2009.12.5(土)新日本・愛知県体育館

Circuit2009 NEW JAPAN ALIVE

 

 

(※P:ピンフォール、ギブアップ KO:ノック・アウト)

18:00試合開始、終了は21:20頃だったか。

 名古屋での新日の興行はいつも満員の印象があるが、今日も満員。

 入場ゲートをつくった東側は2階席を潰していたが、他はほぼ埋まっていた。

 公式発表は8500人。

 

 休憩前のタッグは前座、後のシングルが主要試合ときれいに構成が分かれた今大会。

 前半はサクサク進む。

 

1}

岡田かずちか ●吉橋伸雄 P 邪道○ 石井智宏

7分22秒)

 

 ベテラン組が若手を逆水平などで痛ぶる。

 どんなファンにも、初観戦の時がある。

 各大会の第1試合は、生涯最初のプロレスになる可能性がある。

 プロレスは痛そう、きつそうと感じさせるのも大きな役目。

 もっともそれだけではなく、若手組の勢いのある反撃も見られたが、さっとクロス・フェイス

1本取って若手を悔しがらせるのが邪道の芸。

 

 

2}

タイガーマスク      獣神サンダー・ライガー○

●田口隆祐    P 金本浩二

プリンス・デヴィット   AKIRA

8分48秒)

 

 新日Jr.の顔見世試合。

 大会開始前に参加選手が発表されたスーパーJカップ(12.22、23)に全員エントリーされている。

 Jr.タッグ王者の2人(田口、デヴィット)が場外への飛び技でいい所を見せたが、フィニッシュは

意外だった。

 ライガーがフライング・ボディ・シザース・ドロップ(ルー・テーズ・プレス)1発で田口をピンした。

 

 

3}

S・S・マシン ●平澤光秀 P ジャイアント・バーナード カール・アンダーソン○

9分31秒)

 

 青義軍の一員として復活のS・S・マシン。

 入場時のビデオでちゃんと「I’m not HIRATA.」と字幕が出ているのにも関わらず、平田、

平田と声援が飛ぶ。

 これを律儀に否定するマシン。

 大ベテランだけに正直動きは今一つ。

 しかしバーナード組は意外にも(?)レジェンドとしてリスペクトしている感があり、様にならない

ことはなかったが。

 1.4東京ドームのカードが2つだけ発表された。

 1つはIWGP Jr.、タイガーマスク対Jカップ優勝者。

 1つはIWGPタッグ。

 チーム3D 対 バーナード・アンダーソン 対 裕次郎・内藤哲也(海外遠征から凱旋)の3wayダンス。

 その試運転としては軽い相手だったか?

 合体技マジック・キラーで平澤をピン。

 チーム3Dが王座陥落する確率の高い試合形式となって喜ばしい、と言えるが、ピンを

取られずして王座を失う可能性があるわけで、それでは溜飲の下がる思いはしない気が

するのだがどうだろう。

 それが気にならない程のノー・リミット(裕次郎・内藤)の活躍に期待したい。

 

 

4}

蝶野正洋 ●本間朋晃 P  中西学○ 大森隆男

8分31秒)

 

 真壁の相棒として人気上昇中の本間。

 蝶野と組んだりもするのか。

 中西・大森の文句なしのパワーの前にやられっぷりで笑いを取る。

 蝶野がリードして客の声援を受けるような流れに持って行こうとするが、如何せん蝶野の

動きも今一つの所がある。

 中西のアルゼンチンでフィニッシュ。

 中西の日本人離れした体とパワーを見るにつけ思うことがある。

スイングする一進一退の攻防ではなく、どんな相手でも一方的に叩き潰す、全盛期の

ブルーノ・サンマルチノのようなファイトで、絶対王者に君臨する中西の姿をかつて夢見たことを。

 中西はそれを許される、認めさせ得る器であったと思う。

 長州がずっとマッチ・メイクを続けていたら、あるいはそうなったのではあるまいか。

 上井文彦氏が、素人目にも向かないとわかるK-1などやらせて芽を摘んでしまった

ことが、わたしは残念でならない。

 

 ここで10分の休憩。

 

5}

●井上亘 P  矢野通○

10分44秒)

 

 矢野が井上の痛めている左腕を中心に、反則を交えつつ攻め続ける

→井上、待望の反撃。一挙に逆転、一本取るか?

→矢野、一瞬の隙をついて首固めでピン。

 悔しがる井上を尻目に、冷笑して帰る

という展開で、つまりヒールが引っ張る試合。

矢野の力量が試されるわけだが、そのヒール像は古臭過ぎる。

あれでは井上も生きない。

 第一試合の邪道を見習うなり、工夫してほしい。

 

 

6 チェーン・デスマッチ}

○真壁刀義 KO  飯塚高史●

18分7秒)

 

 11.8両国で決着がついた…はずなのに、なぜか1ヶ月もしない内に同じ形式で再戦。

 好評につき、急遽再演決定!ということか?

