困った人達


 「イヤートセー コラ秋田音頭です。 (お囃し)ヤアキタサッサ コイサ コイサ

  コラいづれこれよりご免蒙り 音頭の地口です (お囃し)アーハイハイ

  お耳ざわりも あろうけれども さっさと出しかける

  (お囃し)ヤーキタ サッサ コイサ コイサ」

  有名な秋田音頭の出だしです。

  この項目は、お耳ざわりも 当たり障りも あろうけれども さっさと出しかけたいと思います。

1)音が判っているつもりの人達

結構多くおられます。オーディオ仲間のオピニオン・リーダー的な存在の人に多いように思います。こういう人達は、先ず自分たちの音を最高と考えて他人の話にはまず耳を傾けようとしません。このグループの人達が使用している機器も大体同じようなものを使用していて他の機器を受け付けません。それが、特定の管球式のアンプであったり、あるいはアンプ回路であったりします(スピーカーも余り一般的と云えない変わった機器が多いようです)。そのことをもっともらしく話し合い、議論したり、また成果を報告しあったりして満足しています。満足は良いのですが、それ以外のものに全く興味をみせないことが困った人達だと考える所以です。何の為にオーディオに関わっているのか理解に苦しみます。(自己満足の世界)

 音について色々議論して「分かっているつもり」でも本当は何も分かっていないのです。

このようなオーディオ・グループ(或いはショップのグループも)の人達は、他人のオーディオを聞き回るために色んなところへ出掛けます(他人の迷惑などはお構いなし)。そして、「自分たちの方が正しい」というマスターベーション的満足感で帰ります。本当の音を理解していない訳ですから幾ら聴き回ってもなんの役にも立ちません。音を聞かせてもらって自分たちのオーディオの参考にしようという感覚は微塵も持ち合わせていないのです。

 こんなアマチュアの人達が幾ら数で聴き回っても、私たちが聞き回る音の種類と程度とは比べ物になりません。その程度で分かったつもりになられても困ります。

 一言申し上げますと、オーディオ仲間の人達の出す音は、そのグループのオピニオン・リーダーの音を超えることは無いのです。リーダーの出す音を目標に集っているわけですから・・・。また、オーディオ・ショップの場合も、そのショップのカリスマ的(?)店主の作り出すサウンドを超えることはありません。その辺を良く理解して付き合う人を選ばないと、良いように扱われてとんだ泥沼にはまり込みます。ましてや数値一辺倒で理屈を標榜する人種とは付き合わないことです。要注意!。

2)レコード・コレクター

  レコード音楽愛好者の中に、殊の外レコードそのものにこだわる人達がいます。ジャズの場合は「輸入原盤」でなければ気に染まない人。クラシックの場合は、特定のレーベルの輸入原盤にこだわる人達がいます。

 ジャズは、特定のミュージシャンのアルバムは、一通りしかありませんので国内盤より原盤にこだわります。それも初版ものを重視したりします。私が良く通うジャズ喫茶のマスターは、コレクターと云って良い人物ですが、このマスターの場合、多くは国内盤が発売されていないレコードを探しますのでインターネットを良く開かれます(そのお店のコレクションには素晴らしい演奏のものが多くあることに私も驚きます)。一度、私も画面を覗かせて貰いましたが、一枚98万円などというものも出ていました。マスターは「売れないでしょう!」と云っていましたが、大体3万円〜10万円のものは普通に取引があるようです。CD時代以前からこのような市場はあって、世界中からオークションで集める人達もありました(その頃で5万円位だったようです)。

 クラシックの場合は、曲目は演奏家によって多くのアルバムが存在しますが、この場合はレーベルにこだわる人が多いようです。不思議なことに、フィリップスとかEMIとかドイツ・グラモフォン、CBS等ではなくて、何故かロンドン・デッカにこだわる人が多いようです(数人を知っています)。

 コレクションとしてこだわるのは趣味の世界ですから一向に構わない訳ですが、これを通常の観賞用に使用しようとすると色んな問題が生じます。

 現在は、新品のプレスはなされておりませんので、中古市場を探す事になります。普通の国内盤の中古レコードのクラシックは、4枚千円のものから、一枚が大体5〜6百円で入手できます。高くても8百円です(特例もありますが・・)。

 特定レーベルの場合、国内ではそうそう入手は困難ですので、勢いアメリカ辺りから取り寄せます。(国内に専門の業者もありますが・・)これが実は問題があると思っています。

 アメリカ映画を観ますと、テーブルの上に乗せた携帯型に見える(卓上型電蓄?)蓄音機で音楽を鳴らすシーンがしばしば出てきます。日本のようなコンソール・タイプは滅多に見かけません。多分、カートリッジもクリスタルではないか?と思うようなシステムです。そうでない場合は、ガラードなどのオート・チェンジャー・プレーヤーです。現に、組み物のLPでは、一枚目の表は1面ですが、その裏が3面になり、二枚目の表が2面になっているものが輸入レコードには沢山あります。これは、オート・チェンジャーで連続して1面と2面が聴けるようになっているものです。国内盤にはありません。つまり、外国ではオート・チェンジャーのユーザーが多いのでこのような盤が出来たと考えるべきです。大体、レコードは、日本では以前は高価でしたが、外国では安かったのです。レコードを大事に大事に傷つけないよう扱う習慣は日本だけで、アメリカなどでは、かなりラフに扱われておりました(映画のシーンからも十分想像できます)。

 このようなことを前提に考えますと、輸入物の中古ディスクはかなり傷んでいる!と考えるのが妥当です。特にクリスタル針がトレースしたディスクはMM型のカートリッジでもどうか?と思うほど盤面は傷んでいます。特に敏感なカートリッジでは再生は不可能となります(ノイズが多い)。

