私なりに書こうと思います。
私は昔憧れの職業だったというのもあるのですが、ボクサーだけは無条件で尊敬の対象になります。ボクシングにだけは柄にもなく真面目になります…
あなたはエキサイトボクシングを観るためにテレビをつけます。テレビには色鮮やかなスポットライトと華やかボクサーの入場が映し出されます。解説のジョー小泉氏が「今回のファイトマネーは○千万ドル」と解説します。
そのボクサーとは誰でしょうか? デラホーヤ、ロイ・ジョーンズ、ホプキンス、ポンサクレック… あるいはハーンズ、タイソン、チャベス、NAZ…アリやフォアマン、レナードかもしれませんね。
あなたは何人ボクサーの名前が言えますか? ファンなら百人くらい上げられるかもしれません。その中も特に強い一人が居るとします。
その選手の戦歴を全て言えますか? いや本当に私が言いたいのは、あなたの好きな選手が倒したボクサーの戦績を全て知っていますか?と言うことです。 そんなもの知ってるわけがないだろうと答えると思います。それが当たり前です。
ボクシングの魅力とは何でしょうか? 何故私たちは殴り合いに興じる男たちにあそこまで熱狂するのでしょうか?
生涯を通して負けという言葉の意味を知ることがなかった、軽量級最強のチャンプ、リカルド・ロペス。51戦50勝(37KO)1分という恐ろしいほどに輝かしい経歴。
しかし、この言い方を少し変えると「51人のボクサーがリングの上で散った」と言うことなのです。ロペスの拳には51人のボクサーの闘志とでもいうものが宿っているのです。
プロボクシングというスポーツは常に死の危険を伴っているので長くはできません。そしてその特性上コンスタントに試合をする選手はそう多くないので、生涯戦績は二桁が普通です。
つまり言い換えると生涯リングの上に立てる回数が制限されているという事なのです。たった一勝の重みが他のスポーツとは異なるのです。
もっともこれは“勝ち続けた場合”です。国内で戦績が鳴かず飛ばずで連敗すれば辞めてしまう事もあります。嫌いな言葉ではあるのですが噛ませ犬としてリングに上がる選手もいます。さらには国内王座クラスでは専業で生活するには難しいと聞きます。
プロレスラーの蝶野氏が「ボクシングはハングリーな面を見せすぎてる」と言っていたことがありますが、逆に私たちはそのハングリーな面に魅力を感じてるのかもしれません。
必ずしも名声を得られる試合とは限りません。 死の危険さえ晒しながら言い方は悪いですが、生活苦を抱えた二人の男たちがリングの上でグローブをつけ殴り合います。試合後お互いに健闘を讃えたりもします。
もう面倒くさいので一言で言います。 ボクサーは「ボクシングに興じる姿がカッコイイ」のです。
グラフでボクシング。
サンドバック氏制作のグラフでボクシングは、あっという間にネット上で話題を呼びました。
このゲームは進行によっては華やかな世界チャンプにもなるし、国内で連敗し五戦もしないうちに引退することもあります。
しかしどちらにせよグラフの向こうに居るボクサーのドラマを感じるのです。ボクシングの魅力である「ボクサーの生活背景にあるドラマ」を連想させられるのです。
多分それはサンドバック氏のボクシングに対する愛のタマモノなのでしょう。
さてさて、実写でボクシング。
サンドバック氏はフォアマンを破ったアリのごとく返り咲きます。HSPプログラムコンテスト2004最優秀ゲーム賞という肩書きをひっさげ私たちの前に再び姿を現しました。
まず私が感心したのがゲーム性そのものの高さでした。
現在コンシューマーのボクシングゲームは3Dのものが主流ですが、2D空間で再現されるリングは見劣りするどころか返って迫力を感じるくらいです。多分実写という要素も大きいのでしょう。
それともう一つ見所は操作性です。どちらかというとパッドがあった方が楽しめるかもしれませんが キーボードだけでボクシングの持つジャブやフック、ボディブロー、スウェーバックなどの複雑な動きを簡素に再現してます。個人的にはクリンチワークの独自の操作が巧くできていると思いました。
ジャブやストレートなど少しずつボクシングの動きを主人公が学んでいくのも、うまい構成だと思います。
数種類ある独特のミニゲームも楽しめます。
そして最後にネット上でもよく話題にされるサンドバック氏制作ゲームの魅力は、その独特なユーモラスなテキストになります。
主人公の奇妙な行動にはゲームの緊張感を忘れ笑ってしまいます。
インターバルで西沢会長にからかわれたりすると、思わず「会長を殴るボタンはどれだ」と思うこと請け合いです。
最後に少しだけ触れておきますが、実写でボクシングが他のボクシングゲームと異なる点は 主人公が練習生という点にあるかもしれません。
これについてはサンドバック氏のサイトにあるので興味がある方は一読をお勧めします。 「ボクシングの魅力を伝えたい」、その大きなボクシング愛に私はKOされたのでした。
延期になっていたダイソーでの発売も決定したようなので、多くの人がさらに「実写でボクシング」をプレイすると思います。
そしてそのプレイした人々がボクシング愛に目覚めることを私は切に願っています。
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