競馬用語「ふ」


ファミリーナンバー
オーストラリア人のブルース・ロウという人が19世紀の終わり頃、それ以前におけるイギリスのダービー、オークス、セントレジャーの勝ち馬について、その母系をイギリスの血統書の第1巻までたどり、勝ち馬を多く出した母系の順に第1番から43番までの番号をつけた。これがファミリー・ナンバーで、血統表の一番下の右端に普通かっこ内に入れ、それを示している。その後アメリカ、オーストラリア、アルゼンチンなどの大レースを勝ちながら前記の順番までのファミリーに含まれないものも出てきたので、この番号は更に追加されている。作られた当時は番号の若い者ほど優秀とされていたが、現在では若いナンバーが上級ファミリーといえないことは常識となっており、母系を整理、分類する際の索引番号として便利なため、そのまま使用されている。

ファン投票レースふぁんとうひょうれーす
宝塚記念・有馬記念のことで、ファン投票によって参加できるかどうかが決まるレース。

フィメイルライン
母方の血統 ファミリーラインともいう。

風車鞭ふうしゃべん
ムチを前から後へ回す形で使う方法、ムチの先は風車のように円弧を描いて、後方から馬の尻に入る。上体を起した騎乗姿勢を取る欧州の騎手は、こうしたムチの入れ方になる。

プール調教ぷーるちょうきょう
プールでの水泳運動による調教で、脚部に負担をかけずに全身運動をして体を絞り、心肺機能を高める為の調教。 通常、馬場で調教する日は、プール調教は行わない。

プール療法ぷーるりょうほう
プールでの調教は、故障馬のリハビリに利用する場合もある。

不加賞ふかしょう
特別登録料の総額を、1着から3着の馬に対し7:2:1の割合で配分した賞金。中央競馬の特別競走は定められた登録料を徴収する、つまりステークス制になっていることで発生する賞金のことである。地方競馬にはこの制度はない。

服色ふくしょく
レースの時騎手が着用する服(勝負服)の色(模様を含む)のこと。色は規定内の13色で表示(デザイン)は輪、一文字、帯、山形(ひし山形、なこぎり山形)、たすき、縦じま、格子じま、元禄、ダイヤモンド、うろこ、かすり(井桁絣)、玉あられ、星ちらし、銭形ちらし等で、一般に4色以上の使用は認められていない。馬主は服色を登録して自分の服色で持ち馬を出走させている。また地方競馬においては騎手が各自服色を決めており、いつも自分の服色の勝負服でレースに臨んでいる。

複合勝馬投票券ふくごうかちうまとうひょうけん
勝ち馬投票券(馬券)の最低金額を固定し、複数の組み合わせを1枚で購入できる勝ち馬投票券のこと。→ マルチユニット馬券 参照

複勝式馬券ふくしょうしきばけん
複勝式勝ち馬投票券のことで、出走頭数が5頭から7頭立ての競馬では2着まで、8頭立て以上では3着までを勝ち馬として払い戻しされる馬券。配当は低くなるが的中率が高いため固定のファンもいる。なお、4頭以下のレースではこの複勝は発売されない。

膨れるふくれる
コーナーを回るときコースなりに回れず、外側に飛んでいくこと。手前を替えられないことや気性の悪さなどが原因でふくれることが多いが、距離損が大きくレース中の不利のひとつになる。

フケ
牝馬が発情することをいう。神経質な馬はふけにはいると競走能力が低下するといわれているが、かなり個体差はあるようだ。春先から夏にかけてがふけのシーズンで、普通は3週間おきに5、6日間続く。ふけの期間が長かったり、冬に発情したりする場合“だらぶけ”といってる。

父系ふけい
父方の血統のこと。競走馬の血統は主に父方の血統で系統付けされており、その父方の血統の系統を父系(サイヤーライン)という。

不正行為ふせいこうい
レースの公正を犯す行為のこと、騎乗の不適正(斜行などによる故意の走路妨害)や、馬に対し行うドーピングなどの違法行為を総していう。

負担重量ふたんじゅうりょう
競走馬の背負う重量のことで、騎手の体重、鞍、鞍下の毛布、鉛などの装具(ヘルメット、ステッキは除く)まで含む。負担重量は馬の年齢と性別によって規定されている馬齢重量、ハンデキャップ委員がどの馬にも勝つチャンスを与えるように決めたハンデキャップ重量、馬の年齢、性、収得賞金の額、勝利度数その他競馬番組で定める条件により算出する別定重量などがある。

ぶち毛ぶちげ
馬の毛色の種類で、体に大きな白斑のあるものをいう。原毛色により、栗ぶち毛、鹿ぶち毛などと呼ぶ。また、白色部が有色部より多い場合はぶち栗毛、ぶち鹿毛といっている。わが国ではポニーなどに見られる毛色である。

