2012.10.8(月・祝) 新日本・両国国技館

NJPW 40th anniversary KING OF PRO-WRESTLING

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 週刊プロレスに「10月の両国は集客にいつも苦労している」と

あったがまさしくそうで、試合開始の17:00前でもまだ全席種

売っていたし、マス席に少し空きがあって超満員とは行かなかった。

 しかしもちろん、悪い頃と比べたらよく入った。

公式発表は9000人(満員)。

 

1}

●中西学    矢野通○

永田裕志 P 飯塚高史

ストロングマン   石井智宏

11分29秒)

 

 中西は病み上がりとは思えぬいい体。

 まだ不安があるのか、攻撃されて受け身を取ることはなかった

が、一度ハーフ・ネルソン・スープレックスを放って自ら受け身を取っていた。

 こちらも久々に見るストロングマンも、たゆまず鍛え続けていたよう

でやはり相変わらずの凄い体。

 久々のコンビネーションも息が合っていた。

 中西は結構攻められており、最後も飯塚のアイアン・フィンガー・フロム・

ヘルから矢野の裏霞で丸め込まれ、復帰戦を飾れず。

 久々の試合はやはり体に応えたか、それとも疲れたか、それでも

しかし満足気で、こちらも満足。

 

 

2 IWGP Jr.タッグ}

○ロッキー・ロメロ アレックス・コズロフ P KUSHIDA● アレックス・シェリー

14分55秒)

 

 コズロフは初めて見るが、動き、技、センス(含笑い)どれもパーフェクト

で、ロメロも食われていた印象。

 KUSHIDAとシェリーは新チーム結成だがデビュー戦を飾れず。

 ロメロの丸め込みで、フォーエバー・フーリガンズが王座防衛。

 ロメロのいつもの一人連続串刺し攻撃(パートナーに何もさせない)

と、その後の仲直りは笑えた。

 

 

3 IWGP Jr.ヘビー}

●飯伏幸太 P ロウ・キー○

17分5秒)

 

 キック・スタイルで始まり、打撃戦、特に蹴り合いがポイントに。

 飯伏のその場飛びシューティング・スター・プレスは、難なくやり過ぎてか

客もそれ程は沸かないが、本来人間離れしたムーヴで、中盤で

つなぎ技になっているのがもったいない。

 その場飛びフェニックス・スプラッシュは沸いた。

 雪崩式フィッシャーマン(キークラッシャー)でピン、王者交代。

 スーツ姿のプリンス・デイヴィットがリング・インして挑戦を表明・

 「セカイノセンシデスカラ!」といつもの微妙な決め台詞で返す新王者。

 

 

4 IWGPタッグ}

天山広吉 ●小島聡 ランス・アーチャー デイビーボーイ・スミスJr.○

12分47秒)

 

 アーチャーと並んでも小さく見えないスミスも相当でかい。

 横幅もあってアーチャーが細く見える。

 お母さんはスチュ・ハートの娘でボディ・ビルダーだったか。

 2人で持ち上げて叩き付ける合体技(キラー・ボム)で天コジ2人を

完全にのめして圧勝、新チーム「K・E・S」が王座奪取。

 

5}

●内藤哲也 TKO 高橋裕二郎○

5分41秒)

 

 裕二郎の試合前のスピーチはなし。

 内藤の膝の怪我は慢性化。

 いい所ないまま4の字のようなジャベに何も出来ずレフェリー・ストップ。

 試合後も裕二郎は椅子で膝を痛め付ける。

「内藤ちゃん、その膝でもうプロレスはできねーな、引退しろ!」

 立ち上がれず、担架で運ばれる内藤。

 しばらく欠場だろう。

 東京ドームも危ういか。

 

 

 

 

 

 15分間の休憩。

 再開は19時過ぎだったか。

 

6}

真壁刀義 ●井上亘 P 桜庭和志 柴田勝頼○

7分10秒)

 

 ロード・ウォーリアーズ風のとげとげコスチュームで入場。

 桜庭は喜んでやっているのだろうが、「こういうの違うと思うんス

けど…」などとぼやきつつ、しぶしぶ着る柴田の様子が想像できて

おかしい。

 試合はかつての新日対UWFの感じ。

 受けるのは専ら柴田で、桜庭はほとんどオフェンスのみ、一度も

受け身を取っていない。

 真壁も「ケンカ」なら頭を蹴ればいいものを、背中にストンピングして

いる。

 ハード・コンタクトはしないのか、できないのか。

 どこまでこれで行くものか、行けるものか。

 柴田は、悪いおじさん(上井文彦)に騙されて家出した息子。

桜庭は、昔よく遊びに来ていた近所のお兄ちゃん。

 まじめに言えば、「プロレスラー」を名乗って総合格闘技のレジェンド

となった男である。

 だからファンも、選手も、心の底からの拒否反応はない…

のかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

7 東京ドームIWGPヘビー挑戦権利証争奪戦}

○オカダ・カズチカ P カール・アンダーソン●

16分26秒)

 

 2ヶ月もたたぬ前、所も同じ両国のメインでやったカードを、なぜまた

やるのかと思うが、1.4東京ドームに向け、更にオカダをオーバーさせる

ために、確実にいい試合になる相手とのカードを組んだ、という所か?

