オーディオ周辺機器 ――何より大事?――

 オーディオの周辺機器に事のほか熱心な方々がおられます。周辺機器については、他の項目でも述べていますが、ここで再度取り上げて私の見解を申し述べてみます。

 ケーブルや電源(タップも含め)、また吸音材などなど・・・。中にはマジナイに似たようなものも存在します。

 これらを使用することによってオーディオの音が決定的に良くなったかどうかを問題点として取り上げてみたいと考えています。

 オーディオサウンドは、先ず入り口で拾い上げた音以上の音は再生されません。アンプが音を作る訳ではありません。アンプは入力信号をスピーカーに伝えるだけの(増幅するだけの)仕事しかしません。

 一方スピーカーはアンプから伝えられた信号を「音」にして伝えるのみです。音は、スピーカーの性能を超えては出て来ません。この理屈をまず最初に理解して頂きたいと思います。

 では、そのスピーカーが果たして十全な役目を果たしているか!と言いますと必ずしも(と云うよりも全く)果たしていないから問題が生じます。

 最近は、色々多様なスピーカー・メーカーが出現して(外国製)、それなりに雑誌等で紹介され、また評価されていますが、正直なところ名前も覚え切れません(それほどメーカーが多いし、次の段階では消えて無くなっているものも多い・・・全くの無責任)。

 そんな中で、このスピーカーなら聴ける!と思うものが一機種も無い!というところが非常に理解に苦しみますし、それを推薦する専門家(と称するヤカラ)がいることに大変驚きますし、違和感を覚えるのです。でも、大半の読者は、それらの記事を信用して購入されていることに私自身は非常な危機感を覚えています。(雑誌を買うのはタカダカ2千円、でも雑誌を信用して紹介のものを買うとン百万円・・・要注意です)

 それらのシステムは、初めから良い音では鳴る道理のない代物(しろもの)が多いのです。それらを推薦している大先生方は当然理論的に駄目だ!と分かっている!・・・と信じたいのですが、どうもそうではないところに問題の根の深さを感じます(具体例を提示したいのですが、有名大先生の個人攻撃になるとイケマセンので控えます・・・自論、というか理屈を曲げてまでもその製品を大推薦して、雑誌の巻頭言にまで掲載するようでは、もう何をかいわんやです)。

 でも、その大先生方が自宅のシステムにはそのようなものを一切使用していない・・・という事実もあります。

 今まで申し述べたことが現状としてありますので、先ずこのことを踏まえ本来のタイトルに移りたいと思います。

 アンプはそれほど重要ではないの項目にも述べましたように、うまく鳴りようもない高価なスピーカーを売り込み「うまく鳴らないのはアンプのせいだ!」として、またまた高価なアンプを売りつけるのは一種の「仕組まれた詐欺だ!」ということです。アンプを替えても元々はスピーカーに問題があるわけですから、やはり期待通りの音は出ません。そこで次の段階で周辺機器の登場となります。

 ケーブルであったり、電源であったり、室内用の吸音材であったりします。それらを次々と売り込むのは最近の悪質リフォームの手口を思い出させるほどです。それらが何故か法外な価格がつけられていることまで悪質リフォームに似ています。オーディオ用となると高い価格でなければならない・・・とでも思っているようです。

 私自身のことを云いますと、ピン・ケーブルでは、最も重要な「昇圧トランスとプリの間」「プリとチャンネルデバイダーの間」だけに約2万円のケーブルを使っているのみで他は高価なものは使いません(2万円で高価・・というのはオカシイですか?)。スピーカー・ケーブルは50芯の平行線(規格品)で70円/mです。これはホーム・ストアで買います。プレーヤーを三角錐で、三箇所を持ち上げて浮かしますと、プレーヤー台に直置きするよりも音がビシッと締まります。これもオーディオ用ではなくてホーム・ストアか東急ハンズで求めます。オーディオ用より9割くらいは安くて済みます。

 こういうものは、必要にして十分であれば良いのです。周辺機器に大いに熱心で、特にケーブルに百万円も二百万円(或いはそれ以上)も注ぎ込んでいる人を何人か知っていますが、これもスピーカーに原因があるのに「ケーブルを替えれば良く鳴る筈だ!」との思い込みで、次々に買いこんだ結果です。替えるたびに幾らか音は変化(良くなるか、悪くなるかのいずれか・・或いは、音質の変化?)しますので、「もう少し、もう少し・・」と完全にはまり込んで、一種の呪縛となって逃れられなくなります。

