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第66期名人戦7番勝負第5局
▲森内俊之名人−△羽生善治王座王将 大盤解説会 於 朝日新聞読者ホール 2008.6.6(金) |
解説:遠山雄亮四段 聞き手:中村桃子女流2級
(図は65手目▲5五同飛の局面)
63▲5八飛 64△5五角 65▲同飛
と角交換をしたところ。 ▲7五飛を防いで△6四銀は▲5四飛、以下 @ △5三銀は▲8四飛 A △5三金は▲7四角 B △6三金は▲8五角、以下 (イ) △7四角▲同角△同金▲6三角 (ロ) △6ニ歩▲6四飛 (ハ) △6ニ飛▲6四飛 (ニ) △5ニ角▲6三角成△同角▲6四飛 66△6六歩 67▲同金 68△3九角 69▲6七歩 先手に歩を打たせて6筋に 歩が立たないようにした。 70△8八歩 71▲同金 72△6四銀 73▲5四飛 74△6ニ飛 66〜69手目の順が入って いなければ▲6五歩△同銀 ▲8四飛△8ニ歩▲7一角。 75▲7一角 △6三飛や△6一飛なら ▲8ニ角成でよい。 76△7ニ飛 |
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(図は76手目△7ニ飛の局面)
▲4四角成は△6三金▲5八飛△3三銀
と遊び駒を活用される。 ▲6四飛△7一飛▲5三歩は、以下 @ △5一金▲5ニ銀△同金▲同歩成△同玉▲6ニ金 で先手よさそうだが、 A △5三同金▲6ニ飛成△5一飛 となると案外いい手が見えない。 77▲5三歩 △5一金だと▲6四飛△7一飛 ▲5ニ銀以下(前述の変化と) 同じになる。 78△6三金 79▲5ニ歩成 80△同飛 81▲同飛成 82△同玉 83▲5九飛 84△6一玉 85▲3九飛 86△7一玉 87▲4一角 |
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(図は87手目▲4一角の局面)
@ △5四角▲5五歩なら△4ニ金で受かるが、
△5四角に▲5九飛とし、以下 (イ) △4ニ金は▲6三角成△同角▲5一飛成 (ロ) △5五歩は▲同金△同銀▲同飛△6四金打 ▲6三角成△同金▲5四飛△同金▲6三銀 (ハ) △6ニ玉は▲5四飛△同金▲3ニ角成 いずれも先手よし。 (ニ) △6ニ飛▲6三角成△同角▲5一飛成△6一歩 一番がんばっているが、飛車を成られたらまずい。 A △6ニ飛(@よりはよい)▲5九飛、以下 (イ) △5四歩▲6三角成△同飛▲7四金 △6一飛▲5四飛△6三歩▲5ニ飛成 (ロ) △5三歩▲6三角成△同飛▲7四金 △6一飛▲6四金△同飛▲5三飛成 (ハ) △5三銀、以下 A.▲3ニ角成△同飛▲4三金 B.▲6三角成△同飛▲7四金△9三飛▲7三歩 △6ニ玉▲8四金△9ニ飛▲8三金 いずれも先手よし。 この局面、後手にうまい受けがない。 88△6ニ金 89▲3ニ角成 (以下略。109手まで、▲森内名人勝ち) 前局に続き、朝日読者ホールで大盤解説会(無料)を聞く。 挑戦者が勝てば永世名人(資格者)誕生の大一番。 立ち見も出る盛況であった。 遠山四段は、BIGLOBEの動画サイト「将棋ニュースプラス」で、「ご主人様、王手です。」という番組にご出演。 ブログ「遠山雄亮のファニースペース」 http://chama258.seesaa.net/ でもおなじみで、初めてお目にかかるという感じがしなかった。 中村女流2級は、女流のニュー・アイドル。 名人戦第1局ではNHK・BS2の中継に出演された。 フレッシュなコンビによるきびきびとした解説で、最高峰の将棋を鑑賞した。 中村女流2級が攻め手、遠山四段が受け手を持って指し手を予想する、という形式が多かった。 遠山四段の印象に残ったお話。 ・名人と同じくらいの年齢で奨励会でいっしょだった近藤正和六段曰く「森内名人は相掛かりが好き」。 (相掛かりにおける歩交換後の飛車の引き場所について) ・見合いだと後手がまずい。 先手が深く引いたら、後手は浮く。 先手が浮いたら、後手は深く引く。 ・コンピュータソフト「棚瀬将棋」がアマトップに勝った将棋が研究されている。 2六飛は古い型だが、今後はありになるかもしれない。 ・ 18世名人は羽生さんだと誰もが思っていた。 森内さんが永世名人(資格者)になったときに言った 「自分の運命は変えられる」 という言葉に、感動した。 森内名人が敗れた前第4局では、△5四の「腰掛け金」が最後まで働かず、「金が泣いている」状態であった。 本局の歩越しの▲3六銀は、後手に△2ニ銀の悪形を強いる働きがあった、とのこと。 両銀とも最後までそのまま残ったが、後手の銀は自玉に対して壁をつくっており、働かない以上に悪かった、ということで、泣き笑いが生じたのであろう。 森内名人が完勝して2勝3敗。 勝負はまだ続く。 メニューページ「名人戦08.5.21,6.6,6.17」へ戻る |