僕の尻尾


ベッドに腰掛けてるカッツェさんの隣で、僕はゴロンと横になる。
カッツェさんは、仕事の書類とにらめっこしてる最中だったけど。
僕の鼻先を掠めたのは、黒くて柔らかなカッツェさんの尻尾。
くすぐったくて、ふわふわしてて、思わず頬ずりしたくなっちゃうよ〜。
そっと両手で包み込んで、そのまま鼻先に押し当てる。

うん、やっぱりこの感触がたまんないな〜☆

カッツェさんはというと、書類に目を通すのに忙しくて、僕のことなんかお構いなしなんだよね。
だから、余計に気を引きたくなって、好き勝手触っちゃった。
けど、カッツェさんはそんなに嫌がってないみたい。
だって、黒い尻尾は先っぽを小さく揺らしながら、僕の頬を優しく撫でてくれたから。

僕にもこんな尻尾があったらよかったのになぁ。
なーんて思って、カッツェさんの方に顔を向けると……

相変わらず視線は書類に向けられたままだったけど、その表情は真剣そのものっていうか。
う〜ん……
やっぱり、分かりづらいよ〜。
だって、マスクに隠れたままなんだもん。
でも、そんなカッツェさんはしょっちゅう見てるし。

…って、 あれ?
その口元に浮かんだのって、もしかして、ほほえみ…?

「お前は、つくづく尻尾が好きなんだな…」

そんな言葉と共に、金色の瞳がふっと僕を見返してきた。

ちょっと目が合っただけなのに、ドキドキしちゃう。
いつもより優しい感じがしたからかな。それとも、普段がクールなせい?
苦笑交じりなその声も、なんだかちょっぴり嬉しそうで。
でも、きっとそれは、気のせいなんかじゃないよね。
だから僕も、素直に答えたんだ。

「うん。僕は、カッツェさんの尻尾が大好きだよ。ずっと触ってたいくらい」

だって、尻尾がこんなに柔らかくてあったかかったなんて、僕、知らなかったんだもん。

「僕にも、あったらよかったのになぁ…」

思わずそう口にして、カッツェさんの尻尾をフニフニ触る。
そしたら、カッツェさんは手にしていた書類を脇に置いて、フッと笑った。

「欲しいのか?」

いたずらっぽい声で、聞いてくる。

「え?」
「今、手に持ってるだろう」

黒くて、ふわふわしてて、あたたかい尻尾。

「うん。僕にもカッツェさんみたいな尻尾があったらいいなぁって」
「なら、オレの尻尾をつけてやろうか」
「えっ?」

カッツェさんてば、何、言ってるの!?
つけてやるって、えっ、尻尾を…?!

「クルトの、ここに」

そう言って、僕の腰の辺りにカッツェさんの手が伸びてくる。

えっ?何?
どういうこと…!?

いきなり腰を掴まれて、そのままグイッて押されちゃう。
体を起こそうにも、僕はベッドに横になってるから、うまく身動きできなくて…

「カ、カッツェさん…!?」

うつ伏せ気味になった僕の背中に、カッツェさんが抱きついてくる。
でも、腰に添えられた手は徐々に下に動いていって。
カッツェさんの指が行き着いたその先は……

「な、なにやってるのさっ!?」

思わず、声を荒げちゃう。
だって、ソコって…その、僕の…

「ちょっ…カッツェさんってばっ」

僕が声を上げてジタバタもがくと、カッツェさんは耳元に口を寄せて囁いてきた。

「さっき、尻尾が欲しいと言っただろう?」

そりゃ、たしかに言ったけど!でも、何でこんなこと!
服の上から後ろをいじられて、むず痒くて、くすぐったい。

「ぁっ…」
「クルトには、きっと似合う…」

熱っぽく囁かれて、オマケに耳たぶも甘噛みされて、僕はだんだん抵抗する気力も失せていっちゃったんだ……






「あ、あぁ…やっ…」

腰を高く突き出して、僕はうつ伏せにさせられてた。
今、僕の中に入ってるのは、カッツェさんの指…
尻尾は柔らかいから、よくほぐしておかないと入らないとかって、カッツェさんが言ったんだ。

