2007年6月

郵政会社提示の「非正規社員人事制度・労働条件」
               における特徴と問題点


 郵政会社提示の「人事制度・労働条件の概要」については、ホームページ掲載の「新会社における非正規社員(ゆうメイト)の人事制度・労働条件の概要」を参照下さい。
 その概要から今回提示の特徴点及び問題点を提起します。
 なお、現行の長期ゆうメイトは「パートタイマー」「時給制契約社員」、「キャリアスタッフ」は「月給制契約社員」に区分するとされています。

1、基本的問題点

 @非正規社員の競争と対立をあおる区分
 「スペシャリスト契約社員」「エキスパート契約社員」「月給制契約社員」「時
 給制契約社員」「パートタイマー」「アルバイト」の6区分に分け、非正規社員
 に階層を作り、雇用条件等に違いをつけることによって非正規社員間の選別・分
 断、差別化を行い、競争と対立をもあおり、非正規社員の管理と支配の強化を目
 的とする制度となっています。

 A正規社員登用の問題点
  ア、正規社員の登用は、「月給制契約社員」からのみの登用とされています。
   「月給制契約社員」は現在の「キャリアスタッフ」を引き継ぐものとされて
   いますが、現在のキャリアスタッフは全国で2千人にもならず、また、郵政
   会社はゆうメイト全国交流会との「意見交換会」において「月給制契約社員
   」について「何人という枠を設けて採用することではない」「個人の能力の
   評価」で採用するとしており、今のところ採用基準も明らかにされていませ
   ん。現在、管理者の一方的な恣意的判断で賃金等の評価が実施されている現
   状から、最低限でも登用の具体的基準の明確化が必要とされています。

  イ、「パートタイマー」から「時給制契約社員」、「時給制契約社員」から「
   月給制契約社員」と段階を追って「正規社員」の登用を行うとしています。
   しかし、この登用についても全くその基準が明らかにされていません。

 B「ノンコア」との位置づけ
  今回提示においても、非正規社員の業務を「ノンコア」と位置づけています。
  しかし、現在多くのゆうメイトは本務者と同様の仕事をしており、そもそも「
  ノンコア」としてゆうメイトを位置づけようとするところにこの制度の基本的
  問題があると言えます。

2、非正規社員の制度枠組み等
 (アルバイト、エキスパート契約社員、スペシャリスト契約社員を除く)

(1) 「パートタイマー」「時給制契約社員」

 ・雇用方法 ⇒ 自由に雇用(支店、郵便局で個別採用)
         ※雇用契約(採用)時に65歳以上の場合は、雇用契約を更新
          しない。
          必要な能力等を有すると雇用主が判断した場合は更新も可。
 ・雇用期間 ⇒ 6ヶ月 (アルバイトは1ヶ月未満)
 ・試用期間 ⇒ 2ヶ月間の試用期間を設定
 ・勤務時間 ⇒ ア、郵便事業会社 「パートタイマー」→1〜6H
                  「時給制契約社員」→6〜8H
         イ、郵便局会社  「パートタイマー」→1〜8H
           ※郵便局会社は、「時給制契約社員」を採用しないとして
            いる。
         ウ、ゆうちょ銀行・かんぽ生命・持株会社
                  「パートタイマー」→1〜7H
                  「時給制契約社員」→7〜8H
 ・給  与 ⇒ 時給制(基本給+加算給)→現行と同様
 ・退職手当 ⇒ 不支給
 ・賞  与 ⇒ 「パートタイマー」→現行ゆうメイトと同様
         「時給制契約社員」→従来の退職手当見合い額を臨時手当で措
         置
         (1日8H、6ヶ月で120日以上勤務 加算率⇒1.3→1.8)

