第53回天童桜まつり 人間将棋
船戸陽子女流二段−島井咲緒里女流初段
2008.4.19(土) 於 天童市民文化会館 (2)


写真トップ・左は、東軍(先手・島井軍)の駒武者達。
写真トップ・右は、西軍(後手・船戸軍)の駒武者達。
写真左は、島井咲緒里女流初段、船戸陽子女流二段、片上大輔五段(左から)。


先手:島井咲緒里女流初段
後手:船戸陽子女流二段

大盤解説:片上大輔五段
聞き手:日本将棋連盟天童支部の山口さん

1▲7六歩
2△3四歩
3▲6六歩
4△6二銀 片上「島井女流初段は、昨年独立
          した日本女子プロ将棋協会の所属。
          棋士毎にパーソナル・カラーがあって、
          島井さんは青。(青具足の)東軍に
          ぴったり。また青は知性を表します」
5▲6八飛
6△4二玉
7▲4八玉
8△3二玉 片上「船戸女流二段はワインが好き。
          ソムリエの資格を持つ。
          (西軍の)赤にぴったり。
          情熱の赤か、ワインの赤か」
      船戸「ガンダムの赤ザクも好き」
9▲3八玉
10△5二金右
11▲2八玉
12△8四歩
13▲7八銀
14△6四歩 片上「おーっとっと。
          将棋は歩が伸びると戦争になる」
15▲6七銀
16△6三銀
17▲1八香
18△3三角 片上「角は移動距離が長いから 
          (駒になっている人は)大変そう」
19▲1九玉
20△2二玉 片上「お2人には共通点がある。
          お2人ともコスプレが好き。
          今日を楽しみにされていた」
       聞き手「好みのコスプレは」
       島井「NHKで1度ナースをさせて
          頂いた。楽しかった。今日
          (の武者姿)も気合が入る」
       船戸「(武者姿は)気分が高揚して
          くる。明日から周りの人に、
          お屋形様と呼ばせたい」
21▲2八銀
22△1二香 片上「相穴熊になりました。
          島井さんは穴熊が得意」
       島井「穴熊しかできないんです」
       片上「1dayトーナメントでも穴熊を
           使って3、4回優勝しています」
23▲5六銀
24△5四銀
25▲3九金
26△1一玉 片上「初めて見たんですが(駒の人の)
          移動が大変そうですね」
       船戸「今度動く駒の係もやってみたい」
       聞き手「将棋を知らない人でも、
           黒子が誘導しますので、
           ふるってご参加ください」
27▲5八金
28△2二銀
29▲4六歩
30△3一金
31▲3六歩 片上「好きな駒は?」
       船戸「桂馬。兄弟子の中原先生も
          桂馬が好き」
       片上「十六世名人は、実際に統計を
          とったら(桂馬を動かす数が)
          本当に多いらしい。数えた人は
          大変だったでしょうが」
       島井「飛車」
       片上「移動距離の長い駒ですね」
       島井「(駒の人を)酷使しちゃいます」
       片上「大山十五世名人は金と答えていた。
          いかにもって感じですよね。
          自分は桂馬ですね」
       船戸「奥様(北尾まどか女流初段)は?
          角じゃないですかね?」
32△6二飛
33▲7七角
34△9四歩
35▲1六歩
36△1四歩
37▲9六歩
38△7四歩
39▲4七金 船戸「(持ち時間のある)公式戦
          だったら30分ぐらい悩みたい」
40△7三桂
41▲9八香
42△9二香 (※この手は聞き逃されたらしく、
        解説の大盤で動かされなかった。
        人間将棋でも動かなかったようだ。)

