1993年11月に発売された98メイトAシリーズの二代目。
私が使っていたのは、1994年にデスクワーク用パソコンとして会社で支給されたもので、14.6MBまでメモリー増設されたC9Wでした。当時のOSはWindows3.1で、Word5やExcel5などで活用しました。
台頭しつつあったDOS/V機に対抗すべく、当時として考え得る限りの高性能パーツ(486DX2、S3 928、Matrox MGA2、32bitローカルバス等)を重厚なシャーシに収めた超重装備マシンで、性能といい価格といいNEC98シリーズらしさの頂点を極めた機種でした。
CPUソケットはPentiumODP対応のソケット3。当時あまり一般的でなかった128kBのL2キャッシュも標準装備。メモリーは最大71.6〜75.6MBまで増設可能でした。グラフィックは、U8W、C9WでS3社の928、C9TでMatrox社のMGA2を標準装備していました。928はオンボードでしたが、MGA2は32bitローカルバス(スロット4)に増設ボードとして装着されていました。このボードはウィンドウアクセラレータボードA2(PC-9821A2-E11)と同じものです。
価格は\448,000(U2)〜\800,000(C9T)
CPU | i486DX2(66MHz) | Memory | 5.6MB |
Video | S3 86C928 | HDD | 540MB IDE |
(色分け) | 問題なく動作 | 動作するが問題がある | 動作しない |
分類 | 型番 | 寸評 |
L2 Cache | PC-9821A2-B02 (NEC) | NEC純正の専用セカンドキャッシュ。装着すると全部で256KBのセカンドキャッシュ容量となる。 |
CPU | HAS-33TG (MELCO) | メルコのDX4プロセッサ使用のCPUアクセラレータ。内容的にはDX4ODPと全く同じで、Ap2の場合100MHzで動作。冷却が放熱板だけなので、かなり熱くなる。別途CPU FANをつけた方が良いかもしれない。 |
CPU | PK-586x3 (I・O・DATA) | Cyrix 5x86使用の3倍速アクセラレータ。Ap2の場合100MHz動作に。キャッシュコントロールがWindows95に対応していないため、その実力を発揮できないのが残念。 |
CPU | PentiumODP (Intel) | Pentiumコア使ったインテルの2.5倍速ODP。Ap2の場合83MHz動作に。3倍速(100MHz)にしなかったところに、Pentiumへの移行を促進したかったインテルの思惑が見え隠れする。 |
CPU | PK-A586/98 (I・O・DATA) | 486機アップグレードの決定版、AMD Am5x86/P75を搭載した4倍速アクセラレータ。Ap2の場合、133MHz動作に。特別なキャッシュコントロールソフトが不要なため非常に使いやすく、手軽にアップグレードできる。 |
メモリ | PC-9821A-B01 (NEC) | NEC純正増設RAMボード。ボードのみでは4MBだが、ボード上に4基あるSIMMソケットでさらに増設が可能。 |
メモリ | PC-9821A-B03 (NEC) | NEC純正8MB増設RAMサブボード。その実体はパリティ付きのSIMMメモリー。70nsのチップが使われている。 |
メモリ | EMF-8M (MELCO) | メルコのPC-9821A-B03互換メモリー。 |
Video | PC-9821A2-E11 (NEC) | ウィンドウアクセラレータA2と呼ばれるMatrox MGA2搭載のNEC純正グラフィックボード。ビデオメモリーは2MB搭載。Aメイト専用32bitローカルバス用で、拡張スロットの一番下に装着する。C9Tには最初から装備。 |
Video | GA-DRV4/98 (I・O・DATA) | Trident TGUi9680採用のCバス用グラフィックアクセラレータ。ビデオメモリー4MB搭載。 |
HDD | HDS-540M (I・O DATA) | 540MBのSCSI-2ハードディスク。友人から譲ってもらった。 |
HDD | HDVS-U4.3G (I・O・DATA) | UliraSCSI対応の4.3GB外付けHDD。 |
SCSI | PC-9821A-E10 (NEC) | NEC純正SCSIインターフェイスボード。バックパネル左側の専用スロットに装着する。内容的にはPC-9801-92と同じ。C9W、C9Tには標準装備。 |
SCSI | IFC-NN (MELCO) | Cバス用SCSI2インターフェイスボード。SMIT転送をサポート。 |
HDBENCH Ver.2.61を使ってアップグレードによる性能向上の検証します。右の図はL2キャッシュ増設の有無による違いです。若干の効果が認められます。
CPUアクセラレータによる性能変化を、グラフ化したのが右の図です。縦軸は、C9Wオリジナルを100としたときの相対値です。
整数演算はPK-A586/98が、浮動小数点演算はPentiumODPが最も良いと言う結果です。評判どおりの結果といえましょう。
グラフィックアクセラレータによる違いを示したのが右の図です。縦軸はC9Wオリジナル(S3 928)を100としたときの相対値。
PC-9821A2-E11はMGA2と32bitローカルバスの相乗効果で、抜群の性能を示します。ただGA-DRV4/98も、Cバス増設の割には健闘しているといえます。
HDDおよびSCSIボードによる違いを示したのが右の図。縦軸は、C9Wオリジナル(内蔵IDE)を100としたときの相対値です。
総合的にはSMIT転送のIFC-NNと最も新しいドライブのHDVS-U4.3Gの組み合わせが最も良いのですが、ReadだけはPC-9821A-E10&HDS-540Mが最も良かったと言う結果に。純正ボードだけに、ディスクキャッシュの効きが良いからでしょうか?
C9Wオリジナルと強化後(PC-9821A2-B02 + PK-A586/98 + PC-9821A-E11 + IFC-NN + HDVS-U4.3G)の性能を比較したのが右の図です。PC-9821Xa(Pentium/90MHz + MGA2)、Fujitsu FMV5133D5(Pentium/133MHz + Mach64)も一緒に比較してみました。縦軸はFMVを100としたときの相対性能です。
パワーアップによりXa以上の性能を発揮。特にグラフィックはFMVよりも良いと言う結果に。やはりMatrox MGA2の威力と言ったところでしょうか。
アップグレードによってPentium/90MHz程度の性能まで強化でき、Windows95-OSR2でも何とか使えるレベルになります・・・とは言っても3Dグラフィックは全然ダメでWindowsのゲームにはつらすぎる性能です。
ビジネスアプリケーション専用と割り切るか、超高速DOSマシンとして使うのが吉だと思います。