ボクサーの恋人を持つって、心配で、不安で、大変じゃないですか？















　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─── 『 His Life 』




























一歩君の彼女（候補？）で、お兄さんもプロボクサーであるクミちゃんからされた質問。





「試合中に亡くなっちゃう人もいるくらいだから、やっぱり怖くないですか？」

クミちゃんの場合、心配が二人分だから確かにツライだろうと思う。






「鷹村さんみたいに世界戦になればすごく強い人と戦うし、なおさらじゃないですか？」




































心配じゃないといえば、嘘になる。







彼の身体の事を考えたら、本当はすごくすごく心配。






もしかしたら、明日、彼がいなくなってるかもしれないと思うだけで押し寄せる喪失感。


















でも。


















彼にとってのボクシングの意味を考えれば





それはすでに、彼の命そのもの。





彼はとっくに、拳に命を捧げていて





私の不安なんて





ただの自己満足にすぎないくらい





ちっぽけなもの。



















ならば、
















私にできることは





命を捧げるくらい愛するボクシングに向き合う彼を





見守ることくらい。
























もしリングで命を落とすなら、






その姿を見届けてあげよう。





















それが、





ボクシングと出会って





人生が始まった、





そんな彼を知ってる私にだけ





許されたことだと信じたい。