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       や   ん

闇の帝王

生年月日 不詳
血液型   不明
身長    150m
体重    2800t

ミケーネ帝国の支配者。その正体は謎に包まれ不明であるが、確かなところでは、闇の帝王はミケーネ王国の王家の血を引く者であるということである。後にミケーネ王国を滅ぼしてその本拠地に居座り「ミケーネ帝国」を称したところから考えるに、現ミケーネ王家には何かしらの恨みがあったように思われ、王位継承争いに敗れて野に下った王家一族の末流か、或いは伝説のミケーネ王国自体が単一王朝ではなく王権交替があることから前王朝の王家の嫡流なのかもしれない。
自身が相当な科学者であるようであり、三千年ほど前のギリシャ地方で恐るべき科学力を駆使して戦闘兵(ロボット)を造り上げて次々と各国を征服していったという。そうした国々との戦いの中で特に記録されていることとして、闇の帝王がアレス国を攻めた時に特に激しく抵抗を示した勇敢な老将軍がいたようで、その将軍の戦闘力に目をつけた闇の帝王は、アレス国を滅亡させたあとその老将軍をロボットに改造して暗黒大将軍として甦らせ、以来自分の片腕としたという。また、後に諜報軍長官として腕を振るったアルゴス長官も、この前後に配下としたらしい。
次に闇の帝王が目をつけたのは、当時随一の大国にして平和を謳歌していたミケーネ王国であった。暗黒大将軍以下、ロボット戦闘員を動員して闇の帝王は瞬く間にミケーネ王国を滅ぼす。ミケーネ王国の王子のケルビニウスは捕えて戦闘獣に改造し、また、この戦いで勇敢に抵抗をした七人の勇者たちはその実力を見込んで指揮官ロボットへと改造した。すなわちユリシーザー、ライガーン、ドレイドウ、バーダラー、ハーディアス、スカラベス、アンゴラスの七大将軍である。そして、ミケーネ王国の臣民たちはサイボークへと改造して、ミケーネスとして雑役に従事させることとした。
故国に返り咲き、ミケーネ帝国を興して陣容を整えた闇の帝王は次に世界全土の制覇を夢見た。その為にロードス島を一大ロボット戦闘員工場に仕立てて、着々と成果をあげてゆく闇の帝王。だが、その闇の帝王の野望を阻むものがあった。それがギリシャ全土を襲った大地震だ。早くからこのことがあることを予測していた闇の帝王は、一族以下優秀な人材のみを選りすぐって巨大な円盤型カプセルに乗り込んで地下深くに潜行したという。なお、地上に残された劣性ミケーネ人たちは、折からの大地震により壊滅的な打撃を受けたと謂い、そこへ追い討ちをかけるようにドーリア人の侵攻に遇い滅び去ったということである。
一方、地下に逃れ去った闇の帝王以下ミケーネ人たちは、地底に人工太陽を作り豊富な地下資源を利用して科学食料を合成したりして生き延びていたという。その過程のなかで闇の帝王自身も己の体を改造して精神生命体とでもいうべき特殊な体になって未来永劫生き長らえることが出切る身となったようである。その炎は5万度を越すといわれ、命令を下す時以外は幹部たちですらその居場所は知らないということである。
だが、地底での生活は想像を絶するほどの労苦が必要だったようだ。かつて地上を席捲した科学力をもってしても、最初の1000年ほどは食料を維持したりの生活必需品の確保に精一杯だったという。記録によるとモグラなども食していたということである。やがて、食糧確保という難事が解決すると、ようやくにして闇の帝王らは今度は地上への帰還を目論むようになる。
しかし、永らく食料確保などにその科学力を傾け過ぎて、肝心の軍事力は弱体していることに気付いた彼らは、軍事力の再建に力を注ぎ始めた。かつて地上に君臨していた時に無敵を誇った軍事用ロボットを、更に研究強化して、数百年の年月をかけて「妖機械獣」と称する人工頭脳を持った戦闘ロボットを開発し、さらにそれを発展昇華させたミケーネ人の頭脳を移植した「戦闘獣」を造り上げることに成功する。そしてそれはそれぞれの能力を特化した七大軍団を形成していくこととなる。
軍団の再建と平行して、闇の帝王は地上の状況を探ることも命じた。数十年を要して地下深くに蜂の巣のごとくトンネルを掘りめぐらし、要所要所には将来の地上攻略の際の前線基地となるべく円盤型カプセルを建造したという。そして諜報軍スパイ長のゴーゴン大公を地上に派遣して、地上調査及びロードス島のロボット工場の回収を命ずる。第二次世界大戦前後に頻発して現れたというUFOとは、あるいはこのゴーゴン率いるミケーネ諜報軍の活動を指してのことだったのかもしれない。やがてゴーゴン大公はロードス島の戦闘ロボットを発見するに至る。が、それは一人の野望家・ドクター=ヘルとの邂逅でもあった。
ロードス島にてミケーネの巨人伝説の遺跡を発掘したヘル以下調査団は、現代の科学でこのミケーネ巨人ロボットを復元した。だが、世界征服の野望を滾らせるドクター=ヘルは兜十蔵を除く調査団を皆殺しにしたのだ。ただ一人その抹殺を逸した兜十蔵にまんまと逃げられて臍をかむドクター=ヘルの前に、ロードス島のロボット工場の回収の任にあったゴーゴン大公が襲い掛かった。だが、世界の共同統治を好餌に懐柔に出たドクター=ヘルに、ゴーゴン大公は共闘を約して去っていった。昭和30年のことと思われる。
