ロケ地訪問

奈良県 飛鳥地方にある有名な大和三山の一つ「耳成山」。

飛鳥の地に数多くある史跡の中でも、地味ながら石舞台などと共に「飛鳥の象徴」として古代歴史ファンの人気を集めつづけています。
かく言う管理人も古代都市「藤原京」をぐるりと囲む大和三山、特に均整のとれた「耳成山」には特別なロマンを感じます。

大和の聖地「飛鳥」、管理人もたびたび足を運ぶ地でですが、「耳成山」を目的地と選んだのは今回が初めてでした。
いつも車窓から眺め見る美しい山、いや山と言うよりは丘と言っていいかもしれませんが・・・。

名作「麦秋」のラストシーンに、この人工物の様に美しく均整のとれた史跡が登場するのを、小津ファンならば理解出来るところかも知れません。

”小津作品の、スクリーンの隅々まで気を配られた異常なまでの端正さ・・・・・。”



名作「麦秋」。

管理人が一番愛する写真です。
美しいと言えばこれ程美しい映画を他に見た事がありません。

そして、その作品で一際印象的なのがラストシーン。

「耳成山」と風になびく「麦の穂」・・・・美し過ぎてため息が出ます。

今回はロケ地探索と言う命題で訪問をしましたが、54年前の風景がそこにあるはずも無く・・・・・麦畑もありそうもない。

今回は山の南側の探索でしたが北側に回れば麦畑が・・・・有る・・・・・かなぁ・・・・。

以前、大神神社の御神体「三輪山」から「耳成山」を見下ろした際に茶色の麦畑を見た様な気が・・・・・あれは幻だったか。

耳成麓の白い櫓を見ては、映画の中の「あの家かと」一人勝手に盛り上がりましたが

「まほろば」はすでに遠く、ただ途方にくれるだけでした。




小津全日記より 1951年5月 ロケーションの記録。

・5月12日
 近鉄より写真を貰う。
・5月14日
 出社 結城の単衣など茅ヶ崎にもって帰る。
・5月15日 
 出社 麦のラスト通行人の衣装しらべ。
・5月17日 
 11時発夜行にて奈良ロケハンに出発。
・5月18日
 奈良着 薬師寺 飛鳥跡などを見る。  入江泰吉に会う。
・5月19日
 耳成にゆく。 ロケーション決まる。
 帰途、法華時 白毫寺村による。
・5月20日
 休養。
・5月21日
 耳成にゆく。
・5月22日
 4時起床、耳成に行く。くもり 少しのこる。撮影第一日目。
 夜おそめ酒場に行く。
・5月23日
 再び耳成にゆく。幸い晴れて撮影終わる。
 スタッフ帰京。  




「家族はばらばらになったけど、わしらはましなほうじゃ・・欲を言えば切りがないよ」

「だけど、わたしたちは本当に幸せでした」


注目すべきはロケーション決定前日に大和の風景写真の大家「入江 泰吉」と会っている事である。
この大家、大和の風景美を知り尽くした「大和オタク」なのである。小津さんと、どの様な会話があったかは想像に難しくない。
当然「耳成山」の撮影ポイントのアドバイスもあったでしょう。
「麦秋」ラストシーンロケ地探索には「入江 泰吉」を研究するのが早道の様です。