       片上「(全ての駒を動かすために)
          プロ的に見ると気になるのは
          5筋の歩。今は動けない」
       聞き手「自然に全部の駒を動かす
           のは難しい。何年か前に、
           ▲8七歩が動いてないので、
           中井女流六段が△8六歩と
           突き捨てたら、渡辺竜王が
           『そんな手はありません』」
       片上「厳しいですね。わたしなら
           もっと甘いですから大丈夫」
43▲8六歩
44△4二金寄 片上「ほとんど同じ陣形。4筋の金、
           島井さんが1つ前に出ている。
           島井さんは攻め将棋、船戸さんは
           受け将棋。(棋風は)実際の性格
           とは合わないことが多いが。
        船戸「敵は今、▲4五銀出るかどうか
           悩んでいるんですよ」
        島井「何と…ばればれですね。
           何でしたっけ…『サトラレ』?
           今本当に悩んでいたんで
           ドキッとしました」
        船戸「(銀が)出て(銀交換後)、
           ▲5一銀と打ちたいんでしょ?」
        島井「うーん」
        片上「僕は公式戦は長考派だが、席上
            対局は早指し。思いついた手を指す。
            まじめな人は普段と変わらない」
        島井「まじめなんで」
        片上「知性の青ですから」
45▲8八角
46△6一飛 島井「そろそろ何か行きたくなって
          きました」
       片上「島井さんは普段はおとなしい方なん
           です。将棋だと攻め将棋。逆もある。
           え、この人が受け将棋?というような」
47▲7五歩 船戸「いよいよ来ましたね」
48△8五歩 片上「僕なら(▲7五歩)取っちゃう」
       船戸「本当ですね。何で取んなかったんだろ」
       島井「(8五歩か7四歩)どっちを取るか」
       船戸「どっちも取んなくていいですよ」
       片上「どっちも取らない手もあるかー。
           もっと激しく」
       船戸、島井「もっと激しくー?」
       片上「自信の程は」
       船戸「(7五歩)取る手だったと後悔してます」
       島井「本心ですか?」
       聞き手「(8五歩か7四歩)どっちも
            取らない手はどんな手か」
       片上「▲3五歩、▲6五歩」
       聞き手「激しい方が見てる方は面白いですね」
       片上「これぐらいむちゃくちゃやってくれると」
        :
       聞き手「(駒のなり手について)応募者
            が多いと、歩で対応する。(歩を)
            取って打つ時に違う人が出てくる」

