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気管支喘息増加傾向
1、気管支喘息とは
  気管支喘息とは、”大雑把に言うと”何らかの原因によって気管支が狭くなり、息を吐く事が困 難となる病態”で、その病態が複数回起こる状態”である。従来気管支の攣縮が主体とされてい たが、現在では炎症性変化が主体とされている。グラクソスミスクラインは喘息に関して積極的に取り組んでいる。
http://glaxosmithkline.co.jp/healthcare/wellness/zensoku/about/
2、原因
  アレルギー性の疾患である。アレルゲンの作用により肥満細胞より化学伝達物質が分泌さ   れ、それが気管支の攣縮や炎症を惹起し、気道の閉塞をもたらし、呼気が障害される。なお呼  吸のパターンは、胸腔(気管支)が広がりながらゆっくり”吸い”、胸腔(気管支)が小さくなりなが ら速く”吐く”という形ゆえ、吸うよりも吐く方がもともと困難な為、吐く方が障害されるのである。
  なお小児期ではアレルギーの責任物質は比較的明確であるが、成人になるに従って明確では 無くなり、いわば肥満細胞が励起された状態から起こる発作も少なくない。
3、症状
  咳発作、息切れ、呼吸が苦しいなどが頻度の多い症状である。しかし脱力や倦怠感が主で”な んとなく息苦しい”という場合もある。
  感冒に罹患し、それが直ったころ(概ね1W後)に重積する咳発作という形が多い。痰は透明で 粘調度の低い場合が多いが、先行疾患によっては黄色である。
4、診断
  ピークフローの計測(ピークフローとは簡単に言えば、一気に吐き出される呼気量である)を 行い、予測値(身長と年齢で決まる)と比較する。
  また呼吸のパターンが正常では、吸気時間2に対し呼気時間が1であるが、呼気時間が延  長したり、胸部聴診でピーピーした感じの呼吸音が聴取される。
5、治療
  最も有効なものは、吸入ステロイド剤(治療)と吸入β刺激剤(救済)である。吸入β剤は心  臓を刺激するので用法容量を厳格に守る必要がある。なお各種の内服剤は補助的である。
6、最近の傾向
  アレルギー性疾患である故、花粉症などの時期に多い傾向があるが、本年は同時期に中国 よりの黄砂飛来に伴い、例年より80%喘息患者の外来数が増加した。
7、注意点
  咳が出ると”咳止め”という考え方は多くの場合不適切である。咳は結果として起こり、例え  ば肺内の異物や痰、黴菌を出す行為である。喘息の場合は呼気が困難で溜まった空気を排 出する合理的行為である。従って”咳を止める”のではなく”止まる方向に仕向ける”のが正し い考え方である。
  さらに喘息は”咳が続く疾患に過ぎない”と思われがちであるが、年間6000人ほどが喘息で  死亡し ている。これは乳癌の死亡数に匹敵する。死亡は発作の重積とその結果の窒息であ る。ことに成人型喘息では窒息死がしばしば見られるので、咳が長く続く場合は注意が必要で ある。
 


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