マジンガーZ対デビルマン
作品紹介 |
マジンガーZとDr.ヘルの闘いが続く中、突如デーモン族の妖獣マダムシレーヌが甦ってきた。かつて倒したはずの宿敵が空に舞う姿を見て、デーモンハンター不動明ことデビルマンは事態の常ならざることを悟り、調査に乗り出す。一方、Dr.ヘルもまたデーモン族に興味を抱き、己が配下に納めんと欲しヒマラヤ山中へ赴き、まんまと魔将軍ザンニン・妖獣シレーヌ・妖獣ブゴを操ることに成功する。その一部始終を目撃した不動明は、自分一人の力では解決できないと知り、Dr.ヘルの恐れるマジンガーZに協力を求めるべく兜甲児に接触を図った。不動明の指摘で、空を飛べないマジンガーZの能力の限界に苦慮する兜甲児。しかし光子力研究所の弓教授とそのスタッフは、既にマジンガーZの弱点を知り抜いていてそのパワーアップにと、空を飛ばせる為の翼ジェットスクランダーを完成させていたのだ。驚異を感じたDr.ヘルは妖獣たちにスクランダー破壊命令を下す。甲児の必死の防戦も虚しくスクランダーは破壊され、さやかとシローはシレーヌに拉致されてしまうのだが、それを救ったのはデビルマンだった! デビルマンの正体を知り、二人は共闘を誓い合う。 彼らが手を握ったことを知ったDr.ヘルは一気に事を決すべく、機械獣大部隊を光子力研究所に差し向けた。立ち上がる二大ヒーロー。しかし空を飛べないマジンガーZでは所詮敵し難く、戦力を分断されデビルマンは雲の上に捕われてしまった。今や死を待つばかりのデビルマン。その危機を目の当たりにし、兜甲児は修復なったばかりのジェットスクランダーを使用することを決意した。マジンガーZが遂に空を飛ぶ!! その圧倒的な戦力差の前に最早機械獣軍団もデーモン族軍団も敵ではなかった。Dr.ヘルは命からがら逃れ去り、無事デビルマン救出を果たし、両雄はこれからも世界の平和を守ることを約しお互いの道へと岐れていったのだった。 |
解説 |
マジンガーシリーズ初の劇場版オリジナルとして、また、ヒーロー共演物としてその意義は計り知れないほど大きい。しかしこの作品、マジンガーZファンには喝采だがデビルマンファンにはかなり不評だったことも忘れてはいけない。 それもそのはず、「共闘」といいながら実質はマジンガーZのジェットスクランダーのプレビューに力が注がれ、デビルマンはその引き立て役であるかの如くピンチに陥ってマジンガーZに救われる役回りだったのだから。 よく、「マジンガーZ」ファンはグレートやグレンに対して「Zや甲児くんを踏み台にした」として嫌う向きがあるが、当の「マジンガーZ」そのものが「デビルマン」を少なからず踏み台にした事実は忘れるべきではないだろう。 まずこの作品、物語中、デーモンの妖獣どもが確たる理由も無く甦ってくるのもいただけない。「デビルマン」の魅力の一つに「観念としての悪魔」ではなく「超絶した能力を持つ生物としての悪魔」を導入したことが数え上げられるのだが、生物であるならば「死」ねばデーモンといえども生き返ることは出来ないというシビアな世界観こそが「デビルマン」の真骨頂だったからだ。いくら人気キャラだったとはいえ、ザンニンやシレーヌを出すよりは新キャラクターを出したほうが良かったのではないだろうか。もちろん、スタッフが多分に原作デビルマンのワンシーンを再現したかったであろうことは判るのだが・・・・・ 次に、ジョイントにやや無理があったことも否み得ない。「マジンガー」の世界にデーモンが存在するということに違和感がありすぎるのだ。「マジンガーZ」の醍醐味は極力非現実的な要素を排除して、さながら現実世界の延長上に存在しているかのような日常性にあるといってよい。もちろん「デビルマン」も日常の中に一つ「もしデーモンがいたら・・・」という仮定をはさむことによって出来た「日常を犯す非日常」というのがその身上なのだが、一つの仮定を挟んだことによって既に別の独特の世界を築き上げてしまっている。その異質なもの同士を混ぜ合わせたことによって、世界観にまとまりがつかなくなったのはまぎれもない事実だ。 少し辛口の評価が続いたので、良い部分についても触れるべきであろう。二大ヒーローの華麗なる競演は、純粋に当時の児童を湧かせたのは間違いない。そのことこそがこの作品の真骨頂であろう。また、新兵器ジェットスクランダーのお披露目としては、むしろテレビ版よりも手に汗握る「燃える展開」を見せてくれた。ジェットスクランダーを装備して一気呵成に逆転に転じる様は、言葉に尽くせぬほどかっこいい。そう、それを見せてくれただけで、この作品は立派に存在意義を有する。 |
製作リスト | |||
英文タイトル | MAZINGER VS,DEVILMAN | 音楽 | 渡辺宙明 三沢郷 |
上映時間 | 43分 | 美術 | 浦田又治 |
初号試写 | 昭和48年7月2日 | 作画監督 | 角田紘一 |
封切 | 昭和48年7月18日 | 演出助手 | 遠藤勇二 |
映倫 | 23585号 | 撮影 | 平尾三嘉 目黒宏 |
製作 | 登石 一 | 編集 | 古村均 |
企画 | 有賀健 勝田稔男 | 録音 | 神原広巳 |
原作 | 永井豪とダイナミックプロ | 効果 | 畑英彦 |
脚本 | 高久進 | 記録 | 大橋千加子 |
演出 | 勝間田具治 | 製作進行 | 吉岡修 |