競馬用語「た」
■ ダークホース
黒馬と記されることもある言葉で人気のない馬のことだが、本来は能力のよく分からない馬という意味から出ている。人気馬を負かす可能性のある馬のことで、穴馬とほとんど同じ感じで使われている。
■ ダート馬 【だーとば】
ダートコースで好成績を上げる馬。スピードよりパワーの馬で馬格や血統に負うところが大きいケースが多い。
■ ダートコース
表面が砂のコース。アメリカのダートコースの構造を参考資料として造られたもので、昭和36年(1961年)2回東京戦からダートコースの競馬が行われるようになった。その後順次各競馬場にダートコースが造られ、中央場所の中山、京都、阪神はもちろんのこと、砂コースだった札幌もダートコースに変わり、他のローカル競馬場の全てにも造られている。従来の砂コースとの違いはそのクッションの良さにあり、砂の敷き方(砂の種類、厚さ、粒子の大きさ)が異なっている。
■ ダート三冠 【だーとさんかん】
芝の三冠になぞらえて言われており、ダートが主流の地方競馬では各地域で三冠が定められている。例えば南関東の場合には羽田盃、東京王冠、東京ダービーで、交流ダートグレード競走では、大井のジャパンダートダービー、中央のユニコーンS、盛岡のダービーグランプリがそれにあたる。
■ ダート戦 【だーとせん】
ダートで行われるレースのこと。
■ ダービー
1780年イギリスの第12代ダービー卿がはじめた競走で、3歳牡、牝による混合レースである。英国では長年6月の第1水曜日にエプソム競馬場で行われていたが、1995年からは第1土曜日に変わった。日本ダービーもこれにならって作られたもので、昭和7年(1932年)に第1回が行われた。日本ダービーの正式名称は『東京優駿競走』という。地方競馬も各地区でダービーというレースは行われ、中でも南関東の「東京ダービー」は有名だ。また、競馬以外でも「○○ダービー」と第一人者を選ぶときに広く使われるようになっている。
■ ターフ
芝コースのことで、ダートよりも路面が硬く、スピードが出やすい。
■ ターフビジョン
スタンドの正面にあり、スタンドのどの位置からも見えるように設置されている大型映像ディスプレイ装置、大きさは縦約8m 横幅15mの画面。
■ 待機所 【たいきじょ】
返し馬をした後、レース発走まで待機している場所で、屋根があり、レース発走時刻まではそこで、輪乗りをしながら集合合図を待つ。
■ 待機馬 【たいきば】
ある期間レースを開けて出走する馬のことで、夏季中央場所が休みとなり、ローカル(福島、新潟、中京、小倉、函館、札幌)で競馬が行われるが、そのローカル戦に出張せず秋競馬を待つ場合にあてはまる。また、冬季中央場所ではダート戦が中心に行われており、芝のレースが多くなる春まで待つ馬もあり、この場合も待機馬といっていいだろう。
■ 体高 【たいこう】
管囲、胸囲とともに馬の大きさを測るひとつの基準となるもの。馬の背の高さのことで、厳密には、き甲の頂点と地表との垂直距離である。
■ 対抗馬 【たいこうば】
レースにおいて一番力があり中心と見られる本命馬(◎)に対抗できる馬。あるいはそのレースで二番目に強いと思われる馬を対抗馬といい、予想紙では○印で示されている。
■ 大差 【たいさ】
10馬身を越える着差のこと。
■ 滞在競馬 【たいざいけいば】
あらかじめ当該競馬場に入厩してレースに臨むことを滞在競馬という。追い日(通常水・木曜日)に競馬場にいる馬に当てはまる言葉で、美浦あるいは栗東のトレセンで調整し前日に入厩(距離的に当日の輸送が不可能な競馬場での競馬)することが増えているが、この場合は滞在競馬とは言わず、“前日入厩”とか“直前入厩”と言っている。
■ 大障害 【だいしょうがい】
通常の障害よりも大きな障害。
■ 代替競馬 【だいかえけいば】
開催中止になった競馬の替わりに日を改めて行われる競馬のこと。
■ 帯同馬 【たいどうば】
遠征馬(重賞レースや目標にしているレースに関西馬なら関東に、関東馬なら関西に行く)と一緒についていく馬のこと。厩舎関係者の都合で連れていく場合もあるが、ある程度勝負になる馬を連れていくことが多く、帯同馬の状態には十分注意したい。
■ タイムオーバー
一般にいわれるタイムオーバーは、一般事項U-,10に定められているもので、サラブレッド系平地競走(重賞など番組で特に定めた競走を除く)に出走した馬が、当該競走の第1着馬の競走に要した時間(勝ちタイム)より、芝馬場において行う競走については4秒、ダートコースにおいて行う競走については5秒を超えて決勝点に到達したとき、当該競走の施行日の翌日から起算して1カ月間平地競走に出走できない。ただし、裁決委員がやむを得ないと認めたときはこの限りでない。このほかにも出走奨励金(6〜8着馬)の交付を認められないもの。(基本的には一般事項U-,10におなじだが、新馬・未勝利・未出走戦は芝は3秒、ダートは4秒と定められている)
■ タイム失格 【たいむしっかく】
失格に相当する3000m以下のレースで5分、それを超えるレースで7分以上のタイムを要した場合。
■ ダク
速歩のことで、コースでの攻め馬の場合キャンターに入る前に予備運動として1周くらいダクで回ることが多い。
