グレートマジンガー
作品紹介 |
遥かなる古、機械化文明を以って世界に覇を唱えようと目論んだミケーネ帝国。だが、地震という大自然の猛威の前に、彼らは地底深く逃れざるを得なくなった。爾後三千年・・・地上侵攻の野望をその冷たい地底で燃やし続けた帝国は、ドクターヘルの世界征服の野望を知るや好機至れりと漁夫の利を計り、そしてヘルに立ちはだかったマジンガーZが満身創痍の勝利をもぎ取ったその瞬間、帝国は牙を剥き出した。しかし、鉄の城遂に陥つ時、新たな魔神が降誕する。グレートマジンガー。それは兜甲児の父、兜剣造の作り上げたスーパーロボットだった。操縦者に剣鉄也を得て、グレートマジンガーは闘い続ける。真の平和を目指して・・・・ |
解説 |
グレートマジンガーを語るとき、必ず附いて回る修辞句がある。曰く、「マジンガーZの第二弾」であるという評価である。無論シリーズ第二弾であることは、逃れようの無い事実である。が、「グレートマジンガー」という作品が、所謂「単なる続編」にとどまるのみの作品ではないことももっと評価されて然るべきであろう。 その筆頭に挙げられるものは、一にミケーネ帝国の設定だろう。前作「マジンガーZ」ではその敵は秘密結社然としており、まだまだそれ以前の時代嗜好を引き摺るものが見て取れた。が、「ゲッターロボ」と本「グレートマジンガー」において、敵という存在は一気に国家レベルにまで引き上げられたのだ。そしてそれは敵という組織の重厚さを生み出すことに一役買っている。しかも、幹部が軒並み巨大ロボットであり、それぞれが主役ロボットと比肩する実力を有するとあっては、その強大さにおいてミケーネ帝国はロボットアニメ史上でも有数の存在感を示したといって過言ではなかろう。そしてまた、ミケーネロボットのそれぞれが生身の頭脳を移植しており、なにかしら帝国の執念すら感じられ肌寒いばかりの恐怖を想起させるという、敵としては好格好の材料をも附されていることも見逃せない。奇をてらうでもなく、堅実な設定の中でこの種の恐怖感を醸し出すことは至難であり、このあたり、「仮面ライダー」の敵組織ショッカーを巧くロボットアニメに換骨奪胎した成功例と云えようか。 また、ヒーローたるグレートマジンガーそのものにも、シャープさ力強さが風格として漂っており、人気の源となった。加えて劇的なドラマ展開に、月に一度は戦局の異変を用意するなど、その話題作りにおいて実質マジンガーシリーズの隆盛を最高潮にまで高めた功績は、疑いなく「グレートマジンガー」に帰する。グレートなくば今のマジンガー伝説は存在しなかったであろう。「マジンガーZ」が扶植した種を「グレートマジンガー」が見事に発展昇華させたのだ。 ただし、「グレートマジンガー」という作品が、全てに於いて成功だったというわけではない。その最も顕著な部分は、登場人物の配置に難を有した点にある。グレートマジンガーという物語を通読すると、まず物語りの発端ーーーー、ミケーネの野望を察知した兜剣造はグレートマジンガーを密かに建造し始める。グレートの大きすぎるパワーを乗りこなせるように、運動神経のよい孤児を引き取って特訓を課す。平和の砦として科学要塞研究所を建設。戦いの幕が切って降ろされるや陣頭指揮を執りーーーーーーー、つまりは徹頭徹尾物語の主体を司るのは兜剣造であり、主役を務めるはずである剣鉄也は完全に従にまわってしまったのである。「グレートマジンガー」という物語は「兜剣造の闘い」であり、「剣鉄也の闘い」ではなくなってしまった感があるのだ。それは将棋で例えれば、「王将」が兜剣造であり、剣鉄也、炎ジュンは「飛車・角」といったものだろう。どんなに強力であっても「飛車・角」は所詮は駒の一つに過ぎず、勝敗は「王将」を獲るかどうかが全てである。例えグレートマジンガーが中途で倒れたとしても、兜剣造さえ健在ならば戦いは継続出来るのに対して、兜剣造死なばグレート健在であっても戦闘続行不可能と思わせるまでに至っては、主客は完全に逆転したと言って良い。結局のところそれが根本で、「剣鉄也」というキャラクターを人によっては「とっつきにくい」ものにしてしまったのではないだろうか。しかし「剣鉄也」がそれだけのキャラクターではないのもまた事実である。その答えは、是非ご自分の目で全話を見てご確認いただきたい。 |
製作スタッフ | |
放映局 | フジテレビ系 |
放映期間 | 昭和49年9月8日〜昭和50年9月29日 毎週日曜日午後7時〜7時30分 |
原作 | 永井豪とダイナミック企画 |
企画 | 春日東 別所孝治 横山賢二 有賀健 |
製作担当 | 菅原吉郎 |
音楽 | 渡辺宙明 |
選曲 | 賀川晴男 |
製作進行 | 佐々木章 |
記録 | 大橋千加子 |
現像 | 東映化学 |