だから、何で僕に尻尾なんか入れようとするのさ!
いくら心の中で叫んでも、僕の口から出てくるのは、耳を塞ぎたいほどの恥ずかしい声ばかり。

「んんっ…」

自分の腕に顔を埋めて、無理やり声を押し殺す。
でも、カッツェさんの指は容赦なく僕の中を掻き混ぜて、押し拡げてく。
もう、気持ちいいのか何なのか、自分でもよくわからないよ!

「んっ…ふぅ…、」
「クルト…前も、硬くなってるぞ」

カッツェさんの手が、雫を滲ませてる僕のモノをやんわりと包み込む。

「やっ…ぁ」

触られただけでゾクッとしちゃう。カッツェさんの手、すっごく熱いよ。

「んっ、やだ…ぁ…カッツェ、さんっ…」

そんなに強く動かしたら…っ

「あ、あぁ…いやぁっ…」
「イヤじゃないだろう?こんなに先っぽを濡らしておいて。それともクルトは、後ろだけでイきたいのか?」

前と後ろを同時にいじりながら、意地悪そうに聞いてくる。
僕はフルフルと首を横に振りながら、羞恥で顔が真っ赤になるのを感じてた。
カッツェさんだって、ホントはわかってるくせに。いじわる…

「まぁ、オレもそろそろ限界なんだが…」

そう言って、カッツェさんが僕の張り詰めたモノから手を引いて、同時に後ろの指をスッと引き抜く。

「あっ…」

その刺激に、思わずビクンと身体が震えちゃう。
と、同時に腰の辺りにムズムズしたような感覚が押し寄せてきて、僕の前は切なく疼く。
でも、僕は組み敷かれてるから、自分で触れることさえままならなくて。
もどかしいよ……それに、すっごく恥ずかしい。
そんな僕の心を読み取ったかのように、カッツェさんは僕の顔を覗き込んで囁いてきた。

「そんな物欲しそうな顔をするな。あとでちゃんと、イかせてやる」

ぼ、僕、そんな顔してなんかないのに!

カッツェさんは僕の背中を指先でつぅっと撫でると、

「オレのを挿れたいところだが、コレを先にしないと、ちょっと面倒なことになるからな」

そう言って、指を添えながら僕の後ろにふわふわした感触のモノを押し当ててくる。
ひょっとして、これって……

「ま、待って…!」

ねぇ、やっぱり尻尾なんてダメだよ!だって、そんなことしたら……

「尻尾が、汚れちゃうよっ」
「どうして?」

だって、ここは…、

「いつもオレのモノを根元まで咥え込んでる。そうだろ?」

そ、そうだけど…でも!

「それと同じだと思えばいい」
「そん、な…っ」
「だから、ほら、力を抜け」
「んぁ、うぅ…」

指で入り口を拡げながら、カッツェさんがゆっくりと差し込んでいく。
カッツェさんの尻尾が、僕の中に少しずつ埋まっていくのがわかる。

「やぁっ、コレ、取ってよ…!」

こんな感触初めてだったから、どうやり過ごしていいかわかんなくて、思わず声が上擦っちゃう。

「変、な感じ、だよ…」

そんなに深くは入ってないと思うけど、でも、これは紛れもなくカッツェさんの尻尾で。
さっきまで、僕がいっぱい触ってた尻尾で!
そう思うと、いたたまれなくなっちゃうよ〜。
それなのに、当の本人であるカッツェさんは心なしか楽しげで。