ゴーゴン大公の報告を受けた闇の帝王は、ドクター=ヘルの存在に驚くとともに興味を覚えたようであり、暫らく静観をしてドクター=ヘルと地上の国々とを相争わせてお互いが弱ったところを襲うという漁夫の利の計を企んだ。ロードス島を要塞化して世界征服を狙うドクター=ヘルをそのまま泳がせておいて、ヘルが世界征服戦争を仕掛けるのを待つ態勢に入る。それまでは自分たちの存在は秘すのが上策とばかりに、地上侵攻は控えることとした。
再び地上の動静を見張り、磁波、音波などを駆使して探りを入れる帝国。が、ミケーネの地底帝国を地上から探る何者かの存在を帝国側は察知する。その特定と抹殺を企む帝国だったが、探索者はいち早くそれに気付いたらしく探索を打ち切ったようである。その探索者こそは後にミケーネ帝国の地上侵攻の最大の障壁となる兜剣造である。
以降、帝国は地上への干渉を最小限に止め、ドクター=ヘルの世界征服戦争が始まるまで、戦闘獣軍団の更なる充実に努めたものと考えられる。そして、昭和47年12月、遂に待望のドクター=ヘルの世界征服戦争が開始されたが、当初の計画どおりにヘルをミケーネ帝国の走狗とすべく、積極的な介入は一切手控えられた。
だが、帝国が地上の調査から遠ざかっていた間に、地上人は大いなる正義の力を手に入れていた。即ち「鉄の城・マジンガーZ」である。ドクター=ヘル率いる機械獣軍団を薙ぎ倒してゆくマジンガーZの超パワーに、戦いも一年を過ぎなんとする昭和49年3月に至ってついに倣岸なヘルも自力での世界征服は達成不能と悟って、ゴーゴン大公へ協力を依頼してきたのだった。
闇の帝王は、地上侵攻の小手調べとばかりに諜報軍の先遣隊であるゴーゴン大公にドクター=ヘルの協力をさせることとした。但し、まだ手の内は見せたくなかった故か、戦闘獣の出動は見合わせてゴーゴン大公に与えられていた「妖機械獣」を使用することとした。
だが、単なる戦闘能力としてはそうそう戦闘獣にも引けをとるものではないはずだった妖機械獣をも、地上のマジンガーZは苦戦しながらも次々と撃退していった。もはや疲弊しきったドクター=ヘルにかわって自分たちがいよいよ表舞台に出んとばかりに、闇の帝王は世界の主要都市の壊滅を暗黒大将軍に命ずる。
昭和49年7月24日、世界の各都市を戦闘獣に一斉に襲わせた。各都市に壊滅的打撃を与えたものの、ただ一つ、ゴーゴン大公が受け持った東京だけはマジンガーZに阻まれて四体の戦闘獣を失う始末であった。ゴーゴン大公が、マジンガーZの存在を戦闘部門の長である自分に告げなかったことに激怒する暗黒大将軍。復讐戦とばかりに暗黒大将軍は獣魔将軍にマジンガーZ抹殺を命じ、マジンガーZを追い詰めるが突如現れた謎のロボット(グレートマジンガー)に阻まれて獣魔将軍以下の戦闘獣軍団は全滅の憂き目を見た。
マジンガーZの存在に苛立ちを覚えつつも、そろそろドクター=ヘルの利用価値もなくなったと判断した闇の帝王は、走狗は煮るべくドクター=ヘルの必死の戦いに傍観を示すようになり、焦りを憶えたドクター=ヘルはマジンガーZと一大決戦を繰り広げんべく、最後の抵抗とばかりにマジンガーZを苦しめる。そのドクター=ヘルの必死の戦い振りに、流石のマジンガーZももはや満身創痍、あちこちに支障が出る有り様となって一進一退を演じた。そして遂に昭和49年8月25日、地獄城での決戦においてミケーネに見捨てられたドクター=ヘルは飛行要塞グールとともに爆死、マジンガーZも相当の傷を負って戦いは終わった。
マジンガーZが文字通りボロボロになったのを好機と睨み、闇の帝王は本格的な地上侵攻を暗黒大将軍に号令する。一方で、敗れて死したりとはいえ、ドクター=ヘルのその手腕を惜しんだ闇の帝王は密かにドクター=ヘルの遺体を回収させ、指揮官戦闘獣へと改造させることとした。
そして昭和49年9月1日、暗黒大将軍の指揮する戦闘獣は見事にマジンガーZを討ち取った。 年来の望みであった地上制覇はここで一気に達成されるかと思われたその瞬間、しかし新たな敵・グレートマジンガーが戦闘に割って入り、二体の戦闘獣を瞬く間に倒してしまう。
新たな障壁となるグレートマジンガーの登場に立腹する闇の帝王。地上制覇にはグレートマジンガーと科学要塞研究所が最大の障壁と知った闇の帝王は、グレートに狙いをつけて暗黒大将軍にグレートマジンガー打倒を厳命する。一方ではアルゴス長官に敵の基地の特定を命ずる。昭和49年9月にはゴーゴン大公の殊勲により科学要塞研究所の位置を突き止めた。その報に喜んだ闇の帝王は、アルゴス長官・ゴーゴン大公の功を嘉し鼓舞する。諜報軍のみに功があったのを嫉視する暗黒大将軍は、旗下の七大将軍に檄を飛ばす。その甲斐あってか、科学要塞研究所の責任者が兜剣造であることをつき止めたのは七大軍団側であった。主敵が兜剣造と知った闇の帝王は、二代に渡って世界征服の邪魔をする兜一族に怨念を燃やすとともに、世界征服の事業もドクター=ヘルから数えて二代に渡るとして、七大軍団に更なる奮起を促す。