競馬用語「て」


蹄叉腐爛ていさふらん
蹄叉の角質が腐って、その中溝や測溝に悪臭のある汚物、汚汁のあるものをいう。この病気がひどくなると跛行したり他の蹄病の誘因となる。原因は厩舎や放牧場の不潔、蹄の手入れ不足などであり、注意していれば予防できる病気。

ディスクボックス
重賞戦のレーザーディスクを、ジュークボックスのような要領で見る機械のこと、競馬場や、広報コーナーにある。

蹄鉄ていてつ
馬の靴といっていいもので、蹄の保護と磨滅を防ぐためにつけられている。蹄鉄は平常鉄(調教用蹄鉄)とニューム鉄(競走用蹄鉄)に分けられる。平常鉄は調教と平時の運動に使われるもので、極軟鋼といわれる鉄によって作られる。220グラムぐらいの重さだが、競走馬の激しい運動から20〜25日くらいで磨耗してしまう。競走に出るときは蹄鉄の重量を軽くするため1個70グラムのアルミニューム製のものを用いる。競走用蹄鉄は弱くて常時着用というわけにいかず競走日の朝装着し、競走が終われば外す。爪の悪い馬や鉄の取り外しの困難なものに対して、平常時と競走の両用としてのニューム製のものもあるが、この蹄鉄の使用については係員の許可が必要。以上の3種が競走馬に使用されているが、馬の肢正によって追突、交突しやすい馬や、蹄底の浅い馬に対しては特殊な鉄が別に作られ使用されることもある。シンザンがつけた鉄橋蹄鉄(シンザン鉄)もその一例。蹄鉄をつけたり、取り替えたりする人のことを蹄鉄師とか装蹄師といっている。

蹄油ていゆ
蹄に塗布する油のことで、蹄が乾燥するのを防ぎ、傷をつきにくくする働きがある。

蹄葉炎ていようえん
肢に故障を発症し動けない状態で、他の肢で長時間負重し続けると蹄の内部の血液循環が阻害され、蹄の内部に炎症を起こし激しい疼痛を伴う病気。馬は奇蹄類(蹄が一つ)であるため病勢の進行を止めることは難しく、予後不良になるケースも多い。

定量ていりょう
競走に出るときの負担重量の一つで、収得賞金や勝ち数に関係なく一定の斤量に決められているレースを定量戦という。定量戦はクラシックはじめ天皇賞、有馬記念などのGTレースで競走番組に定められている。

出遅れでおくれ
スタートで他の馬に遅れをとること。

手替わりてがわり
レースにおいて、それまで乗っていた騎手から他の騎手に替わることで、乗り替わりともいう。

テキ
競馬の社会だけで使われている用語で、騎手や厩務員などが自分の厩舎の調教師のことをいう言葉。昔は騎手が調教師を兼ねていたため、騎手(キテ)の逆さ言葉から出来たといわれている。今でも「うちのテキが…」などとさかんに使われている。

デキ
馬の仕上がり具合のことで「デキている」「まだデキてない」「いいデキだ」などと使われるように外見的な馬の造りで、仕上がっているかどうかを表す言葉。また、「以前のデキにない」などと馬の状態そのものを表すこともある。

デッパ
発馬のことで「デッパが悪い」といえばゲートの出の遅い馬や、二の脚のつかない馬のことで、逆に素早く飛び出す馬を「デッパがいい」という。

鉄板てっぱん
ほぼ、必ず勝つと思われる馬のことを指して鉄板という。

鉄砲てっぽう
鉄砲使いともいうが、長い間故障などで休養していた馬を出走させること。休養明けの出走にもかかわらず好成績を上げる馬を“鉄砲が利く”という。休養明けの馬の仕上げがとくに巧く、こうした使い方で成績を上げる厩舎(調教師)を「鉄砲使いが巧い先生」などという。また、鉄砲の利く馬を“ポン駆けする”ともいうし、鉄砲使いのことを“ポン使い”ということもある。

鉄砲実績てっぽうじっせき
長い間故障などで休養していた馬の休養明け初戦のレースの成績。

鉄屋てつや
装蹄師のこと。

手の内に入れるてのうちにいれる
騎手がその馬に乗り慣れて、馬の性格や脚質を熟知し、自由自在に御すことが出来るようになることをいう。手の内に入れた馬を“お手馬”といい、「お手馬手綱いらず」という言葉もあるように、安心してみていられる。

