2005/6/3 新宿LiveFreak

【雑踏にまぎれて叫ぶ種子あり】


 5th逆慰問ライブ!

 暗黒舞踏だけをやっていた頃、自分の居場所を求めて、主催イベントを企画することによってのみ、舞台という小さな空間の中にささやかな世界を創造していた。
 この世界はオレのいるべき場所じゃない! 幼い頃、悪の秘密結社が世界を暗黒に染めようとしているのが不思議だった。そんな世の中にしてしまって、自分たちは居心地良く暮らせるのだろうか?
 だが、いまはわかる。こんな明るく綺麗でクソッたれな社会に自分の居場所なんてありはしないのだ。暗黒世界こそが自分のいるべき場所だ。

 しかし、オレは疲れた。たとえ舞台上とはいえ、世界を創り出すということは神の御業か悪魔の所業か、ちっぽけな凡人のオレには荷が勝ちすぎる作業だった。
 主催なんて真っ平御免。イベントなんかどうでもいい。自分たちの持ち時間のみに集中でき(そして暗黒空間を創り出せる)、しかもある程度方向性のあったバンドと競演させてくれる、ライブハウスのブッキングというスタイルは素晴らしく理想的だった。
 それが何の因果か、バンドを組んでから二度までも主催じみたことをする羽目になってしまった。自分は主催なんぞをする器ではないし(ただただ世界を造りたいが一心でなんとかこなしていたが)、うちのバンドもまだまだそんなレベルではないのである。
 今回もある事情でイベント主催のような立場になってしまい、ろくな準備も出来ない上に出演者に無理をしてもらい忸怩たる心境なのだが、限られた時間のなかでは(慣れない客観的視点に基づいて)精一杯やったつもりである。
 出演していただいた昭和精吾氏ならびに母檸檬には短期間で舞台の準備を強いてしまい、ご迷惑をおかけしてしまった。 ここで改めてお詫びを申し上げたい。
 

セット
リスト

曲目

寫真

反省文!

導入部
「懐かしの我が家」
検閲中
今回のイベントは、昭和精吾氏による語りで幕を開ける。「〜不完全な死体として生まれ〜」という、寺山修司晩年の詩である。
楽屋の片隅で、意外なほど小さく呟くように語り始める昭和氏の声に唆されるかのようにして舞台へと向かう。
第1部
第十三号雑居房
第十三号雑居房
検閲中

バンドのタイトル・ナンバー。
今回は、最初ブッキング出演だったのを急遽イベントに切り替えたため、選曲にテラヤマらしくないものも多かった。が、イベント云々というよりも自らの表現をすることが大事と割り切った。こっちのマイクはもっと音量上げてもらえばよかった。

美術館の女
くだらないTVドラマを観ていて思いついた新曲。あとは乱歩の「蜘蛛男」かな。ベースの打ち込みはこれくらいシンプルな方が失敗しないでいいかも。
夜の唄
近所の犬を犯してみたりしたことはまだないが、近所の猫を孕ませたことならある。3匹子猫が産まれて、上からミーシャ、マチルダ、源次郎と名付けた。いつも盗んだ秋刀魚を届けてくれる・・・。
これから、もっと暗い曲を作りまくるぜ!
「日本自殺考」
検閲中
寺山修司の詩。
えーと、5日前に昭和氏にやればと言われ、2日前に音源をもらいました。オレに耳コピをさせるな〜!
原曲はJ・A・シーザー氏による、非常に美しい旋律で、その中からもっとも簡単な音だけ拾いました。間違えてもいいから盛り上がりとかそういうのに気を遣ったのさ。
こもだまりによる純粋な語りパートは、今後も時間があれば入れていきたいかな。
御不浄の神様
検閲中
最近はようやくギターを弾きながら(動かない)舞踏をできるようになってきた。曲のイメージに合わせた質感を体から出しているつもりだが、ギターの音にそれを反映させるのはまだまだである。
畸形の天女


語り・暗黒舞踏・寸劇と盛り沢山の曲。
今回、思い切って短縮バージョンにしてみた。元々は11分、踊りが入ると15分超だったのを、2/3くらいに削った。それによって詩の流れが分かりづらくなった部分もあるが仕方あるまい。

