CDは音楽を再生しない

 随分ショッキングなタイトルと思われるかも判りませんが、その方が読んで頂く可能性が高いかも・・・と思ってのことです。しかし、本当のことを申しますので音楽ファンの方は真面目にお付き合い下さい。

 このCD時代に逆らう評論ですので、ジックリと長い文になりますが宜しくお願いします。

 CDそのものの問題か、又はデジタル化の問題か、或いはその両方か、多分何れも正しいのかも判りません。

私自身CDでは、少なくともクラシック音楽を真剣に鑑賞することはありません。

何故CD全盛になったのか?その考察に述べましたように、私はCDを殆ど持ちません。理由は簡単で、楽しめないからです。逆に音楽を聴いていて不愉快になるからです。それはひとえに音が悪いからです。

 CDが全盛になった理由は、音が良いからでは無く、業界の事情でそうなったことは、何故CD全盛・・・に述べてあります。更に、業界にとって、一般の方に殆ど知られていない事情があります。コンパクト・ディスクと云うように、LPに比べコンパクトに出来ています。このことは、在庫をする為の倉庫のスペース、荷作りの小型化、搬送費の節減などは勿論、LP製作に意外にコストがかかって頭の痛かったのがジャケットの制作費でした。それらがCDはLPより経済的、コスト的に有利な分が大いにあるのです(100円ショップで正規に売られているほどCDのコストは安い。LPは自宅で作れませんでしたがCDは簡単に作れます)。ですから、今、メーカーが真剣に考えているのは、CDを作る必要も無い、搬送費も、保管のための倉庫の経費も必要の無いものです。お解かりでしょう。インターネットによるブロード配信です。こうなったら、音質がどうの、音楽性がどうの、と言う考えそのものが吹っ飛びます。ココまできたら、堕落も極まれり・・・と思いますが、私は何れその時代になると予感しています(そのときレコード屋、今のCD屋は倒産するしかありません・・・売るものが無い訳ですから)。そのために私は(また同好の士は)必死で抵抗したいものです。その為にも、作られたCD神話を粉砕し、本物の音楽鑑賞のためのオーディオを探す時だと思います。誰もユーザーの利益が頭に無いことはこれで証明できたと思います。業界も、雑誌も結局おのれの利益のためにしか動いていません。あとは、自衛あるのみです。

 さて、本題にはいりましょうか。

私たちが普段、自然界から耳にするもの、或いは目にするもの、これらは全てアナログで感受しています。

デジタルは、この連続的アナログの世界を、一旦バラバラに分解し、再構築したものです。つまり、今で云いますと、微細なドットの集合体がデジタルです。この方がアナログ(元の状態)より有利と云うことは絶対に無い!と云うことが一点。例えば、一個の茶碗があります。これを超微細に粉砕します。

 「蚊のこぼす、涙の海の浮島の、真砂拾いてチジに砕かん」これが分子の大きさらしいですが、たとえココまで砕いた茶碗を、接着剤で元通り戻しても元よりは良くはならないでしょう。これがデジタルです。(勿論デジタルそのものの他分野での優位性は十分に理解している積りですが、ここでは「音」に絞っての話です。)

 デジタルには、サンプリング周波数とビット(ダイナミック・レンジ)とがあります。通常のフォーマットでは、サンプリングが44.1kHzで、16ビットです。従ってダイナミックレンジは16×6で96dbと堂々と書いています。まずこれがマヤカシです。絶対に96dbのダイナミック・レンジなどCDからは出てきません(ましてや、雑誌等で推薦しているスピーカーでそれほどのダイナミック・レンジを再生できるスピーカー・システムは皆無です)。同じデジタルで、1979年に衝撃的デビューを果たしたテラーク・レコードは、サンプリング50kHz、16ビットで録音したものを、LP化したものです(この頃まだCDはありません)。このサウンドは、後にCD化されたものと比較しましたが、圧倒的にLPのダイナミック・レンジの方が大きいのです。LPは、65dbです。如何に数字上のマヤカシでCDが成り立っているかの証明です。(このテストは、私が日本最高のオーディオと太鼓判を押すお宅でのものです。――鹿児島――)