一方で諜報軍と戦闘軍団の不仲から作戦が齟齬をきたすことを懸念した闇の帝王は暗黒大将軍とアルゴス長官に協力を誓わせるが、お互いの功名心は棄てさせ難く失敗が続く。ついに怒りを顕わにした闇の帝王は暗黒大将軍とアルゴス長官に厳命を下し、ゴーゴン大公を新基地建設司令官に任命して事に当たることとした。マジンガーZとの闘いで示した手腕を期待しての大抜擢だった。だが、ゴーゴン大公の抜擢に嫉妬を抱いたアンゴラス・ユリシーザー両将軍は、ゴーゴン大公を出し抜いてグレートに闘いを挑み、為にゴーゴン大公は戦死した。だがその死の直前火山島基地を見事に完成させたゴーゴン大公に向けて、闇の帝王は殊勲を褒め称えてゴーゴン大公を基地司令官に任じた。ほんの数分の栄光の中で没したゴーゴン大公。昭和50年2月2日の出来事であった。
闇の帝王の怒りは、ゴーゴンを出し抜こうとして抜け駆けしたアンゴラス・ユリシーザーの二将軍にも向けられた。すなわち二将軍を裏切者として幽閉したのだった。
火山島基地の完成で戦いも転機を迎えたが、基地司令官としてアルゴス長官は部下のヤヌス侯爵を推してきた。その推挙により闇の帝王はヤヌス侯爵を火山島基地司令官へと任命する。
指令系統を諜報軍に奪われたことにより、立場が悪くなった暗黒大将軍は焦燥を憶え始めた。また、数々の部下の失態にしびれを切らした暗黒大将軍は、ついに不退転の決意を闇の帝王に示し、科学要塞研究所に総攻撃を仕掛けたのだった。科学要塞研究所の新兵器サンダービームロケット砲を、そしてグレートマジンガーを戦闘不能に陥れる暗黒大将軍。そのあまりの猛攻の前に、科学要塞研究所明渡しの要求を呑まざるを得ないところまで兜剣造を追い詰めるのだったが、あと一歩のところを剣鉄也の邪魔が入り形勢は逆転した。戦闘獣バニガンを葬り去るグレートマジンガー。だが、戦闘獣ダンザニアの攻撃にグレート自身も大打撃を受けた。好機到来とばかりに暗黒大将軍は自らグレートに止めを刺すべくミケロスより飛び立つ。壮絶な一騎打ちを制したのは僅差でグレートマジンガーの勝利に終わった。昭和50年4月6日、暗黒大将軍死す。勇将の死を悼む闇の帝王。
大将軍を失ったミケーネ帝国はそれでも様々にグレートを苦しめるものの、グレートはその都度危機突破を果たしてゆく。
闇の帝王は、七大軍団を統べる暗黒大将軍の後釜の司令官の必要を痛切に感じとった。そして、昭和50年5月11日、事あらばと回収して蘇生改造させておいたドクター=ヘルこと地獄大元帥を軍団の総司令官として着任させる。兜一族と怨敵マジンガーへの復讐に狂気の炎を燃やす地獄大元帥の起用は成功だったと云えよう。暗黒大将軍とはまた一味違った地獄大元帥の狡猾な作戦の数々に、科学要塞研究所側は苦汁を嘗めさせられ続ける。一進一退の接戦の中、万能要塞ミケロスを破壊されるが、地獄大元帥はすぐに万能要塞ミケロスに代わる新要塞・無敵戦車デモニカを完成させて科学要塞研究所を圧倒する。その地獄大元帥の実績に追いやられ、主流から外れて焦りを生じた諜報軍は、独自にグレート打倒の策を展開するが、剣鉄也の反撃に遇い、ついに火山島基地を失ってしまう。勢いに乗ったかのごとく、グレートマジンガーは新兵器のグレートブースターを引っさげて、鳥類将軍バーダラをも討ち取った。
グレートの大躍進に業を煮やした地獄大元帥は各個撃破作戦を展開、グレートを、ビューナスを、科学要塞研究所をそれぞれに分断して研究所転覆寸前まで追い詰めた。その危機を前に弓教授は科学要塞研究所と合流を果たし、アメリカの兜甲児を呼び戻した。ボディーを超合金NZに換装し、出力を6倍に高めて強化改造されたマジンガーZの参戦により、デモニカは惨敗を喫し敗退する。
二大マジンガーの揃い踏みにより危機感を募らせた闇の帝王は、兜甲児の出現に逸る地獄大元帥がかえって返り討ちにされかねないことを危惧して、アルゴス長官にマジンガーZ抹殺を命ずる。しかし、マジンガーZとグレートマジンガーは逆にアルゴス長官を打ち倒してしまうほどに強敵となっていた。二大マジンガーは、協力しあうことによってその戦闘力を数倍に高めていることは最早疑いようの無い事実であった。ミケーネ帝国は偵察に戦闘獣ゴールドフェニックスを放つ。そのゴールドフェニックスはダブル=マジンガーに粉砕されるものの、その戦い振りから、強敵剣鉄也と兜甲児のあいだがうまくいっていないことを知った。それを好機として地獄大元帥は、歪んだライバルたちの間に割って入るように戦闘を仕掛けた。二人を分断し、光子力研究所を攻撃しマジンガーZを釘付けにし、Z救出に向かったグレートをも戦闘獣バルカニアに奇襲させ、鉄也に重傷を負わせる。辛くもバルカニアを倒すグレートだったが、その爆風に巻き込まれ鉄也は意識を失い、チャンスとばかりに地獄大元帥はグレートに止めを刺すべくデモニカをグレートに差し向ける。その鉄也の危機に、剣造は研究所の管制室ごと出撃して体当たりを敢行、デモニカに傷を負わせて死んだ。大打撃を受けたデモニカは、それでもここが正念場とばかりに研究所に猛攻を加えるのだが、父・剣造の死を知った兜甲児の怒りの前に、ミケーネ最強の戦闘獣・グレートマンモスは倒され、Zを阻もうとした四大将軍までが敗れ去る。マジンガーZの捨身の猛攻を受けたデモニカはエンジンも大破し、追い詰められてゆく。そして、マジンガーZ・グレートマジンガー・ダイアナンA・ビューナスAの合同攻撃の前についにデモニカは爆発四散、地獄大元帥をはじめとしてミケーネ帝国の名だたる将軍たちは全て爆発とともに消え去っていった。昭和50年9月28日は、ミケーネ帝国の敗北の日となった。
