セミナーに参加された皆様のご感想

「先の先」の練習では、少し遅れてしまうこともあり...

先日のセミナーでは、一眼二足三胆四力が、なぜこの順番なのか、実感できました。

後出しジャンケンのように、絶対負けないものを作るには、「読み」は重要ですね。

「先の先」の練習では、少し遅れてしまうこともあり、良い勉強となりました。

「読み」の後の処理の練習が、主になっているので、自分の専門とするものに活かしたいと思います。

セミナー当日は、2回目の実習の時間が少し長く感じました。色んな方と手を合わせて見たかったですね。

長野峻也の回答

拝復、●●様。

御感想、ありがとうございました。

練習している様子を見ていて感じましたが、身体に無駄な力が入って硬いようにお見受けしました。遅れるのはそのせいでしょう。

私は構える時、拳を握らないで掌を使うことがほとんどですが、拳を握り締めると前腕から肘まで締まって胴体を固定してしまうことになり、胴体が固まって重心を固定してしまいがちなんですね。

八極拳や形意拳では半握りの状態で拳を作り、当たってから締めて拳を剛体化します。

空手、拳法、剣道等では脇を締めて胴体を固定化して使うように教える場合が多いですが、これは体内の重心移動を駆使するにはマイナスに働きます。

武道を長年やってきている人は、概ね、胴体が固まって重心が固定されている人が多いんです。これは“身体を統一して動かす”ということを意識し過ぎた結果と思います。

私が太気拳式に構えると、脇をわざと空けた感じにするんですが、これは胴体を動かすためにそうしています。胴体を固定させたまま動かせない人が真似したら、突き蹴りを貰いまくるでしょう。

何事も、理が無い物真似は墓穴を掘るし向上は望めません。私は自分で研究してきて、従来、武道の世界で定説のように言われていたことがかなり間違っていたという見解を持つに至りましたが、やってみなければ解らないことは随分、多いと思います。

その意味で、長年、伝わってきている伝統は、簡単に時代遅れの一言で捨てられるものではないと思っていますし、かといって伝統にアグラをかいて金科玉条に祭り上げるのではなくて、解析しブラッシュアップして、より完成度を高めていくようにすべきだと思っています。

身体が硬くて動かせない人が統一体を作ろうとすれば、それは必要以上に身体を固めてしまうだけです。私が甲野ナンバ論を批判した第一の理由がこれです。健康上の問題が出る可能性があるからです。

身体を柔らかく脱力させてバラバラに動かせないと本当の意味で統一させることはできません。柔かく動いて全身を連動させ、拳足が命中してから一瞬に全身を統一剛体化させて重心移動のエネルギーを収束させて貫通させる・・・というのが一般的な流派の別を問わない発勁のやり方です。

ムエタイの回し蹴りや楊式以降の太極拳の掌打、通背拳の鞭手打のように剛体化を使わず打撃エネルギーを拡散浸透させるやり方もありますが・・・。

私が舞踊を推奨するのは、この身体の柔らかさを得るには武術よりずっと効率が良くシステムが完備されていると考えるからです。

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