 では、サンプリングについてはどうか?44.1kHzつまり、一つの周波数の音を4万4千100個にも分割してあるのだから文句ねえだろう・・と云いたいのでしょうが大いに文句アリです。44.1kHzがどうした!と開き直りたい気分です。4万4千100個、想像もつかない分割数だと思っていませんか?これもマヤカシです。素人と思っておどかすんじゃねえよ!と云いたいですね。

 オーデイオ・フェアや試聴会などに行きますと、コントラバスのソロとかオルガンの音とか聞かされた経験はありませんか?何故か低い音を聞かされます。理由は簡単です。高い音は良くないからです。

証明しましょう。

 例えば50Hzの低音(実際は再生出来るウーファーは少ないですが)は超低音の部類(ジェット機の通過でガラスがビリビリ響くような低音)ですが、1秒間に50回振幅しますので、1振幅は44100÷50で882となります。これならまあまあ良しとしましょう(本当の音でないことは事実ですが)。この計算でいくと200Hzで220.5です。ですから低域は比較的ゴマカシ易いのです。しかし一方、CDの限界高域の20kHzだと、僅か2.2個です(2個以上でないと音を構成しません。ですから、上限を20kHzに決めておいて44.1kHzに設定されたのです)。2個で完全な音が再生出来ると思いますか?まあ20kHzは聞こえないし・・・と考える方の為に、もう一つ、100歩譲って一般に可聴域限界と云われる付近の12kHzの音であっても僅かに3.6個に分割されるに過ぎません。重要なこの帯域をこれではまともには再生されないことは明らかだと思いますが如何でしょうか?

 では、何故このような良い加減なものが採用されたのでしょうか?これに対して、デジタルに問題を提起している文部省の大橋力教授は「一対比較法」に問題があったと発表されています。(米国・音響学会)

 「一対比較法」とは、次のようなものです。

 人間の耳は、前に聞いた音を一定時間保持していると云うのです。ですから、LPの音を聞いて、その音を保持している時間内(凡そ15秒間)に今度はCDの音を聞きますと、LPの音が保持されていますので、音は同じに感じる・・・というものです。その結果、CDもLPも変わらない!と評価されたもののようです。

 このことは、カートリッジの試聴とかアンプの試聴などでも切り替えの時間を15秒以上おかないと評価を間違える・・ということにもなります。(切り替えスイッチで瞬時に切り替える試聴は間違いのようです)

 最近のCD再生機の評価では、音の良さの評価として、「LPと変わらない」とか「LPに匹敵する」とかの文が目立ちます。これは、CDはLPに及ばないと云っているようなものですが、業界では、CDが最高との評価は変わりません。雑誌関係の方は、CDを否定するとメシの問題に関わるからCDを褒めるのだ!と思っていましたが、どうもそうではなく本当にCDの方が良いと思っておられるらしい。嘆かわしい現実としか云えません。

 次は、デジタル録音のCDと同じ録音のLPと比較してみましょうか?これはLPの方が音が良いのです。

先のテラークでもそうですが、私自身、デジタルと気付かずに聞いていたLPがあります(ロンドン・レーベルのマーラーの第4交響曲、ズービン・メータ指揮のイスラエル・フィルハーモニー)。こんな例は多くあります(ロンドン・デジタルは、サンプリングは48kHz)。どうもCDよりLPの方が同じデジタル録音なのに音は良いらしい。このことを検証してみます。

<ジャケット写真>

勿論、中にはハッキリとデジタル録音と判る面白く無いサウンドのLPも多くあります。

同じ録音なのにCDの方が音が良くない!こんな経験は多分感じられた方も多いと思いますが、何故でしょうか?私は、CDの再生方式に問題あり!と思っています。前記のマーラーはサンプリングが48kHzであり、テラークは50kHzですが、CDは44.1kHzにしか出来ません。その差だけでしょうか?

