■ 小西六 パールI2006.10.22

小西六の手による薙刀。1949年発売。戦前に出ていたセミパールの戦後型でかなりリファインされ近代的スプリングカメラとなっている。

パールIはまだシャッターが自社製のデュラックスで1〜1/100秒までしかない。また距離計は連動距離計ではなく一眼式では有るが単体距離計である。
レンズはパールIIのごく初期型まで使われたヘキサー75mmf4.5でテッサー型である。

この後パールシリーズは着実に進化して行き、パールIRSでシャッターがコニラピッドの1/500までのシャッターになり、II型で連動距離計、f値がf3.5のヘキサーが登場、III型で自動巻き止め、IV型ではブライトフレームファインダーを搭載するまでになり、日本はもとより世界的に見ても一流のスプリングカメラシリーズであった。

I型はその始祖的なもしくは戦前のパールシリーズも入れれば、パール中興の祖ともいえるカメラで歴史的には重要なカメラではなかろうか、数も後の方に比べると少なく、押し型目利きとしてはまずまずのものではないだろうか。

I型は出た時代的に見れば、シャッターは1/100までと劣るものの、ファインダーはイコンタのようなアルダバの組み立て式ではなく逆ガリレオ式の見やすいファインダーで、ピント合わせも前球回転ではなく、ヘリコイドと美点を持っていた。

現在使う上では速写は無理であろうがゆっくりと撮るのであれば、かさばらず、その上セミ版の大きなフォーマット、写りに定評のあるヘキサーレンズと意外と使えるカメラではなかろうか。ただ、自動巻き止めは無いので二重写しや単体距離計なので、距離計の数字をレンズヘリコイドに移し変える作業を忘れないように注意が必要だろう。


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