(2) 「月給制契約社員」

 ・雇用方法 ⇒ 「契約社員」「外部からの個別採用」「定年前退職者」からの
         採用
 ・雇用期間 ⇒ 1年
 ・試用期間 ⇒ 契約社員から登用又は定年前退職者を採用する場合に2ヶ月間
 ・勤務時間 ⇒ ア、郵便事業会社 6〜8H
         イ、郵便局会社  8H
         ウ、ゆうちょ銀行・かんぽ生命・持株会社 7〜8H
 ・給  与 ⇒ 月給制(基本月額+調整額+地域手当)
          ☆基本月額→必要に応じて内外別で設定
          ☆調整額 →各社の判断で設定
          ☆地域手当→(基本給+調整額)×支給率
 ・賞  与 ⇒ 年2回(支給率 0.54)
 ・退職手当 ⇒ 一定額×勤続年数

3、兼業(現在ゆうメイトには兼業の規制も禁止もありません)
  ⇒新会社では「就業時間中労務提供に専念する義務及び競業するライバル企業
   との兼業による機密漏洩等の危険性を回避し、社員の雇用管理を適正に行う
   観点から兼業を制限する旨を規定」とされていますが、具体的な制限項目は
   明らかにされていません。

4、各種休暇及び勤務時間、諸手当等
 ・年休は公社の残日数も新会社に引き継ぐとしています。
 ・超過勤務、特別休暇等も基本的に現行通りとなっています。
 ・夜間勤務手当等の各種諸手当もほぼ現行通りとなっています。

 以上、新会社での非正規社員(ゆうメイト)の雇用と労働条件の特徴的な概要と問題点を提起しました。
 詳しい内容はゆうメイト全国交流会ホームページに掲載しています交流会発行のパンフ「新会社における非正規社員(ゆうメイト)の人事制度・労働条件の概要」を参照して下さい。

 2007年10月実施となります郵政民営分社化における「人事制度・労働条件」について、3月26日付けでその概要が郵政株式会社より提示され、上記の通り、ゆうメイト全国交流会としてその「概要」をパンフとしてまとめホームページにも掲載しておりますが、2007年5月11日付で一部修正が関係各労働組合に提示されました。
 修正内容について、前回提示内容と基本的には大きな相違はありませんが、「キャリアスタッフ」を「月給制契約社員」、「契約社員(一般)」を「時給制契約社員」と名称を変更ています。

 正規社員への登用については、前回提示は「キャリアスタッフ」のみとなっており、今回も「キャリアスタッフ」を名称変更した「月給制契約社員」のみが対象となっていることに変わりはありませんが、ゆうメイト全国交流会との「意見交換会」で郵政会社が明らかにしていました「段階的な登用制度」を明示してきています。

 また、ゆうメイトにとって重要な問題である「兼業制限」についても、「競業企業への兼業制限」を明らかにしています。

 給与制度については、前回提示とほとんど変化なく、ほぼ現行通りです。

 前回も問題として提起していますように、正規社員への登用の基準や、各区分への採用基準なども具体的に提示されておらず、現在行われているスキル評価と同様、管理者の恣意的判断に基づいて登用等が行われる危険性も強く、今後の重要な課題とされます。

   郵政会社から2007年5月11日付追加・修正提示を受けた
   「新会社における人事制度・労働条件の概要」はこちらへ
   (PDFファイル)

 2007年10月からの郵政民営化における新たな社員区分(案)が提示されました。
 正規社員と非正規社員という二つの大きな区分を設定し、非正規社員については以下の通り、7つに区分するとされています。
 現行の、「短時間職員」「ゆうメイト」「キャリアスタッフ」「事務委託・技術委託」と大きな変更はないとしていますが、現行の「ゆうメイト」を「アルバイト」「パートタイマー」「契約社員」の三つに分けることになっています。
 具体的な内容はまだまだ不明なことが多いのですが、一番の問題点は、誰が、どのような基準で任用するのか、また、民営化時点での本人の希望等がどこまで反映されるのかなど、任用決定のあり方だと考えられます。

 この提案内容を読まれ、問題点等について、ご意見をお寄せ下さい。



新会社における人事制度・労働条件の概要についてはこちらをご覧ください(PDFファイルです)


