを大の字で聞いた。

 上野は小さく、後藤の相手ではない。イスで殴られ流血。初めてこちらに乱闘が来た。ほとんどグロッギーなのを何度も引きずり起こす。見かねて大仁田がエプロンに上がったが、すぐ引っ込んだ。結局その後すぐピンされた。

 大仁田と浅子。浅子は頭に包帯を巻いていてすごく太っている。投げから押さえ込み、腕を取る。大仁田にはり返す。が、場外乱闘で大仁田にさんざんやられた。柔道着をはだけた胸にチョップ。包帯をとった頭に頭突き。大仁田はラリアートを出すと自分も勢いで飛んでしまう。浅子はやられる度に声を上げるだけでやり返せない。DDT2連発で結局ピンされた。
 試合後、浅子は「後楽園で栗栖とやらせてください」と頼み込む。手を振る大仁田。場内は浅子コール。認めてやれと叫ぶ声。大仁田は何度もリングを下りかける。が、下りられない。土下座する浅子。大仁田は叫ぶ客の方を向いて
「浅子の気持ちも、お客さんの気持ちもよくわかる。しかしプロレスには順序というものがある」
 そう言った後、やや涙ぐみながら
「確かに義理人情が大事なことはよくわかる。最近は義理人情がどこでもなくなってきている…」
 その後のことばはよくわからない。感極まった大仁田に館内も盛り上がる。
「また白石に来いよ」「金がなくたってプロレスはできる(メガネスーパーに負けるな、の意)」等々の叫びが上がる。結局、浅子の直訴がどうなったのか(少なくともわたしには)わからぬまま、それでも感動のうちに2人は退場した。

 メイン。ブルマンは背が高くないが太っている。ウィザードはやや背が低くやややせている。赤いマスクの後ろからブロンドの毛がやや見える。ブルマンは牛のようなモーという叫びを上げ、場内を歩き回る。「うし」と声援が飛ぶ。試合はそれほど面白くない。技もあまり出ず、殴ったり蹴ったりするだけで、あっさり首固めで決まってしまった。試合後の乱闘もちょっぴりだけで、あっさり引き上げてしまった。1日の興行の終わりとしては、まことに散漫な印象。なぜ大仁田の試合をメインにしなかったのだろうか。

 全体の印象を言えば、やはり人材難。思ったより試合数は多かったものの、全日や新日に比べれば前座並みでしかない。もっともこの日はカードが悪かったせいもあろう。
 帰るとき出口にミミがいて握手してもらった。それであっさりいい気分になった。が、それがなかったら不満のうちに客のいない汽車に揺られて仙台へ帰ることになっていたであろう。
 おわり

※Pはピンフォール、ギブアップ