 このような人々が何故困った人たちか?      (Photo:My Pet)

 一つには、購入価格が国内盤の中古に比し高い事が原因の一つに上げられます。高いものを購入しますと、思い入れも強くなりますのでなんとか「これを」よく鳴らしたい!と考えるのは当たり前です。しかし、前記のような状態のレコードですから、まともな新品のような音は得られません。すると本人たちは思い入れが先行していますので、気に入らない場合は、再生装置の責任として思い込みます。そしてなんとか気に入るような音を出そうとして、凡そ通常では考えないようなことをします。勿論お金も余分に注ぎ込みます。また、オーディオを調整する際にも、そのレーベルのものが気に入ったサウンドで鳴るように調整します。レーベルは、それぞれに独自のサウンドをもっていますので、特定のレーベルでチューニングすることには、私は納得できませんが、そうなると尚更やはりこのレーベルの音が良い!となってしまいます。因みに私は一定のレーベルでチューニングすることはありませんが、最終的に取り上げるのはやはりドイツ・グラモフォンです。一方、演奏については、レーベルにこだわると、アーティストもそのレーベルのアーティストに限られます。音楽鑑賞の範囲が狭まります。

 困った人たちに登場する人達に共通することは(この問題に関わらず)、他人の意見に殆ど耳を貸さず、唯我独尊の世界を形成している人達(あるいはグループ)と言えるのではないでしょうか?レコード・コレクターもそれは趣味として良し!としても、音楽は、そのレーベルだけのモノではないし、また、そのレーベルだけが真の音楽鑑賞の素材でも無い・・・とも思っています。私自身は、全くこだわらず、それでも人に負けないくらいの真剣さで音楽を楽しんでおり、不自由は全く感じておりません。

3)買いたい時に本物が買えない!

買いたくても“その時”買えない人達がいます。このことを少し言及してみます。

 オーデイオ・ショップや、展示会などに行きますと元々オーディオに興味がある訳ですからツイツイ買い込む人がいます。また、雑誌で評判になったりしますと買わないと済まない気持ちになって買い込む人もいます。基本的にその機器が必要不可欠なものであるかどうかはその時には余り考えないのです。そのときは「これで本当に理想のオーディオに近付く!」と思って買い込むのです。売る方に悪意がある訳ではありません。しかし、大抵は余り必要ではなく、余計な買い物であることが多いのです。

 最近はショッピング・ローンも長期が可能になり、10年ローンなどというものもあります。10年なら何とか払えそうだ!と思ってこれもまた買い込みます。ローンの金利は、現在の低金利時代とは云え法外で、昔と大きく変わっていません。しかもアド・オン方式の金利はサラキン並みです。私の商売の頃は販売店に対するローン金利の割戻しなどはありませんでしたが、現在の低金利時代はローン会社のコストが下がっていますので、その分を販売店にバック・リベートで戻すらしいのです(実際に戻しています)。販売店で盛んにローンを勧められた経験はありませんか?。ローンの金利払い戻しで家賃程度は簡単に稼ぎ出せる仕組みなのです。こうして目一杯のローンを組みます。

 どういうわけかそのような人達が「その後で」私とめぐり合います。そこで初めて今まで買い込んだものが余り重要ではなくて本当は本物として役立つそっちが欲しい(私の薦めるもの)と思います。しかし、目一杯買い込んだ後で予算が残っていません。本当に役立つ本物が買えない状況になっているのです。ローンで買おうとしても10年ローンを組んでいるとローン会社も受け付けてくれないのです。

また10年ローンなどは絶対に組むべきでは無いのです。販売店は、10年ローンは金利が嵩みますのでバック・リベートを考えると最もオイシイ商売なのです。しかし、10年ローンを払い終わった時その商品がその時でも役立つものでしょうか?今から10年前を考えて下さい。携帯電話も無かったし、DVDだって無かったのです。パソコンだって今ほどではありません。私などは5年前でさえパソコンをいじれるようになるとは思ってもおりませんでしたから・・・。今の進歩は3年サイクルでどうかと思えるほど早いサイクルなのです。絶対にローンは最長2年まででしょうね。

 私と出会って話を聞くうちに「では、これとこれとお願いしましょう」という方は先ずおられません。大抵は「もっと早く知り合いになっておれば・・・」という恨み文句です。この機器を買う前なら予算もあったのにィ・・・・ということです。

 作られた評判や、過去の知識に捉われすぎたりして色んなものをそのときは買い込むのですが、結局は不要なものを買い込んでいるのです。そして本当に必要なものを知った時には予算を使い込んで買えない状況になっています。これも困った人たちではないでしょうか?具体的にどんなものを買い込んでおられるか提示したいのですが、多分、その方もこのページを読まれますので控えさせて頂きます。

今、一般的に雑誌や、ショップが勧めているものの中には、決定的に「音質を向上させる」ものは殆ど皆無だと思っています。高価なケーブルであったり、既成システムのスピーカーであったり、法外な価格のハイ・パワー・アンプであったりします。その割には音質的な向上はとても投入した金額に見合いません。完全な自己満足の世界です。しかし、それも次の段階ではなんとなく不満を持ち、また何か買いたくなります。これも一種の「買い物依存症」でしょう。それは、「音」に対して確としたポリシーがなく、音の良し悪しを聞き分けられないからです。演奏会に足を運び、一流のオーケストラがどのような音を鳴らしているか、また、音楽を十分に聴きこむことも大事です。オーディオに金をつぎ込みさえすれば音が良く鳴ると思うのは思い違いです。却って悪くしている人もいるくらいです。困った人たちです。

(写真:冬の日光華厳の滝)                       


2005・11・18

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