ゴッドマジンガーストーリーガイド


1.蘇りし伝説の巨神

 はるか数万年前の太古の世界で、ドラゴニア帝国とムー王国の存亡を賭けた戦いがあった。
 ムー王国は、先王がドラゴニアの黄金王ドラドに謀殺され、急速に力を落としてドラゴニアに攻め入られ、今や滅亡寸前にまで追い詰められる。この危機に、王位を受け継いだ先王の一人娘のアイラ・ムーは、ムーに代々伝わる伝説のゴッドマジンガーの再臨を願って日夜祈祷を繰り返していた。
 そんなアイラの願いが通じたのだろうか、祈祷も3日目に入った時、時を越え、現代日本に生きる高校生の火野ヤマトに、アイラの声が届いてきた。火野ヤマトは、高校でラグビー部に所属する、スポーツ万能の少年だ。そのヤマトの脳裏に、眼前に、様々な声と幻が押し寄せてくる。声は、幻は、ヤマトを求め続ける。だが、ヤマトはその不可思議な声に戸惑いを見せるばかりだ。だが、アイラの命を狙ったドラゴニアのシャーマン部隊の襲撃があり、アイラが襲われる。アイラの助けを求める声を聞いた時、ヤマトはムーに行くことを決意した!
 瞬間、ヤマトの身は閃光に包まれ、時空を越えて古代ムー王国の神殿へと飛翔した。そこには、幻で見た巨大な岩の神像・ゴッドマジンガーの姿と幻の中の少女・アイラの姿があった。アイラ暗殺を目論むシャーマン部隊のミツメは、ムー戦士団の長のドルトンと激しく斬り合いを演じていた。そして、ドルトンはなんとかミツメを倒すものの、自身も深手を負って死亡してしまった。
 これを好機と取ったドラゴニアは恐竜たちをムーの王城に差し向けてきた。だが、ゴッドマジンガーと一体となったヤマトの前に、恐竜たちはまるで塵芥のごとくに灰塵に帰せられてしまった。恐るべき、魔神のパワーだった。
 恋に、スポーツに、青春を謳歌するごくありふれた現代少年だったはずの火野ヤマトは、今や古代ムー王国の救いの主となったのだ。

《解説》
 「いまだ生まれぬ子が叫び 月が涙を滴らせ 獅子の鬣靡く時 稲妻猛り闇を裂き 神蘇りたもうなり」
これがゴッドマジンガー起動の条件とされた言い伝えである。
 「いまだ生まれぬ子」とは、数万年前の世界であるその当時、この世に生誕していない火野ヤマトのことであり、「月が涙を滴らせ」は、ムーの戦士長ドルトンの血しぶきがレリーフの月にかかって血が滴り落ちたことを指していた。そして、「獅子の鬣靡く時」とは、同じくレリーフの獅子像に敵のシャーマンのミツメの飛び散った髪の房がからまって靡いているように見えたもの。「稲妻猛り闇を裂き」は、そのまま外で稲妻が走っていた。
 正直、これを映像で見たときには、大仰な言い伝えの割には実際の状況がどれもせせこましく、神の降臨にはおよそ相応しくもない陳腐な条件にしか見えなかった。そしてそれは、今でもそう思っている。これが、本作品を安っぽいヒロイックファンタジーに感じさせる一要因ともなっており、イメージを悪くさせていたことも疑いを入れない。
 だが、これは本当は「ゴッドマジンガーの蘇る条件」だったのではなく、ただ単に、光宿りしものによって未来を見通していたムー王国の祖先によって、「ヤマトがゴッドマジンガーになるその瞬間を予見した光景を伝えるもの」だったのかも知れない。ムー王国の祖先は、ヤマトがムー王国を救う救世主であることを予見していたのであろう。


2.選ばれし者の定め

 ムーの時代にタイムスリップして、巨神ゴッドマジンガーとなってムー王国の危機を救い、一躍救世主として祭り上げられてしまったヤマト。もともとムーとは何の関わりもないヤマトは、女王のアイラに対しても対等な口利きをするのだが、それがムー四剣士のゾルバには気に入らない様子だ。
 ヤマトは、異世界にやって来てしまったことを後悔し始める。そんな折、侍女のマドマに連れられて食料庫に行ったヤマトは、そこでもゾルバに見咎められて言葉の行き違いから剣を振りかざしての決闘となってしまった。ヤマトはラグビーで鍛えた技でゾルバを降すのだが、そこへ四剣士の一人・ギロンが仲裁に入る。
「あれでゾルバはあなたを試したのかもしれません。ムーは今後あなたを頼りにしていかなければならないのですから」
 ギロンの言葉に、ヤマトは戸惑う。ヤマトは、あくまでもシャーマンに襲われていたアイラを助けるだけのつもりでムーに来ただけなのだから・・・ そして、ムーでの自分の役割はこれで終わりにして欲しいとアイラに訴え出る。だが、時空を越えさせてヤマトを日本に戻すということなど、アイラにも行えるはずもない。ヤマトは自分が日本に戻ることが出来ないことを、今、悟った。
 折から、四剣士たちは斥候の報告により、森にドラゴニアの恐竜がいることを聞きつけ、偵察に出ていた。だが、それは直ちに黄金王ドラドの知るところとなり、四剣士は恐竜に襲われる。ゾルバは、乗物用の爬虫類動物(ヘスペロクス)も失い、岩穴に追い詰められて生き埋めにされそうになっていた。そこへ、侍女のマドマが四剣士の危機をヤマトに告げに帰った。マジンガーの戦闘の呼びかけにも耳を閉ざしていたヤマトだったが、自分の妹よりなお幼いマドマすらが戦いに役立とうと危険な偵察を行っていたことを知り、戦う決意を固める。
 直ちにゴッドマジンガーと一体となったヤマトは、現場に急行し、恐竜を魔斬剣で一刀の元に斬り伏せる。四剣士たちは命拾いをして救援に訪れてくれたヤマトを褒め称える。一人、ゾルバを除いては・・・

《解説》
 この種のヒロイックものについて回る宿題が、「なぜ○○が選ばれたのか」というもの。残念ながら、本『ゴッドマジンガー』においては明確な提示は為されていないままである。これも安手のヒロイックファンタジーにありがちな「安直な展開」と陰口される要因の一つであろう。この2話あたりまでか、さもなければ最終回で語っておいてほしかった柱である。
 とはいえ、今後仲間として生死を共にしてゆく四剣士との、邂逅と衝突をじっくり描きこんでいるのが見ごたえある。また、ヤマトが現代日本に帰りたがるという描写も、お約束といえばお約束なのだが、他の異世界物と画一して主人公がさほど苦悩しないのは、ヤマトが神という至高の存在によって召喚されたために、「なんとかなるさ」と状況を甘く考えさせるところがあった為であろう。また、敵に対しても圧倒的な力の差を見せつけるゴッドマジンガーに乗っていては、自分の命を心配する必要もなく、切羽詰った感がないのも肯ける。


