下記の手当等の正社員と同様の支給を求める根拠としては、日々職場で働く郵政期間雇用社員の皆さんも肌で感じられているように、まったく正社員も期間雇用社員も同じ仕事をしてるという実態が要求の根拠です。
「同じ仕事をしているのに、なぜこんな格差なの!?」ということです。
※なお、裁判で正社員と同様の手当支給されたものとしての差額を求める裁判ですので、絞り込んだ手当是正要求の中で、さらに原告3人が対象となる手当のみとなります(内務業務精通手当等が争点に入っていないのはその理由によります)。
〇外務作業手当(正社員のみ支給)
☆外務作業に従事した日1日につき支給
支給額A区分1,090円
B区分1,420円
C区分1,420円
D区分880円
E区分570円
※裁判は過去にさかのぼった請求となりますので、この手当も請求項目となりますが、新給与制度においてこの手当は廃止となります(業績手当に統合)。
〇郵便外務業務精通手当(正社員のみ支給)
☆業績評価に応じて支給される(月額)
A 16,500円 B 10,900円 C 5,100円
☆配達物数・配達箇所数によって調整率が決められ、
上記金額に調整率を乗じた金額が支給
※この手当も、新給与制度においては廃止となります(業績手当に統合)。
〇年末年始勤務手当(正社員のみ支給)
☆正社員が12月29日から1月3日までの間に実際に勤務したときに支給
☆支給額
・12月29日、12月30日及び12月31日 4,000円
・1月1日、1月2日及び1月3日 5,000円
〇早出勤務等手当(期間雇用社員には、同じ条件でも正社員より低額)
・正社員
始業時刻6時31分から7時 350円
終業時刻21時から22時 350円
始業時刻6時から6時30分 500円
始業時刻5時59分以前 850円
終業時刻22時01分以後 850円
・期間雇用社員
始業時刻が5時から5時59分以前 500円
始業時刻6時から6時30分以前 300円
始業時刻6時31分から7時以前 200円
終業時刻21時以後 200円
〇祝日給(正社員のみ支給、期間雇用社員は勤務した場合に割り増し賃金のみ)
☆正社員
→その日の勤務時間に135/100を乗じた祝日給が支給
☆期間雇用社員
→その日の勤務時間に35%を乗じた祝日割増賃金の支給
※期間雇用社員の場合は、あくまでも割増賃金であり、
正社員のような別枠支給としての「祝日給」の支給はない。
☆祝日に非番日が指定された場合の手当支給
(基本的には上記「祝日給」問題と関連)
・正社員
⇒祝日に非番日が指定され勤務しない場合
→ 祝日給(135%1日分)が支給
⇒祝日に非番日が指定され勤務した場合
→ 非番日出勤(時間外労働)と祝日給支給
→ 135%の2日分手当支給となり、270%手当支給
・時給制契約社員
⇒祝日に非番日が指定され休んだ場合
→ 非番日となり賃金支給無し
⇒祝日に非番日が指定され勤務した場合
→非番日出勤の割増率25%と祝日出勤の割増率35%がプラス
→60%の割増賃金が支給
→1日の勤務で勤務時間数×160%の賃金支給となる
〇夏期・年末手当(平均すれば正社員と年間100万円程度の格差)
・正社員
(基本給月額+扶養手当月額+調整手当月額)
×在職期間に応じた割合×その都度労使交渉で決定した妥結率
・期間雇用社員(「特別手当」の名称)
・時給制契約社員
6カ月間の給与総額÷ 6 × 0.3 × 勤務日数の区分に応じた割合
(勤務日数区分による割合)
→80日未満1.0、80日以上1.1、100日以上1.2 120日以上1.3
→120日以上のうち1日の正規の勤務時間8時間は1.8
・月給制契約社員
→(基本給月額+地域手当月額)× 0.3 × 2.0
〇住居手当(正社員のみ支給)
☆賃貸住宅の家賃が12,000円を超える家賃を支払っている社員
いわゆる持ち家で新築又は購入した住宅(5年間)、住宅費の補助が支給
☆期間雇用社員には一切支給されない
〇夏期・冬期休暇(正社員のみ休暇付与)
☆正社員休暇日数
・夏期6月1日から9月30日までの間 暦日3日
・冬期10月1日から翌年3月31日までの間 暦日3日
〇病気休暇(期間雇用社員は完全な「無給」)
☆正社員の病気休暇期間(有給)
・結核性疾患継続1年
・それ以外継続90日(勤続10年以上は180日)
☆期間雇用社員
⇒無給で年に10日間の病気休暇
〇夜間特別手当(深夜勤 正社員のみ支給)
正社員が深夜勤務をすることによって1回あたり2,200円等の手当支給
(その他、深夜勤回数によって、加算がある)
期間雇用社員と正社員の格差は賃金や休暇制度など多くにわたっています。
今回裁判提訴を決意した3人の期間雇用社員の仲間は、すべての「格差」を網羅するのではなく、各種手当てを重点に重要かつ大きな格差に絞りその正社員と同様の手当の支給を求めて提訴されています。
この格差是正要求はほんの一部といえますが、その不当性を追求し、裁判所によって正社員との格差が不合理な手当等であり是正されるべきとの判決を勝ち取ることにより、全面的な格差是正、非正規制度の全面的な見直し撤廃・正社員化への道を切り拓く大きな一歩に結びつける格差是正=撤廃を求める要求となっています。
2014年5月8日、東京、関東、東海の3人、2014年6月30日、大阪、兵庫、広島の9人、合計12人の郵政期間雇用社員(郵政産業労働者ユニオン組合員)が、郵政期間雇用社員は正社員とまったく同じ仕事をしているにもかかわらず、正社員とのあまりにもひどい労働条件の「格差」は、合理性・正当性のない格差であり、労働契約法20条に違反するとして、正社員に支給されている諸手当も非正規雇用労働者にも支払われるべきであると、その当然支払われるべき手当支給の支払いを会社に求める裁判を提訴しました。
この裁判は、期間雇用社員の正社員化を求める裁判ではありませんが、正社員との「不合理な労働条件の禁止」を明記した改正労働契約法の遵守を求め、本来正社員と同様に支払うべき諸手当の支給を裁判所によって認めさせることにより、期間雇用社員に対する格差撤廃、非正規雇用労働者の正社員化へつなげていくための大きな一歩となる、重要な裁判です。
非正規センター(ゆい)も「郵政非正規差別撤廃裁判」を全面的に支持し、支援して闘っていきます。
労働契約法第20条
(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。