初めてオーディオをセットした人の次のステップ

 初めてオーディオをセットとする人へのアドバイス―――間違わない為の具体案―――に提示しましたオーディオの段階から、いよいよ本格的なオーディオへ発展させる為の具体的な提案をこれから申し述べたいと思います。

 初めてオーディオをセットする人へのアドバイスでは、全く初歩的な普通のセットアップを提示しました。

 実はこの事は大変重要なことを提案しています。「折角オーディオをセットするのだから、もっと高価な、或いは他人にも凄いものを揃えたなァ!・・・と云われるようなものを購入したい!」と思われる方も多いと思います。「君、オーディオをセットしたんだって?」「そうなんだ、聞きに来るかい?」「おお!凄いじゃん」という会話を期待する方もあるかと思います。しかし、そんなことは“良い音”を再生する為には、“一文の足し”にもなりません。それらを無視して私の提示する程度のオーディオをセットするには、或いはかなりの精神的な決断力を必要とします。ここを誤ると「泥沼」に入り込む危険があるのです。つまり、このことをハッキリ決断したとき、最高のサウンドへの最短距離を走る事にもなります。勿論予算的にも最短距離を走りますし、無駄な出費は一切発生しません。提示した以外の方法をとるとそれらは何処かで無駄金になり、遠回りになってしまうのです。

 「このホーム・ページに掲載されているオーディオは、超高級なオーディオが主体かと思ったら、アンプは12万円?スピーカーは拾って来い?CDは3万円?20万円以下で全部が揃うんだ!面白いなァ」とは公開前に原稿を読んだ私の友人の弁です。「実際、それで良いんだよなァ、どうせ無駄になるものだから・・・」とも・・・。この言葉はスピーカーに対してのものです。アンプ類は無駄になりません。

 では、具体的な方法を提案します。ただし、ここからは一切の妥協もいい加減さも許されません。提示されたものをそのまま加えていく事が大事で、その中に自己流を一ヶ所でも紛れ込ませますと、絶対に孤高のサウンドには到達できません。大事なお金ですから、一円の無駄も無く、それらは全て「音質が向上する方向」に向けられなければなりません。それも投資したお金に見合う以上の改善がなければ意味がありません。つまり最高のコスト・パフォーマンスを狙わなければなりません。

 プレーヤーの改善  まず「音の入り口」のプレーヤーに手を加えます。

 既製品のプレーヤーに搭載されているトーン・アームやカートリッジは、いわば「オマケ」と考えるべきです。これは、今に始まったことではありません、昔からそうだったのです。昔って?そうですね40年も前からかな?現在の高価なプレーヤーに搭載されているトーン・アームでも同様です。ビックリしたのは、モノラル時代の発想(を更に悪くしたもの)をそのまま採用したアームが高価なプレーヤーに搭載されていたことです。敢てメーカー名、品名は伏せます(外国製)。私らが40年も前に経験したことが、今のオーディオ・ファンには目新しい技術に見えるのでしょうか?(実はこんな例は色んな部分で発見できます)。詐欺!!。

 ターンテーブルは正確に1分間、33・1/3回転が保障されれば良い訳ですが、色んな条件で音質が変化します。それらは、後で考えれば良い事で、取り敢えずは、購入した中古のプレーヤーをアレンジして本格化します。

トーン・アームを搭載する  全く私の独自の方法でトーン・アームを搭載します。本来は門外不出のアイディアなのですが、読者の為に初めて公開します。

 必要なものは、ホーム・ストアで売っているハーフ・レンガ2ヶ(普通のレンガで厚さが半分のもの、1ヶ60円程度)を準備します。更にアームを搭載する為のボードを準備します。これは、音質にかなり影響を及ぼしますので、ケチれません。厚さ20mm、幅120mm、奥行き300mmのステンレス板が必要です(私の方で準備できます。取り付け穴の寸法や取り付け位置の設定、加工も私の方で行います。実費で約¥45.000−〜¥50.000−・・・税込み、最近の鉄鋼製品の値上がりで、ステンレスの価格が高騰しています更に布製のガムテープ2mです(通常のクラフト・テープでも用は足しますが、見た目が美しく仕上がりません)。

