1989年11月に発売されたRA2の後継機。価格は\498,000。以後1年3ヶ月にわたりノーマル98のフラグシップマシンをつとめました。
筆者は1990年に購入。実は初めて買った98でもあります。
価格は高かったものの、後継機のDA、FAの性能が今ひとつだったため、98メイト・フェローが発表されるまでの1993年まで、実に3年以上現役で使えた超お買い得マシン。わずか数万円のCyrix Cx486DLCに乗せ換えることで、簡単にFA以上のベンチマーク値をはじき出し、FAユーザーを口惜しがらせました。
数値演算プロセッサ(80387)は標準ではありませんが、増設は可。メモリーは専用スロットにて14.6MBまで内部増設が可能。もちろんCバスによる増設もOK。Cバスは4スロットで標準的な構成です。旧ソフトとの互換性のためV30/8MHzも搭載。本体前面のDIPスイッチにて切り替え(ソフトウェアDIPスイッチが導入されるのは次機種DAからです)。
CPU | 80386(20MHz) | Memory | 1.6MB |
Video | EGC | HDD | なし |
(色分け) | 問題なく動作 | 動作するが問題がある | 動作しない |
分類 | 型番 | 寸評 |
FPU | PC-98RL-03 (NEC) | NEC純正数値演算プロセッサ。型番から見て元々RL用だったのが分かりますが、その実体は単なるIntel80387。 |
CPU | TX486DLC (Texas Instruments) | 一世を風靡したCyrix Cx486DLCの互換製品。クロックはオリジナルと同じ20MHzなので、キャッシュコントロールを行わないとあまりアップグレードの意味がありません。メルコのキャッシュコントロールユーティリティpqctrl.vxdで、Windows95上でのキャッシュコントロールが可能になります。 |
CPU | PK-A486DW (I・O・DATA) | Cyrix 486DLC使用の2倍速アクセラレータ。コプロセッサ(Cx87DLC)付き。メルコのキャッシュコントロールユーティリティpqctrl.vxdで、Windows95上でのキャッシュコントロールが可能になります。 |
CPU | EUD-H0M (MELCO) | オールド98機の救世主、Cyrix 5x86/120MHz搭載の6倍速アクセラレータ。CPUボード上にメモリーを追加できるので、メモリーアクセス速度も改善されるスグレモノ。その威力は絶大で、下手な486マシンなど寄せつけない。 |
メモリ | EDA-4000Y (MELCO) | RA、DA共用内部増設メモリーボード。ボード上に追加増設のSIMMソケットがあり、XMC-2000Tが装着できる。このボードで計5.6MBまで増設可能です。 |
メモリ | XMC-2000T (MELCO) | PC-9801-61U/61R互換の2MBのSIMMメモリー。DOS/V用と互換性はありませんのでご注意。 最終的にEDA-4000YとXMC-2000T4枚で、内蔵を含めた総メモリーを限界の14.6MBまで増設できます。 |
Video | GA-1024A (I・O・DATA) | I・OオリジナルチップZF-16採用のCバス用グラフィックアクセラレータ。最初期のアクセラレータ製品ですが、2D描画性能は案外良いです。 |
HDD | HDS-540M (I・O DATA) | 540MBのSCSI-2ハードディスク。 |
SCSI | SC-98II (I・O DATA) | HDD付属のSCSI-2インターフェイスボード。 |
HDBENCH Ver.2.61を使ってアップグレードによる性能向上の検証します。まずCPUアクセラレータによる違いを示したのが右の図です。
縦軸は、オリジナル(80386/20MHz)に数値演算プロセッサ(80387)を装着したマシンを1としたときの相対値です。
ハイパーメモリーCPUの名は伊達でなく、EUD-H0M装着時の性能は他を寄せつけません。
オリジナルとアップグレード後(EUD-H0MI + GA-1024A + SC-98II + HDS-540M)の性能を、PC-486GR (486/25MHz + GA-1024A)およびPC-9821Xn(Pentium/90MHz + Vision864)と比較したのが右の図です。縦軸はPC-9821Xnを1としたときの速度比を表しています。
486マシンを飛び越え、Pentiumマシンに迫る性能です。特にCPUはPentium/90MHzを越えています。グラフィック性能が今ひとつなのは、Cバス増設の宿命でしょうか。
性能測定時のスペックです。
. | ALL | 浮 | 整 | 矩 | 円 | Text | Scroll | DD | Read | Write | Memory |
オリジナル | 570 | 143 | 396 | 839 | 235 | 162 | 35 | 0 | 1352 | 1402 | 149 |
強化RA21 | 2619 | 4274 | 5672 | 5284 | 1647 | 854 | 42 | 0 | 1577 | 1602 | 2376 |
EUD-H0Mの効果は抜群でPentiumマシンに迫る性能に。Windows95でもOSR1までなら十分使えるパソコンとなります。1989年に発売のパソコンが、1997年ぐらいまで使えたということです。これほど使い倒せるパソコンは、他になかなか無いのではないでしょうか。
ここではRA専用のメモリーボードでメモリーを増設しましたが、EUD-H0M上に直接装着するメモリーはさらにアクセスが速く、しかも78.6MBまで増設できるようになるので、手に入れてぜひ装着したいところです。