CPUの消費電力−インテル・モバイル編−

2005年12月11日公開

モバイル用CPUの消費電力

 これまでCPUの消費電力をいろいろ取り上げてきましたが、モバイル用のCPUはあえて避けてきました。というのは、モバイル用のCPUは最初から使用状況によって消費電力を制御するように作られており、単にTDPを比較することに意味はないと考えていたからです。

 ところが最近、元々モバイル用に設計されたPentium-Mがデスクトップ用に進出してきたこと、そのPentium-Mが驚異的な省電力CPUであることから、それ以前のモバイル用CPUのTDPがどの程度だったのか、興味がわいてきました。さいわいモバイル用CPUのデータシートも一般のCPUと同様に収集してあったので、この機会にそれらをまとめてグラフ化することにしました。

 では、どうぞ。

 縦軸がデータシート記載のMaximam PowerもしくはThermal Design Power、横軸が実クロック周波数です。

インテル・モバイルCPUのTDP

 一見して分かるのは、Pentium系列では"M"のついたCPUが明らかに省電力なことです。特に"M"無しのPentium4ではその差が顕著で、Mobole Pentium4の2.8GHzで68.4Wと、デスクトップCPUではないかと思われるほど電力を消費します。

 "M"付きのCPUはその点改善が著しいですが、クロックが高くなると消費電力も高くなるのは仕方のないことです。その点でクロックで性能を稼ぐPentium4系は特に不利で、2GHzを超えると消費電力も30W以上になってしまっています。

 そして各モバイルCPUとの比較でも、Pentium-M系は際だって優れていることが見て取れます。Pentium-MがPentium4よりクロックあたりの性能が高いことを考えると、もはやハイエンド以外の用途でPentium4系列を使うメリットはほとんど無く、ほとんどの用途でPentium-Mを選択すべきなのではと思われる結果です。
(気になるライバルAMDとの比較についても近々記事にする予定です)