クリックまんが ダイナミックロボット大戦

作品紹介
(1)出撃!驚異のロボット軍団!!
 ベガ星連合軍が壊滅してから一年後ーーーーーー、世間を謎の犯罪組織が席捲していた。
「本当に怖いのは宇宙人ではなく、人間なのかもしれませんねぇ」
そう語るはかってベガ星連合軍と戦った宇宙科学基地の職員・山田の言葉だ。
そこへ突然、グレンダイザーが円盤獣に追われて地球へ逃れてきた。地球側は早速、グレートマジンガー、ビューナスA、そしてマジンガーZを出撃させる。Wマジンガーを前には、さしもの円盤獣軍団も敵し難く、やがて鎮圧されていった。
 大介の身を案じる甲児。が、グレンダイザーに乗っていたのは、デュークフリードではなくマリアであった。事の不穏を感じ取る甲児と宇宙科学基地の面々。そこへ早乙女研究所までがメカザウルスの急襲を受けたとの報が入った。早乙女研究所救援に向かう鉄也とジュン。そして甲児はマリアを宇宙科学基地へと護衛していった。
 一方、早乙女研究所ではゲッターロボーGがメンテナンス中のため出撃不能だ。無理を押してゲッターチームはゲッターロボ実験機で戦うが、苦戦は免れなかった。ボスボロットの僥倖的活躍のお陰で辛くも辛勝を拾うも、事の成り行きに不安を憶えるゲッターチームであった。

(2)恐怖!悪魔族復活
 ゲッター救援に向かうグレートマジンガーとビューナスA。が、それを阻止して立ち塞がったのはミケーネの万能要塞ミケロスと、グレートに敗れ去ったはずの暗黒大将軍だった。
 ミケロスをジュンに追わせ、暗黒大将軍と対峙する鉄也。が、かつて倒した敵とはいえ暗黒大将軍はあまりにも強敵だ。戦いは互角・・・・いや、グレートがやや押され気味だ。
 一方、甲児に救われてようやく気を取り戻したマリアは、事態の経緯を語り始める。フリード星を突如ベガの円盤獣が襲ってきたこと。「甲児くんを頼れ」とマリアをグレンダイザーで脱出させ、デュークは爆炎渦巻くフリード星に残ったこと・・・・・・・。兄の救援を甲児に懇願するマリア。が、事まだ早しと諭す宇門博士。今回の敵どもはいずれも地獄から甦ったとでもいうのか、すべてかつて倒され死したものばかりなのだ。
 と、そこへ妖獣ブゴが襲い掛かってきた。悪魔を相手には流石の兜甲児も分が悪すぎる。その甲児の危機を救ってくれたのはかっての戦友不動明=デビルマンだった!! 不敵なまでの余裕でブゴを葬り去るデビルマン。だが、明はこの事件を軽くは見ていなかった。否、地獄へと続く門は開かれたばかりなのだ。
 明の心配を裏打ちするかのように、ミケロス追跡に向かったジュンは、やはり甦ってきた妖獣シレーヌに襲撃を受けた。鉄也の指示でビューナス救援に向かったマジンガーZとデビルマンが見たものは、ずたずたに引き裂かれ破壊されたビューナスAの姿のみ・・・・・。炎ジュンの姿は何処にも見出すことはできなかった。大激闘の末、辛くも勝利をもぎ取った鉄也の下へ悲報が走る。その悲報を鉄也は呆然と聞くほかなかった。