 まず、プレーヤーを横置きにします。つまり、付属のアームが奥にセットされている状態にします。

プレーヤーの右側(プレーヤーの前面パネルの位置)に二個のレンガを立てかけます。この上にステンレス・ボードを載せるのです。ここでボードとレンガをガムテープでシッカリ固定します。そのボードにアームを取り付けてオーバーハングを見ながらボードとレンガをプレーヤー本体にガムテープでこれもシッカリ固定します。この取り付けは、プレーヤーのセッティングにもっとも重要な部分ですので私自身が直接伺ってセットしますので、ここでは説明だけに止めます。これで見た目にはツイン・アーム・プレーヤーの出来上がり!となります。


 セットするトーン・アームは単体発売としては最新の最高級トーン・アーム、イケダのIT−407とします。イケダには短いタイプもありますが、今のこの方式では取り付け上の制約はありませんので、理想的なロング・タイプの407を採用します。


 下の写真は、トーレンス126にイケダ・アームをセットした例です。(奥のアームはSME)このようにすればどんなプレーヤーにもツイン・アームが可能となります。写真では手前の紙パッキンが格好悪く見えますが、これはプレーヤー・ボードのスプリングを停止(効かないように)する為の処置で、あとで見た目に不都合のないようにすれば良い訳です。スプリングは、ハウリング防止に効果があるように皆さんが思っておられますが、間違いです。ターンテーブルに対して、スピーカーの振幅がハウリングを起こすセッティングそのものを考え直さなければなりません。スプリングで自由に揺れ動くタイプの処理法は、MMカートリッジ時代の古い考え方で、現在のイケダのように一切の共振、ブレを排除して純粋な音だけを取り出すことに腐心している方式では全く認められない方式なのです。SMEのトーンアームはその点で現在のMCカートリッジには全くその用を成さない製品と云って良いかと思います。但し、SMEを使って、シュアーのカートリッジを使用することには問題は余りありません。それでもイケダ・アームの方が音は良いのです。

 次は、カートリッジの装着です。装着するカートリッジは、現在、これ以上の音質は望めない、正に芸術的感動を与える逸品、イケダ・MUSA/W以外には考えられません。また他のものを考えたら初期の目的が達せられません(¥378.000−・・・税込み・メーカー価格)。予算的に、トーン・アームまでを今回の改良点とされる方は、今までのプレーヤーについていたカートリッジをこのイケダ・アームに乗せ替えて下さい。それだけで音が改善されたことを実感します(アームの実力も認知できます)。予算が足りないからとオーディオ・ショップや雑誌が勧めるようなカートリッジを繋ぎに購入するようなことは決してしてはいけません。予算が足りない時は出来るまで待つ!という強固な意志がオーディオを速く完成させるコツでもあります。ここで、なるべくならMUSA/W使用に有利なためにトーン・アーム用の別売重量ウェイトも持って居られた方が良いと思います。MUSA/Wは自重が43gもありますので、付属の標準ウェイト(313g)では、ウェイトがアームの一番うしろでバランスします。これより、重量ウェイト(405g)で、なるべくウェイトが前方にある方が良いのです。ハッキリと音で確認出来るほど違います(実費¥29.000−・・・税込み)

 昔は(今でも)カートリッジをケースに何本も入れて持っている人が多かったのです。全くの無駄で、私は当時から「本物が1本あれば良い!」と言い続けてきました。事実、私のお客様は余計なカートリッジは全く所持しておられません。その代わり、最高のものをいつも使い続けています。折角良い音が楽しめるカートリッジがあるのに、わざわざ音の悪いのに取り替えて聞く必要は全くありませんので、結局使わなくなるだけなのです。これも無駄遣いの典型です。

 さて、MUSA/Wはロー・インピーダンスのMC型で出力が小さいですから、昇圧する必要があります。昇圧用のヘッド・アンプはマランツでもラックスでも内臓されていますので、そのままでも使えますが、最高のサウンド(音楽的にも)を求めるとなれば、やはりトランスに頼る必要があります。トランスは、最新型(2004年新発売)のイケダST−200しかありません(¥199.500−・・・税込みメーカー価格)。このトランスは新技術を導入して3万円前後値上げをされた製品も検討されているようです(発売は未定)。(ここだけの極秘情報です)

 予算が足りないからと云って他の安いトランスを入手してはいけません。将来無駄になります。音質に若干の不満があってもアンプ内臓のヘッドアンプ(MC入力端子)で辛抱して下さい。それでもMUSA/Wの魅力は前より圧倒的に良く感じられます。トランスは予算に余裕が出来たときに入手すれば良いのです。

