簡易電力測定アダプタ
2003年3月23日公開
PCの消費電力
最近のPCはCPUの消費電力もさることながら、HDDやグラフィックボードに必要な電力も馬鹿にできません。トータルで考えるとかなりの電力を消費するものと推察されますが、実際はどうなのでしょうか?
そこで、PCの消費電力を計るための簡単なアダプタを作ってみました。
動作原理と回路
電力測定ですが、ここでは簡単にPCに流れる電流を測定して、電流×電圧から電力を求めることにしました。力率を考えていないので、厳密に消費電力を計ったことにはならないのですが、簡単に計ることを優先しました。
(したがって正確には、ここで求めた電力単位はW(ワット)ではなくVAです。)
電力測定アダプタの回路を右に示します。
動作原理は、電流を抵抗器によって電圧に変換し、それを電圧計で測定するというものです。原理は至って簡単ですが、抵抗器の選択は重要で、抵抗値が高いと抵抗器による電圧降下が大きくなり、測定する機器に悪影響を及ぼす可能性があります。また抵抗器による消費電力も大きくなり、下手をすると抵抗器が焼けてしまいます。逆に抵抗値が低いと、電圧降下や抵抗器の消費電力は少なくなるものの、電圧を測定するのに高感度な電圧計が必要です。
フルスケール200W程度の電力を計ることを考えて、抵抗値は1Ωに決めました。電力200Wの場合、回路を流れる電流は2Aとなるので、抵抗器の両端の電圧は2A×1Ωで2Vとなり、テスターの交流電圧計でも測れるレベルです。ちなみにこの場合の電圧降下は、100V−2Vで98Vとなり、まあ許容範囲だと思います。抵抗器の消費電力は、2V×2Aで4Wとなり、5W以上のセメント抵抗器を使えば大丈夫です。
なお測定点がAC100Vに直結しているので、使用する交流電圧計は電子式は避け、メーター型で電池駆動のものが無難です。アナログテスターが最適です。
製作
回路は右の写真にように、8cm×5cmのケースに収めました。
抵抗器はかなり発熱するので、プラスチックの部分に触れないように実装します。
外観はこんな感じです。
プラグとコンセントは100円ショップで買ったAC延長コードを、2つに切ったものを利用しました。
テスターで電圧を測って電力を計算しますが、1Vの表示で100W相当となるので、計算はその場で暗算でできます。
なお、テスターのリードの先の部分はACがむき出しになってしまうので、感電やショートに十分注意する必要があります。
さっそく測定
さっそく、うちのメインPCの消費電力を計ってみました
(CPU:AthlonXP2000+ / M.B.:K7NCR18D-Pro / Video:RADEON8500LE / HDD:Barracuda ATA IV 80GB)
状態 | 消費電力 |
待機 | 113W |
Superπ実行 | 131W |
3DMark2001 DEMO実行 | 145W |
周辺機器をめいっぱい組み込んであるので、消費電力はかなり多めです。
CPUとグラフィックを多用する3DMark2001を実行したときが、もっとも消費電力が多くなっています。AthlonXP2000+のデータシートによると、最大消費電力は70Wということなので、うちのメインPCでは、CPUがシステム全体の約半分の電力を消費していることがわかります。
これからいろいろなPCの消費電力を計って、比べてみたいと思います。
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