オーディオのあるべき姿

 オーディオの本来の目的は、勿論、音楽を聞くことにあります。中には、オーディオを持つこと、或いは作る事(アンプを組んだりとか)が目的で、音楽にはそれ程興味を持たない人たちもいますが、このような人たちには、このページは全く不要で、音楽を真剣に楽しみたい人たちにこそ、このページを参考にして頂きたいと考えています。

 音楽を本気で深く楽しむ為のオーディオとはどうあるべきか、つまり、理想のオーディオとは・・・ということについて述べてみます。

 音楽には、色んなジャンルがあって、オーディオもそのジャンルに応じたものが必要だ!と思っている人も結構多いのではないかと思います。著名なオーディオ誌に著名な評論家大先生方が“堂々と”タンノイはクラシック向き、JBLはジャズ向きと評しています。その所為でしょうか?私が伺うお宅には、申し合わせたようにクラシックを聴くお宅にはタンノイが圧倒的に多く、ジャズを聴くお宅にはJBLが圧倒的です。間違えてもその逆はありません。そして、「それが当然!」と思われているフシが多分にあるのです。

 更に、タンノイのスピーカーにはマッキントッシュのアンプが圧倒的に多いのです。(雑誌の悪弊)

 全く“笑止”!と云わねばなりません。

 世の中に、クラシック向き、ジャズ向きと言われるシステムなどあろう筈はありません。

 意地悪な考察をすれば、クラシックもジャズも両方を楽しむ人は2セットのオーディオを持て!そうすれば売上2倍でメーカー(輸入業者)も販売店も儲かる!という魂胆でもあるのか、と思ってしまいます。

 実際に、そのような人を私も知っています。「馬鹿なことを」と心で思ってもご本人には言わないのがエチケットと思って決して云いません。多分、多くの友人達から「凄いな!」とおだてられて喜んでいることでしょうから・・・。

 クラシックもジャズもそれぞれ違う楽器を使用する訳ではありません。例え、クラシック用、ジャズ用と違った楽器があったとしても(実際にはありません)オーディオを分けて考える必要はありません。

オーディオは、入力に対して、そのままを再生することが望ましい訳ですから、ディスクに入っているとおりの音を再生すれば良いのです。、オーディオでアレンジする必要はありません。

もう一つ、タンノイがクラシック用だと百歩譲って考えても、ではジャズは鳴らないということなの?という疑問をもちます。(私はアマノジャクなのです)

「ジャズが再生出来ないようなスピーカーではクラシックは鳴らないでしょう・・・」これが私の反論です。

 説明します。オーディオには楽器(音)の分解能が重要な要素として取り上げられます。

 オーディオの再生に、この分解能(楽器の聞き分けがキチンと出来るかどうか)で一番苦労するのはクラシックのオーケストラです。多い場合は、オーケストラだけで130人を超えます。これらを完全に再生しなければなりません。一方、ジャズは、大抵が3〜6人程度のコンボ演奏が多く、ビッグ・バンドでも17・8人程度です。デューク・エリントン楽団とカウント・ベイシー楽団が共演したレコード・アルバムが、たった一枚存在しますが、これでも35人程度です。中には、同じジャズでも、コンボは良いがビッグ・バンドは苦手というシステムもあります。分解能が悪いと当然です。この場合、コンボも本当は良く鳴っていないと考えるべきです。


  楽器の数が多いほど再生は難しいのです。 ジャズは、楽器の数が少ないので再生は容易だと考えられます。  本当は、そんな簡単な問題では片付けられないのですが、判りやすく今はそうしておきます。

 「タンノイがクラシック向き」というのが本当なら、この理屈で言えば、ジャズは簡単に再生出来てしかるべきです。「JBLがジャズ向き」ということは「クラシックは再生出来ない」ということなの?クラシックが再生出来ないシステムならジャズも本当の音は出ていない・・・と云う事になるのです。

 雑誌が口からでまかせを云っていると考えるのが正解のようです。

つまり、クラシックはボケた音で良い!ジャズは荒っぽい音で良い!と思っている誰かさん達の偏見と考えてまず、間違いなさそうです。

 オーディオを考える上で、無視出来ないことは、“音”の本質を良く理解しておくことです。

 少し面倒ですが、基本的な重要なことですのでお付き合い下さい。

音には基音と倍音があります。(重要項目)

 基音・・・元の音のことを云います。たとえば“ド”なら“ド”だけの音のことです。

      音は、元来「複合したもの」と考えられ、その複合音の最低音を基音といいます。

 倍音・・・基音の振動数(周波数)に対して整数倍の振動数をもつ上音のことを云います。

     板や膜による上音は倍音を構成しませんが、弦の振動によって発生する上音はだいたい倍音を 構成します。倍音の呼び方は、基音を1として第2倍音、第3倍音・・・のように呼びますが、オーディオの場合、私たちは、1オクターブ(第2倍音)、2オクターブ(第3倍音)のように呼ぶことが多いのです。倍音は、豊かな音色を形成し、基音の高さを明確に感じさせる機能をもち、2個以上の音の協和にも関係します。また、上音の倍音だけでなく、下方にも倍音があります。

(「倍音」の項の一部は、音楽之友社刊「新音楽辞典」を参考にしました)

 オーディオの追求とは、この「基音と倍音」の追求に等しいと云っても過言ではないくらい重要な要素です。

 極言しますと、基音と倍音の完全な再生にこそオーディオの全てがあると云って良いと思います。

 倍音の再生が不完全であれば、楽器の音色もアイマイで、ハーモニーも荒れた感じになります。

 オーディオのあるべき姿とは、端的にいえば「基音と倍音を完璧に再生すること」に尽きます。

 このことをシッカリ念頭において下さい。自分のオーディオに何故満足出来ないか?基音と倍音の再生が 不完全であるからです。

 音は、振幅(波)であり、その振幅に完璧に追従することが出来るシステムは、基音も倍音も完璧に再生できる道理なのです。

 「振幅への完璧な追従」「基音と倍音の完璧な再生」 この二つは、全く同じことなのです。

 音楽・・・と思うから、色々な記事や、ショップや、友人などに良いように云われて失敗するのです。

 音楽・・・と考えるのではなく、「音」と考えて「音の本質」を追求すれば、オーディオを間違うことはないのです。

 音楽・・・といえば、何か特別な神秘的なもののように思わせて、その為オーディオ自体も特別なもののように思わせ、揚句はとんでもないものを買わせたり、記事にしたりしてタブラカスやからが多いのが現状です。雑誌の紹介記事や、機器の解説(技術的なことは別)や感想文などを改めて読んでみて下さい。「そんな音が出る訳ないって!」と思えるものが如何に多いか気付かれる筈です。誰とは云いませんが、何やら新興宗教的な匂いがすることも事実だと思っています。詐欺か?

 音楽・・・は、単に「音の集合体」と冷静に思い致せば、音の本質が見えてきます。

      本当の音楽鑑賞のためのオーディオはその時、本領を発揮します。

そのために何が重要で、何が重要でないのか、少しずつ明らかになります。

 ※ 以下を参照して下さい。


          スピーカーの理想 その1   基音と倍音の再生・高い周波数
          
スピーカーの理想 その2   フル・レンジとマルチ・スピーカー
          
ネットワークの弊害       必要悪の最たるもの
          
マルチ・チャンネル       これしかない。でも専門家がいない?