「クルトから、尻尾が生えてるみたいだな」

なんて、呟いてるのが聞こえる。
カッツェさんってば、ヘンだよー。
だって、こんな、尻尾一本でつながってるなんて、どう考えたってフツーじゃないよ……

「う〜…」

僕は自分の前が昂ぶっていることも忘れて、四つん這いになりながら、思わず後ろを振り返る。
視界の端で、黒い尻尾がチラチラ揺れてる。
僕の中に入ってるのは、カッツェさん自身のモノより細いし柔らかいから、ほとんど痛みは感じない。それもどうかと思うけど…

「不満顔だな、クルト。これだけじゃ足りないか?」

言ってるそばから、カッツェさんは自分で握ってる尻尾を動かす。

「あ…っ、いやぁっ…」

途端に、むず痒いような刺激が走って内股が震えちゃう。

「…可愛いな」

呟いて、カッツェさんが尻尾をゆっくり後ろに引いていく。

「あ…、はぁっ…、」

中で擦れて、気持ちよくって、思わず声が零れちゃう。
なんで僕、カッツェさんの尻尾でこんなに感じてるの…?
最後にピチャって音を立てて、尻尾がするりと抜けていく。

「はっ…ぁ…」

今度は物足りなさを感じて、自分から腰を揺らしちゃう。

「やらしいな、クルトは」

いじわるそうに囁く声。

「オレも、これ以上は我慢できないからな」

そう言って、僕の後ろに硬い熱を押し当ててくる。

「挿れるぞ…」

小声でそう宣言して、カッツェさんは狭い入り口を抉るように貫く。

「あ、あぁ…んっ…はぁっ…」

そんな、一気になんて、無理!
でも、カッツェさんのカタチを覚え込まされちゃった僕の中は、全部を呑み込もうと必死になる。

「クルト…、ッ」

カッツェさんも、すぐに僕の感じるところを探し当てて、そこばかり攻めてくる。
強く腰を掴まれて、同時に激しく揺さぶられる。

「カッツェ、さん…あぁっ…はぁっ…」

気持ちよくって、たまらなくて、前から溢れる透明な雫がシーツに染みをつくってく。
僕って、いつからこんなにやらしい子になっちゃったの?
もう、ガマンできないよ…
早く、早くっ…、イきたいよ!

「カッツェさんッ…僕、…っ」

途切れ途切れで、喘ぎながらの声になっちゃう。
ねぇ、お願いだから…

「前、も…触って…」

後ろを振り向こうとして、少しだけ首が痛んだ。だから、カッツェさんが見えなくて。

「はぁ…んっ…」

もう、恥ずかしい声しか出てこなくなっちゃう。

「おねだり、か」

荒い息遣いの、カッツェさんの声。

「おね、がい…ッ」

カッツェさんの手で、イかせてほしい。
体は熱くて、溶けちゃいそう。僕はもう、腰を振って喘ぐことしかできなくて。
そんな僕の背中に、柔らかな唇を押し当てながら、

「クルト殿下は、淫らだな…」

からかうような口調でそう言って、カッツェさんは、僕の望みを叶えてくれる。
それから、二人して絶頂を迎えたんだ。それは、僕が意識を手放す、その瞬間まで。
あたり前のように、繰り返されて……




−次の日−




今日も、カッツェさんは書類とにらめっこしてる。
僕はすることがなくて、ベッドに寝そべってるんだけど。

ふいっ

ふいっ

カッツェさんの尻尾が揺れ動くのを、ついつい目で追っちゃう。
触ったら、きっとふわふわしてて気持ちいいんだよね〜。
でも、ずーっと見てると、なんだか複雑な気持ちになってきちゃうんだ。
だって、昨日はあんなすごいことされちゃったんだもん。
う〜、ヒドイよー

でも、僕はカッツェさんの全部が好きだから。そのうち気にならなくなっちゃうんじゃないかな〜って。

そんなこと、ないかな?


おわり


update : 2006.3

えろオンリー。笑える箇所もチラホラリ。前から書きたかったカッツェ×クルトです


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