3.光宿りしものの謎

 戦勝に沸くムー王国では、戦士たちが勝利の宴を張っていた。そこへ、ムーの装束に身をまとったヤマトも現れる。それは、このムーのを護るために戦うというヤマトの決意の表れでもあった。四戦士や、アイラはそのヤマトの姿を見て喜ぶ。特に、ヤマトをこの世界に連れて来てしまったアイラには、嬉しいことだった。
 だが、この宴の中、みんなの油断を衝いてヨナメ率いるシャーマン部隊の精鋭が、ゴッドマジンガーを破壊せんとしてムーの神殿に乱入してきた。このことを感知したゴッドマジンガーは閃光を発してムーの戦士たちやヤマトに警告をする。これを知るや直ちにヤマトは神殿に走った。そして、四剣士たちと協力してこれを撃退するのだった。
 翌日、大事に至らずシャーマンたちを退けたヤマトに、アイラが「光宿りしもの」の秘密を打ち明ける。一方のドラドは、任務に失敗したシャーマンたちを粛清し、墓場から新たな恐竜を蘇らせるのだった。

《解説》
 今回は、ゴッドマジンガーに乗って戦うシーンはなし。ここがこの物語が、「ロボット物」というよりは主役はあくまでも異世界に紛れ込んできたヤマトであって、そのヤマトの遭遇する事件を描こうとしていることを窺わせる点である。
 また、バルコニーでヤマトとアイラが語り合うシーンも美麗。フルムーンの月光の中の二人は、いつか愛し合うのであろうと予感させる恋のエチュードとなっている。
 もう一点注目したいのが、ムーの兵士たちの酒盛りの場に踊り子の娘がいたこと。年若の女王の治める国ということで、その宮廷内はなにかと清廉な潔癖さを思わせ、硬直しがちなのだが、ある意味、このような猥雑さがあることによって兵士たちの日常に現実味を与えることに成功している。


4.マジンガーの秘密

 ヤマトたちは、戦いの合間をぬってムーの兵士たちといっしょにラグビーに興じていた。
 だが、この隙を見逃すドラゴニアではなかった。竜騎兵軍団の隊長のブラーは、自ら改造恐竜に乗り込んで、恐竜軍団を率いてムー城に総攻撃をかけてきた。折りしも、ドラゴニアの王子エルドも、ゴッドマジンガーの機密をあばこうと目論んで、側近のヨミトを従えて城内に潜入して来たのだった。
 ブラーの強力な恐竜軍団はたちまちのうちに門を打ち破る。これを、四剣士のギロンは少しずつ城内に誘き入れ、分断して各個撃破してゆく。しかし、ブラーとてもこれは陽動作戦だった。すなわち、南門にムーの軍勢を引き付けておいて、その分手薄となった北門から主力部隊をもって打ち破ろうという算段だ。
 戦いの推移は、ブラーの絵図の通りに進んでいった。北門を破られ、大型恐竜部隊に侵入されたムー軍は為すすべがない。その時、ゴッドマジンガーは出現した! ゴッドマジンガーの無敵のパワーは、瞬く間にブラーの恐竜軍団を壊滅させていった。だが、戦い終わりゴッドマジンガーから離脱するヤマトの姿を、エルドはその目に捉えていた。ゴッドマジンガーを操る者は火野ヤマト! この朗報を胸に、エルドは引き上げてゆく。
 ドラゴニアのドラドの居城では、逃げ帰ったブラーに叱責が飛んでいた。そこへ、エルドがマジンガー撃滅の命をドラドに乞う姿があった。

《解説》
 四剣士一の戦略家ギロンの戦術と、ブラーの戦いぶりの虚々実々の駆け引きが見ごたえあり。ムーの兵士たちの戦いは、ギロンの戦法が良かったためとは言え、中型恐竜に対して実に優勢に戦いを進めている。
 また、ラグビーの試合ではギロンがヤマトのチームリーダーとしての資質を素直に褒め称えているのだが、この後半のムー城攻防戦でのギロンの手腕のあざやかさを見る限りにおいては、こと実戦においてはギロンの指揮官としての実力のほうが優るようだ。あえて、ヤマトを持ち上げたところにギロンの人柄の良さを感じさせる。前半にラグビー、そして後半に実戦と、みごとに対比させているのが素晴らしい。
 一方で、この対比は大きくはギロンとヤマトのチームリーダーとしての対比を含んでいたが、小さくはヤマトとゾルバの個人の力量の対比も為されている。スポーツとしてのラグビーならばヤマトに一日の長があったのだが、剣を取っての殺し合いでは、ゾルバに助けられるといったあんばいだ。


5.エルド王子の奇襲

 戦いの役に立てないことを気にしているアイラは、みんなの仕事を手伝って士気を高めようとして、あちこちの部署を訪れる。だが、女王に末端の仕事をさせるのは恐れ多いとの理由でどの部署でも仕事を手伝わせてくれない。これを、ヤマトはチームポジションを守って自分の為すべきことをすべきであると諭すのだが、アイラは反発してヤマトが戦いの場以外ではなにもしていないとして責めて引っ叩いてしまった。そのアイラの頑なな態度に、ヤマトもつい、自分は望んでこのムーの世界に来たのではないとぶちまけてしまった。
 折から、ゴッドマジンガーの操縦者を特定したエルドは、翼竜部隊を率いてムー城に攻撃をかけてきた。神殿に先回りして、そこで操縦者のヤマトを待ち受けて討ち取ろうという腹だ。だが、神殿の扉を破壊するのに手間取って時間をかけてしまっている間に、ヤマトはゴッドマジンガーと一体となってしまった。マジンガーは、圧倒的な力で翼竜たちを薙ぎ倒していく。形勢不利と見たエルドは、その場に居合わせたマドマを人質にとって、ヤマトにマジンガーから降りることを要求してきた。
 マドマを人質に取られて為す術のないヤマトは、エルドの要求通りマジンガーを降りる。そのヤマトに、残った翼竜が襲い掛かる。このままではヤマトは翼竜の餌食になってしまうだろう。その時、マドマは鳥笛を吹いて小鳥たちをエルドに襲わせた! この隙を衝いてマドマはエルドの腕から逃げおおせた。もうヤマトには遠慮するものはない。ヤマトはエルドに剣を斬り付けた。
 手傷を負わされたエルドは、翼竜に乗って退却していった。だが、ヤマトもまた、エルドによって左肩を斬られていて、そのまま倒れてしまった。

《解説》
 神殿でヤマトを待ち受けてマジンガーに乗る前に討ち取ろうというエルドの計略は、それ自体は評価できるのだが、「いかにして素早く神殿を制覇するか」という根本的な対策が何一つ為されていない。普段他人を馬鹿にした態度を取っている割には、彼の作戦能力も似たり寄ったりなレベルである。
 また、いたいけな少女を人質に取ったり、一対一の決闘を申し入れたくせに翼竜にヤマトを襲わせたりと、その行動は卑劣極まりなく、悪役としての存在感を出している。視聴者に「こいつだけは許せない」と思わせる憎々しさを振りまいてのエルド編だ。


6.アイラを救え!

