世田谷花みず木女流オープン戦 準決勝第1局
山口恵梨子女流2級−加藤桃子奨励会員
於 世田谷区 玉川高島屋S・C 08.4.29(火・祝)


写真・トップは、駒を並べる山口女流2級(左)、加藤奨励会員(右)。
写真・左は、山口女流2級。

先手▲加藤奨励会員 後手△山口女流2級
持ち時間5分、切れたら30秒未満

解説:鈴木大介八段 聞き手:熊倉紫野女流1級

(対局前のコメント)
山口 緊張してます。
    いい将棋が指せればと思います。
加藤 わたしも緊張してます。
    わたしもがんばりたい、と思います。

 以下、断り無きは鈴木八段の解説。
 予想手順は、手で駒の動きを示すことが多かったですが、ここでは符号で書いています。


写真は、感想戦の様子。
聞き手の熊倉女流1級(左)と、山口女流2級(右)。

1▲2六歩
2△3四歩
3▲7六歩
4△5四歩
5▲4八銀
6△5五歩
7▲4六歩
8△5ニ飛
9▲4七銀
10△6ニ玉
11▲3六歩
12△7ニ玉
13▲3七桂
14△3三角 先手、右玉?
        指し手が早いですが、早めに
        5分使い切って、30秒で多く
        指した方が(効率が)いい。
15▲6六歩
16△4四歩
17▲6八銀
18△4ニ銀
19▲6七銀
20△4三銀
21▲5八金左
22△8ニ玉 (先手は)糸谷流。
        弱点は玉飛接近で
        大技をかけられ易い。
23▲4八玉
24△5一角 ほー。凝った指し方。
        狙いは3ニ飛か7三角。
25▲3八金
26△3ニ飛 ▲6六歩を見ての機敏な手。
27▲2九飛
28△3五歩
29▲同歩
30△同飛
31▲3六歩
32△3ニ飛
33▲9六歩
34△7ニ金 ほー、山口さん作戦家ですね。
        ▲9五歩突けば(穴熊に)もぐる。
        バランスのいい手。
35▲7七桂
36△5ニ金 後手、1つは矢倉。本命は穴熊。
37▲9七角 牽制というか嫌味な手。
        後手を動きづらくしている。
        △9四歩が普通。先手は
        ▲5六歩△同歩▲同銀が狙い。
        ここで考えるのはいいこと。
38△5四銀 5五を守って厚くして。
        穏やかなら▲2五歩。大きい手。
        ガツンと行くなら▲5六歩。
39▲8六歩 格調高い手。飛車を回って、
        ▲8四歩から十字飛車なら
        △5四銀を悪手にできる。
40△4三金
41▲8五歩 ほぼ互角の局面。
        先手は研究している。
        後手は面食らっている。
        おすすめは△9ニ香(穴熊)。
        他は△7四歩、7ニ銀、7三銀だが
        飛車回られると間に合わない。
        (ここで△山口、秒読みに。)
        熊倉「山口さんは攻め将棋」
42△4五歩 おー、やはり攻め将棋ですね。
43▲同歩  加藤さんは?
        熊倉「居飛車得意。でも攻め将棋」
44△3三桂 筋のいい手。
        でも▲4四歩が気になる。
45▲4四歩 △4ニ金、と引いてはいけない。
46△同金   すばらしい。
47▲5三角成 馬をつくったからってそんなに
         いいわけではない。ほぼ互角。
48△6ニ角  筋に明るい手。
         (ここで▲ここで加藤も秒読みに。)
         ▲5四馬△同金▲4三銀は、
         激しくなるが手抜かれる。
         たぶん悪手。
49▲5四馬 来ましたね。決戦策。
50△同金  これは反撃が決まるかどうか。
51▲4三銀 一言でいって只事じゃない局面。
        △4六歩打ってから考える。
52△4六歩 なかなか強いですね。
        (後手は)ひねった手があるか。
        加藤さんはないと見ている。
53▲同銀  手があるかどうか。
        ひねれば△2四角。
54△4五歩 これは一歩でもあれば後手勝勢。
        ただその一歩がない。
55▲3五銀 落ち着いてます。
56△3一飛 うーん。強い。
        両者これといって悪手がない。
        熊倉「山口さんは、将棋になるか
           心配、と言っていました」
57▲5四銀成
58△5一飛
59▲4三成銀
60△3五角 これは攻め将棋ですね、ほんと。
        駒割りは先手の金得。
61▲同歩  (先手)歩得も大きい。
        後手は歩を取れる所がない。
62△3六銀 ほー。食いつきの一手。
        △4六歩と伸ばせると味がよい。
63▲4七歩 辛い。でもいい手なのかな?
64△4六歩 これは狙ってんじゃないですか。
65▲同歩
66△4一飛
67▲5四角  (代わりに)▲4ニ金なら
         取って△8六角。
68△3七銀成
69▲同金   ▲同玉は危ない。
70△6ニ桂  これはちょっとしたというか
         かなりうるさい、いい手。
         すばらしい勝負手。


