■ ミノルタSIX2006.7.31

1935年発売の剛性ジャバラのフォールディングカメラ。ミノルタの前身、モルタ合資会社の時代に発売された一台。1937年に千代田光学に改名になる前である。

発売当時の価格は50円。当時の銀行員の初任給が90円であるから大変高価なものであった。今の銀行員の初任給ではなく戦前の銀行員と言えば大変なエリートであるから庶民には縁のないものであった。とはいえドイツ製のカメラに比べればかなり安価であった。
また同じミノルタでも2年後に発売される高級型の二眼レフ、ミノルタフレックスの305円に比べればかなり安価であった。

レンズは旭光学製のコロナ80mmf5.6で3群3枚のトリプレット。前球回転式に押し切り型のクラウンシャッターで1/25、1/50、1/100、1/150とバルブの簡易的なシャッター。ファインダーは折りたたみ式のニュートンファインダーと言うものであった。

巻き上げは赤窓式であるが、当時のブローニーには69の数字しかないので、赤窓が3箇所もあり、窓にフィルムの数字が書いてあり、その数字にあわせて窓でとめるので大変めんどくさい。ジャバラもスプリングカメラのようなものではなく、ベークライトの剛性ジャバラでロックがないので、無限遠が出づらく、まっすぐに出さないと周辺がけられてしまう。また押し切り型のシャッターは当然ボディーレリーズになっていないのでぶれやすいので注意が必要。

距離計もなく、フランジバックも不安定であり、またファインダーもニュートン式の見辛いもので、なかなか今積極的に使うのは辛いところである。ただ、戦前の日本の技術水準では致し方ないところであろう。あまり見かけることも少ないが、つかって楽しむ程度なら良いが作品造りにはなかなか厳しいだろう。




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