 CDは、レーザー・ビームより発せられた光をディスクに照射し、その返ってきた信号を読み取る非接触型の再生方式です(従ってディスクには傷がつかない利点があると云われる)。それに対し、LPやテープは接触型です。非接触型の場合、その中間に何か異物が混入する余地がありますが、接触型にはその余裕はありません。

 多くのCD関連の書物には、レーザー光がディスクに照射された際に、そのカット付近で乱反射を起こすが、(光量が減衰する)、コンピューターで補正されて音楽再生には問題ない・・・と書かれています。

 これも製造者側の言い分で額面通りには受け取れません。

CDの音に不満のある人の大半は、CDは「ウルサイ」と感じられるようです。

これは、レーザー光の乱反射が犯人だと私は思っています。

CDは全ての信号を「0」と「1」に置き換え、その「0」と「1」を凹凸状にディスクにカットしてそこにビームを当ててその反射を読み取ります。この凹凸がキチンとカットされているかどうかと云いますと、実は、バリようのものが結構あると云う人もいますし、表面の仕上げ用の塗布剤(鏡面)がかなり不揃いだと指摘する人もいます。これらが乱反射の原因だと。確かに考えられる事象だと思います。あるショップが飛躍的にCDの音質を向上させるとして一枚¥2000−程度(高い!)で表面を研磨するという広告を出しているのを見たことがありますが、幾らかは改善されると思いますが、どうでしょう。

 私は、乱反射した光が、周辺に当り、四方八方に飛散した結果、その一部分がまた受光部に返ってくると考えています。この反射光は、本来の反射光より時間差的に遅れて返って来ることになります。しかも色んな方面から多種類の時間差反射光(これを私はフィードバック・ノイズと呼んでいます)が受光部に返ってきて、これらも本来の音楽信号に混入して再生されると考えています。

 LPのスクラッチ・ノイズや、テープのヒス・ノイズは、音楽成分を含みませんので、人間の耳はノイズとして排除しながら音楽のみを選択して聴くことができます。しかし、このフィード・バック・ノイズは音楽成分の時間差信号ですので、私たちは音楽の一部としてその混合音を感受してしまい、ノイズとして  排除することが出来ません。これが「ウルサイ」と感じる犯人だと思います。一例を挙げますと。

 有名なクラシックの名曲、ムソルグスキー作曲でラヴェルが管弦楽曲に編曲した組曲「展覧会の絵」を聞いてみますと、冒頭でトランペットが「プロムナード」を奏する部分で、トランペットが二本にずれて聞こえた経験はありませんか?実は一本のトランペットなのです。フィードバック・ノイズが悪戯をして二本に聞こえます。一本のトランペットが二本に聞こえるという事は、オーケストラのような多くの音を含む曲では、どれだけの音が混ざり合っているか分かりません。<ジャケット写真>これでは音楽は聴けません。しかし、この問題は、いくらか解決する方法があります。このフィード・バック・ノイズを透過させない液体(本来は化粧品で、深海鮫のエキスらしい)があって、これをCDに塗布しますと、見事にトランペットが一本になりますし、低域がキチット再生されます。(CD一枚に10円程度・・・・少し在庫があります。CD約200枚分で¥2000−・・・送料・税込み・・・4000枚分を購入された方も随分おられます。「ハナグスリ」と私は呼んでいます)1月現在、在庫が僅少となりました。CDを少しでも良い音で再生する為にお勧めいたします。ご注文は末尾の「ご相談・お問い合わせ」項目に記載のメールでどうぞ。

 では、この「ハナグスリ」でフィードバック・ノイズがいくらか軽減されたところで音楽が聴けるようになるか・・と云いますと問題はそんなに単純ではありません。

 CDには20kHz以上は1Hzも入っておりません。しかも高域に至るほどその構成個数が少なくなっていることは述べた通りで、高域の音をCDが苦手にしていることは論を待ちません。

オーディオのあるべき姿 スピーカーの理想その1 に詳しく述べましたように、音楽の再生には、倍音と高周波の果たす役割が非常に重要だということです。

 LPには、十分なものが含まれていますので、「キチンと再生すれば」全く問題はありません。それに対してCDはその最も重要な部分が欠如していると云わねばなりません。CDで音楽が聴けない最大の問題はこの一点に尽きると云って良い位です。先に述べましたように「一対比較法」での良い加減な音決めを行いました。それとベートーヴェンの「第九交響曲」が一面に収録されること(これは指揮者のカラヤンが提唱・・・カラヤンは商売人の感覚)が原則としてありましたので(その為当初7センチのディスクの予定を現在の12センチに変更した経緯があります)サンプリングも現在のものが適当となったようです。サンプリングを増やすと更にディスクを大きくしなければなりません。更に、CDを普及させる必要は音質・音楽性に全く無関係に業界の事情があったことです。 何故CD全盛になったか?その考察

