以前から話題になっていた自作派向けNAS、玄箱を導入しました。とりあえず手持ちの80GBのHDDを入れて使っています。HDDの組み込みや初期化などはいたって簡単で、説明書どおり行って、無事終えることができました。
ネット接続しているいくつかのPCに、ネットワークドライブを割り当て使ってみましたが、やはりローカルドライブに比べてもたつく感じです。ネットワーク経由だから仕方がないかと思っていたところ、私の買った玄箱はKURO-BOX/HG、すなわち1000BASE/Tギガビットイーサネット対応だと言うことに気づきました。接続されているPCのいくつかはギガビット対応ですので、これらのPCとの接続に関してはハブだけが100M対応品でボトルネックとなっています。したがってこのハブをギガビット対応の製品に換えれば、NASアクセス速度の改善を図れそうです。ギガビット対応のハブ(以下、ギガハブと呼びます)も最近は安くなっているので、さっそく購入することに。この際なので交換した効果を評価すべく、NASアクセス速度のベンチマークを行ってみることにしました。
また、100BASE/Tインターフェイスしか持たないPCに関しても、ハブまでギガビット対応になることで、アクセススピードが少しは改善されるかもしれません。この辺も検証してみました。
まず今まで使ってきたハブと購入したギガハブを下に示します。
今まで使ってきたハブ | IO-DATA社 ET-FSWH16L |
購入したギガハブ | BUFFALO社 LSW2-GT-8NPR |
評価は、1000BASE/TのLAN搭載のPCと、100BASE/TのLAN搭載のPCの2台で行いました。それぞれのスペックは以下の通りです。
名称 | 機種 or M.B. | LAN | CPU | メモリ | HDD |
Precision | DELL Precision530 | 3Com 3C905C-TX (100BASE/T オンボード) | Xeon(Dual) 1.7GHz | 512MB PC800-RDRAM | WD400BB-75CLB0 (IDE 40GB) |
自作機 | ASUS A8N-SLI Deluxe | Marbrll Yukon 88E8001/8003/8010 (1000BASE/T オンボード) | Athlon64FX55 2.6GHz | 2GB(dual channel) DDR400 | ST3160827AS (S-ATA 160GB) |
Precision530はDELLのサーバー/ワークステーションモデルで、5年ほど前に購入したものです。当時としてはハイエンドモデルでしたが、今となってはエントリーモデルにも劣る内容です。まさにドックイヤー。
自作機は1年半ぐらい前に組み上げたPCです。インテルCore/Core2プロセッサのおかげで最近影の薄いAthlon64ですが、組み上げた当時はインテルCPU(Pentium4)を圧倒する性能に酔いしれたものでした。
昔話はこのぐらいにして、さっそくアクセス速度を計測してみることにします。
まず現状の確認と言うことで、今まで使ってきた100Mのハブで計測を行ってみます。ベンチマークソフトは、超定番のHDBench(Ver3.40beta6)とCrystalMarkを使用しました。
最初にHDBenchの結果から。
Precisionも自作機も似たようなスコアとなりました。スコアからするとHDDが数GB程度だった時代のスコアで、そう考えると取り立てて遅いというほどでもないかと思います。
次にCrystalMarkでの結果。
面白いことに、あらゆる点で性能が高いはずの自作機の書き込み速度が、4割程度遅いと言う結果になりました。
いよいよハブをギガハブに交換して計測してみます。まずHDBenchを右のグラフに示します。グラフの表示ですが、色の濃いほうがギガハブでの計測結果、色の薄いほうが100Mハブでの結果となっています。
自作機では、オンボードLANから玄箱まで全てギガビットで接続された効果で、顕著にスコアが伸びています。読み込みで2倍弱、書き込みで1.5倍という結果になりました。
しかしながらPrecisionでは、効果がなかったどころか、書き込み時において2割も速度が低下しています。Precisionの場合、オンボードLAN(100M)がボトルネックになってあまり効果がないことは予想していましたが、逆に低下するとは思いませんでした。100BASE/Tと1000BASE/Tの変換時のオーバーヘッドの影響でしょうか?
次にCrystalMarkでの結果。
自作機ではHDBench以上にスコアが伸びています。
Precisionでは、先のHDBenchの結果と同様に、書き込み時の速度が2割強程度低下しています。
ここで気がついたのですが、自作機で100Mハブ使用した場合も、1000BASE/T→100BASE/Tの変換が行われていることになります。100Mハブ使用時における、自作機のCrystal Mark書き込み性能が悪かったのは、1000BASE/T→100BASE/Tの変換のオーバーヘッドのためだったと考えればつじつまが合います。
今回の評価をまとめると、全てがギガビットなら1.5倍〜2倍程度のアクセス速度向上が見込めるものの、LANボードが100Mだと、1000BASE/T→100BASE/Tの変換のオーバーヘッドのため2割程度性能が落ちる場合がある、と言う結果が得られました。
結論として、100MのLANを搭載したPCしかない場合、ハブだけをギガビット対応にしても、性能向上どころか逆に低下することもあると言うことで、ハブを換えるなら、LANカードも含めて全てを換えるべきてあるということになるかと思います。
そういう訳で、ギガビット対応のLANカードも安くなってきているので、Precisionにも新しいLANカードを導入することにしました。導入後の結果については、またレポートします。