写真は、武者姿も凛々しい船戸女流二段。


49▲7四歩
50△8六歩 片上「(島井女流初段は)考えますねー。
          勝ちたいんですね」
       船戸「前回ひどい負け方をしたので
          是が非でも勝ちたい」
       (※対局前の挨拶で「8年前、姉弟子の
        清水市代に矢倉でぼこぼこにされた」
        と語っていた。)
51▲6五歩 片上「自信なさそうですね。でも
          プロ的に見て、一目いい手」
52△8八角成 片上「角の方、大移動です」
53▲同飛
54△6五銀
55▲7三歩成 片上「(駒が成って)昇格です。
           おめでとうございます」
56△5六銀
57▲同歩  片上「動いていない駒は、
           東軍(先手)3枚、
           西軍(後手)5枚」
        (※後手、実際は4枚か)
        船戸「プレッシャーですね」
58△8七歩成
59▲同飛 片上「駒台は舞台の奥。大分
         駒が溜まってきました」
60△6九角 片上「今日は高校生の方が駒をして
          るんですよ。地元の方ですか」
       聞き手「明日は一般、外国からも」
       片上「会場にも(過去に)駒をやった
          方いますか…何人かいますね。
          島井さんは盤上没我。
          船戸さんは見てると余裕が。
          やはり2回目だから?」
       船戸「集中力がないんです」
61▲7二と 片上「形勢はいかがですか?」
       島井「駒は得をしたんですが。
          早く飛車を成りたいんですが、
          なかなか成らしてくれない」
       船戸「うーん、どこに飛車を逃げるか
          悩ましいですね。
          うーん、じゃあ、△6三飛」
62△6三飛 船戸「4一か6三か、逃げずに飛車
          取るか(を悩んだ)」
63▲7四角 片上「やっぱり攻めでしょう。
          受ける人は飛車逃げる」
64△9三飛 片上「(受け将棋の)船戸さんは
          我慢している」
65▲7七飛
66△7六歩
67▲9七飛
68△9五歩 片上「なかなかの手ですね」
       船戸「▲8五桂と打ってきそうなので」
69▲6二と 片上「この人は一体何回動いたんで
          しょうか(※元は7六歩)」
70△9六歩
71▲5七飛
72△6六銀 片上「これ、飛車頂きなんですよ多分」
       島井「飛車の次に好きなと金に
          がんばってもらいます」
73▲5二と
74△3二金寄
75▲4一と  船戸「しつこいですね」
        島井「ストーキングします」
76△5七銀成 島井「好きな飛車ちゃんが…」
77▲同金
78△8七飛 聞き手「時間が押してるということで
            これから30秒の秒読みで」
79▲3一と
80△同金
81▲5八銀
82△8九飛成 片上「お、何かうまい手ですね。
            形勢いかがですか?
         船戸「まずいです」
83▲2六桂 片上「攻めますねー、しかし」
84△5八角成
85▲同金 船戸「盤上、3一とが消えてますよ」
       (※人間将棋で手が抜けていることを指摘)
       片上「さすが、気配りが」
86△2五銀 片上「いい手ですね。形勢はいい勝負。
          島井さん、どんどん口数が
          少なくなってますね」
87▲3八金打 片上「おー」
         船戸「勝ちに来ましたよ」
88△9八竜 片上「最初は先手が駒得でしたが、
           同じくらいになってますね。
           同じくらい寝返ってますね」
89▲6八歩 片上「固いですねー」 
        船戸「固いですね。気が遠くなりますね。
           じゃあ、地道に」
90△7七歩成
91▲5二角成
92△6八と
93▲4七金左
94△5四歩 船戸「この歩動いてなかったんで。
          島井さんが▲4三馬とやりたかったんで」
       片上「▲4三馬に△5四歩も面白かったですね」
95▲4二銀 片上「相当むきになって勝ちに行ってますね」
       島井「そんなことないですよ」
96△同金
97▲同馬
98△3一銀打
99▲4一馬
100△4四歩 島井「飛車がすごい受けに利いて…うー」
        片上「姫、起きてますか?」
101▲7五角 船戸(秒を読まれて)「やばいやばい」
102△5九と 船戸「これは明らかに焦った手です」
103▲6四角 片上「そっち!」
        船戸「飛車取ってよ」
104△4二香
105▲6三歩 片上「ほんとにしかし負けたくないみたい」
        島井「と金づくりが体に染み付いてる」
106△1五歩 片上「敵は本能寺にあり、という手。
           あっちからと見せかけてこっち
           から。結構焦りますよ」
107▲6二歩成 島井「あー間に合わないですかねー」
108△1六歩
109▲1四歩 船戸「(人間将棋の)大盤の方、△3一銀
           が抜けてますよ。もしもーし、
           そこに打った銀がいます」
110△1七桂
111▲5二と
112△4九と 片上「お、捨て駒ですね。
          大活躍のと金なんですが、我が
          軍のために犠牲になってくれ、
          って感じですね。面白い勝負に
          なってきましたね」
113▲同金
114△2九桂成 片上「奇襲成功しているかどうか。
             きわどいですね、これは」
115▲同玉  片上「ちょっと前は固かったのに、
           先に王手がかかるとは。
           △1五歩がいい手でした」
116△1七桂 片上「王手王手です」
117▲同香  船戸「▲3九玉だと思ってました。
           全然読んでなかった」
118△同歩成 島井「玉逃げたら△6三飛車かと」
119▲同銀
120△1五香
121▲2八銀
122△1七歩 片上「さあ誰が行くんでしょうか。
          (駒台に歩の人が)5人います」
123▲4二と 船戸「(と金攻めが)間に合っちゃう
           んですかね。まずいですね」
124△1八歩成
125▲3九玉 片上「狭いですよ、この王様」
126△2八と
127▲同玉  船戸「玉!想定外です」
128△4二銀
129▲同角成
130△2六銀 島井「お、これは、我が軍は全部
           動いたのではないか」
131▲同歩  島井(※後手が桂を取ってくれた
           お陰で全駒動かすことができ)
           「ありがとうございました」
132△1四香 片上「何か盤面、大分少なくなって
           来ました。サバイバルゲーム
           みたくなってきました」
133▲1六歩
134△同香
135▲1五桂 片上「なるほど」
        船戸「かっこいー」
        片上「(歩でないのは)攻めも
           見せているのですね」

写真は、やはりお姫様の方が似合いそうな島井女流初段。


136△同香
137▲同馬
138△2四銀 片上「島井軍、安全になりましたからね
           これは攻めますよ」
139▲1三歩 片上「詰めよですね」
        船戸「めちゃめちゃ厳しいですね」
140△同銀上
141▲1四香 片上「読みの入った手ですね」
        船戸「うーん、まあいいや」
142△1五銀
143▲1三香不成 片上「今の気持ちは?」
           島井「え?」
           片上「そんな余裕ない?」
144△1二歩  船戸「(慌てて)自分の(手元の)
            盤面を崩してしまった」
145▲2二銀
146△同玉
147▲3一銀打 船戸「負けましたー」
          島井「ありがとうございましたー」


対局後のインタビューでのコメント。

船戸「固かったですねー。苦労しました。
   お互い持ち味が出て、お楽しみ頂けたのでは」

島井「ほんとにわくわくして楽しかった。
    内容はついつい、いつもの穴熊の習性で。
    目標の全駒動かすのが達成できなかった
    のが残念。またやってみたい」
(※船戸陣の2一の桂と2三の歩が動かずに終った。)

片上「島井さんの負けたくないんだなというのが
    伝わって印象に残った」


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