06.8.29-30 熊本城


写真トップは左右とも大小天守。
写真左は重文の平櫓群。

 熊本空港から熊本市内へは、バスで1時間ほどかかる。
 だから東京から行く場合は、福岡空港で降りて博多からJRの特急で熊本入りしても、意外と時間は変わらない。
 もっとも熊本城は、市役所もそばにあるから市の中心なのであろうが、JRの駅だと熊本駅も上熊本駅も近くはない。
 どちらの駅からも市電(路面電車)に少し乗る。

 今回は博多で遊ぶ時間もないので、熊本行きの飛行機に乗った。
 空港から熊本駅前行きのバスに乗り、交通センターというところで降りた。
 そこから少し北に歩くと川がある。
 橋のたもとにとんがり兜の加藤清正公の像がある。
 向こう岸は、川に沿って石垣がずっと右手に伸び、その上に古びた長塀が立っている。
 とにかく長い。
 この長塀は国指定重要文化財だという。
 橋を渡ると、坂になる。
 「行幸坂(みゆきざか)」といい、明治天皇の行幸時に新設の由。
 左手は駐車場、右手は堀を見ながら、坂を上る。
 堀の向こうに、石垣や櫓。
 右手(東)は城の中心部である。
 この日はこちらには行かず、左に曲がる。

 あちこちのお城に行っているが、かつての城域が多く保存されているところは少ない。
 大垣城のように、街中にほとんど天守だけがあるようなところもある
(それはそれで面白いが)。
 遺構がなくても、公園にでもなっていれば、かつてのお城の広がりが感じられて、うれしいものである。

 二の丸跡の脇の道を、延々と歩く。
 木々が茂り、駐車場があり、ぽつぽつ建物がある。
 言ってみれば何もないところなのだが、これも城跡と思えば楽しいものである。
 ところどころ石垣もある。
 城跡、と言えそうな緑地帯(山)の西のはずれは、野球場である。
 この日はここで野球を見るのが目的であった。
 便の悪いところだが、久しぶりのプロ公式戦に、大勢のお客さんが集まった。
 ナイターだったが、初めて訪れた九州の夏は暑かった。
 帰りは狭い道が車でいっぱいになり、タクシーを拾えるような状況ではなかった。
 当然歩くのだが、行きとは違って、城域の北縁をなぞる形で歩いた。
 まだまだ暑いし、長い道のりではあったが、石垣もあり夜道はなかなか風情があった。
 結果的に、この日城域の周りをほとんど一周したことになる。
 長塀の左端を見ながら越えた坪井川を、今度は長塀の右端を見ながら渡った。
 ちょうど長塀の分だけ一周に足りないわけである。
 川を渡ると市役所もあり、ホテルもすぐ近くであった。

写真は復元中の本丸御殿。

 翌日は朝から本格的にお城の見学である。
 あいにく小雨のぱらつく天気であったが、かんかん照りよりはよかったか。
 昨夜渡ったうまや橋を越え、もっとも近い須土口門から有料区域に入る。
 大人500円である。
 城内は広大で、多くの郭が複雑に配置され、高低差が大きく、見事な高石垣が見られる。
 入ってすぐ、見上げる高石垣の上に連なる平櫓群は、古来より残るもので重要文化財である。
 道を上っていけば、その裏側を間近から見ることができる。
 更に進むと、本丸御殿が、来年の築城400年に向けて復元中であった。
 かなり出来上がっている印象であった。
 本丸は南に御殿、西に大小天守が連なって聳える。
 手前南側が大天守、奥北側が小天守。
 西南戦争で焼け落ちたので、昭和の復元である。
 本丸の西隣、平左衛門丸の北西隅には、宇土櫓がある。
 これは復元ではなく重要文化財。
 小西行長の築いた宇土城天守の移築とも言われる。
 ちょっと離れるが、更に南、昨日歩いた行幸坂沿いの堀に望んで立つ飯田丸五階櫓(最近の復元)も、小城ならば立派に天守が務まる櫓である。

写真は宇土櫓(重文)。

 平左衛門丸から西に頬当御門を抜けると有料区域は終るが、その外にも南大手門や西大手門、櫓があって楽しめる。
 南にまっすぐ下ると、行幸坂。
 西大手門を出て西に進むと二の丸広場であり、更にその先には三の丸広場、藤崎台球場がある。
 見所はまだまだあったが、昨日より歩き詰めで些か疲労したので、行幸坂を下って帰路に着いた。
 バスで空港に直行したので、とうとう熊本駅前には行かず終いであった。

 飯田丸五階櫓もそうだが、最近の復元は鉄筋コンクリートではなく、古来の技法に基づく木造建築である。
 それだけに金もかかるそうだが。
 熊本城本丸御殿は規模も大きく、大いに期待できる。
 いつの日かまた行って見てみたい、と思う。


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