PC−9801RAのアップグレード

2006年1月6日改訂 2000年6月19日公開

PC−9801RA21について

 1989年11月に発売されたRA2の後継機。価格は\498,000。以後1年3ヶ月にわたりノーマル98のフラグシップマシンをつとめました。

 筆者は1990年に購入。実は初めて買った98でもあります。

 価格は高かったものの、後継機のDA、FAの性能が今ひとつだったため、98メイト・フェローが発表されるまでの1993年まで、実に3年以上現役で使えた超お買い得マシン。わずか数万円のCyrix Cx486DLCに乗せ換えることで、簡単にFA以上のベンチマーク値をはじき出し、FAユーザーを口惜しがらせました。

 数値演算プロセッサ(80387)は標準ではありませんが、増設は可。メモリーは専用スロットにて14.6MBまで内部増設が可能。もちろんCバスによる増設もOK。Cバスは4スロットで標準的な構成です。旧ソフトとの互換性のためV30/8MHzも搭載。本体前面のDIPスイッチにて切り替え(ソフトウェアDIPスイッチが導入されるのは次機種DAからです)。

CPU80386(20MHz)Memory1.6MB
VideoEGCHDDなし

アップグレードパーツについて

(色分け) 問題なく動作 動作するが問題がある 動作しない
分類型番寸評
FPUPC-98RL-03
(NEC)
NEC純正数値演算プロセッサ。型番から見て元々RL用だったのが分かりますが、その実体は単なるIntel80387。
CPUTX486DLC
(Texas Instruments)
一世を風靡したCyrix Cx486DLCの互換製品。クロックはオリジナルと同じ20MHzなので、キャッシュコントロールを行わないとあまりアップグレードの意味がありません。メルコのキャッシュコントロールユーティリティpqctrl.vxdで、Windows95上でのキャッシュコントロールが可能になります。
CPUPK-A486DW
(I・O・DATA)
Cyrix 486DLC使用の2倍速アクセラレータ。コプロセッサ(Cx87DLC)付き。メルコのキャッシュコントロールユーティリティpqctrl.vxdで、Windows95上でのキャッシュコントロールが可能になります。
CPUEUD-H0M
(MELCO)
オールド98機の救世主、Cyrix 5x86/120MHz搭載の6倍速アクセラレータ。CPUボード上にメモリーを追加できるので、メモリーアクセス速度も改善されるスグレモノ。その威力は絶大で、下手な486マシンなど寄せつけない。
メモリEDA-4000Y
(MELCO)
RA、DA共用内部増設メモリーボード。ボード上に追加増設のSIMMソケットがあり、XMC-2000Tが装着できる。このボードで計5.6MBまで増設可能です。
メモリXMC-2000T
(MELCO)
PC-9801-61U/61R互換の2MBのSIMMメモリー。DOS/V用と互換性はありませんのでご注意。
 最終的にEDA-4000YとXMC-2000T4枚で、内蔵を含めた総メモリーを限界の14.6MBまで増設できます。
VideoGA-1024A
(I・O・DATA)
I・OオリジナルチップZF-16採用のCバス用グラフィックアクセラレータ。最初期のアクセラレータ製品ですが、2D描画性能は案外良いです。
HDDHDS-540M
(I・O DATA)
540MBのSCSI-2ハードディスク。
SCSISC-98II
(I・O DATA)
HDD付属のSCSI-2インターフェイスボード。

アップグレード後の総合評価

Performance Graph

 HDBENCH Ver.2.61を使ってアップグレードによる性能向上の検証します。まずCPUアクセラレータによる違いを示したのが右の図です。

 縦軸は、オリジナル(80386/20MHz)に数値演算プロセッサ(80387)を装着したマシンを1としたときの相対値です。

 ハイパーメモリーCPUの名は伊達でなく、EUD-H0M装着時の性能は他を寄せつけません。

Performance Graph2  オリジナルとアップグレード後(EUD-H0MI + GA-1024A + SC-98II + HDS-540M)の性能を、PC-486GR (486/25MHz + GA-1024A)およびPC-9821Xn(Pentium/90MHz + Vision864)と比較したのが右の図です。縦軸はPC-9821Xnを1としたときの速度比を表しています。

 486マシンを飛び越え、Pentiumマシンに迫る性能です。特にCPUはPentium/90MHzを越えています。グラフィック性能が今ひとつなのは、Cバス増設の宿命でしょうか。

 性能測定時のスペックです。

.ALLTextScrollDDReadWriteMemory
オリジナル57014339683923516235013521402149
強化RA2126194274567252841647854420157716022376

アップグレード後の使い道と総評

 EUD-H0Mの効果は抜群でPentiumマシンに迫る性能に。Windows95でもOSR1までなら十分使えるパソコンとなります。1989年に発売のパソコンが、1997年ぐらいまで使えたということです。これほど使い倒せるパソコンは、他になかなか無いのではないでしょうか。

 ここではRA専用のメモリーボードでメモリーを増設しましたが、EUD-H0M上に直接装着するメモリーはさらにアクセスが速く、しかも78.6MBまで増設できるようになるので、手に入れてぜひ装着したいところです。