 一刻も早く「光宿りしもの」を手に入れて人民の苦しみを取り除きたいと願うアイラは、ムラジから西の砦の古い伝承のことを聞いて、誰にも告げずにマドマだけを伴って西の砦へと向かった。
 一方、ドラゴニアではシャーマンのヨナメが、西の砦に「光宿りしもの」らしき言い伝えがあることを水晶で予知した。これを受けて、ブラーが石喰い竜を西の砦に差し向ける。
 ムー城には、西の砦が襲われたことが報じられる。アイラ不在のまま、四剣士たちが西の砦へと急行した。遅れて、ヤマトもゴッドマジンガーで出撃してゆく。だが、前にエルドに斬り付けられた傷が癒えていないヤマトには、戦闘行為は無謀であった。パワー不足のままマジンガーは石喰い竜に押され、ヤマトは戦闘不能に。
 その間に、石喰い竜はブラーの命令通りに西の砦の封印の封じ石を喰い破り始めた。そして、封じ石が破壊された時―――火の柱が天空に向けて噴火した! 西の砦に伝わっていた「光の柱」とは火山の噴火だったのだ。石喰い竜は、幸いにもこの火山に呑まれて自滅してしまった。だが、噴火を止めなければ西の砦の人民は全滅してしまうだろう。正気付いたヤマトは、ゴッドマジンガーでこの噴火を押し戻して、再度封印してしまった。だが、その代償は大きく、ヤマトはほどなくして倒れた。

《解説》
 この回の見所は、なんといってもアイラとエルドの邂逅であろう。物語的にも今後のキーとなる、エルドのアイラに対する執着のその始まりがこの出会いにある。
 また、映像的にも、妙なる音楽が流れてきそうなほどに幻想的なシーンとなっており、事情を知らない者がこの箇所だけ見れば「アイラとエルドという二人の恋人たちの運命の出会い」と見えてしまうくらい。


7.消えたマジンガー

 ヤマトは倒れた。だが、輸血をしようにもヤマトの血に合う血液はムー人にはいない。そして、時を同じくしてゴッドマジンガーがムー城の神殿から姿を消した。この二重の危難に、ムー城は鳴動する。
 折りしも、ゴッドーマジンガーの声が時を隔てた現代日本に、消えた兄を心配して兄の好きだった港に来ていた火野カオルに聞えてきた。声の命ずるままに、目を閉じたカオルは時空を飛び越えてムーに現れる。
 「太陽の門 地暗きところ 汝を救わん」
ヤマトの只ならぬうわ言を聞いたアイラは、それをゴッドの啓示と受け取り、ノローを伴って東の太陽の門へと急行した。そこにはカオルが。
 カオルから輸血されたヤマトは、九死に一生を得たのだった。
 回復したヤマトは、ゴッドが神殿から姿を消したことを知る。だが、カオルが現れた東の太陽の門にゴッドがいると確信するヤマトは、東の太陽の門へと向かった。それを察知したヨナメは、シャーマン部隊を引き連れてヤマト暗殺を目論む。東の太陽の門でゴッドマジンガーと再会したヤマトは、ゴッドから、危険分散のため東の太陽の門に移ったことを聞かされる。そして、ヤマトはゴッドから剣を授かった。ゴッドの力を宿した剣の威力は凄まじく、襲い掛かってきたシャーマン部隊を撃滅し、大蜘蛛に変身したヨナメをも退けた。ヤマトはゴッドとともに戦う誓いを新たにした。

《解説》
 何時の間にか、ヨナメまでもがヤマトがゴッドマジンガーの操縦者であることを知っている。エルドが教えるとも思えないので、前回の戦いを詳細に見ていたか、得意の水晶占いで予知したのだろうか。


8.急げ! 戦士ヤマト

 王城から消えたマジンガーの行方が、「光宿りしもの」の元にあるのではないかと推測したムラジやアイラは、三剣士とカオルを伴って離宮に調査に赴く。まだ負傷が完全に癒えていないと判断されたヤマトはゾルバとともに留守に当たる。だが、アイラたちの離宮行きはたちまちドラゴニアの知るところとなった。ドラドはブラーを派遣する。今は大人しく出撃するブラーだったが、だがその胸の内には、ドラドに取って代わってドラゴニアを支配せんとの野望が渦巻いていた。
 離宮はたちまちブラーの乗る首長竜に襲われる。だが、その時ゴッドマジンガーがヤマトが乗らないまま無人の状態で現れた。無人のマジンガーは、首長竜の為すがままにされるが、それでもヤマトが駆けつけてくれる時間を稼いでくれた。離宮に向かうヤマトを、シャーマン部隊が襲い掛かるが、ヤマトとゾルバはなんとかこれを切り抜けて離宮に到着、そしてゴッドマジンガーと一体化して首長竜を一閃の元切り倒した。

《解説》
 「光宿りしもの」について、物語冒頭でヤマトが「俺が知っている?」「俺になんか解けるわけが・・・」と語るシーンがある。しかし、前回のエピソードにはこれに繋がるようなエピソードはない。
 恐らくは、シナリオ段階ではゴッドマジンガーがヤマトに語りかけて「光宿りしものの所在はお前自身が知っている」とでも言ったのであろう。後のエピソードを見れば確かにヤマトが「知っている」場所にあった。
 出崎統演出は、『エースをねらえ劇場版』における「電話」や、『ベルサイユのバラ』における「白いバラ」など、印象的な小道具が配されていることが多い。出崎の伝統を受け継いでか、『ゴッドマジンガー』においては「広場の噴水」と「ラグビーボールがわりの貯水筒」が、それに該当する。この「広場の噴水」が後に大きな意味を持ってくるのだ。


9.恐竜工場発見!

 ブラーとヨナメの密談をこっそり聞いて知っていたエルドは、これを種にブラーを強請って恐竜工場の責任者の立場から追った。自分が恐竜工場を掌握して、ドラゴニアでの権力を強化しようという目論見だ。だが、職を解かれたブラーはエルドの為すがままにはなっていなかった。即ち、恐竜工場の支柱を支える鍵をこっそりと引き抜いて、工場ごとエルドを抹殺しようというものだった。ほくそえんで転属先の岩山の砦へ赴くブラー。ところが、この砦に遊牧民が情報を売りたいとして訪れてきた。引見するブラーだったが、この二人の遊牧民はヤマトとノローだった。敵の戦力の要である恐竜を造り出している工場を一気に破壊せんとして、ヤマトたちが乗り込んできたのだ。ヤマトとノローは、ブラーを人質に取ると、工場の場所を聞き出して侵入を開始した。
 工場に忍び込んだヤマトとノローは、そこで数々の改造中の恐竜を見た。これらがムーに襲い掛かってくると脅威となるだろう。ヤマトは、改造中の恐竜に乗り込み、これを操縦して工場を潰そうと図った。だが、調整中の恐竜では思うような成果は得られず、ヤマトの操る恐竜は崩れ伏す。急を見たエルドは、ヤマトと剣で対峙しこれを圧倒するのだが、その時、ゴッドマジンガーが工場の床を割って出現してヤマトを強制的に収容する。そして、崩れ始めた工場を支えて、負傷したノローを守って帰還してゆく。
 エルドとヤマトの二人の邪魔者を一挙に葬ることができるとしてほくそえんでいたブラーの悪巧みは、水泡に帰した。

《解説》
 徹底的にドラゴニア側からの主観を貫いて語られた異色のエピソード。今回はムー側の人物は恐竜工場に乗り込んだヤマトとノロー以外には登場しない。ドラゴニア内部の権力闘争を主眼として語られており、かつ、ドラドの余命があと3ヶ月程度であることが判明する。また、今まで不明瞭だった、ドラゴニアの恐竜の製作過程が明らかにされた。