 こうして音楽を万全に再生出来ないCDが世の中に蔓延してしまいました。

CDにまつわる雑談

 では、アナログであれば、CD以上の音楽が必ず聴けるか?となりますとなかなかそうも行かないのです。

 あるジャズ・ファンの方に「CDはやはり駄目ですよ、このレコードでハッキリします」と提案しました。

レコードは、パブロ・レーベルが1975年に発売した「This One‘s For Blanton」(録音:1973年)デューク・エリントンのピアノとレイ・ブラウンのベースによるデュオの演奏です。   このレコードは結構ヒットしましたのでお持ちの方は多いと思いますが・・・。

<ジャケット写真>

 このレコードのA面一曲目の冒頭で、エリントンが強烈に鍵盤を叩いてスタートします。この時、LPでは、ピアノ(当然グランド・ピアノ)の響板の響きがハッキリ聞こえるのですが、CDでは全く聞き取れません。

マークレビンソン(高価と云う意味)のCDプレーヤーでも同じです。この方は、幸いにもCDとLPの両方を持って居られたので早速聞き比べました。返事は「内では同じにしか聞こえません」とのこと。「そんな筈はない」と思いお宅へ伺いました。確かに同じ程度にしか聞こえません。私には理由は判っていました。カートリッジの再生能力が悪い!と。カートリッジは、日本製のプロ用としてもっとも使用者が多いものでした。そこで、私が持参したカートリッジを、トーンアームに悪戦苦闘しながらなんとかバランスをとり比較して貰いました。その方はパニック状態で「この鳥肌を見て下さい」と圧倒された様子です。間もなくこの方はプレーヤー一式を買い揃え、その際、トーンアーム・カートリッジ・昇圧トランスは私の薦めるもので取り揃え、以後、中古レコード屋を回り続ける日々が続き、今では、LPが2千枚を超え、CDは完全にお蔵入りとなりました。

 実は、CD時代になって、かっては想像すら出来なかったピュアなカートリッジが開発されて、専用のトーンアーム・昇圧トランスが発売になっているのです。このような鳥肌が立つような経験を多くの方に体験して頂く為にこの文を書いています。いくらアナログでも再生能力の低いものは、やはり駄目なのです。

                                       カートリッジの理想

 スーパーCD

 スーパーCDが出てもう何年になりますか・・・。実はガッカリしています。少しは期待したのですが、見事に裏切られました。フォーマットは通常のCDよりは良いと思いますが、問題は、コンバーターの音作りです。デジタルだからデジタルらしいサウンドでなければいけないとでも思っているのか実に冷たい音楽性の無いサウンドに作られています(音楽を聴かない技術者も困りものです)。それとソフトの問題です。最近のクラシック界は、CDの売り上げが少ないので、世界の一流オーケストラを使っての新録音は、採算の面から殆ど作られません。ましてやスーパーCDのソフトを作る馬鹿な会社はありません(機器の販売台数を考えてみてください)。従ってスーパーCDの新録音は無理です(例え幾枚かの新録音があったとしても、音楽ファンの実用になるほどのレパートリーは到底ありません)。また、過去に録音したデジタル録音は、フォーマットが違いますので、スーパーに移し替えられません。そこで58年〜60年に録音されたブルーノ・ワルターのモーツアルトやベートーヴェンが多くなります。これは、昔はCBSでしたが、現在はCBSはソニーですので、特にその辺りが発売されています。しかし、録音されて、すでに40年以上を過ぎた今、かっての録音テープの経年変化が如何様なものか、テープ時代を経験した方ならお解かりでしょう。このテープを少しイジッてそれらしい音に変更しても、これも元の音と同じにはなりません。従って、やはり真のHi−Fiとは云い得ません。それよりも、録音当時発売のLPが圧倒的に優れていることは火を見るより明らかです。しかも今なら中古レコード店で、一枚500円以下で買えます。