 顔、特に目の辺りをチェーンで巻いてのペディグリーなど、相変らずチェーン使いのうまさを

見せる飯塚。

 なぜか「飯塚さ〜ん」と女性の声援(1人だけど)。

 一方真壁は、チェーン関係ない技が多い。

 しかしフィニッシュは、首と腕をチェーンで縛ってのスパイダー・ジャーマン→キングコング・ニーで、両国

とすっかり同じ…と思いきや、コーナーで逆さ吊りにして首にチェーンを巻いて引っ張る、という

危険技でレフェリー・ストップ。

 またもタンカで運ばれる飯塚。

 チェーン・デスマッチは、ケージ・マッチと違って手軽にできる(金がかからない)ので、またあるかも。

 

 

7}

○後藤洋央紀 P  田中将斗●

16分32秒)

 

 タッグ、シングルと連敗した相手とお願いしての再戦。

 マイナスをゼロに戻す戦い。

 先に負けているから、一方的に叩き潰すぐらいでないとゼロにならない。

 後藤がずっとやられる展開は、だから不満。

 フィニッシュの「昇天」3連発は、そのぐらいやらなきゃ、という展開。

 しかし後藤の技はエグイものが多い。

 相手がベテランだから受けられるけど、グリーン・ボーイなら怪我する。

 相手を選ぶ選手は一流になれない。

 「昇天」はエグイの前に無理があると思う。

 お得意のハーフ・リング・ロープ・ワーク(勝手に命名)は今日も出たがあれはよい。

 

8}

○棚橋弘至 P TAJIRI●

16分4秒)

 

 セミ・ファイナルから、煽りVTRがビジョンに流される。

 しかも結構長め。

 菅林社長が再三TAJIRIのグリーン・ミストを浴びるシーンでは、客から「そこまでやるのかよ」

「ひど過ぎる」といった声が出る…より、笑いが起きる。

 今日も花束を投げ付けて、解説席の山崎一夫を挑発するTAJIRI.

 社長がTAJIRIに反撃(棚橋が羽交い絞めした所に結構強烈な平手打ち)する場面も。

 TAJIRIの標的となった棚橋だが、新日ストロング・スタイルを代表しない彼は、新日本の中

でもTAJIRIとスイングする方であろう。

 今日もいい試合になった。

 しかしスイングしないならしないで、イデオロギー闘争の色が出て面白くなったりもする。

 昔なら猪木対ダスティ・ローデスとか。

 フィニッシュはハイ・フライ・フローでピン。

 客もスカッとして、「愛してまーす」で締めると大歓声。

 チャラい、とブーイングを受けていたのを、努力でここまで人気者になった。

 レスラーとして完成されつつある。

 

 

9  IWGP}

○中邑真輔  P 永田裕志●

19分39秒)

 

 シングルの好カードが続いたが、客の期待は群を抜いて一番であったろう。

 結論から言うと、

(真壁風に)中邑さんよぉ、

(長州風に)これがお前のやり方か?

 中邑のストロング・スタイルとはこういうものなのだろうか。

 流血あり、ナックル・パンチの連打からフィニッシュ。

 試合後のインタビュー、

アナ「ストロング・スタイル最強者決定戦にふさわしい試合でしたが」

中邑「未来を創るということは、過去を葬り去ることではない」云々

やり取りが、浮いて聞こえる。

 現実から乖離した大言壮語に聞こえた。

 本当に望んだ闘いがこれなのか。

 満足してるんだろうか。

 そうでないことを期待したい。

 悩んで試行錯誤している、と思いたい。

 細かいことを言うと、まずナックル・パンチが様になっていない。

 猪木の「ナックル・アロー」と比較にならない。

 フィニッシュのボマイェがクリーン・ヒットしていなかった。

 これは永田がよけたのかもしれないが、一撃必殺の技がクリーン・ヒットしなかったら

だめだろう。

 元々、やられて受け続けてカウンター狙いのスタイル。

 強い人とやると今もそう。

 それはいいのだけれど、一撃で倒した後に自分もいっしょに倒れていたら、前と

変わらない。

 永田には勝ち誇って見下すぐらいでないと、過去を超えるなんて遠くないか。

 過去の歴史の壁は恐ろしく分厚いぞ。

 次の相手(1.4東京ドーム)については、「上の世代で挑戦する奴いないか」と言って

いたので、かつてIWGPで連敗している武藤へのリベンジ・マッチか?

他にドームのメインにふさわしい相手が浮かばない。

しかし前年とかぶる(2009は武藤−棚橋のIWGP)のがネック。

「ホーガン」という客の声もあったが、今のホーガンといい試合はできまい。

本当に過去と闘う、と言うのならホーガンをボマイェで伸ばすぐらいしないと、とは思うが。

色々書いたけれど、見に行ったのを後悔するような試合ではなかった、とフォローしておく。

普通の基準ではいい試合だった。

中邑には期待しているから。

が、今のままなら棚橋に負けてる。

 

 

 地下鉄から上がって、お堀端の歩道を少し歩く。

お城の方に行く曲がり角に食べ物を売る屋台が出ている。

 石垣の間を通って会場へ行く道が暗い。

 愛知県体育館でのプロレス観戦は、日本武道館でのそれに似た所がある。

 

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