■ 蛇行 【だこう】
右へ左へとあっちこっち斜行すること。
■ 叩き合い 【たたきあい】
ゴール前で各馬の騎手がムチを入れて、死力を尽くしたラストスパートをかけあうこと。
■ 叩く 【たたく】
競馬用語としての叩くにはふたつの意味があって、ひとつは騎手が鞭(ステッキ)で馬を叩くことで、レース中に気合を入れたり、力を出し切るための補助動作として行う行為で、「叩いても動かなかった」などと使う。もうひとつはレースを使うことを表し、「休み明けを叩いて馬体が絞れた」「叩きながら良くなった」というのがこれで、「ひと叩きして…」などよく使われるが、目標の前のレースとか、レース間隔が開いた時に使う言葉である。
■ 手綱 【たづな】
騎手が馬を制御するための綱で、ハミにつながっている。(ハミ 参照)
■ 手綱をしごく 【たづなをしごく】
騎手が手首で手綱をグイグイと前後に動かすこと、この動きがハミに伝わってスピードを上げろという指示になる。
■ 手綱をしぼる 【たづなをしぼる】
手綱を短くって、グっと絞り込むことで、こうするとハミが引っ張られて、奥歯にガチっとハミが掛かる。こうなると馬は本気で疾走する。
■ タテ目 【たてめ】
馬券の流し買いをした時に、ヒモに選んだ馬同士で決着すること。
■ 多頭数 【たとうすう】
出走馬の多いレース、通常12頭を超える場合を多頭数、8頭以下を小頭数という。
■ 種馬 【たねうま】
種牡馬のこと。厳密にいえば種牝馬も種馬といってよいはずだが、競馬の社会では産駒に牡馬の影響力が強く出るためか、種馬といえば種牡馬だけをさす。種牝馬のことは“繁殖牝馬”とか“肌馬(はだうま)”といっている。また、種牡馬を繁殖牝馬に交配させることを“種付け(たねつけ)”という。
■ 種付け 【たねつけ】
種牡馬を繁殖牝馬に交配させること。
■ 種付け料 【たねつけりょう】
種付けの権利を買うための代金のことで、現役時代に良績を納めた馬は着本的に種付け料は高額であるが、産駒が良績を残しているものも種付け料が高くなる。
■ ためる
力を出し切らないで抑えるという意味で使われる。「ため逃げ」といえばペースを上げずに後続馬との距離を考えながら自分のペースを作って逃げることで、スパートの瞬間まで力を蓄えるということである。追い込みの場合でも「道中脚をためて…」などよく使われる言葉で、追い出すまで力を温存するということで意味は同じ。
■ ダラブケ
牝馬の性周期は約3週間であるが、通常、徐々に発情が強まり、ピークに達するとその後消退していく。その周期を繰り返すのであるが、中には、リズムなくダラダラといつまでも発情状態の続く馬が存在する、そのような場合をいう。
■ 単穴 【たんあな】
予想評価のひとつで▲印で表されるもの。単勝の穴馬という意味なので、本来は勝つ力を持っているが、条件(ペース、展開)がはまらないと惨敗もある、といった馬につけられるべき印である。しかし、実際には本命馬、対抗馬に次ぐ3番手の馬という感覚でつけられることが多く、▲印と単穴という意味が一致しないこともあり、上位を争う1頭と見る方がいいだろう。
■ 単騎 【たんき】
「単騎で行けたので…」などと使われるように、他馬に並ばれたり、競り込まれたりせずに1頭でレースが運べること。逃げ馬によく使われる言葉だが、“単騎追走”などと使われることもあるように、1頭で行ける場合は逃げ馬に限らず単騎といっている。
■ 短期放牧 【たんきほうぼく】
軽くリフレッシュのために一週間程度放牧に出すこと。
■ 短距離 【たんきょり】
通常は1600m以下を短距離という。
■ 短距離血統 【たんきょりけっとう】
短距離に適性を示す傾向のある血統のことで、系統内に短距離に良績を残した馬の多い血統。
■ 単勝オッズ 【たんしょうおっず】
単勝式馬券における的中時の払い戻し配当のことであるが、通常は各馬の人気はこの単勝オッズによって人気が計られる。単勝1番人気、と2番人気の組み合わせが必ずしも馬連の1番人気とは限らない。
■ 単勝・単勝式馬券 【たんしょう・たんしょうしきばけん)
一般に“単勝”といっているが、1着馬を当てる馬券(勝ち馬投票券)のこと。
■ 単走 【たんそう】
1頭で走ること。調教で2頭以上が並んで走ることを併せ馬(あわせうま)とか併走(へいそう)というが、気性の素直な馬など併せ馬をすると走りすぎてオーバーワークとなってしまう。そのため1頭(単走)で追いきり仕上げていく馬も多い。
■ 単枠指定 【たんわくしてい】
現在は廃止された制度であるが、かつて馬番連勝式馬券(馬連)がなく、枠番連勝式馬券(枠連)しかなかった時代、断然の人気馬が出走する場合に限り、同枠の他馬を作らないこと。理由は、この断然の人気馬が、出走取消になった場合など同枠に、他馬がいると、馬券の払い戻しができない、そうなるとその人気馬を目当てに馬券を買っている多くの人が捨てたも同然となってしまう。そうした事態を避けるための制度であった。
■ 断念レース 【だんねんれーす】
GTなどの大きなレースへの出走をあきらめた馬たちが走るレース。通常その大レースの前日に行われることが多い。