50万円のSACDのデッキを買って、ディスクは10枚程度という人が結構います。CDは3800円ですから、10枚ですと、機器の価格を考慮に入れると、一枚当たり5万3800円のソフトになります(LPは500円以下)。こんなことを昔からメーカーはやります。かって「Lカセット」なるものがありましたがなんだか思い出されます。また、今のDVDにも似たような部分があるようです。

 20ビットCD

CDの中に、特にオーディオ・ファンの為に作られたやや高価なCDで20ビットで録音されたものがあります。こんなものこそマヤカシの最たるものです。16ビットでもその恩恵は全く感じられないどころか、それを再生出来るスピーカーも無いのに20ビットがなんのメリットがあるのでしょうか?しかもCD化に際しては16ビットにダウンしています。これを悪あがきと云います。やるなら、サンプリングを今の2倍の88.2Khzでも作って見ろ!と、ハナから出来ないと判ってて云ってみたいですね。もし作るとしたら、大きさがLP並みになり、コンパクトで無くなりますから、なんと呼ぶのかしら?(最近の圧縮技術なら可能でしょうが、余りにも現在のフォーマットのCDが出回り過ぎましたので規格変更はもう無理です)

 映画「ザ・ロック」

先日、TVで、ニコラス・ケイジとショーン・コネリーの出るアクション映画「ザ・ロック」で、こんなシーンがありました。ニコラス・ケイジがビートルズのLPジャケットを持って嬉しそうにしていますと、隣の友人が「そのビートルズのレコードが600ドルかい?CDなら13ドルで買えるよ」と云いますとケイジが「それでもビートルズ・ファンと云えるかい!こっちの方が音が良いんだよ!」と云います。どうやらCDよりLPの音が良いと云うのは、あちらでも通説のようですね。そしてCDでビートルズを聴くのはビートルズ・ファンではない!と、この文のようなことを云ってます。

 LPとCD 価格の対比

レコード・コレクターでもない私は、国内盤でも輸入盤でもあったものを入手しますので、昔と比べ比較にならない価格で手に入れています。大体LPは発売当初から、価格の変動は殆どありませんでした。CDになっても、その価格が通っています(発売当初から¥2300−程度・・当時の給料は初任給8千円弱)。

 SPレコードの時代は高くて一般のサラリーマンは買えませんでした。レコードは高嶺の花だったのです。

大学出の初任給が7〜8千円程度の頃、ベートーヴェンの「運命交響曲」は、SP(12吋盤)4枚組・カートンボックス入りで2千4百円でした(一枚500円)。LPになって「運命」は片面に収録出来ますので千円になりました。今は、中古レコード屋で、4枚千円(1枚250円)になり、「運命」は125円になりました。中には2枚組みも一枚扱いと云うのがあって、これだと62円50銭になります。これもCD時代のなせる業で、正にCD様様の時代と思っていますが、CDも先に述べた理由で、クラシックでは新録音がなされませんので、昔録音して、発売されなかったものが出るようになりました。多くは、各放送局がライブを録音したもので、これらは比較的安価ですし、著作権の切れた録音のCDは、ベートーヴェンの交響曲全曲で1200円などと云うものもあるようです。中には、ビックリするような名演もあって、油断ができません。

 これらは仕方がありませんので、音は我慢して演奏だけを取り出して聴く以外にありません。

 しかし、現在アナログの再生装置を処分したり、お持ちで無い方は、LPの格安さを勘案して、この際、セットされることをお勧めします。音の悪いCDより圧倒的に音楽が楽しめる最高のアナログ再生装置を備えますと、それなりに予算は掛かりますが、オーディオが生まれ変わることと、CDとLPの値差で、装置代はチャラになるほどです。一考をお勧めします。

 CD時代になって音楽の世界が堕落したことは間違いありません。CD屋が不景気だそうです。原因は携帯電話の普及で、若者の可処分所得が携帯に流れ、CDに回らないそうです。携帯に食われるほど音楽の世界が堕落していると云うことです。

 早くCD中心から逃れるほど音楽とオーディオの世界は楽しく、深く広がると確信しています。

しかし、CDで十分!と音楽を楽しんでいる人はそれなりに幸せです。でも、たまには美味しい酒でも味わってみたら如何でしょうかネ?

2005・3