手前てまえ
馬が走る場合左右どちらの脚を前に出して走るか、左脚を前にするとき「左手前」といい、逆に右脚を前に出すのが「右手前」である。先天的に右利き、左利きという馬もいるが、普通競走馬はどちらを前にしても走れるし、コーナーでは手前を替える馬が多い。不器用な馬や、四肢のいずれかに故障を持っている馬など手前を替えられず、コーナーを回るときにスムーズさを欠くこともある。

出ムチでむち
スタート直後からムチを使うことで、「出ムチをくれる」という使い方をする。ダッシュの鈍い馬や、どうしても逃げたいときなどに気合をつけるために行う。

出目でめ
連勝式馬券における組み合わせの番号(数字)のことを“目”といっており、どんな目が出るかを出目という。枠番連勝なら1−1から8−8までだし、馬番連勝だと1−2から17−18までの数字ということになる。今日はどの目が良く出ているなど出目で馬券を買うファンもいる。

テレビ馬てれびば
クラシックレースなどの大レースで明らかに力不足と思われる馬でも、出走した以上はテレビに映ろうということで強引に前に出て戦う馬のこと。普段はハナを切ることなどない馬でも前半飛ばすだけ飛ばしてハナに立ったりする。ただ、最近は出走数も少なくなりテレビ馬もほとんど見かけなくなっている。

テン
「テンが速い」とか、「テンから追う」というように、よく使われる競馬用語で、最初という意味合いを持つ。使い方はいろいろあって、テン乗りといえば初めてその馬に乗ることだし、テンの3ハロンといえばスタートから最初の3ハロンのことである。

展開てんかい
レース全体の流れのことを言い、具体的にはレースのペースと各馬の位置取りを指す。

伝染性貧血でんせんせいひんけつ
この病気はウィルスによって起こる馬特有の法定伝染病である。症状は40度前後の高熱が出て、2〜4日後には平熱に戻るが、また高熱が出るという状態を繰り返す。感染した馬は次第に貧血し衰弱していく。感染が判明すると法の定めにより安楽死の処置がとられる。中央競馬会では年2回全在厩馬を対象に検査(定期検査)を行い、また施設外から入厩する馬に対してはその都度検査(入厩検疫)を実施し、予防に当たっている。

殿堂入りでんどういり
顕彰馬になった馬を殿堂入りという。

展開のアヤてんかいのあや
レース展開次第で、結果が左右されること。

転厩てんきゅう
所属厩舎を変更すること。

天狗山てんぐやま
調教師が調教を監視する場所のこと。昔は馬場の出入口近くにスタンドと並んで人工の小高い山を作ってその上の10人ぐらいは入れる小屋で攻め馬を監視していた。そこでは自分の厩舎の馬の自慢話などが出たことから天狗山と称されるようになった。現在、美浦、栗東のトレーニングセンターでは調教を見る立派なスタンドで監視しているが、ここを天狗山といっている。また、騎手や調教助手などが調教時に控えている所を小天狗(こてんぐ)と呼んでいる。

天神乗りてんじんのり
騎手の騎乗フォームのひとつで、鐙(あぶみ)を長くして上体を真っ直ぐ伸ばし、馬の背に垂直にまたがった乗り方である。モンキー乗りと対比して呼ばれることの多い乗り方で、騎手の体重が馬の背中に直接かかるので、馬の負担が大きくスピードが出にくいといわれる。天神乗りの長所は騎手の重心が安定しているため、馬を追うときの補助動作(ステッキを入れたり、手綱をしごいたりすること)がしやすいことである。

テン乗りてんのり
初めてその馬に乗ること。

電話投票でんわとうひょう
場外馬券発売所(ウインズ)の混雑緩和、遠隔地の競馬ファンへのサービスやノミ屋防止等のため考えられた投票方式。JRAとこの制度に関する規約を結んだ加入者(個人に限る)が、電話で勝ち馬投票券(馬券)の購入を申し込み、購入代金の支払いや、払戻金、返還金の受け取りなどを加入者の預金口座を通じて自動的に行うものである。電話投票にはARS方式(プッシュホン電話機)とCRT方式(口頭での申し込み)のふたつがある。



戻る