解説
 22年目にして、ようやく「マジンガー」の魂を正統に受け継ぎ現出した作品が本作だ。
 メディアこそ、クリックまんがという「制限」の多い中での作品となったが、そのストーリー、そのマジンガーへの造詣の深さ、徹底した拘りは超一流で、おそらく今後この作品を超える「マジンガー」は二度と現れることはないだろう。
 まず、本作の最大のセールスポイントといえば、「三大マジンガー」の共演という一事に尽きるだろう。この華やかな最大のイベントは、テレビシリーズ本映当時にはついに実現することは叶わなかったのだ。それだけに、等しくマジンガーファンにとっては、夢にまで見る切望事であったといえよう。三大マジンガーがテレビ画面に揃い踏みした時、狂喜したのは筆者だけではあるまい。その一点においてさえ、本作品はその存在意義は十二分にあったといって過言ではない。
 が、三大ロボの共演のみが本作の偉事では、勿論、ない。キャラクターの性格や本編のエピソードを着実に踏まえた上で、いわゆるそれぞれのテレビ作品の続編を見るような感覚で、キャラクターたちの新たに紡ぎ出された心情や交流が見られるのが嬉しいところだ。
 ゲッターG以降の進展を垣間見ることの出来る隼人とミチルの関係、ひかるのデュークへの変わらぬ慕情、そして甲児をめぐるさやかとマリアの恋の鞘当てなど、見るべきものが多い。
 また、二巻までではまだ顕著には表れていないが、鉄也とジュンの絆や兜剣造との絡みなどは素晴らしいエピソードが用意されており、むしろ製作者の描きたかったテーマとは、テレビ本編で消化未了だったキャラクターたちの関係や想いを、作者なりに決着をつけたかったところにあるのではないかとさえ感じてしまう。それは大なり小なりファンたちも、己が胸に擁き続けていた残り火だったのかもしれない。その燻っていた火を再び燃え上がらせる事が出来たのは、作者自身が長年各作品に対してこだわり続け愛してきたからであろう。まさしく、「魂」で語られた作品というに相応しい。これに「魂」で応えられる視聴者にとっては、この作品は「マジンガーZ対暗黒大将軍」に匹敵する感動を得られる筈だ。
 また、純粋にロボットバトルとしての見地から見ても見応えは大きい。特にグレートマジンガーと暗黒大将軍を頂点とした闘いは、凄まじく格好いい。
 死力の限りを尽くして闘い抜くグレートと、その数々の攻撃を受けながらもじりじりと押してくる暗黒大将軍ーーー。ネーブルミサイルを打ち尽くしたところに、激闘の痕と暗黒大将軍の実力の凄まじさが伺える。また、これがとどめだとばかりに放ったグレートの必殺技を、その都度凌ぎきる暗黒大将軍の勝負強さや精神力には脱帽だ。渾身の力で放ったドリルプレッシャーパンチを腹に受け、不気味な金属音とともに押し戻されつつも、それが緩やかに感じられるのは暗黒大将軍の不倒不屈の闘志を指すものだろう。グレートブースターのブーストアタックをうけ爆発炎上してさえ、上半身のみにてなおも生きていた執拗なまでの執念は、最早驚嘆に値する。ロボットアニメ名勝負の一つに是非推したい。

 摩擦を恐れずあえて云おう。この作品を見ずしてマジンガーを語るなかれと。
 この『クリックまんが ダイナミックロボット大戦』は全6巻を予定して製作がすすめられていたが、プロットをラストまで聞いてみると、そこには壮大で感動的なラストが待っており、筆者は身震いを禁じ得なかったものだ。つーか、泣いたぞ。
 この6巻すべてが完結していたならば、『クリックまんが ダイナミックロボット大戦』こそは、マジンガー史に伝説として燦然と残る一大傑作となっていたことであろう。否、マジンガーのみに非ず、『デビルマン』『キューティーハニー』『ドロロンえん魔くん』の各作品のファンにとっても金字塔的作品として記憶に残ったことであろう。それだけに製作会社の倒産という形で中断されたのは痛恨の極みである。
 どのような形でも良いから、残りのエピソードが世に出て完結することが望まれる作品である。 

製作リスト
製作 株式会社徳間書店
インターメディア・カンパニー
音声収録 服部寛
著者 永井豪とダイナミックプロ 音楽 菊池俊輔 渡辺宙明 三沢郷
構成 永井豪とダイナミックプロ
越智一裕 赤星政尚
音源作成 柴田英隆 大坪正 柴田曜
スーパーバイザー 幸森軍也 効果音 伊藤克巳 伊藤道廣 森賢一
監督 越智一裕 オーサリング 沼田龍一
作画監督 小松原一男 オーサリングアシスタント 狩集真悟
作画 友永和秀 本橋秀之 越智一裕
相原さつき 小原渉平
越智ひろみ
クリックマンガシステム 折茂賢司 藤井祥司
CG監修 戸嶋剛司 西原孝治 製作管理 佐々木さとみ 高山正美
CG 吉田聡 中村正吾 久永拓也 
小宮深雪
プロデュサー 山森尚
音声収録協力 角康明 アシスタントプロデューサー 湊博道 長倉明