船橋市近郊の住宅街の中にある住宅。
既存の松の木を活かして南に面して和室を設け、1階を天井高3mのゆったりとした居間とした。2階の諸寝室は2.2mと低めに押さえ、上下階の天井高さの変化を利用して中二階に階段の踊り場から入れる広い納戸を設けている。
木の骨組みを現したり、自然石の乱張りや木のチップを固めたボードなど骨太な素材を使って、民家のような質感の高い空間を意図している。
DATA
所在地/千葉県船橋市 
構造・階数/木造軸組み・2階建
敷地面積/93.51u
延べ床面積/107.22u
本体工事費約/2480万円

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■外観

左官の白壁と木部の対比て構成した端正な外観。
敷地にあった松の木を残し、この住宅のシンボルとしている。
限られた敷地で大きな庭はとれないが、駐車スペースをあえて自然石の乱張りにすることで「石の庭」として扱っている。
道路に面して大谷石の門塀と縁石、木の格子を設け開放的で清清しい雰囲気を意図している。

 

■居間・食堂


和室に面した1階の居間・食堂。
天井高さは3mでゆったりとした室内に和室の障子や格子を透過したやわらかい光が回り込む。
つや消しの乳白で塗装された壁と天井は露出した構造材の柱・梁によってリズミカルに分割される。
床はチェリーの無垢材。右手壁の際は5.5mの長い造作家具、ベンチやTV台としても考えられている。
天井からアームで下がったダイニング用の照明はミケーレ・デ・ルッキのデザイン「トロメオ」

 

■和室


松の木を望む雪見障子のある和室。
ぬれ縁から塀へと一体となった木格子がやわらかく視界を切る。
大きな掘り炬燵は座卓を和室の床下に収納して畳敷きにすることも可能。

単なる来客用の寝室ではない、明るく寛げる座敷としてデザインされた和室。
 

■洋室(多目的室)


将来のライフスタイルの変化に対応できるように、仕切ることを想定した7.2×2.7mの長い2階の洋室。
高さ制限をクリアするために2.2mに抑えた天井も天井まであるドアや窓によって圧迫感は無い。

天井はローコストなシナ合板をオイルステインで仕上げマットでやさしい質感に。
ほとんどの建具は上吊り式の引き戸で敷居はない開放的な造り。


■階段室



ポプラのチップを圧縮成型した厚さ38mmのLSLボードで造られた階段。
0.8×5.3mという製品寸法を活かして、段板だけでなく手摺壁として1階から2階まで一枚で立ち上げている。
階段の上には落下防止を兼ねてLSLボードで作ったベンチを設けている。
手摺も25mm角に加工した木材(タモ)で製作。階段全体をひとつの木製家具としてデザインしている。

階段の上には大きな開閉式のトップライトで採光と夏季の換気を図っている。
階段の踊場にある小さな扉は中二階の納戸への出入り口。

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