第33回将棋の日(2)07.11.11
世田谷女流オープン戦 決勝
次の一手名人戦 森内−羽生
於 世田谷区民会館ホール

写真は、グッズ売り場での室田女流1級(左)と里見女流初段(右)。

 11日(日)は晴れた。
昨日に続き「将棋の日」のイベントを見るため、世田谷へ。
 世田谷区民会館は、昨日行った区役所の隣だが、三軒茶屋方面からは手前にあたる。
 そこで世田谷駅まで行かず、松陰神社前で下車した。

    田園都市線         世田谷線
渋谷――¥150――三軒茶屋――¥140――松陰神社前
  11:25      ?    11:34     11:39

 駅の西口にある踏み切りの北から、西に伸びる道を進む。
 十字路を右折して、更にまっすぐ進むと、区民会館があった。
 開場予定は正午。
 15分ほど前に着いたが、数十人の行列。
 午前中には、
「せたがやジュニア名人戦」
「多面指し指導対局」
「こども将棋教室」
といったイベントが行われており、その帰りらしい親子連れの姿も見える。
 これから行われるのは、「NHK公開収録イベント」である。
 会場の準備と集客は、世田谷区のパートだったようだ。
 これは想像だが、お役所の手堅さで、客があふれて混乱することのないように、ということを第一に考えていたのかもしれないが、参加者募集の締め切りが早すぎたようで、電話による追加募集を行っていた。
 それでも足りなかったのだろう。
 昨日「世田谷女流オープン戦」を観戦(これは事前申し込み不要)した人は、帰りに希望すると「入場整理券」をもらえた。
 このことは公表されていなかったから、急遽の措置ではなかろうか。
 同日行われた「世田谷区民名人位決定戦」の参加者が招待される、とはチラシに書いてあった。
 往復はがきで応募した人は返信はがきを持っていたが、入場時には実はノーチェックで、出入りも自由であった。
 行列に並んだ効果というのは、前の席をゲットできる、というところにある。
 後ろでいいなら、時間ぎりぎりでよい。
 今回、最前列に客は座れなかったので、2列目の席を取った。
 開始まで1時間、ぼつぼつ席が埋まっていき、最終的には7、8割方は入ったか。
 NHKとしても形はついたことだろう。
 (後で司会の山田久美女流三段が、700人以上、と言っていた。)

 13:00開始の予定だが、10分前から、段取りの説明がある。
 公開収録ということで、舞台上の仕切りはNHKが行うようだ。
 初めのうちはぶらぶらしていて席にいず、自己紹介を聞かなかったのだが、アシスタント・ディレクターだろうか。
 拍手の練習などさせられる。
 客席の最前列に、ディレクターが一人で座っていて、あれこれ舞台に指示を送る。
 「去年将棋まつりをやった佐賀の方が拍手が大きかった」
 「上司がそう言ってます。もう一度大きな拍手をお願いします!拍手!もっと!」
 こんな掛け合いで客席をあおる。
 客は結構、素直に一生懸命拍手したり返事をしたりする。

 13:00、司会の後藤アナウンサーと山田久美女流三段が登場。
 いよいよ開始…といっても、これまで見てきた将棋イベントとは勝手が違う。
 厳密には知らないけれど、公開収録と中継とは違うのだろう。
 ディレクターは、その後も口を出したり、手振りで舞台上に指示を出す。
 失敗があると、やり直しをする。
 最初に、会場である世田谷区の紹介。
 放送では映像が流れるそうだが、会場には流れない。
 司会の二人も、映像を見ず、原稿だけを読む。
 要は放送用の録音で、観客には関係ないのである。
 山田女流三段は何度もいい間違え、客席から「がんばれ」の声。
 それでも後藤アナとの掛け合いなど、うまいものである。
 恐らく放送を見たら、それらしい仕上がりになっていることだろう。
 女流棋士でこういうことをこなせるのは、貴重な存在であろう。

