正倉院のガラス器8点をはじめ、吉野ヶ里遺跡出土の管玉や,新沢千塚126号墳出土のローマングラス、福岡市の鴻濾館跡出土のイスラム・ガラス,唐招提寺の国宝西国舎利瓶、法隆寺の五重塔芯礎の緑瑠璃舎利瓶、勾玉やトンボ玉など,数十点を復元.。
古代の亡失した幻のガラス技術も復元:古代メソポタミアのモザイク・ガラス技法、パート・ド・ヴェール技法、エジプトのコア・テクニック、イスラムのラスター彩、オランダ17世紀のダイヤモンド・ポイント彫り、エミールガレのマルケットリー技法などなど。これらの技法を誰でも自由に使えるように、一般に公開した。
正倉院ガラス器の復元
正倉院には現在6点のガラス器があるが、明治初年までは8点が存在していた。その8点をすべて技術復元した.。復原して分かった事は次の通り:
1) 白琉璃碗 原作品は ササン朝ペルシア 4−6世紀 キッシュにあった王室工房製。現在ユーラシア各地で数百点が発掘されている。当時の世界的なベスト・セラー作品であった。 h=8.5 d=12cm ソーダ・ガラス製 |
2) 紺琉璃坏 杯はササン朝ペルシャ製 7世紀 銀の脚台は7世紀の日本製。但し現在の正倉院紺瑠璃杯の足は明治の復原品が付けられていて、間違った復元品になっている。私の復元した忍冬唐草文の脚台が正しい復元である。 h=11.2〜10.8cm d=8.5 ソーダ・ガラス製 |
3) 白琉璃水瓶 イスラム・グラス製 9世紀 注ぎ口、取柄、瓶部等に超ベテランの技法が使われていて、永い伝統の有るガラス産地で、熟練の工人によって作られた作品であったことが分かる。 h=27.7cm ソーダ・ガラス製 |
4) 緑琉璃十二曲長坏 明治5年から15年までの間に、正倉院に収められた謎のガラス器である。このガラス器だけが鉛クリスタル・ガラス製である。なぜ、これが明治になってから正倉院に入ったのであろうか。 h=5cm d=22.5x10.7cm 鉛クリスタル製 |
5) 白琉璃高坏 イスラム・グラス製 8世紀 天平勝宝4年の大仏開眼供養に使われたガラス器。高度の熟練技術で作られた名品である。 h=10cm d=29cm ソーダ・ガラス製 |
6) 紺琉璃壺 中央アジア フェルガーナ製 10世紀 伊勢の豪族平致経が1021年(治安元年)に東大寺に奉納した事が東大寺の記録に残されている。典型的な北宋時代のデザインによって作られている。 h=9cm d=11.7cm ソーダ・ガラス製 |
7) 白瑠璃鉢 図 東大寺三倉宝器図より |
8) 紺琉璃馬上坏 この作品も明治初年に亡失した作品である。なぜ無くなったのか不明である。天保の図録によって復元した。 h=約5cm d=10cm 図 東大寺三倉宝器図より |
これらの復元作品に関心の有る方は ご連絡ください
由水常雄
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