VC−SDRAMは速いのか?
2001年10月16日公開
VC−SDRAMについて
VC−SDRAMはあのNECが開発したSD−RAMの改良版で、DRAM素子内のメモリセルと入出力部の間にVirtual Channelと呼ばれる一種の高速キャッシュを設けてアクセス時間を改良したものです。一時期、次世代メモリーとして期待されていたこともありましたが、VIAのチップセットでしかサポートされていないこともあり、今ではすっかり影の薄い存在となってしまいました。
何故VC−SDRAMを使っているのか?
私がVC−SDRAMを選んだのは、当時PC133−SDRAMがCL(CAS Latency)=3しか保障していない中で、唯一CL=2を保障していたのと、VC−SDRAMに対応したVIA製チップセットのマザーを使っていたことが理由です。といっても、今まで性能チェックしたわけでもなく、言ってみれば効用書きを信じて使っていただけでした。
ところが最近普通のSDRAMでもPC133/CL2が簡単に手にはいるようになりました。VCについてそれほどこだわっているわけではありませんが、使っている以上普通のSDRAMとの違いが気になるところです。たまたまPC133/CL2のSDRAMを借りることができ、良い機会なので詳細にベンチマークしてみることにしました。
ベンチマーク
SDRAM(CL3)、SDRAM(CL2)、ならびにVC-SDRAM(CL2)のDIMMを用意して、それぞれベンチマークを取ってみました。メモリークロックは全て133MHzで、容量は128MB×2の256MBです。
・Coretest99
まずメモリー系ベンチマークと言うことで、Coretest99。グラフはPC133 CL3のSDRAMを100としたときの相対値です。
普通のSDRAMでもCL2と3とでは違いが出るかと思いきや、ほとんど変化がありませんでした。それらに比べVC-SDRAMはWRITEが1割ぐらい良く、このベンチマークではVC-SDRAMの効果がはっきり現れています。
・MemSpeed
別のメモリー系ベンチマークとして、MemSpeedでもチェックしました。グラフは同じくPC133-CL3のSDRAMを100としたときの相対値です。
今度は普通のSDRAMでもCL2と3の差が若干現れています。Coretest99と同様、VC-SDRAMは1割程度良い結果を示しました。
・Superπ
次は数値演算に対する効果を見ると言うことで、おなじみSuperπ。104万桁の計算時間で比較します。この桁数での使用メモリーは約8MBとなります。
CL3とCL2で2秒の差が出ていますが、同CL値では、普通のSDRAMとVC-SDRAMとの差は見られませんでした。
・HDBench3.30
次もおなじみのベンチマーク、HDBench3.30。グラフはPC133-CL3のSDRAMを100としたときの相対値です。
当然といえば当然ですが、メモリー系の数値で変化が見えています。CL3と比べてCL2でMemoryRの性能が改善され、VC-SDRAM化でさらにMemoryWとMemoryRWが改善されています。
効用書き通りの美しい結果です。さすが定番ベンチマーク。
・Final Reality 1.01
次は3Dグラフィック系のベンチマークということで、いささか古いですがFinal Reality 1.01。デフォルトの解像度でテストしました。
2DグラフィックでVC-SDRAMの効果が現れていますが、Bus転送速度では普通のSDRAM(CL2)の方が若干速く、3Dでは差は見られませんでした。トータルで見ると、CL3のSDRAMよりは明らかに優れているものの、CL2のSDRAMと比較して多少良いかな、と言った程度です。
・3D MARK
最後に3Dベンチマークの定番3D Mark。違いが分かりにくかったので、グラフは、SDRAM(CL3)の3D Marks値を100とした時の相対値で示してあります。画面解像度は全てデフォルトです。
SDRAM(CL2)が最も良く、VC-SDRAMがむしろ悪くなっています。とは言っても違いは1%前後で、全く同じと言っても良いでしょう。
結論
これらの結果を踏まえてVC-SDRAMの効用についてまとめると、メモリーアクセスについては、特に書き込み時に1割程度性能が改善されるが、それが演算速度や2D・3Dグラフィック速度に反映されるとは限らない、といったところでしょうか。大量のメモリーを頻繁に読み書きするような場合に、VC-SDRAMの良さが発揮されると考えられます。
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