 次いで、出演棋士・女流棋士が一人ずつ呼び込まれる。
 勢揃いで壇上に並んだ様は壮観である。
 世田谷区長と米長会長の挨拶。


写真は、グッズ売り場での里見女流初段。

 次いで、世田谷女流オープン戦。
 昨日の準決勝を勝ち上がった、里見香奈女流初段と、室田伊緒女流1級の決勝戦。
 立会人は二上達也九段。
 久々にお見かけする(テレビでなく実際には初めて)。
 解説は、森下卓九段と、斎田晴子倉敷藤花(放送前に無冠になってしまったが)。
 序盤、両者とも早指し。
 これが幸いする。
 38手目、△4四角の辺りで、異変が。
 棋譜読み上げの安食総子女流初段が、対局時計をひねくり回して何か言っている。
 時計が動いていなかったようである。
 誰が言ったか忘れたが、電池が切れていた、とのこと。
 ここら辺の準備も、NHKの担当だったらしい(そういう印象を受けた)。
 異常事態に、対局中は引っ込んでいた司会の二人も戻ってくる。
「両者ともほとんど時間使っていなかったですよね」
とディレクター氏。
 しかし何分、対局のことなので遠慮があり、どうすべきか決めがたいようだ。
 本来なら立会人が裁定すべきだが、二上九段はテレビ収録ということでこちらも遠慮しているのか、動きがない。
 前理事の責任感からか、解説の森下九段が「両者3分ずつ時間を引きましょう」と提案。
 ディレクター氏が了承して、再開となった。
 こういうアクシデントが対局者に与える影響が気になるところだが、室田女流1級は少し笑っていたので、それほど気にしていなかった、と信じたい。
 非公式戦ではあるが、予選から数ヶ月がかりの大会の決勝戦である。
 NHK任せにせず、将棋連盟も準備をチェックすべきであろう。
 熱戦の末、里見女流初段が勝ち、第1回の優勝者になった。
 色白の室田女流1級のほっぺたが終盤、紅潮していたのが印象的であった。
 それだけ熱のこもった一戦であった。
 表彰式では、せたがやジュニア名人戦の表彰も行われた。

※放送を見たら、全く中断を感じさせない見事な編集で驚いた。
 37手目▲8六角の辺りで、記録の甲斐智美女流二段が、時計を見ながら笑って安食女流初段に何か言っている。
 その間に、里見女流初段が38手目△4四角を着手。
 画面が盤上(天井カメラから撮影)に切り替わる。
 森下九段が37手目から38手目について解説する間に、対局風景の映像に切り替わる。
 この短い間に対局時計の針が急に進んだ…はずであるが、小さくて見えない。
 森下九段が、再開後「編集しやすいように」とわかりやすいところから解説から始めたのが、効を奏したようだ。

 15:00まで、10分間の休憩。
 ロビーのグッズ売り場で、対局を終えたばかりの里見女流初段、室田女流1級の二人が、売り物のカレンダーとせんすに揮毫してくれるサービス。
 疲れているだろうに、にこやかに応接していて感心した。

 大とりは、次の一手名人戦。
 森内俊之名人と羽生善治王座王将の、ゴールデンカード。
 途中、「次の一手」の出題があり、3種の候補手の中から手を当てて行く。
 わたしは第1問ではずしてしまった。
 将棋は、羽生二冠が勝った。
 最後の大団円。
 再び壇上に勢揃いした出演者。
 その真ん中に、「次の一手名人」となった少年。
 うらやましい。
 17:00頃、終演。

 帰りは、ちょうど渋谷駅行きが来たので、バスに乗ることにした。
 210円。
 しかし、すぐ出発しない。
 ターミナル駅なのか。
 座れたので、寝ていた。
 渋谷駅に着いたのは、17:40頃であった。

 放送は2週間後の25日(日)10:00-12:00
 いつも将棋講座とNHK杯を放送する時間帯に行われた。


※開演を待つ間、座席数を調べた。

1階席  1118席
2階席   144席
計     1262席
NHK使用-118席
差引   1144席
うち      16席 棋士席
         8席 来賓席
        10席 ご案内席(?)
        30席 せたがやジュニア名人戦入賞者席