10.恐るべき秘密

 恐竜工場の跡を調査するヤマトとギロン、ゾルバ、そしてカオル。恐竜工場はすでに場所を移して、そこはもはや廃墟と化していた。
 調査中カオルは偶然に秘密の通路を発見する。ここから一行は新恐竜基地の調査をすることにして侵入を果たした。だが、侵入したその場所は、ドラドの居城のドラゴニア城だった。二手に別れてヤマトとカオルは城の奥深く入ってゆく。そして、ドラドの部屋の前でヤマトは恐るべき事実を知った!
「光宿りしものを持つ者、大地を治め君臨する力を与えられるものなり。その力は時を越え、未来に続くなり。時を越え姿を現すことまた可能なり。光宿りしものを支配する者、神となり未来永劫に万物の長に立つなり」
 自分の住んでいた現代日本すらも、ドラドが光宿りしものを手に入れたら危険になってしまう。そう危惧したヤマトは、今この場でドラドを討ち果たそうと考えて剣を構えるが、その時ドラゴニア兵士に発見されてしまい、脱出してゆく。
 なんとかギロンたちとも合流したヤマトは、城の近くの湖に聳え立つ岩山に新恐竜工場があるらしいことを聞いて、ギロンたちの制止も聞かずに恐竜工場に襲撃をかけた。
 これを知ったドラドは、ブラーに命じて恐竜で蹴散らすことにした。ヤマトはゴッドマジンガーを呼び出して恐竜と相対す。ブラーの乗る首長竜は、巧みに海中にゴッドマジンガーを引き込んで得意の海中戦に持ち込んでマジンガーを苦しめた。だが、ブラー有利の戦局の中、ヨナメはドラドに、ブラーに叛意ありと暴露した。ドラドは、ブラーを討てと下命。これによりコウモリに変身したヨナメが首長竜に乗り込み、ブラーを殺害した。ブラーを失った首長竜はもはやマジンガーの敵ではなく、倒されてゆく。

《解説》
 いままで、どこか他人事のようにこの戦いに身をおいていたヤマトだったが、「光宿りしもの」がドラドの手に入ってしまうと現代日本まで危険に晒されるという事を知って、彼自身の戦う理由が出来た。ムーのためだけではない。自分の住む世界の平和のために、そこに住む両親や懐かしい人々のためにヤマトはドラゴニアとの戦いを決意したのだ。
 これにより物語りは受動的なものから能動的へと移行してゆく。
 ギロンの掛け声に注目! ジャン・クーゴかはたまたジャッキー・チェンか!?
 また、カオルのカメラもこの回から使用。


11.とらわれたアイラ

 ムーの町に出たカオルは、ヨナメに攫われて郊外に置き去りにされた。そしてヨナメは、カオルに変身してムー城に侵入して、アイラを催眠にかけて連れ出して人質とした。
 これを知ったヤマトは、四剣士の止めるのも聞かずに単騎、アイラを救うべく飛び出した。だが、あてにしていたゴッドマジンガーは、「ムーを守ることのほうが大切だ」として、ヤマトの呼び出しには応じてくれない。
「アイラのいないムーを守ってどうするんだ」
 ヤマトはゴッドマジンガーの協力がないままドラゴニア城へ侵入した。
 ドラゴニア城で、ヤマトはやすやすと侵入を果たせた。だが、それはヨナメが誘導して誘い込んでいたためであった。囚われていたアイラを発見したヤマトだったが、ヨナメの剣がアイラの命を脅かす。ヤマトはアイラの命と引き換えに囚われる。
 連行され行くヤマト。と、そこへギロンがシャーマン部隊に襲い掛かってヤマトを救出する。ゾルバ、デリア、ノローも揃い、五人はアイラ奪還にと逆襲を掛けた。これにエルドと兵士たちが立ち向かうが、剣の名手のエルドにヤマトは剣を叩き落され絶体絶命だ。
 その時、ドラゴニア城にゴッドマジンガーが現れた! ゴッドはヤマトを収容し、ドラゴニア城を打ち崩す。ヨナメの呼び出した翼竜も難なく打ち破り、ゴッドは疲労の激しいアイラを気遣ってひとまず帰還した。
「ゴッドマジンガーは化け物か!?」
ゴッドマジンガーの修羅と化した活躍を目の当たりにしたエルドは恐怖する。

《解説》
 ムーに召喚されてから久しく経つカオルだが、未だに現代日本の服装のままで登場。冒頭でのムーの町の散策場面では、ムーの市民との風俗風習の違いを対比させるが如くで、これはカオルがヤマトと違ってムーの国にいつまでも留まってはいない存在(異分子)であることを暗示しているのだろう。
 また、ギロンがヤマトが乗り込んだあとにドラゴニアに侵入しているのは、結果的とはいえ陽動を掛けて敵の耳目をヤマトに引き付けている間に密かに侵入するという戦略に適ったもの。目論んでいたのならたいした戦略家だ。(その分、非情といえるが)


12.奪われた手がかり

 ある朝、ヤマトは不思議な夢を見る。その夢は、円形に炎が燃え盛り、炎がやむとそこから石盤が姿を現し、縁取りに飾られていた蛇が飛び出して石盤が割れるという内容のものだった。
 この夢の内容が気になったヤマトは、夢に現れた石盤の紋様を書き留め始めた。それを見たマドマが、その紋様は神殿前の噴水の紋様に似ていることに気付いた。果たして、噴水を止めてみるとそこにはヤマトが夢でみた紋様とそっくりなものが現れる。そしてヤマトはゴッドマジンガーが抜け出た跡の神殿の壁に古代文字があることを幻視する。
 実際に壁の煤を払うと、果たせるかな、煤のむこうには古代文字が現れた。ムー人にも読めないその古代文字をヤマトは読み出す。そこには「地上を照らすもの、光満つる所に分けたり。それを守るなり。丸きは人の和なり。人の和を邪悪な心から守るため分けたり」と書かれていたのだ。
 神殿前の噴水の由来を調べるため、ヤマトやムラジたちが図書館で古文書を調べ始めた。そこでも、ヤマトは古代文字をすらすらと読み始める。そして、噴水の由来を突き止めた。「光宿りしものの在かを示すもの、分けて隠したり。その一つなり」
 最早、光宿りしものの手がかりが噴水に隠されているのは明らかだった。ヤマトたちは、噴水へと向かおうとする。だが、その時エルドの搭乗す翼竜が奇襲を仕掛けてきた。エルドはバルコニーにアイラの姿を認めると、アイラを虜にしようとする。「私の妃になれ」と迫るエルドを剣で払いのけようとするアイラだが、剣の名手のエルドには敵うべくもない。そこへ、無人のゴッドマジンガーが現れる。これにヤマトが乗っているものと勘違いしたエルドは、自らも翼竜に乗り込んでマジンガーと応戦する。ところが、後からヤマトがやって来てマジンガーと一体化すると、戦局は逆転してエルドは押され始める。エルドの乗る翼竜は、噴水に突っ込んでしまい激突して、これを破壊してしまった。と、そこへ青く光る石盤の片割れが出現した! 石盤を守るため、ヤマトはマジンガーから降りて石盤に駆け寄ろうとした。だが、その行為はエルドに石盤の重要性を教えるものだった。果たして、エルドはヤマトを攻撃して石盤に寄せ付けず、翼竜で石盤を奪い去って行ってしまった。

