「朝比奈隆さんへの感謝」
私が初めて聴いた本格的なクラシックコンサートが、地元吹田文化会館のオープニング、朝比奈/大フィルの「新世界」でした。「クラシックって、こんなに迫力のあるものなのか!」と驚かされたことが記憶にあります。朝比奈さんのファンになったのはその後、聖フローリアンライヴのLPを聴いて、深く、優しい演奏に心洗われたのがきっかけでした。大学では朝比奈さんが60年前に青春の時を過ごされた、同じBOXで過ごした(違うサークルですが)ことから親近感もありました。本格的に朝比奈さんのライヴを聴き出したのは社会人になってからでしたが、いつも朝比奈さんの演奏に元気付けられ、パワーを頂いていました。妻と付き合いだしたのも朝比奈さんの「第9シンフォニーの夕べ」に誘ったのがきっかけでしたし、長女も妻の胎内でヴェルディ「レクイエム」を体験しました。立って指揮できなくなったら辞めると述べておられましたが、言葉通り最後まで立って指揮をされ、生涯現役を貫かれた姿勢は、人として一つの理想像だと思います。最後の演奏会は是非拝聴して、感謝の拍手をお送りしたいと考えていましたが、突然のご入院、ご逝去でかなわぬこととなってしまいました。本当に素晴らしいひとときの数々、ありがとうございました。朝比奈さんの残された音楽は、私の生涯の伴侶となることでしょう。