写真は、グッズ売り場での室田女流1級。

世田谷女流オープン戦決勝
先手▲室田 後手△里見
持ち時間10分、切れたら30秒未満
1▲7六歩
2△3四歩
3▲6六歩
4△5四歩
5▲7七角
6△4ニ銀
7▲8八飛
8△5三銀
9▲6八銀
10△3三角
11▲4八玉
12△2ニ飛
13▲3八銀
14△2四歩
15▲3六歩
16△6ニ玉
17▲8六歩
18△7ニ銀
19▲3七銀
20△7一玉
21▲3八金
22△6四歩
23▲8五歩
24△5ニ金左
25▲5八金
26△6三金
27▲3九玉
28△8ニ玉
29▲8四歩
30△同歩
31▲同飛
32△8三歩
33▲8八飛
34△5五歩
35▲2八玉
36△5四銀
37▲8六角
38△4四角 時計が動いていなかったことが判明。
        両者3分マイナスして再開。
39▲7七桂
40△3ニ飛
41▲4六銀
42△2五歩
43▲8九飛
44△2六歩
45▲同歩
46△同角
47▲2七歩
48△4四角
49▲6七銀
50△1四歩
51▲9六歩
52△1五歩
53▲9五歩
54△1三桂
55▲6五歩
56△同歩
57▲5六歩
58△2五桂
59▲6四歩
60△6ニ金引
61▲5五歩
62△同銀
63▲4五銀
64△3五歩
65▲4四銀
66△同銀
67▲4一角
68△3三飛
69▲6三歩成
70△同金
71▲4ニ角成
72△3六歩
73▲3三馬
74△同銀
75▲8四歩
76△同歩
77▲6五桂
78△5五角
79▲3九玉
80△5ニ歩
81▲8三歩
82△同銀
83▲2三角成
84△3七歩成
85▲4五馬
86△3八と
87▲同玉
88△5四銀
89▲5五馬
90△同銀
91▲3一飛
92△3七歩
93▲4八玉
94△7二金
95▲3三飛成
96△6六歩
97▲7八銀
98△4五角
99▲8八飛
100△6七金打
101▲3七桂
102△5八金
103▲同玉
104△3七桂成
105▲同竜
106△3六歩
107▲2六竜
108△5六銀
109▲7五桂
110△5七金
111▲4九玉
112△4七銀成
113▲6九銀
114△3七歩成
115▲同竜
116△同成銀
117▲8三桂成
118△同金
119▲7一銀
120△同玉
121▲2六角
122△3五歩
123▲3七角
124△2七角成
125▲3八銀
126△4七桂
127▲4八銀
128△3七馬
129▲同銀直
130△2九飛
131▲3九歩
132△同桂成
133▲同銀
134△4七桂
135▲3八金
136△2七角
まで、後手△里見勝ち

次の一手名人戦
先手▲羽生 後手△森内
持ち時間なし、30秒未満
1▲7六歩
2△3四歩
3▲2六歩
4△5四歩
5▲2五歩
6△5ニ飛
7▲2ニ角成 出題1 赤2ニ角成 青2四歩 黄その他
8△同銀
9▲9六歩
10△9四歩 出題2 赤6ニ玉 青9四歩 黄その他
11▲7八銀
12△6ニ玉
13▲4八銀
14△7ニ玉
15▲4六歩
16△8ニ玉
17▲6八玉
18△3三銀
19▲4七銀
20△2ニ飛
21▲7九玉
22△7ニ銀
23▲5八金右
24△2四歩 出題3 赤6四歩 青4四銀 黄その他
25▲同歩
26△同銀
27▲7七角
28△5五角
29▲3六銀 出題4 赤5五同角 青6六歩 黄その他
30△2五歩
31▲4五銀
32△3三銀
33▲2七歩
34△7七角成
35▲同桂 出題5 赤同銀 青同桂 黄その他
36△5五歩
37▲1六歩
38△3五歩
39▲5三角
40△6ニ角
41▲7五角成
42△2四飛
43▲6五馬
44△5ニ金左
45▲5四銀 出題6 赤5五馬 青5四銀 黄その他
46△4ニ銀
47▲8六歩
48△3三桂
49▲8五歩
50△3四飛 出題7 赤3四飛 青6四歩 黄その他
51▲4七金
52△2四飛
53▲8八玉
54△7四歩
55▲5五馬 出題8 赤5五馬 青3六歩 黄その他
56△7三角
57▲6五馬
58△6四角
59▲5六金
60△7三桂
61▲6四馬
62△同歩
63▲5五金
64△2六歩
65▲同歩
66△3九角
67▲5八飛
68△2六飛
69▲7五歩
70△5三歩
71▲7四歩
72△5四歩
73▲6四金
74△2九飛成
75▲8四歩
76△6ニ金上
77▲7三歩成
78△同金
79▲7四桂
80△同金
81▲同金
82△8六銀
83▲7三角
まで、先手▲羽生勝ち


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