〆てプレーヤーのグレード・アップ代は、実質で約75万円になります。大事なことは、トーン・アームとトランスは恐らく一生物として使用出来るということです。現に30年以上も前に発売になり、10万人に愛された名器FR−64S(池田勇氏の作品)は、現在でも使用者が多いらしく中古市場に出て来ません。私の息子も現在使用中です。アームは、寿命が長いのです。カートリッジは消耗品ですので、一生物とは云えませんが、5年やそこらは大丈夫です。でも、針先を交換すればまた使えますので・・・。

 これで入力側に対しては超一級のサウンドが確保できました。まず、他のオーディオ・システムの、それもCD中心や、また他のアナログ派の人々の鳴らすオーディオに対しても、完全に一線を画すサウンドが得られるようになりました。アンプが価格が安いものだからと云って馬鹿にしてはいけません。また、スピーカーが拾ってきたもの(または中古の安物)であっても、入力側で高度の信号を送り込めば、キチンと応えてくれて、品位の高いサウンドになるのです。入力側を良い加減に済ますので、良い音が出ないと悩み、高価なアンプやつまらないスピーカーを買わされるのです。この辺のことをシッカリ理解して頂きたいと思います。さて、これからは、時々は、中古屋かリサイクル・ショップを回って理想的なフォノ・モーターが出ていないかを探し回る楽しみも残しておきます。お勧めできるフォノ・モーターが発売されるようなことでもあれば、私から直接、またはこのページでご案内します。       カートリッジの理想

アンプの改善  アンプも少し、大幅に音質のグレードを上げましょうか・・・。

 アンプのグレードを上げる位なら最初からグレードの高いアンプにしておけば良いだろう・・・と思われ勝ちですが、多くの人が泥沼にはまり込むのは、その考えからです。

 アンプは、マランツの一番安いものかラックスの一番安いものでしたね。このことが重要なのです。

基本的なことに少し言及してみます。プリ・メイン・アンプは初歩的な素人が使うもので、オーディオのキャリアのある我々は使用しない!と思っている自称マニアは一杯いると思いますが、それは思い上がりで、そういう人に限ってロクデモない音を出しています。

 本来、プリ・アンプは、コントロール・アンプと云われる様に、入力をコントロールするアンプなのです。つまり、「入力の切り替え」と「音量コントロール(ヴォリューム)」の為にのみ存在する!ものなのです。ですから私が云うように本来は、高級な切り替えスィッチと高級なアッテネーターがあればそれで足りるのです(この「高級」ということは欠かせない大事な用件です。かってのFRが「AS−1」を出していました)。むしろその方がダイレクトで音のためには有利なのです。それが、プリ・アンプとなれば200万円だの300万円だのとどうしてなるわけ?と云いたいのです。高く売るために余計なものをくっつけて却って音を悪くしているんじゃないの?と勘繰りたくなるのはその辺の事情です。しかし、アナログ重視の私たちの場合は、プリ・アンプは、フォノ・イコライザーを搭載している!という問題があって無視出来なかったのです。20数年前に発売されて大いに話題となったマークレビンソンのLNP−2Lはそのイコライザーの音が、全く他のプリと比較にならない優れた再生をしたからです。私自身使用したことがありますが、素晴らしいものでした。価格は当時で118万円でしたが、それだけの価値はありました。中古市場でも値段が下がりませんでした。

 しかし、幸か不幸かCD全盛になって、現在のプリ・アンプからはイコライザーが外されました。結局、アナログを聴く人は別個にフォノ・イコライザーを買いなさい!となったわけで、CDもたまには役に立ちます。市販のフォノ・イコライザーには100万円を超すものもありますが、そんなものは要りません。ラックスが発売している最新のフォノイコライザー「E−1」が圧倒的にお勧めです。価格は税込みメーカー価格で¥231.000−と非常にリーズナブルでありながら、その音質は別格です。繊細で緻密でありながら音のヌケも良く、爽やかなサウンドが一杯に広がります。これで、生涯アナログは楽しめます。このE−1をアンプのAUX端子に繋いで使用します。一挙にアナログのサウンドが本格化します。将来システムが本格化して、プリ・アンプのグレードを上げてもこのアンプは使えますので、生涯無駄になりません。

 これだけでアンプのグレード・アップは終了です。

 ここから後は、以下のページを参考にグレードを上げて行きます。ご質問・ご相談などありましたらお気軽にお問い合わせください。     

 今の装置を生かす  グレード・アップの実際例

  2005・8・2