《解説》
 「円」は、しばしば「人の和」の象徴として語られる。ここでは、「丸い石盤」の丸みを「人の和」に繋がるものとして古代文字に予言されていたものであろう。(ただし、視聴者には伝わりにくいよ、コレは)
 しかし、「光満つる所」の意味が「城壁の隙間から朝日が差して、噴水が光で輝いている」だけというのが、どうにも陳腐に思える。しかも、その壁は崩れて補修されていないため、朝日が差しているだけなのだ。ムーの長い歴史の間で、城壁を補修してしまったらもうその隠し場所は判明しなくなる代物だ。
 一応、第3話にはユウラ・ムーが「光宿りしもの」を隠したと語られているが、今回の話を見ていると、そもそもが「光宿りしもの」は封印されており、代々の王のみがその在かを知っている、ということなのだろう。
 もう一点。ヤマトは予言夢を見たり、古代文字がいきなり読めるようになった。これは、ゴッドマジンガーの力が触媒されたのか、それともヤマト自身が超能力を潜在させていたのだろうか。


13.危うしマジンガー

 「光宿りしもの」の在かを指し示す石盤の片割れを手に入れたエルドは、父ドラドにもこれを秘匿して、おのが覇権を目指す。自分の余命があとわずかしかないドラドは、焦りを覚え、エルドを幽閉して、ドラゴニア城を発進させてムー城を一気に攻め落とすべく総攻撃を掛ける。
 この大攻撃の前に、ゴッドマジンガーは奮戦するものの、多勢に無勢でムー城は攻め崩されてゆく。地下神殿に避難してゆく市民とアイラ。だが、神殿すらドラドの猛火に晒されて崩れ落ちてゆく。
 だが、この崩れ行く神殿の壁にノローは 「光宿りしもの」の在かを示す石盤のもう一つの片割れを発見した! 崩れ行く瓦礫を掻い潜ってノローは石盤を確保した。しかし、落石にやられノローはヤマトの腕の中で息を引き取っていった。そして、マジンガーもまた、瓦礫の中に飲み込まれてしまった・・・・・

《解説》
 石盤探しに焦るヤマトが、マイペースなノローに対してつい八つ当たりをする。だが、すぐにヤマトはそのことを詫びる。自分の非を素直に詫びるヤマトが潔い。この時のヤマトの姿は範としたいものである。
 また、この時のノローの態度も、ヤマトを気遣って自分が悪いのだと譲っている姿が、彼の最後を併せ浮かべるともの悲しさを禁じえない。
 結果論になるが、ヤマトが苛ついてノローに怒鳴ったことを謝ったことが、かえってノローを追い詰めたように思えてならない。他国人のヤマトが、自分たち以上にムーのために尽力してくれていて、真剣身の足りないノローに八つ当たりしても構わない立場なのに、それを謝ってくれる。ヤマトだけに負担をかけてはいけないと、ノローは焦ったきらいがある。


14.光宿りしものの恐怖

 ムー城を陥され、秘密の抜け穴から脱出したムーの民たちは、流浪の民となってしまった。流民たちを西の砦に導きながらも、ヤマトは行方を絶ったゴッドマジンガーを案じてアイラとカオルとともにドラゴニアに占拠されたムー城へと向かう。抜け穴を利用して神殿までやってきた三人だったが、しかし、そこにはやはりゴッドマジンガーの姿は見当たらなかった。
 だが、獅子のレリーフに謎の古代文字が浮かんでおり、それとともにゴッドマジンガーの声が響いてきた。
「光宿りしもの世に現れたる時、悪しき者光宿りしものをとれば、すべての世に邪悪なる力満ちるなり」
 そしてその声とともに、獅子のレリーフは光だし、ヤマトたち三人を飲み込んだ!
 ヤマトが見た光景、それはムーの民が惨殺されゆく姿と、そしてドラドに支配されて蹂躪されゆく現代日本=ヤマトの住む世界だった。アイラとともにその惨状を目撃したは、やがてムーの世界へと帰ってゆく。ムー城の神殿にいたはずの三人は、逃亡中の民衆たちの休息する地域の近くまで飛ばされていた。そこで、傷ついたゴッドマジンガーがヤマトの前に姿を現し、しばしの休息を乞うてまた姿を消した。
 一方、ドラゴニアではヨナメがヤマトたちの行く先を突き止めていた。刺客を差し向けるヨナメ。マジンガーなしのヤマトに、中型恐竜に変身したシャーマンが襲い掛かる。シャーマンは、アイラを人質にとるのだが、カオルに果実をぶつけられて怯んだところをヤマトに斬りたおされた。 
 ドラゴニアに居場所を知られたヤマトたちは、急ぎ流民たちを率いて逃避行を始めた。降りしきる雨の中、民たちも、三剣士たちも、神に見捨てられた自分たちの運命を嘆き挫けそうになる。
 だが、そんな民衆たちを力づけるかのようにゴッドマジンガーが水面から現れた。民衆たちは、そのゴッドマジンガーの姿に勇気をもらうのだった。

《解説》
 ボロボロのゴッドマジンガーが、ヤマトに時間をくれるよう頼み込む。そして、次にゴッドが現れたときには、外装の傷はすっかり治っていた。のみならず、次回からゴッドは光り輝いて鬼神の形相となって戦闘をするようになる。おそらくは、今回の回復時にパワーアップを果たしたのであろう。
 また、今回からアイラの服装が短衣になった。古代ローマ等においては、短衣は奴隷の服装であったが、ムー国においてはそうではないということか。


15.さすらうムーの民

 西の砦へと逃避行を続けるアイラたち一行。その中でカオルは元気そうに振舞ってはいるが、もとの世界へ帰りたいと望むようになっていた。そんなカオルを、ヤマトは自分たちの世界へ帰してあげたいと思い始めた。
 一方、いち早くアイラたちの目的とする逃亡先を諜報活動で知ったヨナメは、シャーマン部隊と恐竜軍団を率いて西の砦を攻め落としてしまった。
 西の砦の生き残りのムーの民が逃れてきて、アイラたちに、既に西の砦がドラゴニアに攻め落とされて制圧されてしまったことを語る。これを聞いてヤマトは、夜襲により逆襲をかけることを提議した。
 ゾルバが、デリアがそれぞれ一隊を率いてシャーマンたちを掻き乱す。そしてその隙にヤマト・ギロンはアイラたちを連れて砦の中に潜入して、火薬庫から大量の火薬を運び出した。ヤマトはその火薬を道々に撒き、火攻めを以って次々とヨナメの恐竜軍団を撃滅していった。
 だが、ヤマトたちの居場所を知ったヨナメは、大型恐竜三体でもってヤマトたちを取り囲んで攻撃してきた。このままでは全滅を待つばかりだ。だが、この絶体絶命のピンチの時、突如西の神殿が火柱を吹き始めた。そしてその火柱の中からは青いオーラを全身に漲らせるゴッドマジンガーが!!
 ゴッドマジンガーはすかさずヤマトを収容する。そして、ヤマトと一体となったゴッドマジンガーは、荒々しい表情になって全身を黄金色に発光させて、恐竜たちを一網打尽にしてしまった。そのパワー、その形相はまさしく「荒ぶる魔神」だった。
 戦闘が済み、避難した地下神殿の中で安堵する一同―――。そこへヤマトが現われ、一同の中からカオルのみを連れて行く。
 ヤマトはゴッドマジンガーに頼み、カオルを元の世界に帰して欲しいと頼み込む。ゴッドマジンガーはその願いを聞き入れ、元の世界へ返る路を開いた。兄妹はいつかまた会うことを約束して、妹は光の中に消えていった。