公社の説明資料はこちらをご覧ください(PDFファイル)。

(2007年2月)

 郵政公社は、2007年2月より各局で新会社に向けてのゆうメイトの雇用関係について説明を始めています。
 説明内容は、以前に職場周知された内容とほとんど変わっていません。
 2007年6月下旬に仕事内容、勤務時間、給与額等の詳細を明らかにし、10月以降の民間会社で働く希望があるかないかの意向確認を行い、7月下旬に採用の仮決定を行うとのことです。
 そして、給与、年休、については引き継ぐとされていますが、具体的な内容はまだ明らかにされていません。
 また、ゆうメイト全員9月末で「退職」となるが、「皆さんのサポートが必要不可欠と考えています」とは書かれていますが、基本的に希望者全員採用するとは書かれていません。さらに、ゆうメイトを「サポート要員」としていることは、ゆうメイトが今日の事業の根幹も担って働いている現状を踏まえず、職場実態からかけ離れたゆうメイトの位置づけといえます。
 今後、ゆうメイトの希望者全員の無条件で完全な雇用承継を求めていきましょう。

非正規社員の労働条件等(PDFファイル)

 スペシャリスト契約社員(1〜8H)
 エキスパート契約社員(1〜8H)
 契約社員 キャリアスタッフ(7〜8H)
 契約社員 一般(7〜8H)
 パートタイマー(1〜7H)
 アルバイト(1〜8H)
 郵政短時間職員(4H)

 2007年10月から実施される郵政民営化時の人事制度・労働条件について、2007年3月26日付けで日本郵政株式会社から関係各労働組合に「人事制度・労働条件に関する民営化時の制度について」として提示されました。
 今回提示においても、まだまだ詳細については不明なところもありますが、非正規社員(ゆうメイト)の人事・労働条件についての概要を中心に提示内容を「別紙」のとおり報告します。
 提示内容は、非正規社員について以前に提起されていた内容と大きな相違はありませんが、ある程度具体的内容が明らかにされています。
 しかし、以前からゆうメイト全国交流会としてゆうメイトの人事制度・労働条件についての基本的問題点を指摘し、その改善を求めてきましたが、残念ながら今回提示においても基本的な問題はまったく解決されていません。
 今回提示においても、非正規社員(ゆうメイト)の職務内容を「ノンコア業務」とし、「サポート要員」と位置づけており、職場で正規職員と共に事業の根幹を担って仕事をしている実態をまったく無視した制度となっています。
 一方、一部キャリアスタッフのみ正規社員への道を開き、非正規労働者の正規化という社会の大きな流れに一定配慮するポーズを示していますが、現行のキャリアスタッフは16万人とも言われるゆうメイトの中で全国2千人にもならず、今後若干の見直しが予定されているとはいえ、大多数のゆうメイトは正規社員の道を閉ざされてしまう提示内容です。さらに、非正規社員区分を6区分に分け、そして、ほんの一部の非正規社員に正規社員への道を開くことによって、ゆうメイト間の対立と競争をあおり、非正規社員を差別し、分断して「会社の言うことは文句を言うことなくただ従いなさい」といった会社の職場支配をより強めていこうとする狙いがあることも明らかです。
 現在も、また、新会社においても、非正規社員(ゆうメイト)は正規社員とともに事業の根幹を担って働くことになります。
 その非正規社員に様々な条件をつけつつ、「サポート要員」と位置づけ、非正規社員としての身分を固定しながら、多くの非正規社員(ゆうメイト)に低賃金・劣悪な労働条件を押しつけ、「安上がりの会社経営」をめざす新会社の人事・労働条件制度は、今日、世界的にも問題となり、その改善が求められています非正規雇用労働者の正規化という世の中の大きな流れに逆行する提示内容です。
 これからも、非正規社員の正規化を基本としたゆうメイトの人事制度・労働条件の改善に向け、正規社員との連携を強め、ゆうメイト間の交流を深めつつ、取り組みを進めていきましょう。