マジンガーZ対暗黒大将軍
作品紹介 |
束の間の平和の中、海水浴を楽しむボスたちの前に謎のロボットと予言者が現れる。予言者は告げる、「まもなくこの世の終わりが来る。それに立ち向かえるのは鉄の城・マジンガーZのみだ」と・・・・・・ 果たせるかな、世界各地を謎のロボット軍団が襲う。防戦に努めるマジンガーZだが、その力の凄まじさと物量作戦に大苦戦を喫す。なんとか第一次襲撃を撥ね退けるものの、光子力研究所と、そしてマジンガーZ自身も相当の大打撃を受けてしまった。そして・・・・・・・弟・兜シローは兄の誕生日のプレゼントを取りに戻って瀕死の重傷を負ってしまう。輸血を申し出る甲児・・・・・・・ 甲児は、今度の敵がDr.ヘルとは比べ物にならないほど強大であることを悟っていた。敵は三千年前に滅亡したと思われていたミケーネ帝国だった。密かに死を覚悟する甲児をそっと見送るさやかーーー。狂奔の第二戦が始まった。獣魔将軍を指揮官に擁いた戦闘獣軍団は強い。あまりにも強い。徐々に追い詰められたマジンガーZは戦闘獣軍団の力に翻弄され、そして遂に力尽きようとしていた。 その危機を見て取った予言者はついにその正体をかなぐり出す。その仮面の下に表れた姿は、死んだと思われていた甲児の父・兜剣造その人だった! 兜剣造は剣鉄也に出動命令を下す。グレートマジンガーの出陣だ!! 戦場に馳せ参じたグレートマジンガーは、軍神さながらに戦闘獣軍団を薙ぎ倒してゆく。その圧倒的な強さの前に軍団は壊滅していった。そして獣魔将軍をグレートが、Zが叩き伏せる。 ひとまずの平和を勝ち得た両雄ーーーー。そしてグレートマジンガーはその登場と同じく、疾風のように去っていった・・・・・・・。 |
解説 |
最早何をか云わんや。シリーズの最高峰にして、伝説の域にまで達した偉大なる世紀の傑作である。その新旧交代劇はいまだに語り継がれ、新ヒーロー・グレートマジンガーの究極の格好良さが炸裂しまくっている。その偉業は普く天下に知れ渡っているので、今更それを語るのも気恥ずかしいほどだ。しかし、グレートマジンガーの格好良さも然ることながら、落日のマジンガーZもそれに劣らず、否、昇日のグレートマジンガー以上に美しい。 通常、ロボット物において主役は、負けることがあっても必ず直ぐにリターンマッチで勝ちを収めるというように、決定的な敗北を喫することなどまず無い。それが故に追い詰められた焦燥感は表現しづらいものなのだ。しかし、当物語に於いては、圧倒的な強さを誇るミケーネ帝国の前には鉄の城・マジンガーZすら敵し難く、世界が滅亡する恐怖感を兜甲児と共に視聴者は味合わされることになるのだ。そして甲児は呟く。「戦うのが怖い」と・・・・。あの強気の甲児がこう漏らすのである。怖いものを素直に怖いと認識し、しかしそれでもなお甲児は戦場へ赴くのである。「今マジンガーZが出動しなければ世界は暗黒大将軍のものになってしまいます。戦って、戦って・・・・それでも敵わぬときはマジンガーZとともに死ぬだけです」。はっきり負けると知りつつ、なおもみんなの最後の希望の星として戦うその悲壮感。それは以前にも以降にもついに真似ることのできなかった究極のヒロイズムだ。と同時に、自分の死と引き換えてもなおどうにもならないであろう巨大な事態を前にした無力感。自分の力の限界をまざまざと思い知らされるのである。破滅へとむかう世界を蟷螂の斧で刃向うその様は原作版「デビルマン」を彷彿とさせる。 それでも、まがりなりも刃向うことの出来るマジンガーZは、力の限り戦い抜くのだ。砕け、溶け、満身創痍になりながらも立ち上がるマジンガーZの姿は、将に男の美学を一身に具現している。思うにマジンガーZの伝説はこのとき完成したのではないだろうか? 勝ちつづけることはとても凄い事だと思う。しかし、本当の強さとは決して勝ちつづけることではなく、負けたときいかにして立ち上がれるかということなのではないだろうか。自らの栄枯盛衰の中にそれを教えてくれたマジンガーZは稀有のヒーローであろう。 マジンガー・・・・・・・その栄光と敗北。日は沈み、そして日はまた昇る・・・・・・・・・・されどその勇姿は永遠に。 |
製作リスト | |||
英文タイトル | MAZINGER VS.DARK GENERAL | 音楽 | 渡辺宙明 |
上映時間 | 43分 | 美術 | 辻忠直 |
初号試写 | 昭和49年7月8日 | 作画監督 | 角田紘一 |
封切 | 昭和49年7月25日 | 演出助手 | 遠藤勇二 |
映倫 | 23758号 | 撮影 | 吉村次郎 相磯嘉雄 |
製作 | 登石 一 | 編集 | 千蔵豊 |
企画 | 有賀健 籏野義文 | 録音 | 池上信照 |
原作 | 永井豪とダイナミックプロ | 効果 | E&M 伊藤道広 |
脚本 | 高久進 | 記録 | 大橋千賀子 |
演出 | 西沢信孝 | 製作進行 | 佐伯雅久 |