主立った部下たちを全て討ち取られ、再起する力を闇の帝王は失った。あの、三千年前の地震の後よりも大きな打撃を被ったミケーネ帝国は、再び力を蓄えるのにまた数千年の月日が掛かることであろう。
そして、闇の帝王は今も深い地底の奥でその蒼白き復讐の炎を燃やし続けている・・・・・


弓弦之助

生年月日 大正15年(昭和元年)頃
血液型   不明
身長    175p位(キャラ表より推計)
体重    不明

大正15年(昭和元年)頃生まれたようである。詳しい前半生は伝わっていないが、姉か妹がいたようだ。
弦之助が生まれた頃の時代は日本は軍国主義への色合いを深めていって、弦之助の少年期にも大きく影響したことは想像に難くない。
弦之助が3歳の頃世界大恐慌が、5歳のとき満州事変が起こっている。10歳、二・二六事件、11歳、日中戦争勃発、そして15歳のころからは太平洋戦争が始まっている。
その戦争のさなか、弦之助は東京の高等学校(大学予科)へ進学したらしい。
弦之助自身は恐らくは戦争には従事することなく終戦を迎えていることと思われるが、戦争が続いていれば戦場に借り出される可能性も出ていたことは疑いなく、弦之助や他の学徒たちははそんな覚悟を求められながら学業を続けていたものと考えられる。
戦争の趨勢は弦之助にとっても関心が高かったのか、あるいは純粋に科学を志す者としてその技術に注目していたのか、日本陸軍が総力を結集して作り上げたガレン砲のことを随分と詳しく調査していたようである。昭和20年夏、B29が東京上空を覆い尽くすが、そのガレン砲が火を噴いてB29を撃ち落す様を弦之助は目撃したらしい。
やがて戦争が終わるが、弦之助の年齢を考えると以後も数年は大学に入学して勉学に励んだことであろう。この大学在籍中か、あるいは大学卒業後に兜十蔵に私淑したものと思われる。
物資の窮乏した時代に少年期を過ごした弦之助は、あるいは苦学して学問を修めていたのかもしれない。そんな自分の貧しかった生活や周囲の平均的日本人が等しく味わった貧困を無くしたいという志もあったのではないだろうか。夢のエネルギー・光子力エネルギーの開発に、弦之助もその夢をかけていたのであろう。
ところで、折から師の兜十蔵は国際アカデミーの召集によりロードス島へ巨人伝説の調査に出る。昭和27年のことである。そして3年後に他の調査隊が全員行方不明となった中、兜十蔵のみが奇跡的に生還してきた。還ってきた師・兜十蔵はなにかを急ぐように研究に没頭するようになる。
この頃ぐらいに、弦之助は結婚したようである。相手の女性のことは多くは伝わっていない。そして昭和33年1〜3月頃には娘のさやかが生まれている。だが、妻は早い時期に亡くなったようである。以後弦之助は男手一つで娘を育てる。
超合金Zと光子力エネルギーの開発に力を注いでいる師の兜十蔵をアシストする弦之助は、その間十蔵より、極秘で開発しているマジンガーZの存在を何度か聞いていたようだ。また、マジンガーZのパートナーロボット・ミネルバXの存在も聞いていたようだ。十蔵の助手として弦之助はなくてはならない存在になっていたようだ。
昭和38年10月ごろ、十蔵の主導により光子力研究所が開設する。それに伴って超合金Zと光子力エネルギーの開発に成功したことを全世界的に発表する。だがしかし、十蔵はなぜかすぐに引退を表明する。その引退を残念がる弦之助だが、先年息子夫婦を実験事故で亡くしたばかりの十蔵であれば、研究所が発足されてひとまずの目的を果たした十蔵がこれを機に息子の忘れ形見である二人の孫の養育に専念することを決意したものと解したものであろう。そして、十蔵は後継者として弦之助を光子力研究所の二代目所長として推薦して、光子力を平和利用するよう言い残して研究所を去っていった。
弦之助は十蔵のスタッフたちを引き継いで、以後は光子力研究所の二代目所長としてその責務を果たしてゆくこととなる。おそらくこれを機会に弦之助父娘は光子力研究所の一室に居宅を構えるものになったのであろう。そして、弦之助は光子力の平和利用の象徴として土木作業用の巨人ロボット・アフロダイAの開発をおこなう。
ところで、引退して一線から引いたとはいえ十蔵はそれなりに光子力研究所の所員の面々とは連絡を絶やすことはなかったであろう。そんな十蔵の最晩年、弦之助は十蔵から不思議な言葉を聞くこととなる。
「地底に眠る七つの種類のロボット・・・・・・人間、獣、鳥、魚、昆虫、爬虫類、悪霊、そして暗黒大将軍」