踊りで使ったゴム蛇のマイケル君。大活躍も、その後逃げ出して見つからず。「レッド・スネーク、カモン!」の呼び声にも応じず、後で小屋の人に発見してもらった。
恋のドメスティック・
ヴァイオレンスbP!
今回のイベントに対するスタンスを語る真面目なMCから、一転してお得意の?下ネタ・トークへ。
雑居房初のストレートなロックンロール・ナンバー。
普段、ギターは座って弾くのだが、この曲で初めて立って弾いてみた。いままで観に来てくれていた人たちは驚いてこう思ったのではないだろうか?
「クララが立った!」
腦病院へまゐります。
検閲中
初の原作付き曲だが、実感が伴っていなければ曲にはできない。もう、こういうのは書けないと思う。
感情を身体の質感の中に忍び込ませて弾いてみた。本番では間違えてもいいから暗黒舞踏をするつもりでギターを弾いている。
 今回が新ヴォーカルこもだまりのお披露目舞台となった。昭和精吾氏の弟子である彼女とは実は6年ほど前から間接的な知り合いで、当時は製作をバリバリこなす辣腕マネージャー的なイメージがあったのだが、近年その出演舞台を観て、その実力に惚れこんでいた次第である。幸いヴォーカリストとしてスカウトに成功したのだが、この余波を駆って、タレント事務所とかAVのスカウトマンに転向しようかなと一瞬だけ思った。
 彼女は語り以外にも実に多才で、歌唱力もそんなに上手くなくていいよってくらいあるし、着物の着こなしも良ければ、ダンスもできる(もっと暗黒っぽくしちゃるぜ)。しかも私のトーク時に突っ込み(というか、合いの手)を入れてきて、それがまた絶妙なのだが、こちらでもっとそれに応えて話していけば良かったなと反省することしきりである。
 ただ唯一の欠点は下ネタへの突っ込みが弱いことかな。稽古中に何かひとつ欠けているものを感じていたが、それだった。女性に下ネタ言う方も言う方だけどね。その点、母檸檬の環境は羨ましいよ。

 その他の個人的反省(テクニック面は一朝一夕で上達するものではないので書かん)
1. 2ndマイクの音量をもっと上げてもらえば良かった。リハでヴォーカル・マイクよりも少し上げてもらったのだが、本番ではもっと背筋を伸ばすのでマイクから遠ざかってしまい、声が入りにくくなるのだ。
2.アンプのセッティング。今回はJC120を使ったのだが、クリーンは良いものの、歪ませたときの音がやや細い。舞台では感じなかったが後でビデオを観たら物足りなかった。この辺はギターアンプとスピーカーから出る音との差もあるのだろうか? Marshallにするか迷うところ。
御休憩 その1
第2部
母檸檬
 出演依頼をしてから時間が無かったにも関わらず、しっかりシアトリカルなパートを入れてくれた。
花女女史はテラヤマお面を付けて大はしゃぎ。楽屋ではもっと凄いアイテムも弄んでいた(オレの自前のと取り替えて!)。
 着替えのため、客席から観られたのは後半だけだったが、体操がやけに曲の振り付けとしてサマになっていた。しっかりしたテクニックに裏打ちされた演奏をバックに、いろいろなことのできるところは凄い。もっと見習わなければ。
御休憩 その2
第3部
昭和精吾(語り)
アメリカよ
検閲中

絶唱!!!
魂の絶唱!!!

鞍馬天狗
(邪宗門より)
検閲中
時折リラックスしたトークを挟みつつも唐突に語りの世界へと突入する。
寺山修司の生原稿を客席に回したりと、大盤振る舞い。
一白水星
検閲中
スーパーマンの詩
検閲中
この日は主に昭和氏の照明担当だったイッキ氏による語り。ピンでもいける!(芸人じゃないよね)
李 庚順
検閲中
寺山修司が自らを重ねて書いたような物語詩。
国家論
(人力飛行機ソロモンより)
検閲中
シーザー氏による音楽版の中での語りに慣れているせいか、初めて飛行機に乗るような新鮮さを味わわせていただきました。
終了!
終焉
「悲しき天使」
昭和氏による出演バンドの紹介。私服で舞台に立つのって何だか不思議な気分。
ちょっとぼやけて写ってるのは全部背後霊。母檸檬のメンバーが若干欠けている。
後ろに私と、母檸檬のドラマー宇津救命丸氏がいる。こちらは背後霊とはまた異なる存在なのでちゃんと区別して見て欲しい。
おまけ
開演前の
   集合写真
これも母檸檬は花女嬢のみ(えーと、写真の中で一番目立ってる人ね)。後列左端はイッキ氏。

 新宿LiveFreakは非常に良いライブハウスだった。スタッフの皆さんも親切で、音楽面で不慣れなこちらをかなり助けてくれた。また空間的にも闇を造り出しやすく、理想的な場所だったと思う。

 間近で聴く昭和氏の語りには、個人的に(観客の皆さんもだろうが)非常に感銘を受けた。存在をかけた表現をするには、自分はまだまだ魂の投入が足りない! 舞台が終わるまで待ってくれるのなら、悪魔に魂を売ったっていい。もっと熱く、もっと凄まじい、命と魂を燃やし尽くすような舞台がしたい。

※基本的に母檸檬と昭和精吾氏の舞台画像は残念ながら載せていない。画像肖像権の問題ってやつかな?

(最下段の集合写真以外、撮影は謎のSこと、さくら嬢。ちなみに寅さんの妹とは別人) 




※ こちらに掲載できなかったものを含む特大サイズの画像が、コチラのサイトで参照できます(各画像をクリックすることで拡大表示できます)。