《解説》
 今回はヤマトも戦略家としての指揮能力を発揮してくれる。ギロンの影響あってのことか?
 また、アイラ自身も、剣を振るってシャーマンたちを倒していく。第12話でエルドと戦った時のへっぴり腰とは大違いで、流転の間に剣を学んでいたものだろうか。


16.ムラジの最期

 地下神殿を探るヤマトとアイラは、そこで古代ムー文字で書かれた大量の石盤を発見する。早速、ギロンたちも駆けつけ、謎の解明に乗り出す。ギロンは、その石盤の大小に意味があると考え、ゾルバの提案もあり石盤を台座の穴にそれぞれ組み込んでみた。
 だが、肝心の光宿りしものを示す石盤の半分がない状態では、台座はなんの反応も示さなかった。がっかりする一同だってが、アイラは石細工の得意なギロンとゾルバに、石盤を製作してはめ込んでみることを命じた。そして、作業を進める皆の為にアイラは手ずから料理を作って励ましていた。
 そんなアイラの姿を見てムラジは、アイラがその母に似てきたものだと思いを馳せた。やがて、ギロンとゾルバのダミー石盤が完成して、これをはめ込んでみたが、台座は一瞬反応を示したものの、その後は沈黙を守ったままだった。やはりダミーではどうにもならなかったのだ。徒労に終わったことを憤ってダミー石盤を叩き割るゾルバ。犠牲を払ってでも本物をドラゴニアから取り返すべく進言するギロン。だが、アイラはこれ以上の犠牲を出すことを忍びず、出動を禁じて再度ダミー石盤を作製することを指示した。
 今や立派な女王となったアイラの姿を見て取ったムラジは、先王ユウラ・ムーとの約束を果たし終わって自分の使命が終わったことを感じた。ムラジは置手紙を残して、一人ドラゴニア城へ攻め込んでいった。
 そこには、ドラドの怒りに触れ宙吊りの刑に処せられたエルドの姿があった。エルドは、石盤をドラドに渡さなかったばかりか、密かに兵士を引き抜き、秘密基地に新兵器を開発させて時を待っていたものだった。だが、それとは知らないムラジは石盤がドラドの手に渡っておらずエルドが今も所有していると知ると、エルドに取引きを申し出る。助け出されたエルドは、ムラジを騙し討ちに刺し倒すと、何処かへと立ち去っていった。
 一方、ムラジの姿が見当たらなくて心配していたヤマトたちは、ムラジのしたためた置手紙を発見した。ムラジの行動を知ったヤマトは急いで後を追うが、そこには瀕死の身で這いずり逃れてきたムラジと、それを追う巨大サーベルタイガーの姿があった。
 ヤマトはゴッドマジンガーになって、巨大サーベルタイガーを倒す。そして、ヤマトの腕の中でムラジは亡くなった・・・

《解説》
 地下神殿の壁には様々な絵が描かれており、絵の解読を行えば画面に現われなかったムー王国の秘密も解けそうな感じ。また、戦士のレリーフもあり、古代ムー王国の伝説的な英雄なのだろうか。
 アイラが料理を作る。お姫様育ちで料理なんかしたことがないのではないかと思っていたが、案外と美味しいんだそうである。


17.エルドの秘密基地

 ムラジは西の砦の小高い丘の上に葬られた。墓の前でヤマトとアイラはムラジを偲ぶ。と、そこへマドマが、新しいダミー石盤が完成したことを告げに来た。ヤマトとアイラは早速地下神殿へと向かう。
 石盤は、奇妙な形の島を映し出した。だが、それ以上は反応せず、ヤマトたちはエルドから石盤の片割れを取り戻すことに全力を注ぐことにした。ちょうどその頃、ムーの兵士がカムール島付近でエルドを発見したと報告してきた。エルドの基地を急襲すべく、ヤマト・アイラ・三剣士・マドマがカムール島へと向かった。
 カムール島にはドラゴニアの兵士や、軍船、そしてエルドの姿までもがやはりあった。カムール島はエルドの秘密基地だったのだ。霧に紛れて上手く潜入を果たしたヤマトたちは様々な武器を設え、エルド基地を攻撃する。その攻撃の凄まじさに、エルドは退却する。基地破壊の後、脱出しようとする一同だが、船を破壊され海に投げ出されてしまった。そこを海竜が襲い掛かる。この危機にヤマトはゴッドマジンガーと一体となり、みんなを救う。そして、殿を引き受けたヨミトの操る首長竜と戦い、これを撃破した。
 霧が晴れたカムール島の眼前に見えるもの、それは地下神殿で見た「奇妙な形の島」=奇岩島だった。

《解説》
 この回も、ヤマトの指揮能力が卓越している。もうヤマトはムー王国の軍事指導者のような感がある。てきぱきと指示を与えるヤマトに、アイラもマドマも頼もしさを感じているようだ。また、ドラゴニア兵士たちに爆弾を次から次へと投げつけるところは、ラグビーで培った強肩の賜物であろう。更には、今まではエルドに引けをとっていた剣技すらも、いつの間にかエルドを圧倒するようになっていた。作戦能力といい、この剣技といい、画面には表現されていなかったがヤマトは重責を担う身の上を理解して、密かに特訓を重ねていたのかもしれない。
 また、ヤマトとアイラの間柄についても、偶然ヤマトの手が触れると赤面するアイラが可愛い。


18.驚異の海底空間

 地下神殿で見た「奇妙な形の島」とそっくりな島を発見したヤマトは、それが現時点での光宿りし物の唯一の手掛りとして、島の調査を行うことにした。その島の頂上には、深い縦穴があり、その底にはどうやら海水が流れ込んでいるようだった。ヤマトたちは筏で島周りを探り、島の中央に通じる穴を発見して筏を進めた。
 島の内部の洞穴には、予想した通り、湖が。そして、そこにはムーの紋章が刻まれていた。
 一方、ヨナメはシャーマンの注進によりヤマトたちがカムール島から奇岩島へ移動したことを知り襲撃を開始する。ヨナメがカムール島を離れたことをエルドは喜びほくそ笑む。エルドはカムール島地下の工場に潜んで、巨大ロボの完成を急がせていた。
 奇岩島へ向かったヨナメは、上空からその島を見渡したところ、島の頂上の縦穴はムーの紋章の一部だった。縦穴から侵入してヤマトたちを襲うヨナメ以下の翼竜たち。ヤマトはゴッドマジンガーとなって翼竜と戦うが、湖の中心に落ち込んで沈んでゆく。その湖の底から、光の渦がゴッドマジンガーと翼竜を襲った。そして、翼竜は体が溶けて骨と化してしまい、ゴッドマジンガーも苦しそうだ。しかしそれでも、ヤマトは湖の底にもムーの紋章があることを見届けた。ゴッドマジンガーは、湖の底から撤退した。