弦之助にはそれがなんのことであるのかわからなかったが、十蔵はそれ以上の詳しい説明はしなかった。
その言葉の意味を確かめることも出来ないまま、昭和47年12月3日、恩師・兜十蔵はドクター=ヘルの配下の手に掛かって殺害された。
十蔵の二人の孫・甲児とシローからそのことを聞き、かつ十蔵の造り上げたマジンガーZを目の当たりにする弦之助。そして弦之助は十蔵の遺書から、全てのことを知るのであった。世界征服を企む狂気の科学者ドクター=ヘル。その野望を阻むために十蔵は早々に自分に光子力研究所を任せたのだろう。事態を知った弦之助は早速に十蔵の別荘跡に向かう。十蔵の研究をドクター=ヘルに渡してはならない。だが、既に別荘の金庫は荒され果てていて、十蔵が研究していたはずのミネルバXの設計図も一切見当たらなかったという。
弦之助は、甲児とシローを研究所近くに呼び寄せ、二人の後見的立場になった。そしてその甲児はマジンガーZを駆って、ドクター=ヘルの悪の機械獣軍団と戦うのであった。
マジンガーZの整備やドクター=ヘルとの戦いをサポートしてゆく弦之助。娘のさやかも土木作業用のアフロダイAで甲児に協力して戦いに参加する。そしてそのさやかは、中学を卒業すると高校へは進まず弦之助の秘書として弦之助の研究を助けるようになる。
人類の明日の希望を担うことになった鉄の城。その戦いを側面から助けるべく弦之助はアメリカからゴードン博士を、そしてスミス博士を招いてマジンガーZの海での活動や大空を飛ぶことが出来るように改良してゆく。また、マジンガーZの出力を増強したりと、様々にその能力を向上させるべく努力を惜しまなかった。その弦之助の助力を得てマジンガーZは海底要塞サルードを撃破する。
だが、ドクター=ヘルは失った海底要塞ブードに代わって、飛行要塞グールとマジンガーZ攻略司令官にブロッケン伯爵を投入。また、あしゅら男爵には新海底要塞ブードを用意する。そんな中、ドクター=ヘルは十蔵から搾取したミネルバXを造り上げてマジンガーZに挑ませる。戦いは悲劇に終わって、ミネルバXは静かに海に沈められた。戦いの悲劇はそれに留まらない。弦之助の親友でありジェットスクランダーの共同開発者だったスミス博士はドクター=ヘルに謀殺されてしまう。
悪辣非道なドクター=ヘルに対抗するため、弦之助はじめ光子力研究所のスタッフたちは、次々とマジンガーZの強化を果たしてゆく。一方で平和の牙城・光子力研究所をも超合金Zで作り変えるなど、守りを堅固にしてゆく。
だが、戦いはゴーゴン大公が参戦してから、あきらかに様相が変わり始めてきた。ドクター=ヘルの機械獣よりも遥かに強力な力を持つゴーゴン大公。そのゴーゴン大公の前にはマジンガーZといえども苦戦を免れなくなってゆく。昭和49年3月24日、ホバーパイルダーがゴーゴン機械獣に破壊された。弦之助はホバーパイルダーに換わるジェットパイルダーを新たに開発し、更に新武器、改良スクランダー、そしてZの補強と目まぐるしく立ち働く。が、激戦の為に4月28日にはさやかのアフロダイAが破壊されてしまうほどであった。
弦之助は破壊されたアフロダイAの代わりに、新ロボット・ダイアナンAを建造する。
益々混迷を極め始めた戦いの中でなんとかあしゅら男爵は倒したものの、敵の姦計に嵌ってスタッフのもりもり博士は亡くなってしまう。
Zの更なる強化を計って、弦之助はアメリカから電子工学の世界的権威のワトソン博士を招く。そして時代は十蔵が予言した「地底に眠る七つの種類のロボット」との戦いに移行しようとしていた。昭和49年7月24日、突如世界各都市を襲ったミケーネ帝国。その前にマジンガーZは激しく翻弄される。弦之助は昔十蔵に聞いた話を思い出して、十蔵の遺品を調べ始める。そしてそこには恐るべきことが記されていた。それは「古代ミケーネ人が地下に逃げ延びて生きていて、地上侵略を企んでいる可能性がある」というものであった。戦いはもう一体の謎のマジンガーのお陰でなんとか防ぎきったが、実は近年暴れまわっているゴーゴン大公がこのミケーネ帝国の尖兵だったのだ。
三つ巴の戦いを制するのは誰か? だがミケーネ帝国は暫らく静観を決め込んでおり、その隙に光子力研究所はドクター=ヘルを全力で叩くこととした。
昭和49年8月25日、ドクター=ヘルとの最後の決戦を挑む作戦が決行される。命がけで作戦に挑むさやかや甲児、ボスたちを送り出す弦之助。娘たちを死地に送らなけれぱならないという苦衷を呑んで。だがどんなに辛くとも、弦之助たち光子力研究所は、いや、全世界の人々はこのマジンガーZに全ての望みを託すのみだった。
その信託に応え、遂にドクター=ヘルを打ち倒すマジンガーZ。喜びに打ち震える光子力研究所の面々。だがこの時弦之助は喜びのあまり致命的な失敗を犯す。即ち、ゴーゴン大公がまだ生存していて戦いは決して終わったわけではないのに、傷つきボロボロとなったマジンガーZの修理を怠ってしまったのである。そして、そのマジンガーZを次の悪魔どもが爪を磨いで狙っていた。ミケーネ帝国である。マジンガーZが消耗しきったのを狙い済ましてミケーネ帝国は本格的侵攻を決行してきたのだった。そのミケーネ帝国の戦闘獣の前に、マジンガーZは完膚なきまでに敗れ去った。幸い戦いは戦闘は後を引き継いだグレートマジンガーが勝利するものの、甲児は行方不明となってしまった。甲児が死んでしまったものと思って気落ちする弦之助。だが甲児は生きていて科学要塞研究所に運ばれて手当てを受けていた。