ふっくら見せるふっくらみせる
必要な筋肉が充実して、馬体全体が丸みを帯び、バランスの取れた状態。

不凍液ふとうえき
冬季に馬場が凍らないように撒く液体のこと。

太目ふとめ
「馬体が太目」あるいは「太目造り」などと使われるが、きりっと締まった仕上がった馬体に対し、外見上ひと回り太い状態の馬体を指す。

冬毛ふゆげ
体毛の中で被毛といわれる全身に密生している短くて細い毛は、秋から冬にかけて長くなり光沢を失い春になって脱落する。これが冬毛であり、毛が脱け換わることを換毛という。馬の場合年2回の脱換が普通で、夏毛は年間を通じて適宣更新するが、冬毛は秋から冬にかけて生え、陽春から晩春にかけて脱け換わる。被毛の脱換の遅速は健康状態と密接な関係にあり、同一の馬でも一様に脱け換わるわけでない。栄養が良く健康な馬は脱け換わりも早い。

分割レースぶんかつれーす
競走の分割については一般事項のWの2に定められており、要約すると、競走の取りやめがあり、かつ、一般競走で出馬投票の結果、その競走の条件より下級条件馬を含めないで16頭以上の申し込み馬があった場合、申し込み頭数の最も多い1競走を2競走に分割して行う。ただし、同一条件の競走(特別競走を含む)が2つ以上あって、そのいずれかの競走に申し込み馬が7頭以下のときは分割はしない。また、申し込み頭数が同数である競走が2つ以上ある時はその優先順位が決められている。

太めを叩くふとめをたたく
太めの状態、つまり理想馬体重よりも少々重い状態でレースに出走させること。たいていは、実戦を使って体を絞り込む目的として使われる言葉であるが、時として、厳しい調教をして体を絞る意味としても用いられる言葉でもある。

船揺すりふなゆすり
馬の癖のひとつ熊癖(ゆうへき)のこと。馬房の中で前肢を開き、左右交互に体重をかけ、間断なく体をゆする癖。熊がおりの中で体を左右にゆすっている状態に似ていることから、また舟をこぐ様に似ていることからこの俗称がある。前肢の腱に悪い影響を与えるおそれがあり、嫌われることも多い。

踏み込みふみこみ
パドック解説などで「この馬は踏み込みが…」とよく使われる言葉で、後肢の歩幅のこと。前肢が踏んだ跡より前に後肢が着地するようなとき踏み込みが良いといわれ、調子を判断する上でのひとつの目安になっている。踏み込みがよいことを“踏み込みが深い”ともいう。

踏み出しふみだし
前脚の動きを指していう。

冬毛ふゆげ
冬になると、生えてくるボサボサの長い毛。防寒のために自然に生えてくるもの。毛ヅヤが悪く見えるが、本来の毛ヅヤの悪さとは意味が異なる。

フラットコース
平坦コースのこと、ほとんど坂の無いコースのこと。ローカル開催のコースは平坦コース。

フリー騎手ふりーきしゅ
通常、騎手は特定の調教師と騎乗契約(契約期間、給与、進上金など)を結んでいる。この騎乗契約を結んでいない騎手をフリー騎手という。契約騎手の場合は特定厩舎の専属騎手となりその厩舎の馬に騎乗する機会が与えられるが、その厩舎の調教騎乗要員にもなっている。フリー騎手はレースでの騎乗はもちろんのこと、調教の騎乗も個別に約束を交わし騎乗する。

ブリーダー
生産者のこと。繁殖牝馬の所有者。

ブリーディング
配合のこと → 配合 参照

フリーハンデ
競走馬の格付けのため距離、競走日時、場所など具体的な競争条件に関係なく定められたハンデキャップのこと。競走馬の能力の物差しのひとつとして一般に利用されている。英国はじめ諸外国でも採用されている制度で、中央競馬会では毎年1月に前年度の成績に基づいてフリーハンデが“優駿”誌上で発表されている。

ブリンカー
遮眼革といわれるもので、前の方しか見えないように作られた革製の装具。競走中に物見をしたりして気を抜く馬に使用する。(遮眼革の項参照)ブリンカーを着けて出走する馬は出馬登録の際、騎手などとともに併記することになっている。

ブルードメアサイヤー
母馬の父のこと。ブルードメアは繁殖牝馬、サイアーは種牡馬のこと。たとえば、平成10年のダービー馬スペシャルウィークの母はキャンペンガールで、その父マルゼンスキーがスペシャルウィークのブルードメアサイアーということになる。体形や性格など父からの影響が大きいのは当然だが、このブルードメアサイアーからの影響を受け継ぐこともあり、馬の資質を探る上で重要視される。

フルゲート
出走馬が出走可能頭数の上限一杯になること。

ブレーキング
野生を破ると言う意味があり、馴致のことをいう。

フレーメン
馬が頭をあげて、上唇を捲り上げる独特の表情としぐさ。性的刺激で起すことの多い行動で、発情した牝馬のにおいをかいだ牡馬がしばしばこのしぐさを見せる。

フレグモーネ
皮下結合組織の少ない部分に発した急性の化膿症である。化膿を起こす細菌は外傷したところから入ることが多いが、外傷がなくても毛孔から感染を起こすこともある。病勢のテンポはごく速く、一夜のうちに肢が腫れあがってしまうこともある。手当の時機を失すると、いろいろの病気を併発し、競走馬として走れなくなることもあり、早期発見、早期治療が肝心である。

フロック
「まぐれ」のこと。展開のアヤなどによって実力以上の成績を残した場合などに使われる。

粉砕骨折ふんさいこっせつ
骨折して骨が細かく砕けた状態、通常予後不良とされる。



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