《解説》
 ヒロイックファンタジーもの定番の、秘宝探査の色濃く出たエピソード。洞穴のムーの紋章など、謎を煽る展開だ。


19.決死の湖底探査

 湖底から帰還したヤマトは憔悴しきっていた。だか、湖の底に光宿りしものがあると睨んだヤマトは無理を押して再び湖底へと潜っていった。
 なんとか光の渦を通過したゴッドマジンガーは、湖底の紋章が扉になっていることに気付き、これをこじ開けようとする。だが、扉の番人であるかのように巨大な蛇がゴッドマジンガーに襲い掛かる。ヤマトはこれを打ち倒して再び扉をこじ開けようとするが、そのエネルギーの奔流は凄まじく、かつ、ヤマトの体力に限界が訪れて、扉の探索は失敗に終わった。
 ゴッドマジンガーすらも扉を開けることに失敗した以上、やはりエルドの奪い去った石盤の片割れを取り戻す以外に方法はないことを悟った一同は、西の砦に引き返すことにした。だが、そこをヨナメの率いる首長竜たちが襲う。奇岩島へ引き返した一同を、更にシャーマン部隊が襲う。体力を消耗して憔悴状態のヤマトはヨナメに追い詰められて海へ落下していった。だが、そこへゴッドマジンガーが現われてヤマトを救い、シャーマン部隊を蹴散らした。ヤマトたちは西の砦へと帰還していった。

《解説》
 ゴッドマジンガーと一体化するというのは相当に体力を消耗するらしい。ちょうど、ウルトラマンが変身して3分しか持たないように、ゴッドマジンガーと一体化するのも長時間は持たないようで、その限界時間を過ぎるとヤマトに多大な負担をかけるようだ。ヤマトが今までの戦いでもギリギリまでゴッドマジンガーにならないのはそういう理由があったからなのであろう。
 もう一点、今回の見所としては、巨大なマジンガーがシャーマンたちを蹴散らす醍醐味。個人的には巨大ヒーロー(ロボット)物の真骨頂は、ヒーローがその巨体でもって等身大の敵を蹴散らすところに、その巨大感、畏怖の念が掻き立てられるところにある。人はその時、その巨体に神の姿を見るのだ。
 また、気絶したヤマトに気付け薬を飲ませるために躊躇いなく自分で口移しで飲ませるアイラの姿を見ていると、もうこの頃にはアイラにとってはヤマトはなくてはならない愛しい存在になっていたのであろう。


20.ドラドの怒り

 カムール島にエルドが潜伏していることを聞きつけたドラドは、移動要塞ドラゴニア城を発進させてエルドの秘密基地を津波で襲わせる。エルドは巨大ロボで難を逃れた。一方、西の砦へと帰っていくヤマトたち一行を見つけたシャーマン部隊はヤマトたちをに襲い掛かる。ドラドも、ヤマトたちを発見したことを聞いて、ドラゴニア城を西の砦に差し向けた。
 次々と襲い来る恐竜軍団を斬り倒すゴッドマジンガーの前に、遂にドラゴニア城が突撃をかけてきた。渾身の力でこれを阻むゴッドマジンガー。だが、その隙にヨナメは地下神殿に潜入し、アイラを人質に取りつつ遂に石盤の片割れを手に入れた。そのヨナメにゾルバは剣を投げて刺す。死期を悟ったヨナメは、魔力で光るコウモリを作り出し、石盤をドラドの元へと送り届けた。最期の特攻をかけるヨナメを、ギロンの剣が両断した。ここにムーを苦しめたヨナメは遂に落命したのだ。
 しかし、石盤を手に入れたドラドは意気揚揚と本拠地へ戻っていった。

《解説》
 ドラゴニア城と四つに組んで食い止めるゴッドマジンガーを見ていると、つい、
「おじいちゃんマジンガーは無敵だ! おじいちやんほんとうにほんとうに無敵なんだね!」
とセリフを付けてしまいたくなる、そんなシーン(笑)
 また、シャーマンのセリフにより、ヨミトは元々はエルドの監視役として遣わされていたことが判明する。斜陽のドラドを見限って、次代の支配者になるであろうエルドに取り入ったということなのだろう。


21.ヤマト対ドラド!

 石盤の片割れを手に入れたドラドは、もう半分の石盤を入手すべくエルドの潜伏場所を探していた。そのため、手薄になったドラゴニア城を攻めて石盤を取り戻すのは今とばかりに、ヤマトと三剣士はドラゴニア城に侵入を開始した。だが、やがてヤマトたちがドラゴニア城に侵入したことはドラドに知れ、ドラゴニアの兵士たちが雲霞の如くヤマトたちに向かってきた。その激戦の中、ゾルバが負傷する。だが、ヤマトはギロンの制止も聞かずに更に突撃を掛けていった。
 ヤマトは、ドラドの部屋である「鏡の部屋」についた。そこにドラドが現われる。決闘を挑むヤマトだったが、ドラドはテレポーテーション、電撃と、ヤマトの想像を絶する戦い方でヤマトを圧倒して、ついにヤマトは捕えられてしまった。縛られて人食いトカゲの餌食になろうとするヤマトと、それを見て楽しむドラド。一方では、エルドはドラドの注意がヤマトに向いている隙に、ドラゴニア城に潜入して「鏡の部屋」からまんまともう半分の石盤を盗み取っていった。
 ヤマトの身を気遣うアイラとギロン、デリア。その時、ゴッドマジンガーが現われ、ドラゴニア城に攻撃を仕掛け、内部に突入して破壊していった。この攻撃の前に、ドラゴニア城は墜落し、爆発炎上した。
 ドラゴニア城の落下地点の岩の瓦礫からゴッドマジンガーがその無事な姿を現す。だが、そこからは巨大化したドラドも姿を現してきた!
 ヤマト対ドラド! 遂に両者の最後の戦いが始まった! 分身の術でヤマトを惑わすドラド。だが、ギロンの助言でドラドの本体を見抜いたヤマトは、ドラドの黄金の仮面を斬り裂く。そして、遂に黄金王ドラドを倒すのだった。

《解説》
 巨大化したドラド。これはドラドの魔力によるものなのだそうである。ドラドの素顔は原作版のドラドの仮面に似ていて、これが素顔と言われてもあまりピンとこない。
 ゴッドマジンガーは、無人のままでも動き回り、魔神化した。


22.ヤマトが死んだ!?

