第66期名人戦7番勝負第4局
▲羽生善治王座王将−△森内俊之名人
大盤解説会 於 朝日新聞読者ホール 2008.5.21(水)


 以下は、佐藤紳哉六段の解説。
 聞き手は熊倉紫野女流1級。

図は56△3五歩と突いた局面。
以下、
▲同歩△3六歩▲同銀△4六飛▲同銀
△同角▲6八金右△3七角成▲4一飛
と進めば先手よいか。
先に△6六歩▲同歩が入っていれば
ここで△6一歩と底歩が打てるが、
△6六歩には▲4五桂。そこで
△6七歩成は▲同金右で大したことない。

57▲同歩 58△6六歩 59▲4五桂

以下△2ニ銀▲2四歩△同歩▲3四歩
△4四歩▲3三桂成△同桂▲2三歩
は先手よし。
△3六歩▲同銀△6七歩成▲同金右△6五桂?

60△4四銀  61▲2四歩  62△4五銀
63▲同歩   64△6七歩成 65▲同金右
66△7五桂  67▲6六金  68△3七角成
69▲4八銀打 70△4六歩  71▲同銀直
72△3八馬  73▲2六飛

(図は73▲2六飛の局面)
△4五金は▲4三歩△同飛▲6四歩
とし、以下
(1)△同銀▲4五銀△同飛▲3六角
(2)△4六金▲6三歩成△同金▲5ニ銀
いずれも後手悪い。

74△6五桂
75▲2三歩成
76△5七桂成
77▲同銀上
78△2五歩
79▲同飛
80△4七馬
81▲2七飛

(図は81▲2七飛の局面)
一旦逃げることで、以下飛車を取り合った
ときに後手の馬の位置を悪くさせている。

82△3六馬
83▲3ニと
84△2七馬
85▲4ニと

以下略、95手で▲羽生王座王将の勝ち。


 昨年は将棋会館と毎日ホールで各2回ずつ、名人戦の解説会を聞いた。
 (別頁「加藤一二三九段ウォッチ・2007年度」をご覧下さい。)
 今期から2社共催となり、朝日でもやるので、そちらに行ってみた。
 地下鉄大江戸線の築地市場駅で下車するとすぐであった。
 毎日ホールは横長であったが、朝日読者ホールは縦長(奥行きがある)。
 席は200弱、毎日より広いか。
 開始の18:00に少し遅れたが、運良く空いていた最前列に座れた。
 インターネット中継をモニターで見ながら解説する。
 中継は客には見えない。
 客は昔ながらの大盤を見る。
 「次の一手」の出題がないので、賞品もない。
 毎日には(少なくとも昨年は)あった。


 以下は、解説陣の印象に残ったやり取り。

佐藤 今期から2日目の夕食休憩が30分になりました。
熊倉 30分でご飯を食べるんですか?
佐藤 ご飯が気になりますか?
熊倉 はい。
 :
佐藤 形勢判断です。
    羽生二冠がいいと思う人。
    (客、挙手)
佐藤 森内名人がいいと思う人。
    (客、挙手)
佐藤 いい勝負ですね。
    熊倉女流がかわいいと思う人。
    (客、挙手)
佐藤 ちらほらですね。
熊倉 ありがとうございます。
 :
佐藤 (83▲3ニと)この手は多分グリグリとやっている。
    (着手後、指をすぐ離さず駒をグリグリと押す。
     勝勢のときの羽生二冠の癖)
熊倉 本人は無意識なんですか。
佐藤 聞いたことがないからわからないが、聞いても
    「勝ちを意識したときにグリグリとやります!」
    とは言わないでしょうね。
 :
佐藤 羽生さんの永世名人に懸ける意気込みはすごい強いなあと感じる。
   …やっぱり、森内名人に先を越されたのが悔しいんじゃないですか。

 最後の発言はニフティで動画が公開されている。
http://video.nifty.com/cs/catalog/video_metadata/catalog_080521089065_1.htm

 なお、質問が意表を突いたため多くが挙手しなかったけれど、熊倉女流1級のかわいさを皆が十分に認識した一日であったろう。


 帰りは、大内延介九段が大盤解説会をやっていたはずの新橋駅に行ってみたが、さすがに終局から時間がたっていた(歩いて15分ぐらいかかった)ため、SL広場にはその痕跡もなかった。
 
 羽生挑戦者の3勝1敗となり、今後は19世永世名人(資格者)誕生を懸けた闘いとなる。
 どこの解説会も大勢の人出となるだろう。


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