2004年5月8日公開
CPUの消費電力、色々な方から意見・感想を頂いているにもかかわらず、すっかりご無沙汰してしまいました。
お待たせしました。最新版を掲載します。
縦軸がデータシート記載のMaximam PowerもしくはThermal Design Power、横軸が実クロック周波数です。前回掲載のグラフと色分けが異なっていることに注意してください。
クロック競争も一息ついたインテル&AMDですが、技術開発競争が終わったわけではなく、次々と新しいプロセッサを発表して我々を楽しませてくれます。最近の話題といえば、90nmプロセスで登場したPrescottoコアのPentium4と、64bitプロセッサのOpteron/Athlon64と言ったところでしょうか。
性能もさることながら、消費電力においても両プロセッサとも一段と増加しています。特にPentium4のハイエンドでは100Wを越えてしまいました。不思議なのはプロセスが微細になったにもかかわらず、大して消費電力が下がっていないことです。0.18μから0.13μに移行したときには、グラフにあるCeleron-478pinの1.8GHz(0.18μ)と2GHz(0.13μ)との差でも分かるように、大きく消費電力が下がったのですが、0.13μから90nmでは逆になっています。配線の微細化による消費電力低減はもう限界と言うことなのでしょうか? またPrescottoコアの新Pentium4は、Cacheメモリーのレイテンシが増えているためか、性能的にあまり評判が良くないようで、消費電力に見合うメリットはあまり感じられないように思われます。
インテル自慢のHTテクノロジですが、データシート上では約10W程度の電力増加となっているようです。HTテクノロジなしのPentium4の消費電力はCeleron-478pinと同じなので、Pentium4(0.13μ-FSB800MHz)との比較すると違いがよく解ると思います。
Itaniumプロセッサについては、クロックの割に消費電力が高いように思っていましたが、対抗馬のPOWER4(IBM)では1.3GHzで約125Wもあるそうなので、ワークステーション用のCPUとしては普通なのかもしれません。
対するAMDの最終兵器、Opteron/Athlon64。消費電力的には90W以下となかなか健闘していますと言いたいところですが、同クロックのAthlonXPと比較すると20W程度の電力増加となっています。まあ64bitアプリがない状況ながら、高クロックのPenrium4に匹敵する性能を発揮していることを考えると、こちらはそれなりに価値があるように思います。
データシートから判断すると、各プロセッサとも動作状態によって消費電力が細かく変化するようで、最大消費電力のみで優劣を判断するのはあまり意味がないかもしれませんが、3Dゲームや画像データ処理でCPUを酷使する方も少なくないことを考えると、まだ参考になるデータだと思われます。
「その他」と書かなければいけないところが、パソコン用CPUの状況を示しているようです。C3プロセッサは、最近ようやく1.2GHz版が出回っているものの、未だNehemiaコアのデータシートですら入手できません。Macintoshの救世主G5プロセッサPowerPC970も、アップル以外に売る気がないのかこれまたデータシートは入手できませんでした。そういうわけで、両プロセッサともデータに変更はありません。