そしてそこで弦之助は信じられない人物と出遭う。恩師・十蔵の息子で、甲児たちの父親である兜剣造だ。12年前、実験事故で死んだと思われていた剣造は、実は十蔵にサイボーグとして生き返らされて密かにミケーネ帝国と戦う準備をしていたのだ。剣造は弦之助に、ミケーネ帝国との戦いは自分達が引き継ぐことを宣言し、弦之助には本来の光子力の平和利用の研究に没頭することを希望する。
弦之助は、甲児とさやかに休養を兼ねてニューヨークのワトソン博士の元へ留学させることにした。シローのことは当初、弦之助がそのまま面倒を見ていたがシローの希望もあり、科学要塞研究所に引き取られていった。
戦いを剣造に任せ、甲児たちがアメリカに留学している間に、弦之助はマジンガーZを剣造が開発した超合金NZに造りかえ、出力増強のパワーアップを施していた。それは、ミケーネ帝国の恐るべき軍事力を肌で感じた弦之助にとって、いつかグレートマジンガーだけでは手に負えなくなる日がくることを予期していた故なのかもしれない。若しくはあるいは、それは敗れ去った男たちの「敗者復活戦」だったのかもしれない。世間からはマジンガーZはすっかり忘れ去られていた。否、そればかりか世評では「マジンガーZでは戦闘獣には敵わない」とまで言われていた。十蔵が、甲児が、そして自分達が心血を注いだマジンガーZをこのまま埋もれさすことは弦之助には堪えられなかったのだろう。来るべきその日の為に弦之助はグレートマジンガーの力強いパートナーとしてマジンガーZを復活させるべく、日々メンテナンスを続ける。
その弦之助の予感は、不幸なことだがやはり的中した。約1年に渡るミケーネ帝国との闘いの中、グレートマジンガーと科学要塞研究所は徐々に圧されていったのだ。そして、昭和50年9月、科学要塞研究所はミケーネ帝国の大攻勢の前に転覆寸前にまで追い込まれてしまった。
この危機を目にして科学要塞研究所を救うべく行動に出たのは、一年前とは逆に弦之助だった。そして弦之助はアメリカから甲児を呼び出し、甲児は新生マジンガーZでこれまた逆にグレートの危機を救うのだった。
ここに至って弦之助と甲児は科学要塞研究所に合流して、一気にミケーネ帝国との最終決戦にまで持ち込んでゆく。剣造と甲児の親子の対面の橋渡しをし、無事果たした弦之助は、積極的に戦いを主導してゆく。
だが、二台のマジンガーの合流はミケーネ帝国には脅威だった。帝国はここに科学要塞研究所との決着をつけるべく動き出した。また、悪いことにグレートのパイロットの剣鉄也は、自分の居場所を脅かす甲児の出現にすっかり冷静さを失くし、甲児との連携プレイがとれなくなっていた。その両者の亀裂に帝国は付け込んで来た。ダブルマジンガーを分断し、各個撃破してくるミケーネの地獄大元帥。その作戦の前にすっかりマジンガーと研究所は後手に回ってしまった。敵に先制され重傷を負う鉄也。そしてその鉄也を救おうとして剣造は命を落とす。
その悲劇を前にしてなお弦之助は甲児にデモニカ撃破を命令する。
「泣くことは何時でもできる! 今甲児くんがやらねばならないことは、このような悲劇が二度と起こらないようにと、悪の根を絶つことだ!!」
剣造の代わりに陣頭指揮に立つ弦之助。そしてグレートが、ビューナスが、ダイアナンが、なによりもマジンガーZがミケーネの野望に終止符を打って戦いを勝利へと導いていった。
終戦後、甲児はNASAへ円盤のレポートを提出するために再びアメリカに戻った。さやかはそのまま光子力研究所に残ったようである。甲児は闘いの呪縛から解かれてようやく自分の夢に向けて歩き出し、宇宙科学研究所の所員となるべくして程なく日本に戻ってきた。
だがそこには新たな戦いが甲児を、地球を待っていた。ベガ星連合軍の地球侵攻だ。
ベガ星連合軍が地球の侵略を始めると、甲児はそのまま再び戦場へと立っていった。そしてマジンガーZの再出馬を巡って弦之助をも交えて宇門博士、デューク、甲児や国・軍と地球防衛会議が行われたものと考える。新戦力としてのグレンダイザー、そして未だ再起叶わぬ鉄也・・・結局のところ、地球の戦力保持および戦渦の拡大を避けるため、また、補給基地たる光子力研究所の機密保持のため、国防軍の指揮の元、マジンガーやさやかは戦闘参加を見合わせることとなったものであろう。そして、甲児は引き続きデュークとともにベガ星連合軍と相対すこととなり、その間甲児は機密保持のため光子力研究所への接触を断つこととなったようだ。
弦之助は新兵器の開発や装甲の素材としての超合金NZの補給など、光子力研究所で協力体制をとっていたものと思われる。戦争の推移によってはマジンガー出動も考えられていたと思われ、弦之助はマジンガーを宇宙でも戦えるように整備していたものであろう


弓さやか

生年月日 昭和32年4〜7月頃
血液型   O型か?