 エルドに石盤を全て奪われてしまったヤマトは傷の癒えないままゴッドマジンガーになって、エルドの砦に向かって石盤奪回を目指した。だが、その途中エルドの駆る巨大ロボに阻まれ、翻弄された挙句その腹部に剣を受けて崖下に落下していった。これを目撃したゾルバは、ヤマトが死んだものと見て地下神殿のアイラたちに悲報を届ける。
 ショックを受ける一同。そしてアイラは一人神殿を飛び出して、心から愛していたヤマトの死に涙する。と、そこへエルドが姿を現した。マジンガー亡き今、ムーの民が生きのびるための交換条件として、アイラに妃になるよう迫って来たのだ。これを拒むアイラ。だが、エルドの手から逃れたと思ったその行く手には、三万のドラゴニア兵士が迫っていた。
 進退極まるアイラの心の叫びがヤマトに届く。ゴッドマジンガーは、崖から落ちて落盤の下敷きになってはいるものの、まだ死んではいなかったのだ。テレポートして、大地を割ってドラゴニア兵士を蹴散らすゴッドマジンガー。だが、再び巨大ロボに乗り込んだエルドの前に、打ち据えられてしまった。
 ヤマトは? ゴッドマジンガーは!?

《解説》
 今まで、超能力を発揮させる描写のなかったエルドだが、この回からはコップやクルミを割ったりなど、超能力を使うシーンが出てきた。エルドの魔力が高まってきたということなのであろう。そういえば、今までエルドは危機に際してもテレポーテーションは一切使えなかったが、この回では(巨大ロボの瞬間移動装置のおかげなのかもしれないが)テレポーテーションを見せている。
 反面、ヤマトは最初からゴッドマジンガーに合体して出撃していたせいか、エルドとの初戦の時から既に憔悴していたようで汗を伝わらせていた。
 エルドの巨大ロボの強力さも然ることながら、こうしたところにもゴッドマジンガーが敗れた原因がありそうだ。


23.ヤマト対エルド

 エルドの巨大ロボに敗れたヤマト。そのヤマトに寄り添ってアイラはエルドに抵抗するのだが、ヤマトは既に絶命していた。悲しむアイラをヤマトから引き離して、エルドはヤマトの屍に銃を向けて撃つ。だが、一瞬早くヤマトの屍は消滅してしまった。
 一抹の不安を憶えるエルドだったが、ここに、全てを手に入れたエルドは、地下神殿の台座に円盤をセットした。そこからは、奇岩島の映像が現われて、併せて「我、光宿りし物を奇岩島に封じ込めたり。汝、直ちに行きて手中にすべし。扉は円盤にて開くべし」というメッセージが流れた。そして、メッセージが終わると、奇岩島は左右に割れて光の柱を発し、沈んでいったかと思うと今度は湖底にあったピラミッドが浮かび上がって来た。
 ピラミッドへ出向いて、その神殿に円盤をセットするエルド。今度は、ムーの祖先のホログラムが現われ、「我はムーなり。汝、光宿りしものを腕に付けるべし。汝、光宿りしもの持たば新たなる力を得、時を越え、この大地を支配するも可能なり」と告げると、その指差してた先に光宿りしものが現われた。
 喜び勇むエルドは、早速、光宿りしものを付けようとするのだが、その時、ゴッドマジンガーが光ったかと思うと、光宿りしものも同じように発光してエルドを弾いた。
 光宿りしものが自分を拒絶したことを悟ったエルドは、悔し紛れにもう一つの目的であるアイラだけは手に入れようと婚儀を進める。だが、ヤマトを愛していることをはっきりと悟ったアイラはこれを拒否して自害しようとする。そんなアイラを、エルドは引き止める。新しい時代のために、アイラの力が必要なのだと。
 新しい未来の為に、散り散りになつたムーの民のために遂にアイラは婚儀を了承した。心でヤマトに別れを告げるアイラ。だが、その頃、ヤマトはゴッドマジンガーに命を、力を、使命を託されて蘇った。ヤマトは、エルドの砦に急行する。そこには、今将に婚儀を終えようとするエルドとアイラの姿があった。ヤマトの突然の乱入に狼狽するエルドと、喜ぶアイラ。そこへ三剣士たちも加勢に訪れ、エルドは逃走してゆく。その隙にアイラは光宿りしものをヤマトに渡した!
 その瞬間、ヤマトは光り輝き、巨大化してゴッドマジンガーと一体化した。今やヤマトこそがゴッドマジンガーそのものなのだ。卑怯にもアイラを人質に取るヨミトだったが、ゾルバの剣を受けてゾルバは絶命した。そして、巨大ロボに乗るエルドも、光宿りしものの力を加えたゴッドマジンガーに敵せず、遂にはその野望とともに滅び去っていった。
 ドラゴニアを撃滅して、平和を取り戻した大地で、ヤマトとアイラが手を取り合う。そして、その二人を祝福する三剣士とマドマの姿があった。

《解説》
 結局最後までゴッドマジンガーの存在の正体は明かされなかった。また、何故ヤマトが選ばれたのか、その理由も詳らかになることはなかった。だが、ゴッドマジンガーはその最期にあたって「ヤマト。今ここにムーの誇り高き戦士として、私の全てをお前に託す。我、神の声あるまでここに眠る」と告げており、ゴッドマジンガー自体が神そのものではなかったことがここに判明する。また、当時の文献や没シナリオの記載によれば、光り宿りしもので「ゴッドマジンガーを自在に操れる」とか、「神殿が破壊された後のゴッドマジンガーは普段は光り宿りしもののある場所にいる」とあるので、もともとゴッドマジンガーとは、光り宿りしものが操縦のキーになっており、光り宿りしものを身に付けた者の精神エネルギーに感応して、それを動力として動く太古のムーの守護ロボットだったのではないだろうか。
 そういえば、光り宿りしものとは劇中で語られた事項を整理すると、「大地を治め君臨する力を与えられるものなり。その力は時を越え、未来に続くなり。時を越え姿を現すことまた可能なり」と語られており、これなどは光り宿りしものならずとも、ゴッドマジンガーとてヤマトやカオルを未来から呼び寄せたり帰したりと、その能力を有しており、また、ゴッドマジンガーを得れば大地を治め君臨するのも可能と思われるので、両者の能力は驚くほど似通っている。
 そして、光り宿りしものを手に入れると「光宿りしものを支配する者、神となり未来永劫に万物の長に立つ」というので、永い歴史の間に歴代のゴッドマジンガーに乗り込んだ戦士・英雄たちの魂がそこに宿っていて、精神体となってゴッドマジンガーの人格を形成していたのではないだろうか。だが、永い平和の間に、ムー人自身の精神エネルギーが弱まっており、最早光り宿りしものを身に付けてもゴッドマジンガーを操れる精神力の持ち主はいなくなってしまっていたといったところか。そして、ムー人にのみ操ることの可能だったこのロボットは、ドラゴニア帝国の侵攻の危機に際して、テレパシーを全ての時代に送っていたのではないだろうか。このテレパシーを受けることの出来る強い能力の持ち主であれば、自分の精神エネルギーの補助によりなんとか光り宿りしものがなくともゴッドマジンガーを蘇らせることが出来るであろう。その人間が現われることを待っていたゴッドマジンガーは、遥か遠い未来の世界でこれをキャッチしたムー人の子孫を選んだ―――それが火野ヤマトだったような気がする。
 最終回、ヤマトはその後未来に帰ったかどうか不明である。だが、原作者永井豪のもう一つの作品である『黒の獅士』のラスト、「われらの黒い宇宙がちぢみはじめぬかぎり・・・・・・われらは宇宙のどこかで白魔との戦いに勝ちつづけているのだ」のように、この現代社会が平和であるかぎり、ヤマトは遠い過去で戦い勝ち続けているような気がしてならない。