 その結果、本来のスピーカーのグレード・アップに回せる金もアイディアも失ってしまいます。

 たしかに、ケーブルが音に影響することは私も認めます。しかし、物事には限度があります。常識の範囲ならまだしも現状は“異常”としか云えません。

 私が、日本一のサウンドと太鼓判を押すシステムの持ち主、鹿児島のK・Tさんは、ケーブルには全く私と同じ考えで、必要な箇所以外はそこそこのもので、スピーカー用も私と同じものです。それでも本格的なサウンドをキチンと出しておられます。K・Tさんは、数年前まで工業高校の電子科の先生で、デンキは本職で、アンプのこともスピーカーのことも全て理論的にご存知です。昔は兎に角、今は真空管のアンプは一切使われません。分かっているだけに使わないのです。

K・Tさんは云います「ケーブルなどに多くの予算を注ぎ込む方々は、もう他に手を加えるところのない完成したオーディオをお持ちなのでしょうね」と。これは皮肉ともとれますが、全くその通りだと思います。

 「オーディオ本体が完璧で、もうこれ以上イジルところが全く無いほどの完成度を確保して、どこにもお金を注ぎ込む必要が無くなったとき、周辺機器は予算に合わせて購入すれば良い。」とK・Tさんは考えています。私も全く同じ意見です。ところが、本体はそこそこなのに、周辺機器に幾ら予算を投入しても良く鳴る道理がありません。幾ら周辺機器を良く(?)しても、スピーカーの性能を超える音は再生されないわけですから、ここは先ずスピーカーのグレードを上げることが何より先なのです。

 スピーカーに、性能以上の音を求めて周辺機器に予算を注ぎ込むのは主客が転倒しています。

 アンプの場合も同様ですが、高価なアンプを使う場合と、今までのアンプのままで、予算をスピーカーのグレード・アップに使った場合とどちらが音はよくなるか?ということです。これは圧倒的にアンプに使う予算をスピーカーに注ぎ込んだ方が良いのです。それと同じで、周辺機器に使う予算もスピーカーに注ぎ込んだ方が圧倒的に良いのです。周辺機器による音の変化は実に微々たるものです(アンプの場合でも)。それは、考えてみれば簡単に分かることです。スピーカーがそのままでは、そのスピーカーの音しか出ないわけですから・・・。スピーカーのグレード・アップについては、今の装置を生かすに具体的な方法を提示しています。

 オーディオは、トータルなものですから、どこも完璧にやりたい!と思う気持ちは分かりますが、肝心の入り口がCDで、出口のスピーカーが既製品のそのままでは、いくら周辺機器に大枚を投じても一向に音は向上しません。どこにも完璧な部分は存在していないことになっています。

 CD機器をアンプにつなぎ、それを既成のメーカー製スピーカーにつなぐ。もっとも簡単なこの方式ではマトモに音楽を鑑賞できないことは明らかです。自分のオーディオへの関わりが周辺機器にしか残されていない現状のオーディオ・ファンにとって致し方ないとも思いますが、アナログを導入し、スピーカーをグレード・アップして行く方法を理解して実行されれば、周辺機器に気を使うという考えは一切出てこないことを実感される筈です。K・Tさんのように、全部が終わったらケーブルでも・・・・と考えると思いますが、実はK・Tさんは、システムが完成している現在でも周辺機器に気を使う気持ちはサラサラ無いのです。

 CDをアンプにつなぎ、それをスピーカーにつなぐ。スピーカーはメーカーの既製品で、音のチューニングも出来ないように作られていて、何処にもイジル場所の無い製品しか知らない現在のオーディオ・ファンは、少し可愛相で、周辺機器にのめりこむ気持ちも分かります(手を加える場所がそこにしかない)が、「オーディオは、音楽を鑑賞するためにある」とハッキリ認識すれば、オーディオの音に満足するにはどうすれば良いか、自ずと答えは見えてきます。

 一筋縄ではいかない、十全な知識とテクニックで目まぐるしく音が変化するアナログの世界の魅力を理解し、更に最高の知識とテクニックと音楽性を要求されるマルチ・チャンネル方式に関わり、その都度「目の覚めるような」音の変化を感じながらオーディオに接した時、微々たる変化しか期待できない周辺機器や、高価なアンプへの執着が本来のオーディオのありように比べ如何に程度の低い(失礼!)ことなのかを実感される筈です。今少し冷静に本当のオーディオの姿を思い起こして頂きたいと思います。

 該当の其々の項目を参考にして頂ければ幸いです。

心和ませるハスの花は、佐原市立水生植物園(潮来)で撮影したものです。

2005・9・8