身長    158p(キャラ表ヨリ推計)
体重    不明

出生は昭和32年4〜7月頃。弓弦之助の娘として生まれる。
母はさやかが幼い頃に死亡している。父の話によると、さやかは小さな頃から負けん気の強い女の子だったようである。昭和39年頃に兜十蔵が引退して、その一番弟子だった父・弦之助が代わって光子力研究所二代目所長となると、いっしょに移り住んで以後光子力研究所で育つ。兜十蔵所長時代には甲児とも逢ったことがあるようである。
美人で育ちの良いお嬢様だったさやかは人気があったらしく、中学の同級生だったボスをはじめとして熱烈なファンが多かったようである。バイクに乗るなど活動的なところから、不良グループからはちょっとしたマドンナだったみたいな雰囲気がある。また、町の鋼道館でずっと柔道を習っていたらしく、現在の実力は二段である。中学の頃からか父の仕事の手伝いをするようになり、土木用作業ロボットのアフロダイAが完成するとその専従パイロットを務めるようになる。料理もそれなりに得意であるらしく、家庭での食事はさやかが主に作っていたようである。初期の部屋は三階。新・光子力研究所落成後は五階に部屋が移ったようである。
昭和47年12月3日、さやかは暴走するマジンガーZを止め兜甲児と邂逅する。この時操縦の不慣れな甲児にロボットの操縦を教えており、以後しばらく甲児の操縦指南を務める傍ら、ドクター=ヘルの機械獣とも戦っていった。しかし、負けず嫌いの甲児は女の子に特訓されるのが大嫌いだったらしく、この時からすでに戦闘の不一致が認められる。それでも喧嘩の後に初めて甲児がガードスーツに身を包んだ姿を見たとき見惚れて赤面しており、このことから甲児のことを強く意識するようになったらしい。
やがてさやかは中学を卒業すると、高校へは進まず光子力研究所で父・弦之助の助手を務めるようになる。
戦闘に関しては特に戦闘訓練を受けていたわけでもなく、また、アフロダイAがそもそも土木作業用ということもあってドクター=ヘルの機械獣相手には歩が悪く、マジンガーZの前哨戦として機械獣と戦うことが多かった。
甲児とは、当初はお互いに意識しており多少の口論はあっても気にし合う存在であったようだが、甲児はさやかが戦闘の前面に出ることをあまり快くは思っておらず、また、戦闘になると負けて助けられるばかりのくせに戦闘にしゃしゃり出るさやかに毒づくことが多かった。世界防衛の唯一最後の希望の砦としてその身に一身に人類の命運を背負って闘わなければいけない甲児にとって、途中で倒れて後を託しても構わないさやかの立場で「甲児くんだけが戦っているんじゃないわ」と言われるのは気持ち良いものではなかったのであろう。しかし一方、さやかにすれば自分の手助けを感謝もせず独りで戦っている気になっている甲児の態度には頭に来るところのものも多々あるのであろう。正直なところ二人の喧嘩は「どちらもどちら」な面が大きい。しかし互いに譲ることがないものであるから、それが嵩じてついには日常茶飯事に甲児との喧嘩が絶えなくなっていった。また、戦場で甲児を出し抜こうとする行動も多くなり、いきおい言動はきつくなる一方。そしてボスが自分のロボットを持つようになると、主にボスとつるむことが多く、為に甲児との関係は益々こじれていった感がある。
さやかとしては、決して甲児のことが嫌いだったわけではなくむしろ「将来はお嫁さんになりたい」というほどに甲児のことが好きだったようだが、「男女同権」にこだわるあまり自分の役割を超えてチームワークを乱していた感がある。もちろん、さやか自身は他の並の男性よりよほど優秀だったであろうことは間違いないであろうが、「男女同権」とは全然別次元として仕事では「実力が優る者が中心となる」ものであり、これが生死の遣り取りをする戦争においては尚更である。さやかは本来は戦闘においては甲児をリーダーとして立てるべきだったと云えよう。「好きな男性」に素直に甘えられないところが性格的にあったにせよ、こと恋愛に関して云うならばそれは完全にさやかの失敗だったと云えるのではないだろうか。というのも、甲児にすればやや自業自得なのだが、なにかと反抗的になり最早「反対のための反対」にまで陥ったさやかに対して甲児はかなり心が離れていったようであったからだ。甲児が、青空ひとみやエリカ・みさとなど次々と他の女性に心が傾いていったのはその為もあると考えられる。それがまた嫉妬となり、更なる甲児との喧嘩を呼び、みさとともしっくりいかなくなるなど、悪循環の繰り返しがこのころのさやかの状況であった。