 確かに好勝負ではあったけれど、新鮮味には欠けた。

 今度はアンダーソンが勝つ、と見た人も多かったようだが、結果も同じ

(レインメーカーでピン)。

 オカダのドロップ・キックは、ロープに振ってのカウンターというオーソドックスな

一発と、後頭部へのもう一発。

 いずれもきれいに決まったけれど、勢いとスピードにやや欠けたか。

 

 

8 IWGPインターコンチネンタル}

○中邑真輔 P 後藤洋央紀●

15分12秒)

 

 後藤は体も厚みがあっていいし、顔も野性味が溢れていていいし、

試合も面白いのだけれど、もう一歩トップに届かないのはなぜだろう。

 個人的には、説得力のあるフィニッシュ・パターンを確立できていない、

と思う。

 そこが不満。

 昇天は不発。

 代わりに相手を仰向けの状態で持ち上げぐるぐる回してフェイス・

バスターで落とす技(裏昇天)を出したが、フィイッシュに至らず。

 G1で使っていた寝技は出ず。

新しい技をつくるのはいいが、やり込まずに使い捨てにするのは

どうか。

 牛殺しは使い続けているが、これは危な過ぎるのでやめてほしい。

 今日は雪崩式でやっていた。

 一方中邑は、完全に確立している。

 くねくねすれば、満場がヒートする。

 ボマイエでピン、中邑王座防衛。

 今日も負けた後藤。

 親会社のカード・ゲームでも、棚橋、中邑、真壁、オカダの4人が表に

出ている。

 危機感を持たなくてどうする!

 

 

9 IWGPヘビー}

○棚橋弘至 P 鈴木みのる●

29分22秒)

 

 G1で棚橋に勝った、ということで鈴木みのるが挑戦。

 「プロレスごっこ」「プロレスごっこにもなっていない」と戦前の舌戦。

 後者は「受け身をちゃんと取れ」との意、らしいが、大会が終わって

みると、本当は桜庭に言っているのではないか、という気もする。

 うがった見方をすれば、鈴木との防衛戦自体が、桜庭(をリングに

上げた人)への回答なのかもしれない。

 入場曲の「風になれ」のフレーズと同時にリング・インする際、エプロンで

ロープを広げている若手を蹴り落とすのが鈴木の常だが、今日は

蹴らずに下がらせた。

 タイトル・マッチだから特別?

 しかし大会開始前には、いつものようにロビーでグッズを売っていた。

 棚橋は、開始早々ドロップ・キックを放ち(かわされた)、コブラ・ツイストを

かけつつ鈴木の腰の辺りでギターを弾くまねをするなど、あえて「軽い」

所を見せてテーマを強調する。

 鈴木の腕、肘攻めに対して、棚橋は足、膝攻め。

ドラゴン・スクリューから、いつものテキサス・クローバー…ではなく(後では

出したが)、武藤ばりの足4の字。

新日対Uインターのオマージュ?

 武藤よりもうまい?がっちり決まってしかも長く続く。

 やっとロープ逃れたものの、足を引きずる鈴木。

 しかし意地のドロップ・キック。

 スタンドでのスリーパーから逆落とし、その後グラウンドで絞め続ける。

 これも長時間。

 ゴッチ式パイル・ドライバーを巡る攻防。

成功せず。

ハイ・フライ・フローを剣山で返すが膝が痛い。

コーナー・トップからのクロス・ボディー、倒れた所で今度はハイ・フライ・フロー

でピン。

 棚橋が激闘を制して王座防衛。

 表彰中、黙って帰る鈴木、TAKAの肩を借りていたが途中から一人

で歩く。

 裕二郎がリング・イン、11月大阪での挑戦を表明。

 「これマジ」スピーチは自主規制して書かない。

 肘のダメージでエア・ギターは1回だけ。

 国技館の構造上、一本花道も入場ゲートもないので、スキン・シップも

やや短めか。

 それでもあれ程の試合の後でファン・サービスに手抜きなし。

 これが現代のプロレスである。

 大いに満足。

 21時過ぎ、終了。

 今日は各試合、長めの印象。

 

 

 

 

 その日の深夜0時過ぎには新日本の公式HPで試合結果が詳細

に発表される。

 週プロどころか東スポもこれでは商売上がったりであろう。

 試合後のインタビューに興味深いことがあったので引用する。

 

 

――かなり前半戦のところで、ヒジを鈴木選手にやられて、苦しい闘い

だったと思いますが、試合を振り返っていかがですか?

棚橋「厳しい闘いだったけど、実は、試合前に“憎しみ”みたいな気持ち

は消えてて。っていうのは、昔から、昔ばなしの“泣いた赤鬼”ってのが、

スゴイ好きで。赤鬼のために、青鬼がね、悪役を買って出るあの気持ち。

俺、スッゴイ青鬼が好きだったんだけど、なんかその青鬼と、鈴木みのる

がダブって。ま、性格が悪いことには変わりないんだけど、なんか、

そんな感じでしたね」

――鈴木選手の存在も、また一つ、この新日本で、棚橋選手が輝くため

の布石のようなものだったのですか?

棚橋「鈴木みのるが怒ってたのは、俺じゃなくて。ましてや、今のプロレス、

鈴木みのるがいう“プロレスごっこ”ではなくて。それに、文句をたれる、

たれないでしょ?俺はもうわかったから。本当の敵はね。ただ、俺が考え

て欲しいのは、そういう人達も、プロレスに出逢ったから、プロレスに入門

したから、今があるわけで。自分一人で、スターになれるわけないから。

みんながいて、ファンがいて、そして対戦相手がいて、『そういう気持ちが

なんでなくなっちゃうのかな?』って。俺は、年取って、引退したとしても、

プロレスを今も昔も、『面白いぜ!』って、きっと言うから。そういう気持ち

です」

 

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