写真は、解説の鈴木八段(左)と、聞き手の熊倉女流1級(右)。

71▲5ニ成銀 加藤さんは、長引けば
         駒得しているだけいい。
72△4六飛  鋭い。攻めにセンスがある。
         代わり、成銀が一路近い。
         (▲4一成銀、と飛車を
          取らせればそっぽに行った)
73▲同金
74△5四桂 最善を指せば先手残せそう。
75▲3六金 △1四角か△4五角か。
        4五の方がいいんじゃないか。
76△4五角 やりましたね。
        終盤力はわたしと同じ。一番
        強気は▲同金△同桂に▲6一銀。
77▲同金
78△同桂  味がいいけど駒損が大きいですね。
79▲5九玉 安全策。
80△5六歩
81▲6一銀
82△6ニ金打 こう打つ一手。容易でない。
         これが後手の勝ち筋。
83▲同成銀
84△同金
85▲4ニ飛  攻防(の一手)ですね。
86△5三銀
87▲4五飛成 これは厳しい。
88△6一金  先手凌ぎ切った感じ。
89▲8四歩
90△9ニ銀
91▲8三歩成
92△同銀
93▲8四歩
94△同銀  ▲8三金とおごって上げてもいい。
        △同玉▲8五歩で必至。
95▲8五歩
96△4四歩
97▲8四歩
98△7ニ玉 綺麗な手を指してもらおう、
        寄せてもらおう、という手。
        (※鈴木八段は形作りと見ていた)
99▲5ニ銀
100△8ニ歩  おーこう指されるとわからなくなる。
          (先手は)詰ましたいですね。
101▲6一銀不成
102△同玉    角をこのライン(玉に当たる)
          で打つのが筋。
          これは詰ましに行ってますね。
103▲3四竜 (先手詰ましに行かず)
         まあ、勝ちを逃さないのが大事。
         気持ちはわかる。
104△3七角 なかなか一手違いにするのも大変。
105▲6八玉
106△5七歩成
107▲同金
108△5ニ銀 これは(若い)今だからできる
         がんばり。
109▲3一竜
110△5一歩 ちょっと形勢に差がある。
         熊倉「羽生さんがこっち(後手)
            持ってたら?」
         羽生さんでも、ここから逆転
         されたら泣くに泣けない
         (逆転は難しい)。
111▲3四角
112△7四歩
113▲6五桂
114△6四角成 (先手は詰ましに)
          行ってほしい。
115▲5ニ角成
116△同玉
117▲4三金
まで、先手▲加藤奨励会員の勝ち。

以下は△同玉▲4一竜△4ニ金▲3四金まで。


(感想戦)
熊倉 山口さんは席上対局は初めて、ということで緊張があったんでしょうか。
鈴木 作戦?
加藤 作戦を立てて来て、こんな感じかなと。
鈴木 51▲4三銀の辺りは?
加藤 ちょっと自信ありました。
熊倉 山口さんは?
山口 自信なかった。
鈴木 穴熊は?
山口 昨日並べた棋譜で、攻める手があったので
    (穴熊をしなかった)。
山口 48△6ニ角で△4ニ飛?
鈴木 これはありそう。
鈴木 49▲5四馬で(切らずに)引く手は?
加藤 攻め潰されるかと思って。
山口 何とかなるかなあと思った。
鈴木 わたしも。
鈴木 加藤さんの辛いこと辛いこと。
加藤 絶対負けたくなかったので。
    受け切っちゃおうかなあと。

(司会の山田久美女流三段によるインタビュー)
加藤 できれば優勝したい。
山口 すごい緊張したんですが、昨日の(プロ)デビュー戦がひどい将棋だったので。
    昨日よりはましだったのでよかった。


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