「ごちそうさまでした」 毎年恒例になっている五目寿司で鷹村君の誕生日をお祝いしたあと、食卓を片付けるために台所に立った。 最近では、部屋の主よりも間違いなくこの台所に詳しくなっている。 「そういえば、お前に『月刊ボクシングファン』貸してたよな」 「あ、うん。今日持ってきたよ。バックに入ってるから取ってもらっていいかな。」 洗剤で泡だらけの手を見せながら言った。 ――― 『 Present, for the present 』 1 今月号はオレ様の特集記事が載っていたからに貸してやっていた。 本を取り出しながら、バックの横の紙袋に目を留める。 そこに、なんとなく見覚えのあるものが見えた。 「・・・?」 台所をチラリと見て、がこちらに背を向けているのを確認してからそれを取り出して広げてみた。 「う・・・・」 それはかつて高校時代のが毎日着ていた、懐かしの制服。 ここらへんではダントツ人気だった、タータンチェックのスカートと赤いリボン。 「マジかよ・・・」 何故こんなものをが今持っているのかという疑問は一瞬よぎったが、 それよりも大幅に頭を占めたのは不埒な妄想。 永遠の男の憧れ、女子高生の制服。 ニヤリと顔が緩んだ。 「なぁ、もう一つプレゼントくれねぇか?」 「もう一つって?私、他には何も用意してな――って、何持ってるの!?」 台所の片付けを終えて部屋に入ってきたに制服を掲げて見せると、焦ったように取り返そうとした。 それを腕いっぱい伸ばしてかわす。 オレとの身長差は20cm以上だから、が届くはずもない。 「返してーーっ!!!」 「いいじゃねぇか」 「ダメ!!」 「なーんでこんなの持ってんだよ。お、もしかしてオレのために大サービスか?いいねぇ〜」 「ち、違うっ!!放送部の子がドラマ作るのに必要って言うから貸してあげたの!北高の制服人気あるから!」 「久しぶりにちゃんの制服姿、見てぇなぁ」 「そ、そういうと思ったから絶対見せたくなかったのに」 「そんなこと言って、実はオレ様に見てもらいたかったんじゃねぇのかぁ?」 「そんなわけないでしょ!第一、そんな趣味ないから!」 「いいから、ちょこっと着てみろよ〜」 「イヤ!」 「え〜、今日はオレ様の誕生日だぜ〜、王様の言うことはおとなしく聞けよ〜」 「プ、プレゼントはあげたじゃない。それに、なな何で誕生日だと王様なのっ!」 「いいじゃねぇか、減るもんじゃねぇんだし。ちょこっとでいいんだよ、ちょこっとで」 「へ、減りはしないけど・・・・こ、怖いですから・・・」 が青白く顔を引きつらせながら言う。 「む?何が怖いってぇ〜???」 「きゃぁ、ごめんなさい・・・・・・・・あ!あぁ、そうだ!じゃあ、鷹村君も!」 「あ゛?」 「た、鷹村君も、学生服!!着てくれるなら!!私も着る!!うん!それがいい!!」 「学生服〜?んなもん、もう無ぇよ、捨てちまった」 「や、やっぱり?そ、そっかぁ・・・そうなんだ・・・」 ほっとしたような、がっかりしたような顔。 一体どっちなんだよ! お互い向き合って二人して黙り込んじまった。 ・・・・・・。 ちっ! しょうがねぇなぁ。 押入れを開けた。 何をするのかと訝しげなを横目に、奥のそのまた奥にしまってある紙袋を取り出した。 中から黒い塊を取り出して床に放り投げた。 「え?これって・・・」 「そういやぁ、学校やめて捨てようと思ってたら、京姉がクリーニング出せってうるさかったんだった」 「・・・ってことは・・・」 「オレが着ればオマエも着るんだったな」 着ていたシャツのボタンを外しながらニヤリと笑った。 ショックを受けてうなだれながら渋々と制服を持って台所に向かうに、 「別にここで着替えりゃいいじゃねぇか。わざわざ隠れることねぇだろう。オマエの身体なんて隅々まで知って――痛ぇっ!」 深く考えもせずに言うと、ふきんが飛んできた。 「鷹村君着替えた?」 台所の向こうからが尋ねた。 さっさと着替え終わったオレは、立ったまま窓の外を見ながらそれに答える。 「おう、何やってんだ?早くこっちこいよ」 「う・・・うん」 「もしかしてデブって着れねぇとか?」 「そ、それは大丈夫なんだけど・・・」 気まずそうに部屋に入ってきたは溜息をつく。 「やっぱりこの歳で制服っていうのは、ずうずうしいかな・・・って・・・あ・・」 「あ?何だ?」 息をつめたような空気に振り返った。 が目を瞬いて、その場で止まっている。 何やら小さく呟いた。 それから、ゆっくりと、柔らかく微笑んだ。 その表情は、いつもそばで見ていたあの頃の・・・。 マジかよ・・・・・・。 「?・・・どうしたの?」 「あ、あぁ・・・いや・・・・」 オレは、こんなコトを思いついてしまった自分を蹴り上げたくなった。 |
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うわぁ・・・・やっちゃいました。
制服ネタです。
だって、絶対鷹村さん好きだと思ったんで(笑)。
次から、R18になります。
(こちらのページからは飛べません、申し訳ありません〜)