しかしお互いの転機となったのは、皮肉にもアフロダイAの最期だった。甲児とみさとがバイクの特訓中妖機械獣パルピアπ7が襲来し、さやかは独りアフロダイAで調査に向かうがパルピアπ7に翻弄される。これ以上アフロダイAが破壊されることを恐れたさやかは遂に戦闘を放棄してしまった。そんな中、バイクの特訓中大怪我を負った甲児が重傷の身を押して出撃してゆくが、戦闘力をほとんど失った甲児が勝利する可能性は薄い。だが、「誰にでも犠牲にしたくないものはあるが人の命にかえられるものはない」という弓教授の言葉に遂に意を決したさやかは、マジンガーZを救うべく敵の攻撃より庇ってそして遂にアフロダイAは破壊されてしまう。自分の半身を喪ったかのように嘆き悲しむさやかに対し甲児は自分の身勝手な行動を詫びる。だかさやかの喪失感はそうとうに大きく、しばらくは立ち直れず暗く沈んだ日が多かった。新ロボットの建造会議にも出席せず湖で一人悲しみに暮れ、アフロダイAを想うあまりあわや水難事故まで起こしかけたところを甲児に助けられる。すっかり気落ちしているさやかに対し甲児はいろいろと元気づけ、「新しいアフロダイAと共に生きる」ことを奨めた。そして以後甲児が戦場でさやかを邪魔者扱いにする発言をとることはほぼ無くなっていった。それに伴いさやかもヒステリックな言動が少なくなり、やや素直になれていった感がある。二人の関係もやや旧に戻っていったようではあるが、但しみさとに対してはやはり嫉妬があるのかあまり仲良くは出来なかったようである。
昭和49年5月12日、アフロダイAにかわるダイアナンAが完成すると戦闘においてもお互いに協力し合う様子が見て取れるようになる。また、戦局もこのころは一進一退の混戦を呈しており、二人が喧嘩をしている余裕がなかったというのも一因かもしれない。そして、ドクター=ヘルとの最後の攻防が近くなると、バードス島や地獄島で捉えられてピンチに陥る甲児を救出するなど、ボスとともに善く甲児を助け戦闘に貢献した。地獄島での最後の決戦にも参戦し、マジンガーZの勝利の一翼を担う。永く、苦しいドクター=ヘルとの戦いは遂に終わりを告げた。
しかし、マジンガーZが戦い疲れるのを待っていたミケーネ帝国は、好機到来とばかりに地上侵攻を開始し始めた。怪我を負っている甲児に成り代わって出撃するさやかとボスであったが、ミケーネの戦闘獣は機械獣とは比ぶるべくもないほど強く、さやかのダイアナンAは呆気なく敗退する。後を満身創痍のマジンガーZと甲児に託すさやかであったが、その頼みの綱のマジンガーZすらも完膚なきまでに敗れ去り、戦闘は後を引き継いだグレートマジンガーが勝利するものの、甲児は行方不明となってしまった。
消息の絶えた甲児は科学要塞研究所に運ばれて手当てを受けていた。死んだと思っていた甲児と科学要塞研究所で再会を果たしたとき、さやかの胸に去来したものはなんであったろう。おそらくそれはただ一念、「生きていてくれて良かった」という想いであったことだろう。甲児が休養を兼ねてニューヨークのワトソン博士の元へ留学することになったとき、日本を発つ旅客機の席で傍に付き従っていったのは他の誰でもなく、さやかだった。
ニューヨークでのさやかは、甲児とともにワトソン博士の元でロボット工学を学んでいたそうであり、また、ハイスクールにも通っていたようである。計らずも異国で進学しなかった高校へも通えることになり高校生活を営むこととなり、ささやかながらも平穏な毎日を過ごしたものと推測される。相変わらず甲児とは喧嘩していたことであろうが、以前と違ってさやかも随分と素直になれていったのではないだろうか。
途中、甲児はUFO学や天文学に転向してNASAに出入りするようになったが、さやか自身は特にNASAとは関係なく地道にロボット工学を学んでいたものと思われる。ただし、甲児のTFO製作には少なからず手伝いをしていたことが記録に残っている。ミケーネとの最後の決戦が近づくと、甲児は急遽日本に呼び戻され戦闘に赴くが、さやかも遅れて帰国を果たしダイアナンAにてミケーネ最終決戦に尽力した。
終戦後、甲児は再びアメリカに戻ったが、さやかはそのまま光子力研究所に残ったようである。程なく甲児は再び日本に戻ってきたが、今度は宇宙科学研究所の所員として帰国したものであり、光子力研究所から甲児は去ったようである。ベガ星連合軍の侵攻が始まると、甲児はそのまま戦闘に出てしまったが、地球の戦力保持および戦渦の拡大を避けるため、また、補給基地たる光子力研究所の機密保持のため、国防軍の指揮の元、マジンガーやさやかは戦闘参加を見合わせたものと考えられる。そして、その間甲児は機密保持のため光子力研究所への接触を断っていたようなので、面会はおろか手紙や電話もままならなかったのではないかと推測される。しかし新兵器開発には相当程度光子力研究所も協力体制をとっていたと考えられ、さやかも科学者として側面からサポートしていたように思われる。戦争の推移によってはマジンガー出動も考えられていたと思われ、主要メンバーたちは新・科学要塞研究所を建設して事に備えていたようである。
この間さやかは恐らくは甲児の身を案じ彼の無事を願っていたものであろうが、さやかの想いが甲児にどれだけ伝わっていたものか、甚だ疑問である。残念ではあるが甲児はこの戦いの中、一時期牧葉ひかるに想いを寄せていたのであるから・・・・・・・。