山梨県甲斐市郊外に立つ住宅。
 富士山から南アルプスを望むロケーションを活かすために、風景を囲むようにL字型の曲り家(まがりや)としている。
 2階はワンルームのLDKを設けて、水平に連結する大きな窓で風景を取り込んでいる。床はスリットのよって3段に分かれて、各コーナーに変化を与えている。
DATA
所在地/山梨県甲斐市 
構造・階数/木造軸組み・2階建
敷地面積/567.63㎡
延べ床面積/145.73㎡
本体工事費約/2800万円

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■外観
黒でまとめられたシンメトリー(左右対称)なL字型の内側の外観。
屋根は角に行くほど低くなる45度方向の片流れ。2階のLDKの幅いっぱいに連続する窓から周辺の風景を取り込む。
外壁は杉材のサイディング縦張り、手摺やデッキはレッドシダー。ラフな木肌に黒のキシラデコール塗りで炭のようなテクスチャーに。
サッシはアルミだが外壁の色と合せることで素材感を消している。雨樋や換気口もつや消しの黒で。



L字型の外側になるエントランス側の外観。
手前はガレージで奥が玄関。長い庇は雨に濡れずに車から玄関にいけるように。
北西・北東側の隣家や団地からの視線を防ぐために小さめの正方形の窓を並べている。

 

■玄関ホール



正面はレッドシダーの玄関ドア。左側はシューズクローゼットへのドア。右は2階への階段。
天井は2階の床を支える梁をそのまま現わし、白のペンキでラフに塗装している。
左上の梁の間がスリットになっていて、2階から光が落ちてくる明るい玄関ホール。

 

■リビング・ダイニング


2階は3つの床レベルのあるL字型のワンルーム空間。
手前のダイニング・キッチンから中央のリビング、右奥の和室へと段々と上がっていく。
天井は床レベルとは無関係に、角から両端に向かうほど高くなっていく。
L字型に曲がった長い室内は居場所によって風景や空間のボリュームが変化するが、座った時の視線の高さは近く保たれている。
近くにいると親密感があるし、遠くに居てもなんとなく一体感がある、そんな場所をイメージしている。

左側は調理の出来るタイプの薪ストーブ。右にはバルコニーが見える。
上部にはプランの対称軸上に設けたライン状のトップライト。



LDKの夜景。床のスリットを利用した間接照明。家にいる時間の多くは夜だから、照明が夜の風景になるように。
 

■和室


リビングの横にあっても違和感がないように、シンプルにデザインした和室。
床は縁なしの和紙畳(実際はフローリングと合わせて墨色)。
大きな割り付けの障子の枠や鴨居・敷居の木部は壁と同じ白のペンキを拭き取り塗装で素材感を和らげる。
丸い照明器具は伊東豊雄先生デザインの「MAYUHANA」。
正面の四角い窓は、座ると富士山を眺めることが出来る位置に設けた。

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