セミナーに参加された皆様のご感想
改めて歩法の奥深さを感じました...
4月20日の講習の感想文をお送り致しま す。
今回のセミナーでは期待していた以上に様々な歩法や蹴り技を学ぶことができ、大変勉 強になりました。 腰に刀を差しての丹田歩法は参考になりましたが、刀を持っていない私は傘で代用して練習しようと思います。 腕を振り回しながらの歩法は以前にもご指導いただきましたが、あくまでも補助的な 訓練方法であり武術的な応用はないものだと思っておりました。そのような歩法も工夫次第で実戦への応用が可能だと知り、改めて歩法の奥深さを感じました。歩法の練習は場所を確保しなくてはならないことが難点ですが 狭い場所なりに練習を継続して行こうと思います。 欲をいえば、参加人数が多かったため無刀捕りまでできなかったことは少々残念に思います。 次回のセミナーにも参加させていただきますので、宜しくお願い致します。
5月4日の講習の感想文をお送り致します。
胸ぐらを掴まれた状態で相手の腕に自分の腕を重ね脱力する技を教わったとき、相手の方は崩されまいと踏んばったようで「脚の内側が痛くなった」と言っていました。脱力による技は相手が力んでいる方が効果を発揮するものだと感じました。
ヒットした瞬間に脱力するローキックは想像を上回る威力でした。「『脱力することで技が重くなる』とはこういうことか」と納得しました。
今回のセミナーの内容とは直接関係ないかもしれませんが、練習には直接参加せず見学していた方の意見も参考になりました。離れた場所から客観的に観察し指摘してくれる方がいるのはありがたいことだと感じました。
長野先生は「脱力することの合理性を頭で分かっていても、それを実践するのは意外と勇気が要る」と仰いましたが、たしかに、いざというときでも脱力ができるようになるには、頭で理解することと日々の練習の両方が不可欠だと思います。独り推手など、一人でも実行できる練習で脱力感覚を養うことから始めることにします。
次回のセミナーにも参加させていただきますので、宜しくお願い致します。
長野峻也の回答
拝復、●●●様。
いつも、感想文、ありがとうございます。
4,5月分まとめてお返事さしあげます。
まず、4月の歩法なんですが、“歩法イコール攻撃技”というのを打ち出したのは初めてだったんですけれど、これは武術の中でも秘伝中の秘伝なので、セミナーに参加された方だけの秘密にしておいて欲しいと思っています。
無論、従来の「歩法は丹田開発の鍛練法になっている」という点についても解説しましたけれど、人間の能力、機能というのは直立二足歩行によって他の動物とは比較にならない進化をしたと私は考えておりまして、これは肥田式強健術の原理や伝統芸能の所作から考えても間違いないと思っています。
この点については本なんかでも主張しようとしてきたんですが、「意味が解らない。オカルト的に思われてしまう」という理由で割愛させられてしまいました。
私の実感としては、「直立すること。二足歩行すること」の心身機能の活性化効果は驚異的なものがあると思っているんですが、感覚的な認識なので他人に言葉で伝えるのはほとんど不可能なんでしょうね。その意味では、5月の脱力技法についても感覚そのものの技術なので、伝えるのは非常に難しい様子でした。極論すると、状況設定された中で技の効果を体感してもらう・・・という間接的な伝え方しか初心者に対してはできない訳です。ところが、それをやっているとパフォーマンスそのものに視点が偏っていってしまうので、体得すべき皮膚感覚による圧力の感知という肝心要な点が忘れられてしまう。まして、武術の技として脱力による重心移動で発生する力を用いる場合、皮膚感覚が鈍い人や理論を理解しようとしない人には伝えられない場合もありますね。
さらに、それを武術として用いる場合、理論的有効性をしっかり理解していないと、相手の攻撃に思わず身体が反応して身体に力が入ってしまう・・・という場合が初心のうちは多い訳です。
簡単に言うと、感覚なんか無視して力任せにぶっ叩くのだって、結果が出るなら間違いとは言えない訳です。
伝説的な空手家が長年鍛えて体得したヤシの実を手刀で割る技を、熊みたいなアメリカ人の巨漢がドリャッ!とぶっ叩いて割ってしまうところを見ると、力を求めることの空しさを感じてしまいますよね・・・。